王将戦第3局(22年)、藤井四冠が3連勝、AI評価値もブレる難解な終盤の最後は即詰み
藤井聡太・四冠が渡辺明・王将(三冠)に3連勝した、第71期(2022年)王将戦・第3局。1月29日・30日の対局から既に丸2日経ったが、終盤の戦いは特に興味深かったから、軽く将棋記事をアップしとこう。棋譜、対局者の感想、AI評価に、私の個人的感想も少しまじえた、まとめ記事。

上図は後手、渡辺の116手目、9二玉の局面。毎日新聞HPの棋譜より。先手の藤井が7二金と王手飛車取りに打って、端に逃げた所で、先手が有利だが、先手の玉も2枚の角ににらまれてかなり危ない。1手、大きく間違えるだけで逆転する。しかも藤井の残り時間は3分間のみ。渡辺は18分、残してた。

AI(水匠5)の評価値や最善手・次善手は、秒単位で刻々と変化するが、ある一瞬だと上の通り。元奨励会員アユムの将棋実況、盤面なし評価値放送より。なぜか、この2日目の評価値放送だけ、今現在ネット上から消えてるから、リンクを付けれない。各種の検索でもヒットせず。何か問題があったのか?、あるいは大幅に内容を変えて、動画のタイトルも変更したのか。
最善手は9六香で、先手勝勢(2936)。しかし、次善手の9三歩だと優勢(1095)。3番目の8一金だと、一気に逆転して後手勝勢となる。
ちなみに、9六香の後は、5六角成、9五香、9三歩、同香成、同玉、9九飛(!)とか。最後に飛車が左に回る筋が実現する可能性があった。かなり前、途中の局面で、香車の下に加勢する「地下鉄飛車」の可能性が話題になってたのだ。
☆ ☆ ☆
私も何度も経験してるが、時間が無くて焦ってるとつい、王手をしたくなる。王手をかければ、相手が逃げるか防ぐだけだから、普通は自分の側は安全、安心。
天才・藤井もつい、117手目、9三歩と王手してしまった。消費時間0分。この辺りでAIの評価値は激しく動いて、何がどう正しいのか、誰にも正確には分からない。

私はこの局面、リアルタイムで見てて、同玉で互角か、先手やや不利かなと思ってた。後でAI評価値を見ると、激しく変化する中、ある一瞬は下のように示されてた。

最善手、互角(197)、同玉。次善手、先手勝勢(3462)、8三玉。評価値の折れ線グラフは、かなり上の位置から一気に下に落ちてる。

☆ ☆ ☆
ここで渡辺が13分考えて指したのが、敗因・敗着と言える8三玉。これだと、次の先手の8一金(飛車取り)が詰めろになってしまう。
渡辺のツイッターによると、9三歩と打たれて「自玉が詰むのかなぁ、と気が付いて、その空気感(終わりという)もあったので93同玉で難しいというのに気が付かなかったですね」とのこと。
もし同玉なら、先手は9四歩か9六香。その後の変化では、先手が攻防の手として4八角か3九角と打つ変化もあった。藤井は4八角を考えてたらしい(感想戦)。
とにかく、8三玉、8一金の後、後手の渡辺は2九角成。これはもう、諦めて形作りをしたということか? もちろん、先手がちょっと間違えると逆転するけど、藤井は詰将棋でも日本一の実力を持ってるから楽勝みたいだった。

☆ ☆ ☆
もちろんAIにとっても、詰みの結論を出すのは一瞬。先手、8四飛車で、31手詰めだと表示されてる。

しかし、これは細かい変化が色々あって、反則の打ち歩詰めになってしまう筋もあるから、それほど簡単ではない。詰め損ねると、逆にすぐ詰まされてしまう。
8四飛、同角、同歩で、下の局面(123手目)。

9四玉なら、7二角から9六金の筋で詰み。6四銀なんていう遊びゴマの活用まで絡んで来る。9三玉なら、8二角の後、歩と香車を活用して、7三角成に持ち込んで、詰み。
実戦は8四同玉。以下、6二角、9三玉、9四歩と進んで、先手135手目の9六金を見て、後手が投了。下の投了図は王将戦中継ブログより。19時15分、終局。

☆ ☆ ☆
なお、投了図以下は簡単で、7六玉、7七歩、7五玉、6四銀、8四玉、8五歩、8三玉、8二馬。ここまで数えると、143手になる。
121手目の8四飛から、23手詰め。143-121+1=23の植木算。AIが示してた31手詰めより短いのは、最長手数の変化ではなかったからか、AIの読みが不完全だったからか。29手詰めという話も出てた。
途中、渡辺の玉は下に9二玉と逃げる方がまだ難しかったと思うが、藤井にとって結果は同じだろう。最後の最後は、藤井が完全に読み切った感じの指し手で、飛び抜けた才能と実力を見せつけてた。
さあ、これでいよいよ王将位と五冠王に「王手」! 注目の第4局は、2月11日・12日に東京都立川市「SORANO HOTEL」にて。それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 1919字)
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