アントニオ猪木79歳、病気と真剣勝負のプロレス(死闘)、そして詩~NHK『燃える闘魂ラストスタンド 最後の闘い』
日本を代表するプロレスラーと言えば、令和の今でも、やっぱり昭和の師弟3人だろう。力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木。
いわゆるZ世代(ロシアは無関係の用語)とか、最近の若者は最初の2人を知らない可能性があるけど、猪木は普通、知ってると思う。政治家としても、タレントとしても有名。
ただ、私は、このNHKの特集番組は全く知らなかった。いつものように、NHKプラスの動画でニュースを見ようと思ったら、たまたま画面の下側にこの番組のPR画像が出てたから、試しにクリック。全部見たから、ブロガーとしては、記事にしないと損した気分になる♪
というわけで、縮小した静止画キャプチャーの引用でサラッと書いてみよう。元は21年11月27日のBSプレミアムで放送。猪木が78歳の時。誕生日が2月20日だから、総合テレビで放送した時点(3月2日)では79歳だった。もうすぐ80歳。「元気ですか~~!!」と大声で明るく叫ぶ猪木が、そんな高齢者になってるとは思わなかった。。
☆ ☆ ☆

番組冒頭は、現役時代の猪木の颯爽とした姿。BGMは猪木のテーマ曲、「炎のファイター」。画面の左下には小さく、「映像提供:テレビ朝日」と書いてる。これは番組を見る上で重要な点で、カンタンに言うと、テレ朝に不都合な話は出せないのだ。その点は、後でまた触れることにしよう。

颯爽とした姿に続いて、最近の猪木のリハビリの様子。プロレスのトレーニングの基本には当然、スクワットがあって、猪木は昔なら汗だくで1000回くらいはやってたはず。大きな身体と重い体重で。普通の身体と体重の私は中学・高校の頃、200回ならやってた気がする。
ところが猪木がここでやってるのは、両手で身体を支えて膝をわずかに曲げるスクワット20回。そう言えば、現在の肉体の映像は無かった気がする。さすがにテレビ公開するのは気が引けたということか。
病名は「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」。アミロイドという物質が心臓を始め全身に溜まり血液循環が悪くなる"難病"」とのこと。長くて激しい格闘技人生との関係は不明。トランスサイレチンという血液中のたんぱく質が、何らかの理由で、水や血液に溶けにくいかたまり(アミロイド)になるらしい。2018年、発病。
☆ ☆ ☆

昔の姿と、今の姿。両方を見せた後で、番組タイトル。『燃える闘魂 ラストスタンド~最後の闘い』。この場合の「スタンド(stand)」は、抵抗とか防御という意味の英単語だろう。それを「闘い」と訳したと。

番組の情報をネット検索すると、「見逃し番組日記」というゆるい記事を発見。
「特にプロレスに詳しくない私としては、アントニオ猪木といえば、『1、2、3、ダァー!』と拳を突き上げ、ビンタをする人といイメージでした」♪
それは、詳しくないというより、ほとんどプロレスを知らない人のイメージだと思うけど、確かに一般にはそんなイメージだろうし、特に引退後はそれが中心かも。それ以外に、政治活動が加わるとか。
☆ ☆ ☆

昔の猪木とは全く違う姿を見せる今回の番組は、プロデューサー&ディレクターの鈴木健三の熱意が伝わって成立したとの事。昔は猪木のもとでプロレスをやってたそうで、上が当時の雄姿♪ 技はともかく、身体つきが凄い。
番組制作のトップが猪木の弟子だという点も、この番組を見るうえでポイントの1つ。当然、NHKスペシャルとかのお堅い番組とは違って、ヒーローを賛美する内容になってる。不都合な話はほとんど入ってなかった。業界、政治、女性など。
唯一、正直に伝えてたのが、先輩の馬場に借金のお願いをしてたというエピソード。ただし、それだけ2人の仲は良かったんだろうという語り口になってた。
☆ ☆ ☆

猪木寛至は1943年(昭和18年)、横浜市鶴見区生まれ。5歳の時に父が死亡。貧困のため、14歳でブラジルへ。ちなみに、ウィキペディアは13歳と書いてる。馬(?)に乗る勇ましい姿は、1980年の映画より。『四角いジャングル 格闘技オリンピック』(三協映画)。ブラジルでは、本物のジャングルが近くにあって怖かったらしい。

