量子もつれ(エンタングルメント)の実験的検証~ノーベル物理学賞2022、授賞・受賞理由(英文和訳)
日本人にとって最後の期待だった文学賞も落選。2022年のノーベル賞は、日本では盛り上がってないが、むしろこれが普通なんだろう。今までが盛り上がり過ぎてたし、そもそも日本ではノーベル賞を特別扱いし過ぎなのだ。五輪も同様。
今年の各賞の中だと、私が一番興味があるのは、ノーベル物理学賞の研究対象である、量子もつれ、量子エンタングルメント(quantum entanglement)。
この妙な言葉は、15年前のドラマ『ガリレオ』第4話の黒板にも落書きされてた(円端具流、第1シリーズ)。当時はまだマイナーな専門用語に過ぎなかったが、少しずつ社会に浸透しつつある。意味はともかく、言葉だけは。
☆ ☆ ☆
entangle という英単語の基本的な意味は、もつれさせるとか、巻き込むなど。複数の物事に良くないつながりが生じる時に使う言葉だ。
ところが、少なくとも今では、量子もつれというのは非常に期待されてる最先端の現象。学問的な研究者だけでなく、経済界や日経新聞からも熱い視線が注がれてる。
正直、私はほとんど理解してないし、まったく納得してない。理論か実験か解釈か、どこかに致命的な欠陥が隠れてるのに誰も気付いてないだけではないか? そう思ってしまう。
「ベルの不等式が破られたから、そんな可能性は否定されてる」とかいう、よくある識者の説明にも、強く疑問を持ってる。天国の天才アインシュタインも、奇妙でオカルト的な遠隔作用(?)みたいなものには、いまだに納得してないはず。相対論的に不可能なはずの、光速を超える情報伝達にも見えてしまう。
しかし一応、恒例の受賞理由の英文和訳を短い記事にしとこう。おそらく今後も数十年、世界中で話題になることだろうしし。英語の公式サイトから引用させて頂いた。
☆ ☆ ☆
ノーベル物理学賞2022
スウェーデン王立科学アカデミーは、ノーベル物理学賞2022を次の方々に授与することを決定した。
アラン・アスペ、仏 ジョン・F・クラウザー、米国 アントン・ツァイリンガー、オーストリア
もつれ状態の光子の実験を通じたベルの不等式の破れの確認と、量子情報科学の開拓に対して
もつれ状態 - 理論から技術へ
(イラストの作者はいつものように、ニコラス・エルメヘド。モデルの3人は、左から、アスペ、クラウザー、ツァイリンガー。)
アラン・アスペ、ジョン・クラウザー、アントン・ツァイリンガーはそれぞれ、もつれた量子状態を用いて、画期的な実験を行った。それらの実験では、たとえ離れている時でも、2つの粒子が1つの単位のようにふるまう。彼らがもたらした結果は、量子情報に基づく新しい技術への道に光をもたらした。
量子力学の途方もない効果については、応用の発見が始まっている。現在、量子コンピューター、量子ネットワーク、安全な量子暗号情報伝達など、広大な研究分野が存在する。
この発達における一つの重要なポイントは、量子力学においてどのようにして、2つまたはそれ以上の粒子が、いわゆるもつれ状態になっているのか、ということである。もつれ状態のペアになった粒子の1つに起きることが、別の粒子に起きることを決定する。たとえ、それらが遠く離れていても。
長い間、その相互関係は、もつれたペアになっている諸粒子が隠された変数を含んでいるからではないか、という疑問があった。各粒子に含まれている何かが、実験で粒子が示す結果をもたらしているのではないか。
1960年代、ジョン・スチュワート・ベルが、自らの名前を付けた数学的な不等式を開発した。その不等式によると、もし隠れた変数があるのなら、多数の測定の相関関係は決してある値を超えないだろう。
しかしながら、量子力学は、ある種の実験はベルの不等式を破るだろうと予言する。その結果、他ではあり得ないほど強い相関関係が示されるのだ。
☆ ☆ ☆
上は、クラウザーの実験の概念図。中央のカルシウム原子に特別な光を当てて、もつれ状態の光子を左右に放出させる。左右それぞれ、光子の極性を測定するフィルターを置く(異なる傾きの穴が開いてる)。一連の測定によって、ベルの不等式の破れを示すことができた、とされてる。
上はアスペの実験。光子の放出を増やすと共に、フィルターも左右それぞれ複数用意して、切り替えられるようになってる。それによって、装置の影響を避けるらしい。と言っても、上図を見ると、フィルターごとに粒子の反応(?)の波線が変化してしまってるが、これは別に構わないのだろうか?
上はしばらく後のツァイリンガーの実験。中央のクリスタル(水晶)にレーザーを当てたらしい。複数の測定装置(フィルターなど)の切り替えには、ランダムな乱数を利用。さらに、遠くの複数の銀河(コマみたいなイラスト)からの信号によって、左右のフィルターを制御する実験もあったとのこと。
☆ ☆ ☆
ということは、先行する2人の実験ではまだ完全には確証できてないと考えたのだろう。しかし、ツァイリンガーの実験で、どの程度の確証の度合いになったのかも不明。
とにかく、分からない事だらけの話で、頭脳もつれ状態、思考もつれ状態になるのであった。このもつれは原因や影響がハッキリしているので、量子もつれではない♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 2182字)
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