日本の国会でのオンライン演説全文(原文)、ゼレンスキー大統領のウクライナ語(「NHK WORLD」)にはAI翻訳も苦戦
私はもちろん、多くの人と同様、ウクライナ語を全く知らない。だからこそ、ウクライナ大統領ゼレンスキーが日本の国会で12分間、オンライン演説したのを、日本でどのように見聞きしたのかが気になる。通訳なし、ウクライナ語だけの演説全体のビデオをNHK WORLDで発見するまで、10分以上もネットを探し回った。
ライブ(生)の演説は、昨日(22年3月23日)の夜18時から、NHKプラスのライブ動画で英語訳を試聴。ウクライナ語から英語に訳してるのか、日本語訳をさらに英訳してるのか知らないが、たぶん直接の英訳だと思う。
同時通訳というものは一般に大変だろうけど、一段と苦労してるように聞こえた。ゼレンスキーの他国での演説を聞いて予習する余裕も、それほど無かったはず。
日本語の同時通訳は聞いてないが、ネット情報によると、同時通訳の担当者への激励がSNSで飛んでたらしい(J-CASTの記事参照)。需要を考えると、ウクライナ語の専業プロの同時通訳者は(ほとんど)いないと思う。
国会の会場の場合、在日本ウクライナ大使館員が行ったらしいけど、テレビ各局はそれぞれ別の通訳を使ったのかも。YouTubeで2つの局(日テレとどこか)の演説動画を聞いたら、訳が異なってた。
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一応、日本語でも、演説全文の内容を確認したが(AERAの記事参照)、私は普通の無難なスピーチだったと思う。もちろん、命の危険の中で大変な仕事を続けてることには頭が下がる。ただ内容的には、新しい具体的な要求を突き付けて来たわけでもなく、特に情感的なわけでもない。豊かな表情と頭部の動かし方は、今まで見て来た映像と同様。
映像やフリップ(図、グラフ、要約)は無し。身振り手振りもほぼ無し。もし、原稿を映し出すプロンプターのような物を使ってないとしたら、暗記力と即興演説力はお見事。プロンプターを使ってるのなら、原稿作成はメディア系のブレイン達との共同作業だろう。
もちろん、原発や核への言及は、遠回しに原爆や東日本大震災に触れたと解釈可能。「侵略の津波」「故郷に戻れる」といった表現もそうだし、「サリンなどの化学兵器」への言及は、オウム真理教事件(地下鉄サリンほか)に触れたと見れなくもない。「アジアで初めてロシアに対する圧力をかけ始めたのは日本」という賛辞もあった。正しい見解かどうかは未確認だが。
最後の直前、「妻のオレナが、目がよくない子どものためのプロジェクトに参加しました。・・・そこで日本の昔話をウクライナ語でオーディオブックにしました。これは一つの例ですが、日本の文化はウクライナ人にとって非常に興味深いものなのです」とエピソードを挿入したのは、基本パターンとはいえ、好印象。『zero』に出演した識者が、「桃太郎」だったと思うとかいう解説をしてた。
日テレ『news zero』では、しばらく演説を持ち上げる言葉を並べた後、官僚(?)の言葉として「拍子抜け」と伝えてた。正直な感想だと思う。意表を突く厳しい言葉が無いことに加えて(ドイツ、イスラエルであったらしい)、米国では真珠湾攻撃の話をしたのに、日本では広島・長崎の話は無し。米国と日本、扱いの違いは鮮明だった。当然とも言えるが。
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さて、演説の原文というか、ウクライナ語の演説ビデオは、どこにあるのか。それは、NHK WORLDという海外・外国人向けサイトで、ウクライナ語に言語設定してニュースの箇所を選択すると、視聴可能。現時点で一番大きなニュースだと思うが、見つけにくい形になってた。
上の右側のウクライナ語を、Google翻訳で英語に直すと、
Speech by Zelensky before the Parliament of Japan (March 23,2022) Updated 5 years. ago
日本の国会での、ゼレンスキーの演説(2022年3月23日) 5年。前に更新
「5年前」というのはもちろん誤訳で、「5時間前」が正しい。ウクライナ語で時間という意味を表す単語の語尾が省略されてピリオドになってるのを、AIが誤解したようだ。単純にピリオドを付けて、「years.」としてた。
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ニュースの見出しの訳でも間違えるくらいだから、ウクライナ語の音声の聴き取りと英訳はまだ発展途上。
PCで大音量で動画を流して、iPadのGoogle翻訳アプリで音声入力すると、全体的には3割~4割くらいの出来だった。文の区切り目(句読点)も無く、何となく雰囲気が分かった気になれる程度で、出来が良い箇所と悪い箇所の差も大きい。特に、片言の日本語が混ざると、AIが聴き取れない。最後の「ありがとうございます」も認識せず。
上は演説の冒頭。「ホソダ」(細田衆議院議長)、「サントウ」(山東参議院議長)はスルーされて、「キシダ」(岸田首相)は Shida になってる。その後も、単語の1つ1つはかなり聞き取れてるけど、全体としてしっかりした英文にはなってない。両国間の距離の8193kmは、「8190 3」となってたから、まずまずか。
一方、興味深いのは、演説終盤。奥さんと日本の昔話との意外なつながりを披露する箇所。ここはAIがかなり正確に聴き取って、翻訳も正確なのだ。
ひょっとすると、ここは内容だけでなく、単語や語り口もやさしいものになってたのかも知れない。
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というわけで、同時通訳の皆さん、どうもお疲れさま♪ ゼレンスキー大統領も含めて、ウクライナの人々に対しては、かける言葉が見つからない。「頑張ってください」とは言えないし、すでに惨事が起きてる中で「無事を祈ります」というのもどうだろう。無難なのは、「一刻も早い戦争の終結を祈ってます」か。
とはいえ、単に戦争を表面的に終わらせたいだけなら、かなり前から可能だったように思われる。「ウクライナが再び平和な国に戻れることをお祈りいたします」と言うべきか。独立国家としての主権、領土の問題も含めて。
なお、「誠実の注射」と訳された言い回しは多分、ワクチン接種を意識してるんだと思う。ともあれ、今日はそろそろこの辺で。。☆彡
(計 2530字)
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