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図形と方程式に共通する対称性(対称群)S2・S3・S4の構造、5次方程式の解の公式がない理由(ガロア理論)~『笑わない数学』第12回

これはものすごく難しい。特に最後の核心、「S₅の対称性の構造」のヴィジュアル化はまだ理解できてない。説明も全く無いし、似た図もネット上に見当たらないし、そもそもS₅なのに点が4つ組で変化してた。5つ目の点は、何か固定して省略したということか。

      

数学的にも、抽象的な話や空間図形の回転が入ってて難しいが、そもそも色んな話を詰め込み過ぎなのだ。ガロアと直接的に関係なさそうな話(特に先行研究)も大量に入ってた。

      

たぶん、ガロア理論を最終回で扱いたかったものの、そのままでは難し過ぎるから、図形とざっくりしたイメージで何となく説明した感じにして、人間的なエピソードも前面に出したということだろう。

   

「細かいことはさておき」とか、可愛い声の語りが入ると、まっ、いいか、と思ってしまう。語りの合原明子、ごうばると読むらしい。NHKの中堅アナウンサーとは知らなかった。顔も童顔で可愛い。

     

女子アナはさておき、理論的に難し過ぎてるから、終盤のビジュアル化では2ヶ所、間違えてた。「S₄の対称性の構造」の図の左下で、文字(アルファベット)の順番が逆になってたし、右下の線の色が逆だ。あの話は、順番が重要なので、逆にしてはいけない。

    

さすがに細かすぎて、数学監修の小山信也と青木美穂も気付かなかったか。あるいは最終チェックをしてなかったのかも。まあ、小さい文字の複雑な図だったから、ほとんどの視聴者は気付いてないだろう。映像デザイン・吉田まほ、CG制作・佐藤芙美奈。隅々まできっちり見てるマニアック・ブロガーもいるので、頑張って♪

  

   

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まず、「対称性」(symmetry)の説明。図形の「見た目が変わらない動かし方」のこと。これはあくまで図形の数学(幾何学)の観点の説明だ。そこでは図形を動かす操作が重要だから、こんな定義になる。

     

一般的には、「複数のもの・部分において、それらが同じような見た目になってるということ、性質」だろう。それを説明・確認する時、「動かし」てみることもあるということ。

  

左右対称の平面図形なら、対称軸で紙を折って重ねる動作を使うとか。さすがに英語版ウィキペディアでは、その辺りをきっちり分けてあった。

   

   

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まず、一番簡単な、1本の棒、線分ABの対称性。左が点A、右が点Bの棒ABに対して、点Aと点Bを入れ替えても、見た目は変わらない。点の名前が変わるだけ。

      

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2次方程式x²-5x+6=0も、因数分解して(x-3)(x-2)=0へと変形すると、2と3を入れ替えても同じ式になる。左辺のカッコの順番が変わって、(x-2)(x-3)=0になるだけ。

  

ただし、ここで「見た目」が変わってるということは指摘しとこう。棒なら変わらないけど、式だと「見た目」は変わってる。こういった点まで考えると、最初の対称性の説明はちょっと不十分で、後の話とつじつまが合ってないのだ。それほど整合的ではない。

      

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とにかく、棒と2次方程式は、「2つの要素を入れ替える動かし方」を適用しても、(見た目が)変わらない。だから、この共通する動かし方が、S₂と呼ばれる。画面下の字幕では、「S₂」の添え字の「₂」がおかしな位置にズレてしまってる。

       

「S」という略号はおそらく、「Symmetric group」(対称群)の頭文字。対称群とは、対称性のグループ。つまり、(見た目が)変わらないような動かし方の集まり、集合のことだ。

  

まとめの画像では、S₂の右横に、数学者アーベルの絵と名前が書かれてた。彼が発見者ということか? まだ調べてない。

    

    

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続いて、番組で一番詳しく説明してた、正三角形と3次方程式が共通に持つ対称性、S₃

     

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3次方程式は、因数分解して考える。たとえば、x³-21x²+143x-315=0なら、(x-9)(x-5)(x-7)=0へと変形。

     

正三角形の左端の点を、方程式の9と対応させて、黄色にする。正三角形の中央の点は、方程式の5と対応させて、赤。右端の点は7と対応させて、青。

    

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ボードに書かれた6つの式に合わせて、パンサー尾形が点A、B、Cを置いてた。手作業だから、点の活字の向きがバラバラに傾いてる。式では、9、5、7の代わりに、C、A、Bとしてた。尾形と視聴者への配慮か。

   

とにかく、番組的には、3次方程式と正三角形は共にS₃という対称性をもつ、ということになる。

  

画面下には小さな字で、より正確な数学的表現も書かれてた。「3次方程式の解の入れ替えと正三角形の頂点の入れ換えはともに群S₃を成す」。

  

私なら、さらに正確に、3次方程式の因数分解における解の位置の入れ換え、と言いたくなる。数学者ルフィニの絵と名前が示されてた。

  

    

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同様に考えて、4次方程式と正四面体も、同じく「S₄」と呼ばれる対称性を持っている。

  

正確に言うと、「4次方程式の解の入れ替えと、正四面体の頂点の入れ替えは、ともに群S₄を成す」。数学者ラグランジュの絵と名前が添えられてた。

    

ここまでは分かりやすかったのに、この後の肝心な所、ガロアの業績の所で急激に難しくなって、説明もほとんど省略されてしまったのだ。

   

    

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5次方程式に解の公式が見つからないのはなぜか?」。ちなみにこれは、5次方程式が因数分解できないということとは微妙に違ってる。

  

n次方程式の左辺(代数多項式)がかならず因数分解できるという一般論は、ガウスが証明したこと(代数学の基本定理)。

    

ただ、5次方程式の解の公式を具体的に書けるか、解を普通に計算で求めることができるかどうかは別問題で、ガロアはそれが不可能だということを「独自の理論で」説明したらしい。ところが、ガウスには冷たい対応を受けたという話になってる。ガウスが「できる」と言ったのに、できないと言ったからか?

