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円盤型ロボット掃除機(ルンバ他)がイスの脚に閉じ込められる理由♪&岩穴に幽閉された『山椒魚』(井伏鱒二)

どうゆう記事タイトルだよ!♪・・と自分ツッコミしたくなるけど、元ネタと発想は twitter からお借りしたのだ。

    

最初の出会いは、itmedia・ねとらぼがYahoo!に配信した記事だけど、ここではまず、一番最初にバズった twitter を見とこう。「迷い込んでしまい、2度と出てこられなくなった友人の家のロボット掃除機が切なそうでした」。

   

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動画を見たい方は、元のツイートへどうぞ。ロボット掃除機が可哀想とかいうより、「実家が全焼した」方が遥かに気になる人もいるはず♪

   

一方、ねとらぼ的な軽いノリの面白タイトルだと、下のようになる。「なぜ、入れたw」「涙が止まらない」。絶対、涙は出てないはず(個人の感想・・笑)。

   

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     ☆     ☆     ☆

マニアックブロガーはウケた後、直ちにこの円盤型ロボットの機種を突き止めた♪ ルンバじゃなくて、Eufy(ユーフィー)のRobovac(ロボバック)だろう。バキューム(吸引)するロボットから付けてる、そのまんまの名前。後退という意味のバックではない。

    

さらに、物理的・数学的な考察も行ってみた。なぜ入れたのかというより、なぜ、入れたのに出れないのか?

   

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ここでは、4本脚の椅子で考えてみよう。図で4つの緑の丸点が、イスの脚を表してる。円盤ロボットも、複雑な自走はせず、単純に物理的に動くと考える。高校物理(力学)の衝突みたいに。

   

上図のように、円盤ロボットが真っ直ぐ真ん中に入って来れば、反対側へとキレイに通過できる。ゴミ集めはちょっと不完全だけど♪

    

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ところが、上図のように、4本脚の正方形に対して円盤が斜めに入って来ると、中で向こう側の脚に衝突する可能性が高い。1度ぶつかってしまうと、その後、何度かは衝突し続けるはず。電池切れになるまで動くのかどうかはともかく♪

   

五本脚のイスだと、もっと脱出しにくくなると思われるけど、証明は難し過ぎるので省略♪ あっ、これを数学論文にまとめれば、無駄な発明に与えられるイグノーベル賞を受賞できるかも(笑)

    

    

     ☆     ☆     ☆

元に戻って、ツイートの返信を流し読みしてると、マニアが笑えるものが1つあった。「小説『山椒魚』を思い出した」♪ いいねが1つしか付いてない辺りも、切なくて、いいね(笑)。ツイートの最後に丸(句点)が無いのも、味わい深い書き方。

    

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一部の国語の教科書にも載ってるらしい、井伏鱒二の短編代表作『山椒魚』。初出は1929年、雑誌『文芸都市』。著作権が切れてないから青空文庫とかで無料閲覧することはできないけど、アマゾン電子書籍の無料サンプルで読めることを発見♪ 表題作が無料。太っ腹だね、新潮社☆

   

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ちなみに、日本語ウィキペディアの「サンショウウオ」の項目は、青空文庫へのリンクを貼ってるけど、全く別の小説(北大路魯山人)なので念のため♪  

    

上の表紙のイラストからも分かる通り、生物としての山椒魚は、見た目が不気味な両生類。特に、作家の井伏がイメージしてたのは、巨大なオオサンショウウオらしい。近所で見かけたら魚(ギョ)っとしそうだけど、フツーのお魚(さかな)ではなくて、イモリの類。ちなみに、似てるけどヤモリとは別種らしい(細かっ・・)。

    

オオサンショウウオは、穴にもぐる生態がある。下は、広島市安佐動物公園の紹介記事より。

   

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      ☆     ☆     ☆

で、円盤型お掃除ロボットと小説『山椒魚』の何が似てるのか? 簡単にあらすじを書いとこう。内容のネタバレになるので、ご注意あれ。

    

