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エリザベス女王「新幹線は時計より正確」、時速209kmで遅れ3分を取り戻した運転の計算と出典(JR広告、書籍)

「新幹線は、時計より正確だときいています」。エリザベス女王の訃報が流れた後、日本ではこの言葉が拡散してるが、正確な出典を調べたものはまだネット上で発見できてない。

   

東海道新幹線の30周年キャンペーンで作られたJR東海の広告(1994年)が、1つの主要なソース(情報源)のようだ。「幸福な仕事。」と題する辞書の説明みたいな広告は、担当した会社2つ(GritzDesign,ロケットジャパン)がそれぞれHPで紹介。

  

下の画像は、Gritzのサイトより縮小引用。該当箇所だけ赤枠で囲んだが、非常に読みにくい。おそらく、当時の広告でそこまで読んだ人もほとんどいないと思うが、28年後には一気にメジャー化。この広告作成も「幸福な仕事。」だろう。97年の「モーニング娘。」より先に、名詞の語尾で「。」を強調してるのも興味深い。

   

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     ☆     ☆     ☆

その箇所の全文の画像らしき物をキレイに掲載してるtwitterなら、1つあった。そこには、「新聞に掲載された」と書かれてたから、朝日新聞94年10月1日の縮刷版でチェック。全面広告は一応あるが、残念ながら内容は違ってた。

   

ということは、朝日以外の新聞だったのか、あるいは駅や雑誌の広告とか。実は、広告会社2つが一致して掲載してる文章とも少し違ってる(短い)ので、長短2つのバージョンがあったのかも知れない。ツイッター画像では、辞書的な説明の項目名も少なくなってる。

    

以下では、広告会社2つの情報から引用してみよう。読みやすいロケットジャパンの文章を基本にして、Gritzの画像で確認。28年前の広告の一部なので、著作権が問われることはないと判断。改行は原文より少なくしてある。

     

(引用開始)

 とけい[時計] 「新幹線は、時計より正確だときいています」 一九七五年五月一二日、名古屋駅から新幹線に乗り込む直前、イギリスのエリザベス女王からお言葉がありました。しかし実際には、大雨による徐行で名古屋到着は二分の遅れ。さらに、女王陛下の荷物一七二個を積み込むのに時間がかかり、発車は三分の遅れ。そして、浜名湖付近で徐行、遅れは四分にひろがりました。

  

 また、富士川付近では、雲間にのぞく富士山を女王陛下にゆっくりご覧いただくため、スピードダウン。三島を通過する時点で、遅れを一分取り戻すのが精一杯でした。・・(中略)・・東京までの残された一二〇.七キロで三分の遅れを取り戻すことは、不可能と思われました。

   

 新幹線は、最高時速になるとATCが作動し自動的に減速します。当時、新幹線の最高速度は時速二一〇キロ。そこで、ギリギリの時速二〇九キロで走らせる運転士の腕に"時計より正確"な新幹線の威信がかかっていました。・・(中略)・・幹部にも、諦めのムードが漂います。しかしこの時、運転士だけは、定時到着を信じて時速二〇九キロで走り続けていたのです。

  

 「品川、定時通過」 その声に、重苦しい空気だった東京駅がドッとわき、明るさを取り戻しました。そして、一三時五六分定刻。女王陛下の新幹線は、何事もなかったように、ゆうゆうとホームに到着しました。  (引用終了)

   

   

     ☆     ☆     ☆

最後まで諦めずに限界スピードで頑張り続けた運転士と、それを支えた大勢の国鉄マンのおかげで、「幸福な仕事」が成功。特に、日本人にとっては、美しくて感動的な話だろう。

  

ただ、訃報が出るまで、海外では(ほとんど)報道されてないようだ。英語で検索すると、訃報後の日本の報道を英語で簡単に伝えたものばかりがヒットする。

   

日本の文献では、上の広告の他に、信頼できそうな書籍が1つあった。近藤正高『新幹線と日本の半世紀』(交通新聞社、2010年)。

  

220911b

    

エリザベス女王のエピソードの箇所は、Google booksでも、kindle電子書籍の無料サンプルでも、すぐに無料で読める。定時の到着と言っても、実際には30秒遅れだったとの事。それなら、2分半の遅れを取り戻したことになる。

  

この書籍も、さらに他の文献資料を元にしてるようだが、そこまでは無料公開だと読めない。とりあえず、この程度のまとめでも十分だろう。

   

  

     ☆     ☆     ☆

時間も字数も残ってないので、最後に、私が個人的に気になった点について、簡単に書いとこう。

  

時速209kmの運転は、どのくらいのスピード・アップだったのか? どの程度の努力だったのか。もちろん、定速をキープする努力だけでも大変だが、ここでは速度の上昇を計算してみよう。

   

細かい数値データは無いので、時速209kmで走った区間の距離104.5kmだと仮定してみる。すると、かかった時間は30分

  

これで2分30秒縮めたわけだが、大まかに3分、短縮したことにしよう。

 

   

     ☆     ☆     ☆

すると、短縮前なら、かかる時間は33分だったことになる。つまり、1割増

  

ということは、速度は1割減・・・ではない。そう考えてしまうのは、算数・数学でありがちな間違いなので、注意が必要。かかった時間が11/10倍だから、速度は逆に、10/11倍。これは、1割減(=9/10)より少しだけ速い。

  

 時速209km×10/11倍=時速190km

   

これが、スピード・アップしない場合の平均時速ということになる。だから運転士は、

 時速190kmを時速209kmに上げて、所要時間33分を30分に短縮

したのだ。近藤の著作によると、運転士は2人らしい。お見事。

  

       

     ☆     ☆     ☆

最後に検算もしとこう。元の時速190kmで距離104.5kmを走ると、

  

  (元の所要時間)=104.5÷190=209÷380=11/20(時間)=33(分)

    

確かに、もともとは33分かかることになる。検算、成功。

  

ともあれ、国鉄&JRに拍手。女王陛下に合掌。なお、今週は計15870字で終了。ではまた来週。。☆彡

    

      (計 2371字)

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