« 桜(ソメイヨシノ)の開花予想と、気温の時間積分(1次関数、2次関数)~2023年共通テスト数学ⅡB・第2問〔2〕 | トップページ | ウェブリブログ終了、LINEブログも6月で消えるのか・・&15km走、最後だけ1km4分半 »

羽生元七冠の変則的な中段玉、藤井五冠が上下挟み撃ちで勝利、好手3七歩~第72期・王将戦第3局(2023年)

相変わらず、強い。。 第72期、ALSOK杯・王将戦、1勝1敗で迎えた第3局(2023年1月29日、30日)。大雪がニュースになってる石川県、金沢東急ホテル。私は藤井聡太・五冠を応援してるけど、終盤になっても、羽生善治・元七冠の方が指しやすいように感じてた。

    

もちろん、AIの評価値は2種類(白ビール、水匠電竜)、何度もチェック。先手の藤井の方が中盤から少し良くて、ジワジワと差を広げてるのは分かってたけど、先手陣は飛車も攻撃目標みたいになってて、下手すると右辺から入玉される恐れもある。玉形もビミョーだから、もし私が先手を持ってたら、ずっと自信を持てなかったと思う。

  

局後の感想戦によると、藤井も中盤から終盤にかけて、馬を敵陣の奥深くに入れた辺りではそれほど自信がなかったようだ。7割はリップサービスとしても、3割は本音だと思う。羽生の飛車が縦横に遠くまで効いてたのも大きい。

   

    

    ☆     ☆     ☆

ではまず、毎日新聞の公式棋譜サイトより、画像1枚だけキャプチャー引用。

   

230130a

   

後手の羽生が趣向を凝らして、居飛車なのか振り飛車なのか曖昧にしたまま、序盤を展開。上図の13手目、先手6八玉の時点で、既にちょっと変則的な戦型になってる。相懸かりでも角換わりでもなく、居飛車vs振り飛車でもない。

      

230130b

 

後手の羽生がようやく居飛車をハッキリさせた後、先手の藤井は19手目、8八銀と上がる。わざわざ玉の逃げ道をふさぐ「壁銀」の悪形に見えるけど、最近の感覚だとそうでもないらしい。どうせ後で、7七銀と上がるか7七桂と上がって、壁に穴が空くことまで見越してる。

  

あるいは、7七玉というような形も最近だと珍しくない。実際、後で後手の羽生が3三玉と自分から上がってる。下から追い立てられてるわけでもないのに。ちなみに、一昔前なら、8八銀ではなく、7八玉が当然だった。銀は、7八か6八に上がるのだ。

     

   

     ☆     ☆     ☆

後手の「雁木」の構えも、AIの台頭以降、急激に増えた形。下図は、4三にいた銀を3四歩で引っぱり出して、雁木の形を少し崩した後、藤井が29手目、2六飛車と浮いた所。

     

230130c

   

この2六飛も珍しいし、思い切った手だ。実際この後、角と銀を交換する激しい変化になる。4五歩、3五歩、7七角成、同桂、4六歩、3四歩、3五銀。

   

230130d

   

先手の飛車が閉じ込められた形で、後手陣は伸び伸びしてるけど、この時点でAI評価値は先手が少し上だった。羽生の封じ手(50手目)は、上図の4二玉。要するに、3四金でジャマな歩を取りたいけど、居玉のままだと7一角で困るのだ。

    

4二玉はAIが最善手としてたものだけど、先手の6三角から馬を作られてしまうし、王手飛車の筋もあるので、人間の実戦感覚で本当に最善なのかどうかは微妙。それに対して、5二玉なら角の打ち込みを防げた。ただし、3三の地点あたりがやや手薄な感はある。

  

2日目の午前のおやつは、ブルーベリーのコンポート(シロップ煮)をアクセントにしたチーズケーキ、「加賀友禅」。何気に、白いお皿もオシャレな柄が入ってる(たぶん♪)。毎日新聞のグループで、共に主催となってるスポニチより。

    

230130j

   

   

