羽生・元七冠が新研究で快勝、藤井五冠も非凡(6一銀、5二同玉、2三角、6二銀、2二角)~王将戦第4局(第72期・2023年)
正直、第4局を終えて2勝2敗の五分というのは驚いた。羽生善治・元七冠は将棋の歴史に残る天才とはいえ、既に50代で衰えてるし、藤井聡太・五冠とのこれまでの対戦成績でも圧倒されてた。
ところが、第2局に続いて、2月9日・10日の第4局も、羽生が勝利。戦術的な優先権のある先手番の戦い方をかなり研究して来たということか。一言でまとめれば、藤井が封じ手で考え過ぎた末に間違えたわけで、本人も敗戦後に認めてるけど、考え過ぎる局面まで持って行ったのは羽生の新しい指し方。今回はもう、2日目の朝の時点で勝敗が決してた。
昼食前に投了しても不思議はないような差がついてたけど、そこは流石に五冠王。夕方までは頑張って、敗勢ながらもキラリと光る才能の片鱗を見せてくれた。特に最後、投げるかと思ったら、2二角の攻防手。勝敗的には、焼け石に水かも知れないけど、決して攻撃を忘れない美しい受け方が印象的だった
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ではまず、毎日新聞の特設ページからの引用。羽生が角換わり腰掛け銀へと誘導して、よくある先手・後手の同型へ。一瞬、お互いに同じ手を繰り返す「千日手」になってしまうかと思ったら、先手の羽生が解消。後手の藤井の6五歩を誘って、51手目、4五桂と反撃した局面。
これで既に、前例のない局面らしい。先手の玉型が7八玉・6八金となってるのが珍しいポイント。2二銀と引くと壁銀の悪型になるので、4四銀、6五歩、同桂、同銀、同銀と進んで、次の局面。

6三歩は、取ると7二角だし、下がると7三桂だから、藤井は7二金。以下、6四桂、7一金、7三角と進んで、次の藤井の受けが面白かった。

62手目、後手・6一銀。これはAI(水匠電竜)が僅差ながら最善手として示してた手だけど、ほとんど見ない形の受けで指しにくい。
ちなみに、他にAIが示してた候補手は、先に8六歩と突き捨てた後の6一銀と、8二角。以下、6二歩成、7三角、5二桂成、3一玉。これでほぼ互角という形勢判断になってた。人間には先手有利に見えてしまう所だろう。
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その渋い6一銀の受けに対して、羽生は2筋の飛車先の歩を突き捨てた後、5二桂成。ここで藤井が、2時間24分の大長考の末に初日の封じ手としたのが、66手目・5二同玉。大方の予想を裏切る悪手で、AI的には先手が数百ポイント有利になってた。毎日新聞のAI「白ビール」も同様の数値。
藤井は、後の先手3一角の攻めを軽視してたらしい。ただ、AIが後手わずかに有利(100ポイント程度)としてた5二同銀にも、問題を感じたわけだろう。6二歩成、同金、同角成の後の反撃と受けに自信が持てなかったと。他のプロ棋士たちが同銀の一手だと考える中、藤井の読みや感覚は違ってるのだ。

先手が馬を作った後、飛車が2四に走った時の70手目、2三角(上図)も面白い。間接的に、遠くの7八玉を狙ってる。ただ、先手が飛車を切って角を取ることになるので、その時の受けが重要。AIでも人間でも4一桂と受ける所だったのに、また藤井が変わった手を指してしまうのだ。
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上図の後手74手目、6二銀のただ捨て! 1時間14分の長考。銀を与える代わりに、嫌みな6三歩を消して、飛車の横利きも通す。「非凡」な手なのは間違いないし、一理あるけど、この場合は悪手となった。これでAIの形勢判断は、先手優勢に変化。1500ポイント差くらいだから、逆転しにくい点差だ。
6二同歩成、同金、4二銀、4一桂、5三桂成。今さら4一桂と受けても遅くて、挽回不能。

そんな中でも、上図の94手目、後手2二角は美しいと思う。3一飛成を防ぎつつ、7七の地点を狙う攻防の手。6六歩と守らせた後、8六歩という怪しい手も指す。
毎日新聞の棋譜解説だと、まるでかなり追い上げたような書き方になってたけど、AIの評価的には挽回してない。とはいえ、羽生が6五歩で桂馬を取るまでに22分かかったから、大盤解説やabemaの有料動画もちょっと盛り上がったはず。
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結局、後手は竜を作ることに成功したけど、形作りとしても今一つ冴えないまま投了となった。上の投了図は、日本将棋連盟のALSOK杯・王将戦ブログより。先手が角と香車と歩を持ってるので、ピッタリ詰み。1手違いというより、2手違いか3手違いくらいの差がついた。

なお、AI(水匠電竜)の評価値の推移は、上のグラフの通り。5二同玉よりも、6二銀のタダ捨てで差が大きく開いてる。元奨励会員アユムの将棋実況より。
次は藤井が勝ちまくってる先手番だから、期待しよう。私も含めて、多くの将棋ファンが、20歳の新7冠王に期待してるのだ♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡
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