怠惰な小人の妖精として生きる「ゴブリン・モード」が流行♪、アンデルセン童話『食料雑貨店のゴブリン』のあらすじ
メディアや試験問題(センター、共通テスト)などで、ある作品が引用されてる時、元の作品を自分でチェックするとかなり印象が違うことが多い。ほとんどの場合、元の作品の方が遥かに出来が良くて面白いのだ。
今回もまったく同様。ただ、作品を自分で読むキッカケを与えてくれたのは、朝日新聞・朝刊(22年12月16日)。名物コラム「天声人語」で、アンデルセン童話『雑貨屋のゴブリン』が紹介されてた。下は、同名のお話を含む『アンデルセンの13の童話』(代田亜香子訳、小峰書店)。絵本ナビより。
有名なオックスフォード英語辞典の出版社が今年(2022年)の単語に選んだのが、「goblin mode」(ゴブリン・モード)。この国際ニュースを受けて、天声人語の筆者はすぐアンデルセン童話を読んだわけか。流石に反応が速くて、朝日的な教養を感じる。
英国BBCの報道を見ると、今年初めて一般投票で「流行語大賞」みたいなものを決めたようで、ゴブリン・モードは圧倒的多数、32万票を獲得したらしい。GETTY IMAGESのこの写真だけでも結構、笑える♪
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ゴブリン・モードとは、「恥ずかしげもなく自分勝手で、怠惰で、ずぼらで、貪欲で、たいていの場合、社会の規範や期待を拒否するような方法で表れる行動」(日本版BBCによる翻訳)。
出版社による解釈を、朝日は次のようにまとめてた。「ゴブリン・モードは、編集機能を駆使した写真や動画であふれるSNSの『理想像』に反発した言葉だ。コロナ下の行動規制が緩和されると、『普通の生活』に戻りたくない気分にぴたりとはまり一気に広がった」。
英語版ウィキペディアによると、2009年からあった言葉だけど、2022年にツイッターでバズったらしい。あのイーロン・マスクまで一瞬、引用の形で使ったとのこと(すぐ削除)。
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私自身は、ブログは毎日17年半も続けてるけど、いわゆるSNSは(ほとんど)やってないし、キラキラした理想像を作り上げることもやってない。ただ、コロナの前から、実生活にはかなりゴブリンが入ってるかも♪
BBCが掲載した女の子の写真をよく見ると、単品はそれぞれフツーに可愛い。ピンクの椅子とか、かなりレア。ただ、全体をキレイに片づけてないから、他人には見せられないような様子になってる。インスタ映えしない日常。
まあ、「この程度なら、わりと片付いてる部屋かも」と思う人もいるだろうけど(笑)。他人事か! 人形は、日本のタカラトミーが誇るリカちゃんの方が、いいね♪
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さて、上のブロンドの女の子はそこそこ可愛いけど(ウエスト周りを除く♪)、欧州で昔から伝えられる妖精ゴブリンのイメージは、あまり可愛くない。小鬼とか訳されてるのも理解できる。英語版ウィキペディアより。
目がギョロッとしてて、背が低めか小人で、身体を毛で覆われてて、男っぽい。ただ、世界(正確には英語圏か)に溢れるゴブリン達には、おそらく女性もかなり多いはず(個人の想像♪)。インドア派が多いかどうかはビミョーな所か。外に出る時はきっちりしてて、家に帰った途端にゴブリンになるパターンも少なくないだろうから。
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前置きを書いてる間に、時間が無くなってしまった (^^ゞ 今日はPC関連のトラブルでハマッてしまったこともあるから、肝心のアンデルセン童話についてはサラッとまとめとこう。
朝日には「雑貨屋のゴブリン」と書いてたけど、元のデンマーク語の日本語訳は色々と違ってる。お店をどう訳すか、妖精をどう訳すかで、違いが出るのだ。そもそも、デンマーク語だとゴブリンという単語ではなく、ニッセン。「Nissen hos Spekhøkeren」(1853)。
今回、私が発掘したのは、岩波文庫『完訳 アンデルセン童話集(三)』の「食料品屋の小人の妖精」。上図はamazonより。分かりやすくて、お話の内容にも合ってる訳だと思う。雑貨屋というより、食べ物屋という点が重要なのだ。訳者は大畑末吉。
改訳でさえ40年前だから、文体が古い。ただ、ひらがなが多い点とか、子どもにも配慮してるような印象を受けた。まあ、読むのはほとんど大人だと思うけど。
☆ ☆ ☆
全文はわずか7ページの短編で、最初だけ挿絵(さしえ)が付いてる。これが原書のものなのか、日本の誰かが書いたのかは不明。
白黒だけど、内容的には赤ずきんをかぶってるようで、妖精というより子どもみたいに見える。足にはハイソックスかニーソックスみたいなものを履いてて、たぶん寒いということだろう。上着もハーフコートみたいに見える。
あらすじは、次の通り。ネタバレになるので、ご注意あれ。
小人の妖精(ゴブリン)は、食料品屋に住みついてる。クリスマス・イブには、バターがたっぷり入ったオートミール(お粥)をもらえた。一方、上の屋根裏部屋には、学生が住んでて、詩や古い本に興味を持ってた。
妖精が、学生の部屋の鍵穴からのぞき見すると、学生は詩に読みふけってて、ロウソクの灯りしかないのに、部屋は素晴らしく明るい。本からは光が出て、その光が大木になり、花も実も美しい。さらに、キレイな歌と音楽も鳴り響いてる。
妖精は、泣き出すほど感動して、屋根裏部屋に住みつこうかと考える。でも、やっぱり、食料品店のオートミールと縁を切るわけにもいかない。結局、「自分を両方に分けることにしよう」と決めた。。
☆ ☆ ☆
この物語とゴブリン・モードは、すごく似てるというほどでもないように感じる。そもそも妖精だから、魔法を使うのだ。食料品屋のおかみさんの口(くち)を取って、樽にくっつけて喋らせるとか(笑)。絵本的にはポイントになる、おとぎ話的でディズニー的なシーン。
ただ、刹那的な快楽に浸り、節操がなく、自己中心的な「小さい存在」という意味で、世界に溢れるゴブリン人間と、古くからの妖精とは、似た物とも言える。「外の世界」の美しさにも憧れるけど、ちっぽけな私の自己満足を優先してしまう。
なお、朝日はコラムの最後に「いいとこ取り」と書いてたけど、元の童話はちょっとニュアンスが違ってる。やっぱり食べ物だよね、という感じで、「花より団子」にやや近い。最後の一文も、こう締めくくってるのだから。
「それはまったく人間的でしたよ ── 私たちにしたって、やはり食料品屋さんの方に行きますよね ── オートミールのために。」
現在なら、ネットのインスタ映えより、部屋でポテチやスイーツを楽しむ方が大切だと。私も昨日、金曜の夜だから気が緩んで、お菓子類をたっぷり買って帰宅。寝る前に全部、食べてしまった(実話・・笑)。PCトラブルで超イラついたのが原因。責任転嫁もゴブリン的な側面かも・・とか思いつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡
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