     ☆     ☆     ☆

230130e

   

後手が4四まで玉を上げて、次の3三桂で中段玉の堅陣を築こうとした瞬間、先手の藤井は3七歩と合わせる。上図、59手目。観戦してた棋士もなかなか気づかなかった手で、私にはむしろ悪手に見えるほど上手い。

   

金銀4枚で玉を囲んだ後手の堅陣に、正面から反撃する手だけど、返り討ちにあいそうで心配になる。しかしAI(白ビール)では、既に先手有利。毎日新聞の公式サイトより。既に終了してるので、リンク付けは省略。

   

230130i

   

実戦では、同歩成、4五歩に3三玉で、先手は後手の玉を追い返すことに成功。4五同金だと、3七桂、3六金に2三馬で先手が勝勢ということか。    

    

230130f

  

しかし、先手の攻めも薄いから、簡単には攻略できない。上図の先手75手目、3七桂の活用に対して、後手は同銀成。同金以下、ほぼ先手の勝ちの流れになったけど、私が後手なら3七桂には3五金と寄って逃げる。

 

これはAI的には優先順位が低かったけど、評価値にはそれほど違いはなかった。AIが示してた変化の一例は、2七飛、同銀成、3六歩、3四金引、4四歩。

 

2七飛は私でも思いつくけど、この変化が先手勝勢というのがよく分からない。アマチュアの対局なら、一瞬で逆転しそうだ。そもそも私が後手なら、2七飛には同銀不成として、3六歩を防ぐかも。

  

先手は入玉を阻止する必要があるし、飛車の打ち込みに備える必要もあるから、かなり忙しくて落ち着かない。あまり駒を渡してしまうと、7七への打ち込みから詰まされてしまう恐れもあった。

   

    

     ☆     ☆     ☆

ともあれ、実戦では、3七桂、同銀成、同金、4九角成、2四歩、同歩、3六銀と進んで、これなら先手が勝ちだと分かる。羽生は形作りに出て、5六金。

   

最後は一応、1手違いの形にして、先手の95手目、4三金を見て投了。終局は16時10分だった。投了図は、日本将棋連盟の王将戦ブログより。

   

230130g

   

投了図以降は、2二玉、3一銀、1二玉、2三馬、同馬、同飛成、同玉、3四角、2四玉、2五歩、1四玉、1五歩で即詰み。1六に突いてた端歩まで使って、ピッタリ詰む。

   

かなり前の時点で、藤井はここまで読み切ってたはず。だからこそ、相手の攻めを気にせず、まともに受けて逃げてた。こんな変則的な乱戦でも、積極的に攻め込んで、着実に一手勝ちにできる。本当に、強い。

    

    

     ☆     ☆     ☆

230130h

   

なお、AI(水匠電竜)の評価値の推移は上図の通り。元奨励会員アユムの将棋実況より。中盤、第1日の封じ手あたりから、ほぼ一方的な右上がり。特に、終盤の後手70手目、2六銀と、74手目、4五金で差が拡大してる。ただ、どちらも人間的な勝負手だから、仕方ない。

    

第4局は2月9日、10日、東京都立川市「SORANO HOTEL」にて。この変わったホテル名も、もう覚えてしまった♪ 第4局の4日前、2月5日には棋王戦の第1局もある(vs渡辺明棋王)。将棋ファンも忙しくて大変だな・・とか、お気楽なことを思いつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡

     

       (計 2510字)

| |

« 桜(ソメイヨシノ)の開花予想と、気温の時間積分(1次関数、2次関数)~2023年共通テスト数学ⅡB・第2問〔2〕 | トップページ | ウェブリブログ終了、LINEブログも6月で消えるのか・・&15km走、最後だけ1km4分半 »

将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 桜(ソメイヨシノ)の開花予想と、気温の時間積分(1次関数、2次関数)~2023年共通テスト数学ⅡB・第2問〔2〕 | トップページ | ウェブリブログ終了、LINEブログも6月で消えるのか・・&15km走、最後だけ1km4分半 »