将棋の里見香奈・女流五冠、女性初の棋士への挑戦、編入試験の初戦(vs徳田拳士四段)は黒星スタート
これは将棋の話というか、男性社会に挑戦する女性の挑戦ストーリー。私は男だから、どうしても男びいきになりがちだけど、里見香奈・女流五冠(30歳)は「棋士」になっても不思議はないと思う。
「女流棋士」は女性のみの資格。「棋士」は男女問わず。歴史的にも社会的にも、棋士の方が上。将棋では今まで、棋士に女性は1人もいない。しかし里見は長い間、女流トップで活躍して来たし、最近は(一部の)男性棋士をも圧倒。5月までに、男性に10勝4敗の成績をあげて、編入試験の受験に名乗り出た。下はテレ東BIZより。服装の色も髪型も、女性らしい。
☆ ☆ ☆
ただし、喜んで挑戦したというより、色々と迷った末の挑戦。受験料50万円は、五冠の里見にとって何ともないだろうけど、失敗したら落胆するし、成功(合格)すると立場は大幅に上昇するけど、収入がアップするかどうかは不明。
というのも、男性の中で大変な戦いを続けることになるから、疲れとストレスで女流タイトルを失うことになりかねない。だからといって、代わりに男性を打ち負かして棋士のタイトルを獲るのも大変だ。
ちなみに、里見は13年前の女子高生時代、ほとんど放送事故レベルの珍映像を残してる♪ 下の画像の右側。自戦の解説(?)で、金の下に玉があるのを見て、うつむいたまま無言の笑いが止まらず。箸が転んでもおかしい年頃の黒歴史。聞き役の年長女流棋士、島井咲緒里も、里見の顔を見ながら無言で笑ってるから、里見が笑いをこらえてたのは間違いない。
☆ ☆ ☆
話を戻して、私が最初にabema動画をチラ見したのは、今日(22年8月18日)の14時ごろ。上図の局面で、先手の徳田拳士・四段(24歳)が6六銀と上がった所。
中盤の57手目まで進んだ局面で、AIの評価値は55%vs45%で後手・里見が少し有利になってた。まあでも、人間的にはほぼ互角だろう。後手は玉を固めた中飛車。先手は居飛車で、中央あたりを制圧した形。後手の持ち駒に角があるから、先手は3九角とか、角の打ち込みに気を使う局面。
上は71手目、4四桂の局面。ちょっと目を離した隙に、後手の飛車が左端に動いて、窮屈になってる。ただし、2二に据えた角は先手の玉を遠くにらんでるから、そのにらみを消す意味もあって、先手は4四に桂馬を打った。AI的には、5六金がBESTとされてた。中央や飛車を完全に抑え込む戦略か。
☆ ☆ ☆
上図は放送用の大盤解説で、87手目、先手・9六同歩まで進んだ局面。後手のこの端歩攻めはあまり役に立ってないというか、逆効果かも。後手の玉の方が、逃げ道を失って危なくなってる。
後手の玉型は堅いから、アマチュア同士ならまだまだ勝負になると思うけど、プロ棋士が相手だと後手はもう苦しい。駒損が大きいし(角1枚の損)、先手に3七角と引かれる筋も見える。玉を角で狙われて、飛車の成り込みも生じる。
この後、飛車角交換から強引に攻め込んだものの、攻めが細くて、ほぼ切れてしまってる。下は終了図。127手で、里見が投了。
アマチュアなら、まだ諦めないのが普通だろう。里見もなかなか気持ちの整理がつかなかったようで、最後は持ち時間をギリギリまで使って、秒読みの残り10秒くらいになってから、ようやく小声で「負けました」。クセなのか、頭は軽く下げただけだった。ちなみに開始時には、藤井聡太みたいに深々とお辞儀。
評価値のグラフは下の通り。中盤までは十分、勝負になってたけど、終盤はどんどん差が開く展開だった。
☆ ☆ ☆
終局図から、先手は4六角と打つような攻め筋が強烈。後手が9九竜なら、先手は5五角で、7四桂の筋を見せて勝ち。他に、いつでも右上の方へ入玉することも可能。後手の玉は逃げ道がないし、守りで抵抗することも出来ない。ある程度以上、将棋を知ってる人間が見れば、大差で先手勝勢だと分かるはず。
まあ、初戦の相手は今期、絶好調の若手(12勝1敗)だったから、里見にとっては厳しい対局だった。残り4局で、3勝できるかどうか。月1回のペースだから、次戦は9月下旬。乞うご期待。
なお、日経HPがまとめた図を見ると、ここ4、5年で女流棋士が急激に強くなってるのがよく分かる。男性との対局で、互角に近いような所まで来てるのだ。たぶん、AIという最強の指導者からいくらでも学べるようになったのが大きいんだと思う。
もちろん、男性との対局は「強い」女流が多くなるから、女流全体の底上げはまた別の話だけど、勝敗だけ見るともう、男性棋士も本気にならざるを得ない状況。
後は、華のある人気女流棋士がもっと増えるのがポイントか♪ あるいは、将棋好きの女性インフルエンサーが増えるとか。ともあれ、今日はそろそろこの辺で。。☆彡
(計 1965字)
| 固定リンク | 0
« 「お盆前」の仕事が終わらないままの99分エアロバイクは不調、ご褒美アイスはロッテ「爽」梨♪ | トップページ | デカルトが「虚数(nombre imaginaire)」と名付けたという説明は誤り(or不正確)~NHK『笑わない数学』第6回 »
「将棋」カテゴリの記事
- 藤井聡太「九冠」誕生!、早指し戦でも中終盤の力強さと構想力が圧倒的☆~2023将棋日本シリーズJT杯・決勝戦(2023.11.20)
- 藤井聡太・八冠が竜王位を防衛、実際に選んだ37手詰と最短21手詰、お菓子のふじいの塩バター大福♪~2023竜王戦・第4局(2023.11.12)
- AIが評価しない人間の勝負手、3七角から5五銀で劇的大逆転、全冠制覇で藤井聡太八冠誕生☆~2023王座戦・第4局(2023.10.12)
- 飛び道具の駒(香・角・飛車)を後で並べる伊藤流の匠七段(20歳)、藤井七冠に完敗、風格では勝利♪~2023竜王戦・第1局(2023.10.07)
- 名古屋駅の鉄道パワーか、解説の村田六段の怨念か♪、藤井聡太・七冠が大逆転で八冠まであと1勝~2023王座戦・第3局(2023.09.28)
コメント