山椒魚は、狭い岩屋(岩の穴の部屋)に入ってる内に、出れなくなってしまった。元々、出入り口が小さかったし、2年の間に身体が大きくなったのだ。特に、頭がつっかえてしまう。いくら頑張って試しても、外には出れない。

   

穴から外の世界(谷川)を眺めて悪態をついたり、嘆き悲しんだりしてる内に、山椒魚の性格は意地悪になる。そこへカエル(蛙)が1匹、岩穴に迷い込んで来たから、山椒魚は自分の頭で穴に栓をして、カエルが脱出できないようにした。カエルはあきらめて、穴の中の凹みに入り込む。その後はお互い、悪口の言い合い。

  

1年後、カエルがもうダメだと言うと、山椒魚は「お前はどういうことを考えているようなのだろうか?」とたずねる。カエルは答えた。「今でもべつにお前のことをおこっていないんだ」。。

    

    

      ☆     ☆     ☆

確かに、学校の国語の授業には手頃な作品だろう。生徒がそれぞれ色んな解釈をできるし、最後のオチも謎めいてちょっと面白い。

   

この最後の和解みたいな箇所を、晩年の井伏は削除してしまったらしいけど、その訂正に関しては、とりあえずスルーしとこう。

   

単なる動物の童話と考えても、ちょっとヒネリが効いてるし、途中の文章表現は流石に文学的になってる。例えば最後、カエルが歎息をもらす場面。他の誰にも書けない表現だろう。

  

それは『ああああ』という最も小さい風の音であった。去年と同じく、しきりに杉苔の花粉の散る光景が彼の歎息を唆したのである」。

   

川の穴に風は吹かないし、川の穴の中に花粉が散るとは想像しにくい。せいぜい、花粉が流れるとか漂うとかだろう。それでも、イメージのつなぎ方が美しい詩的効果をもたらしてる。

   

    

     ☆     ☆     ☆

もちろん、普通に考えれば、この話は哀れな人間たちのメタファー(比喩)。特に、自分の頭がつっかえて脱出できないというのは、文学者も含めて、頭でっかちな大人たちへの皮肉、風刺になってる。

   

自分の頭のせいで不幸になって、逃げ場がないから、他人まで引きずり込んで不幸にすると。ひょっとすると、作者としては、自分に否定的な評価をくだす批評家・読者たちへの不満もあるのかも。

   

しかし、それら全てが人間存在であって、しかもお互い、たかが数十年~百年の命。その後は、花粉みたいに小さな無数の粒になって世界に拡散するだけ。そう思えば、最期のひと時、微笑んでみんな許そうという気にもなる。

   

カエルが「今では」でなく「今でも」と語ったのは、最期の間際のキレイな嘘、やさしいウソだろう。本当はずっと、山椒魚に対して激怒して来た。巨大な敵をどうすることも出来ない、ちっぽけな自分にもずっと怒ってた。

    

でももう、すべて終わりなのだ。せめて、目の前にいる唯一の仲間とは、ケンカ友達みたいに笑ってお別れしたい。「今でも・・おこってはいない」というカエルに、人間の切なさ、愛しさを感じるのであった。

 

   

     ☆     ☆     ☆

なお、お掃除ロボットのAIが進化したら、椅子の脚に対して怒るかも♪ 「ジャマだよ! どけよ!」とか(笑)。実際、似たような話は既にITの世界で色々とあるらしい。つい最近も、Microsoftの新検索システムの不適切発言が叩かれてた♪

   

まあ、人間もAIも、山椒魚やカエルと似たようなものだろう。有限の事物に幸いあれ♪ そう言えば、穴から出れないといえば、『アルジャーノンに花束を』の原作記事で話題にしたプラトン「洞窟の比喩」もそうだね・・っていうのは、美青年ファンへのご挨拶だったりする♪ あれからまだ8年しか経ってないのか。

   

最後は唐突に、天皇陛下、お誕生日おめでとうございます♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

     

      (計 2905字)

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