そして、空手チョップで大活躍してた力道山にスカウトされたのが1960年。日本プロレス入団。力道山の付き人を務めると共に、まもなくデビュー。ところが3年後、刺傷事件がキッカケで、力道山は急死。

ここで一旦、個人の歴史は中断して、引退の2年前の試合が映された。ビッグバン・ベイダー戦。1996年1月だから、52歳。相手のバックドロップをまともに受けて、後頭部からリングのマットに激突。普通の人なら首の骨が折れて即死でも不思議はないシーンだった。

鈴木Pの同期レスラー、棚橋弘至によると、これも「風車の理論」とのこと。相手の技をすべて受け止めて、それを自分の力に変える。相手の技が強ければ、強風のおかげで風車も勢いよく回るということか。まあ、風車が壊れないという前提が必要だけど♪
☆ ☆ ☆
病状が急に悪化したのが2020年12月。手術した箇所の骨とスクリュー(ねじ)の隙間に、細菌が入って、敗血症および呼吸不全に。青森の温泉で療養中、腰の激痛で救急搬送。

この時は、猪木も死を強く意識したようで、看護日誌には「もう死ぬとき近いんだ」と書かれてた。この頃、猪木は一編の詩を残してる。

夜空いっぱいにあんなに輝いていた 星たちが出番を知ってか みな消えていった
夜明けのカーテンが開く前に 一番星 二番星 みな消えてしまった
独りこの舞台の中央に立ち 客席を見渡すが誰もいない
独り想いにふけっていると 緞帳が動く気配を感じた 静かに目を閉じると 観客席が埋まっている
どれもみな懐かしい顔ばかり そっちの世界はどうですか!と叫んでみたが返事はない ただみな静かにみているだけだ
自らの命を燃やして今日まで生きてきた 悠久の時に身を任せ もらった命を大事に生きていく
語り、古舘伊知郎。プロレス実況から引退する時、猪木の最初のチャンピオンベルトを貰って、スタッフにレプリカと交換して欲しいと頼まれたのに断ったらしい♪
上の写真は、身長223cmのアンドレ・ザ・ジャイアントとの試合(93年死去)。馬場は99年死去。カール・ゴッチは07年死去。猪木の全盛期に異種格闘技戦で闘った1人、極真空手のウィリー・ウィリアムズが2019年に死んだ時には、当ブログでも記事を書いてる。
みんながいる三途の川の向こう側に行こうとしたけど、「馬場さんが意地悪して」渡らせてくれなかったらしい♪ もう少し現世で闘えと。。
☆ ☆ ☆

その後、猪木は最悪期から回復。病院では、他の患者さんとかと顔を合わせないようにしてたけど、「頭かくしてアゴ隠せず」(笑)。トレードマークの顎でバレるわけか。
このジョーク、若い女性看護師にもウケてた。猪木の冗談は、体調のバロメーターらしい。

今回の番組で、本人を除いて一番興味深かったのが上の写真の女性秘書、岩橋智美。50歳前後か? 私はすぐ検索をかけたけど、ツイッターでさえ何の情報も出なかった。ただ、完全に1対1で猪木に密接に寄り添ってたから、単なる秘書とも思えない。
この秘書によると、猪木は妻を亡くした後、元気が無くなったとかいうお話。ただし、猪木の妻が合計4人もいることは、テレビだと説明なし。もっぱら、4人目らしいカメラマンの田鶴子(ズッコ)さんの献身ぶりを絶賛してた。おそらく、この岩橋秘書もかなり献身的に支えてると思う。
☆ ☆ ☆
持ち直した様子を映した後は、猪木の過去の歴史の続き。1972年1月、猪木29歳の時、新日本プロレスを創設。馬場と袂(たもと)を分かち、これ以降、2人のライバル関係が強調されるようになる。

馬場も同じ年、全日本プロレスを旗揚げ。ウィキによると、猪木の新日本がテレビ朝日系で、馬場の全日本が日本テレビ系。テレ朝が日テレに割り込むような形だったと書かれてたけど、テレ朝側にも言い分があるんだろうと思う。見えない形で色々あるようだ。
とにかく、馬場の静、猪木の動。若くてルックスも見栄えがする猪木は、非常に積極的で派手な動きを見せた。女優の倍賞美津子との1億円結婚式も71年に行われてる(2度目の結婚)。