  

ちなみに、不可能だということだけなら、先にアーベルが証明したようだ。天才ガロアの凄さは、その独自の理論にある。

        

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S₃ S₄ には正規部分群の系列で隣り合う2つの群から作られる剰余類が全て巡回群になっているものが存在するがS₅にはそのようなよい構造は存在しない。

    

これではさっぱり分からないから、番組ではヴィジュアル化という方法でざっくり示そうとする。要するに、入れ替える動かし方(対称性)の全体が持つ構造、形に着目。S₃とS₄は「美しく整っている」が、S₅は「ずいぶん雑になっている感じ」らしい。この説明自体がずいぶん雑だが。

  

  

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ではまず、S₃の美しい構造を解説してみよう。この図、動画だけでも、何を示してるのか分かりにくい。

  

要するに、3つのものの順番・位置が重要。最初は、ABCと書いてみる。この後ろの2つを入れ替えると、ACBになる。そして、ABCとACBは太い線でつなぐ。上図の上側。

  

一方、ABCのCを一番前に持って来ると、CABになる。これは正三角形ABCを左回りに120度回転するようなものだから、上図では、ABCをクルッと回転させてCABにしたように、回転矢印で描いてる。この回転の関係が、「巡回群」という専門用語と関係してるのだろうと想像する。

    

さらに、CABのBを一番前に持って来ると、BCAになる。これも上図では、CABを回転させたように描いてる。BCAをさらに回転させれば、元のABCに戻る。結局、内側の丸まった三角形の矢印が完成。

  

そして、CABの後ろの2つを入れ替えると、CBAになるから、CABとCBAは太い線でつなぐ。上図の左下。BCAの後ろの2つを入れ替えると、BACになるから、BCAとBACも太い線でつなぐ。上図の右下。

  

最後に、外側の3つ組の変化(ACB CBA BAC)は、一番前の文字を一番後ろに持って来るような流れになってるから、内側とは逆向きの回転矢印をつけてる。

  

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     ☆     ☆     ☆

なお、一番後ろを一番前に持って来る操作や、一番前を一番後ろに持って来る操作は、2回連続の入れ替え(置換)ということになる。

  

例えば、まずABCの左側のABを入れ替えて、BAC。次に、右側のACを入れ替えて、BCA。2回連続の入れ替えで、もとのABCの一番前のAが、一番後ろに来てる。

    

こういった単純な操作の組合せは、大学1、2年の数学(代数幾何)の基本として教えられてる。

     

    

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「S₄の対称性の構造」が「美しく整っている」のを示してるらしいのが、上図。太い線に、茶色と濃い青色と、2色の区別がある。

  

上側は、まず下のABCDからスタート。AとD、BとCを入れ替えると、すべて逆順になって、すぐ右上のDCBAになる。この関係を茶色の太い線で示してある。

   

また、ABCDの左側のAとB、右側のCとDを入れ替えると、すぐ左上のBADCになる。この関係を青色の太い線で示してある。それをさらに、すべて逆順にすれば、一番上のCDABだから、そこは茶色の太い線になる。

   

続いて、ABCDの右端のDは固定したまま、ABCの部分をS₃の時のように左回転させると、CABDになる。だから、ABCDからCABDに対して、左回りの回転矢印がついてる。上図の内側の左側の矢印。

  

同様に、DCBAの右端のAは固定したまま、DCBの部分を左回転させると、BDCAになる。だから、DCBAからBDCAに対して、左回りの回転矢印がついてる。CDABからACDBへの回転矢印についても同様。

    

   

     ☆     ☆     ☆

ということは、BADCは、Cを固定したまま、BADの部分を左回転させて、DBACになるはず。ところが図では、それを間違ってDBCAと書いてしまってるのだ。下図で短い赤線を引いた箇所。

  

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間違いだからこそ、茶色の太線や青色の太線の関係も崩れてしまってる。さらに、左下の4つの丸の右端だけ見ると、AABDになってしまう。正しくDBACと書き直せば、茶色や青色の太線の関係も成立するしし、4つの丸の右端はCABDになって4文字すべて揃うのだ。

   

そして、元の図の右下太線の色も逆になってしまってる。つながれた4文字、2組の関係を考えれば、茶色と青色が塗り間違いだと分かるのだ。

  

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そうした太線や回転矢印の関係が「美しく整っている」のかどうか、よく分からないが、S₄までは一応、理解可能。

  

ところが上図の下側。S₅の対称性の構造は全く分からない。文字が無いし、5つの点の組合せもないのに、全体は大きく正五角形の形になってる。

  

既に大量の時間と手間ヒマをかけてるので、とりあえず今回はここで終わりにしよう。ガロアの決闘の敗北と死については、わりと一般ウケしそうなエピソードでもあるし、いずれまた別記事を書くかも知れない。ともあれ、今日はこの辺で。。☆彡

   

   

  

cf. デカルトが「虚数(nombre imaginaire)」と名付けたという説明は誤り(or不正確)~『笑わない数学』第6回

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      (計 4585字)

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