羽生善治・元七冠の一手損角換わり戦法、敗着は6四銀か、藤井聡太五冠が強手連発で勝利~第72期王将戦・第1局
強い。。 ネットに溢れる感想は、私のものと同じだ。この言葉には二重の意味がある。実力的に強いし、指し手の選択も強気なのだ。あの、穏やかな外見や控えめな話し方とは正反対。
飛車捨ての猛攻(4三銀、47手目)も鋭い気合だし、「金捨て」の桂跳ね(6五桂、69手目)にも唸らされた☆ あまりに強気だから、32歳年上の羽生善治九段もたじろいで(?)、金を取れずに6四銀とかわす。結局、それが直接・最大の敗因、敗着だろう。先に金を取ってれば、その後も勝負のあやがあった。
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昭和・平成・令和を通じて、プロの将棋界には、4人の飛び抜けた棋士がいる。まず、昭和の大山、中原。それに続く2人が、今回の王将戦の2人。平成の羽生と、令和の藤井聡太・五冠王だ。この4人に続く大物が、升田、谷川、米長、渡辺らだろう。
といっても、羽生は既に52歳で、タイトルも持ってないし、順位戦もB級1組へと降格。おまけに、20歳の若き天才・藤井とは、将棋の相性も悪いようで、羽生の1勝7敗となってた。32歳の年齢差は、頭脳スポーツでもなかなか厳しい。
だから、おそらく王将戦も藤井がかなり有利だろうとは思ってたけど、予想通り勝ったことだけでなく、内容的にも見事な勝利。新王者の風格が漂う棋譜となった。悪手が見当たらず、好手だけ目立つという意味で、完璧。パーフェクト。
上は、主催の毎日新聞HPより。振り駒で後手番になった羽生が、自分から角を交換する、一手損角換わり戦法を選択。普通は、先手から角を交換するものだ。局後のインタビューでは名言しなかったけど、おそらく狙いの作戦だろう。かなり珍しい戦型に持ち込んで、力比べしようと。開催地は、静岡県、掛川城・二の丸茶室。13年前から、「将棋のまち 掛川」がキャッチフレーズらしい。
上図の38手目、後手・3五銀の局面で、既に前例が無いらしい。AIの評価値を見ると、別に悪い手というわけでもない。まだまだ、しばらくは互角の形勢が続いてる。下は将棋気AI・水匠7の評価値グラフ。YouTube・元奨励会員アユムの将棋実況より。
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対局2日目(2023年1月9日)が開始されてまもない46手目。羽生は3七歩という面白い手を指した。5八で銀交換した直後、先手の藤井の右金が中央に上がった弱点を突こうとする狙い。同桂なら、1五角か3六歩だろう。
おそらく藤井にとっても、あまり予想してなかった手で、悪い手でもないけど、結果的にこの歩は最後までこのままになってしまった。成ることも出来ず、相手に取らせることもなく。
藤井は4三銀と打ち込んで、攻め合いの勝負。後手が3五銀、2四銀と飛車をいじめに来ても無視して、3二銀から2一銀成。ここで取った桂馬が非常に大きかった。盤面の左側で桂馬を使うことで、左右からの挟み撃ちの形になったのだ。
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左辺で、藤井が桂馬2枚(盤上と手駒)を上手く使ったことで、少し藤井が有利な形勢に。ただ、評価値で数百ポイントの差だから、将棋なら一瞬で逆転可能。
一気に差が開いたのは、上図の69手目、先手・藤井の6五桂から。5八の金を逃げずに桂馬を跳ねたのは、大胆にも金取りを催促した形になってる。もし、5八桂成、同玉、2八飛の形になったら、かなり怖いのに、藤井は紙一重の勝ちを見切ってるようだ。3八歩成からの、と金攻撃もあるのに。
私も含め、アマチュアならまず確実に、すぐ金を取ってたはず。ところが元・七冠王のレジェンド羽生は、6四銀と逃げた。そこで藤井は、6七金右。金を逃げて、2八飛には7七玉。6五の桂跳ねで空いた7七のスペースに玉が逃げ込んだから、羽生は攻めにくくなった。下から三段目で金銀4枚に守られた先手玉は、かなりの堅陣。
以下はもう、羽生も諦めてるように見える。下の75手目、先手1八角は痛打だけど、羽生がわざと打たせたようなもの。
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上の投了図は、日本将棋連盟のALSOK杯王将戦中継ブログより。91手目、8六銀まで。ここで、もし後手が8六歩と取ったら、どうなるのか。多分、後手玉が即詰みなんだろうとは分かったけど、私は10分くらい考え込んでしまった。
4二角成、6一玉、6二金、同飛、同成桂、同玉、5二飛、6三玉、5三馬、7四玉、8五銀、8三玉、7五桂、9三玉、7一馬まで、15手詰めか。ここしばらく、11手詰め以下くらいの朝日新聞の詰将棋を週1問やるだけだったから、脳内イメージがモヤモヤしてしまった。
最後は、可愛いおやつ♪ 羽生九段が選んだ、箱まで食べれるクッキー・アソート。王将の駒を抱いたクマが、いいね。毎日新聞HP・タイムラインより。特別バージョンだから、これ自体は買えないらしいけど、似た商品なら普段も販売。税込3000円、静岡・掛川グランドホテル。
なお、第2局は1月21日から。棋王戦やA級順位戦も気になりつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡
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