データの正誤のパリティチェックと16進法、論理回路と真理値表~2025年(令和7年度)共通テスト試作問題・情報Ⅰ
高校で今年(2022年、令和4年)の春から、「情報Ⅰ」が必修科目となった。2025年(令和7年度)が共通テスト採用の最初となる予定。3日前の22年11月9日、試作問題が公表されたので、とりあえず最初の辺りだけチェックしてみた。感想を含めて、軽い記事としてアップしとこう。サンプル問題と正解は、大学入試センターで公開中。
問1は、aもbも、初歩的なネット・リテラシー。ネットの使い方の常識を問う問題。aは要するに、常に注意すべきということで、正解は①。
「信頼関係のある相手とSNSやメールでやり取りする際も、悪意を持った者がなりすましている可能性を頭に入れておくべきである」。
別になりすましではなくても、相手が悪意を持ってるかも知れないし、ウイルスの類の仕業かも知れない。私はちょっと慣れた初級者時代、友達からのメールの添付ファイルを開いた途端、ウイルス対策ソフトが作動した経験がある。相手の名義は、私よりも経験の浅い初心者。それ以来、相手が誰でも警戒するようになった。
☆ ☆ ☆
bの正解は当然、③。「特定のWebサイトだけでなく、書籍や複数のWebサイトなどを確認し、比較・検証してから判断する」。
ただ、実行はなかなか難しいし、あまり行われてないと思う。書籍はすぐには見れないのが普通だし、複数のWebサイトといっても、それなりの精度のサイトでないと意味がないどころか逆効果になってしまう。
あと、そもそも複数のサイトが独立の情報かどうかも怪しい。例えば、多くのサイトが1つのサイトをソース(情報源)にしてる場合、元の情報が誤ってると、それを参照・引用したすべてのサイトが同じ誤りを掲載してしまう。
最近のロシアvsウクライナ戦争とかも、非常事態での情報のやり取りだから、細心の注意が必要。日本のメディアやSNSを多数チェックしても、あまり(orほとんど)意味はない。
☆ ☆ ☆
続いて問2は、「パリティ」について。語源的には、等しいという意味の英語だが、なぜかコンピューターの世界では、データを1、0の二進数で表した時、1が偶数コか奇数コかを表す言葉になってる。
上図では、送信データが01000110で、1が奇数個(3つ)あるから、データの右端にもう1ケタ、パリティビットを加えて、1とする。要するに、最も簡単なチェックだから、最低限のことしか分からない。
空欄エの正解は、①。「パリティビットを含め、一つのビットの誤りは判定できるが、どのビットに誤りがあるかは分からない」。もちろん、それは、データの1の個数とパリティビットの数字が合ってない場合のみ。合ってれば、何も確定しない。少しだけ信頼度が上がるだけ。
この文の中央部分、「一つのビットの誤りは判定できるが」は、曖昧な表現だと思う。正確には、「少なくとも一つのビットに誤りがあることは分かるが」と書くべき。センターの作成担当者の方々、ご一考を。
例えば、011000001なら、右端のパリティビットだけ間違ってるのかも知れないし、最後の00も間違ってるのかも知れない。正しくは、011000110であって、3つのビット(桁)が誤りとか。まあ、今のデジタルの世界は非常に正確だから誤りは1つしかありえない、といった暗黙の前提(or思いこみ)があるのかも。
一方、16進法の7Aは、10進法に直すと、7×16+10=122。これを二進数に変換すると、01111010。1が奇数個(5コ)だから、パリティビツトの1を右端に付け加えて、011110101。よって、オの答は、①。
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最後は、1、0を入力して、1、0を出力する、論理回路。この1、0は、論理学との関連で「真理値」と呼ばれてるから、入力と出力の対応表は「真理値表」と呼ばれる。
論理回路の基本的な部品である論理積回路(ANDゲート)は、入力2つが1かつ1の時だけ1を出力。この「かつ」は英語でANDだから、AND回路とかANDゲートと呼ばれる。
論理和回路(ORゲート)は、入力2つの内、AまたはBが1なら、1を出力。「または」は英語でORだから、ORゲートとか呼ばれる。回路の図(小さい記号)がANDゲートと似てるから、要注意。
否定回路は、入力1つと出力1つの間で、1、0の数値が逆転する。これは、命題を否定すると真偽が逆転することに似てるから、否定回路とかNOTゲートと呼ばれる。例えば、「私はテンメイだ」は真の命題だが、「私はテンメイでない」と否定すると偽の命題へと逆転する。
☆ ☆ ☆
(1)は、トイレが両方とも使用中の時にランプが点灯するから、入力が1かつ1の時に、出力が1。つまりAND回路で、カの答は、下図の選択肢の⓪。
(2)は、3つのトイレA、B、Cの内、2つ以上が使用中ならランプ点灯。
よって、「A、Bが1かつ1」または「B、Cが1かつ1」または「C、Aが1かつ1」といった入力に対して、出力が1だから、省略表現でいきなり論理式を書いてしまうと、例えば次の通り(不完全だが自然な「選言標準形」)。
「(AかつB)または(BかつC)」または「CかつA」。よって、クの答は、または(OR)の回路である①。
真理値表は、これも省略表現するなら、(A,B,C)=(1,1,0),(0,1,1),(1,0.1),(1,1,1)の時だけ出力X=1になってるものを選択。キの答は、②。
以上、初年度の問1(の試作)としては、適度な難易度の問題で、飛行機のトイレの具体例も面白かった。それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 2302字)
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