特別に強調されてたのは、やっぱり、プロボクシングのヘビー級チャンピオン、モハメド・アリとの異種格闘技戦。再び古舘が、過去を振り返る形の実況を行ってた。
ルールが非常に厳しかったから、猪木は寝転んで「アリ・キック」し続けるしかなかった試合。格闘技として見れば中身があったけど、一般ウケはしないだろう。こんな試合を本当に成立させただけでも凄いパワー。ちなみにアリ戦については、2016年、テレ朝であらためて特集があった時に記事を書いた。
☆ ☆ ☆

上は、後援会の人達との退院祝い。「会長、お勤めご苦労様でした」と、後援会長(?)がヤクザっぽいジョークを飛ばすと、猪木も「やっと指が伸びてきたよ」(笑)。ここカット!とか言われてたけど、しっかり放送されてた。まあ、説明抜きのブラックジョークだから、意味が分からなかった人も多いはず。とにかく、すぐ冗談を返せるくらいに回復したと。

最後のタイトルが出る時のシーンは、自宅(?)で古舘の差し入れのメロンを頬張る姿。岩橋秘書がスマホで動画撮影してたから、YouTubeにあげたのかも。
かなり「食」へのこだわりを見せてて、できれば食べ歩きに出かけたいとも言ってたけど、この番組の最後がメロンというのもビミョーだよな・・と思ってたら、まだ続きがちゃんとあった。

エンドロールの後、上が本当の最後のカット。
元気があれば何でもできる!
この春 みんなの心配を押し切って 伊豆の温泉へ湯治に行き 元気をもらった
体力気力の続く限り この難病と闘い続ける
アントニオ猪木
猪木、ボンバイエ(やっつけろ!)、猪木、ボンバイエ! それにしても、高齢で難病と闘い続けるのは非常に大変だな・・と感心しつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡
P.S. 放送の約半年後、2022年10月1日、アントニオ猪木は心不全で永眠。どうか、安らかに。合掌。。
(計 4085字)
(追記42字 ; 合計4127字)
| 固定リンク | 0
« 東京マラソン2021で世界最速夫婦♪、一山麻緒・鈴木健吾とギネス記録公式サイト(英語)&18km | トップページ | 片付けの途中、昔の保存データに見入ってしまう・・&久々のRUNペースのハーフ走 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- ミラノ・コルティナ冬季五輪2026、開会式の感想、テーマは「アルモニア」(響き合い、ハーモニー)(2026.02.08)
- NHK『明鏡止水』第5回、氷上の押し相撲の物理学、押さない人(中国武術家)が勝つ理由、武術や股関節は不要&11km走(2026.02.04)
- 『魔改造の夜』オフィスチェア・ビーチフラッグスは2チーム全8回失敗!、中国とのマッチレースが見たい♪&リハビリ(2026.01.31)
- 文字の手書きのチカラ・効果、デジタル時代に世界で再評価(NHK『クローズアップ現代』)&お疲れジョグ(2026.01.09)
- 紅白歌合戦2025 〜 特別企画の大物が多過ぎて準備不足で沈黙が目立つけど、生放送だし人間らしくて、いいね♪(2026.01.02)
「格闘技」カテゴリの記事
- 元キックボクサーの天才・那須川天心、ボクサーの井上拓真に完敗、試合は終了後まで爽やか♪&ジムバイク43.6km(2025.11.25)
- ウクライナの若きイケメン、安青錦が初優勝!、日本語も上手、兵役逃れとの批判も無し&ジムバイク43km(2025.11.24)
- 大相撲・九州場所、大の里vs安青錦の勝者は?、静止画と動画でAIに分析させると・・&再びリハビリ14.2km(2025.11.22)
- フルコンタクト空手の大会で小学生が後ろから飛び蹴りしてケガ、長引く炎上騒動の感想&レース2日前、プチジョグ(2024.11.15)
- アリス・谷村新司追悼~ボクシングの曲『チャンピオン』の歌詞モデル、カシアス内藤の引退試合(沢木耕太郎『一瞬の夏』より)(2023.10.17)


コメント