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わたせせいぞう新作アニメ『ハートカクテル カラフル』全5話、軽~いレビュー(声優・亀梨和也&満島ひかり、NHK)

80年代にヒットした、カラフルなショート・コミック、『ハートカクテル』。静かなリバイバル・ブームが続いてるようで、78歳になった原作者・わたせせいぞうもかなりお元気そうに見える。

  

先日、2023年3月27日から28日にかけて、NHKで新作アニメが公開されたので、軽くまとめてレビューしとこう。もちろん、マニアックな解釈・分析も織り交ぜて♪ 5分×5本で合計25分だけど、CMは無いし、密度は濃い。

     

どのように作ってるのか分からないけど、わたせが原作マンガを書いて、アニメーションのスタッフ・山本淳史がCGでアニメ化したということか。おそらく今現在、イラスト(静止画)の一部を動かすくらいは簡単なんだろうと思う。

   

実際、例えば第1話のラスト、川で石を投げて「水切り」遊びをするシーンでは、ほぼ同じ絵柄の中、水紋の数が増えて行くと共に、小鳥の位置が左に移動してる。そして最後、小石、水紋、小鳥の位置が1点に収束してるのだ(細かっ・・♪)。偶然ではないはず。

  

なお、男性役の声優・亀梨和也とわたせの「スイッチ・インタビュー」(2回のトークで聞き手と主役が入れ替わる形式)については、先日すでに記事をアップしてある。原作の中で亀梨お気に入りのエピソード、「思い出クッション」のレビューも加えて。

     

  

     ☆     ☆     ☆

以下、ネタバレになるので、ご注意あれ。今日(3月31日)の時点ではまだ、NHKプラスの動画配信で視聴可能。

     

アニメのタイトルに「カラフル」という言葉が入ってるのを見て、すぐ思い出したのが、一昨年の紅白歌合戦。テーマがカラフルで、要するに、多様性とか少数者(LGBTQ、障がい者など)の尊重を前面に押し出してた。

   

ハートカクテルの新作をその路線で作るのかな?、と思ってたら、本当にそうだった。ただし、あくまで柔らかく優しいストーリーと絵で表現してある。主張やメッセージ、倫理観などを、強く押し出しるわけではない。

    

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青い空、白い雲、エメラルドグリーンの海。わたせ的、米国西海岸的なオープニング画像だけど、すぐ気付くのは、「フル」のロゴがカラフルな色使いになってること。その右上には、レインボー(虹)が控えめにかかってる。

   

上のタイトル画面から本編へと切り替わる時にも、淡い虹色のようなグラデーションが使われてた。まあ、そんな配慮をしなくても、わたせのイラストはもともと非常にカラフルではある。漫画というより、イラストの連作を詩でつないだような作品。

    

   

     ☆     ☆     ☆

第1話のタイトルは、「ストーン・レター」。変な題名だけど、要するに、ストーン=小石=恋し♪ ということは、ストーン・レターとは、「恋文」、「ラブレター」の言い換えなのだ。

   

新聞記者の彼(慎二)が転勤になって、看護師の彼女(エミ)と遠距離恋愛を開始。ルール1、緊急時以外はメール・電話禁止。ルール2。月に1回、交互に会いに行く。ところが、コロナで会えなくなってしまった。昭和のヒット作に、令和のコロナが登場♪ おまけに、伝える手段はスマホ。

     

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会えない代わりに、彼女は毎週、手紙を送る。ある時、手紙の中に小石が入ってた。小石=こいし=恋し→恋しい♡ 石は、遠距離を続ける「意志」「意思」の象徴でもあるし、心を癒す「医師」にもなる。

   

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おそらく、それ以降、彼は近くの川に出かけて、小石を拾ったり投げたりしてたらしい。会えなくなってから1年半ちょっと経った後で再会。遠距離恋愛の開始からだと3年目。彼女と一緒に川へ出かけて、石で水切りの新記録8回達成。めでたし、めでたし♪

   

エッ、それだけ?・・と言いたくなるかも知れない。でも、携帯やLINEとかですぐつながろうとする現代、手紙と小石を使うというのは斬新な恋の形♪ そもそも、ストーリーと同じかそれ以上に、絵を楽しむ作品なのだ。ここでは著作権に配慮して、画像は最小限の小さな引用に留めてあるので、念のため。

   

   

      ☆     ☆     ☆

コロナと遠距離恋愛を扱った第1話に続いて、第2話「この星の上」は、シングルマザーと淡い恋愛。友達以上、恋人未満(死語?♪)。

      

冒頭、ママ(楓:かえで)が聞く。どんな色が好き? 娘(鈴)が答える。青! よく見ると、母と子の服装や持ち物に、青色が使われてる。この青は、ママの思い出の中で、天文部で見上げた夜空のイメージと重なってる。

       

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医師だった夫と別れた後、楓(かえで:ママ)は病院を辞めて、介護士の仕事に追われる。大変なシングルマザーを陰でそっと見守るのが、天文部の同級生、裕介。娘の具合が悪い時にも、さりげなく電話をかけてくれた。

  

実は裕介は、楓にとって、「卒業写真のあのひと」。ここでのBGMはもちろん、ユーミンの名曲『卒業写真』♪ お互い、ほのかな思いを持ってたのに、もう一歩、歩み寄ることが出来なかった。

  

   

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昔、2人で夜空を見上げた時、彼は何か言いかけた。「あの星の下のボクたち この星の上のボクたち」。無限に広がる宇宙の中で、今この瞬間、地球という青い星の上で2人でいるのは、まさに奇跡。

  

だから、彼は実はこう続けたかった。「ずっと一緒にいさせて下さい」。もし、言ってれば、あと半歩は接近できたはず。でも、未婚の彼とシングルマザーの彼女は、微妙な友達関係を続けるのであった。めでたし・・ってこともないか♪

   

昭和的には、頑張れ!、男なら行け!、とか言いたくなる所だけど、令和では、多様な関係性の1つとして尊重されるのであった。いまの仲が壊れてしまうのは怖いから、このままでもいいかな・・とか。

   

ちなみに私も、高校の卒業直前までは、ほとんど何も行動できなかった。せいぜい、同じクラスの女の子と通学路で自転車2人乗りして、ときめく程度のお子様(笑)。その後はフツーか、わりとアクティブな方かな。。♪

   

    

      ☆     ☆     ☆

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第3話「タンデム・ヴィーナス」は、私も好きな、バイク(オートバイ)のお話。タンデムとは2人乗りのこと。ただし、言葉は出てないけど、L(レズビアン、女性同性愛)とノーマル男性の3角関係。

     

ボク(祥伍)は偶然、お気に入りの女性の後輩・菜月がバイクの2人乗りをする姿を見かける。前で運転するのは誰? 髪が長い。 エッ、美人上司の時任課長! まさか。。

  

真っ赤なスポーツバイクは、私の400ccバイク(カワサキ)にちょっと似てる♪ レザーパンツ、1万円くらいで買ったけど、ゴワゴワするし、本格的すぎるから、一度も履いてない。女性ライダーが上下のつなぎでピチッと決めてるのは好きかも。ちょっと、ボンデージ的でフェティッシュ(笑)

      

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上司はやがて、西へと転勤。お別れの握手の時、女上司は、職場の後輩・菜月をよろしくとメッセージ。その後、相手を明かさずに恋愛相談して来た菜月に対して、ボクはアドバイス。「行くしかない。ボクの占いだと、方角は西だ」。菜月はその言葉通り、西へと笑顔で去って行った。オレンジ色の夕陽に浮かぶシルエットが美しい。

   

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そして、1人残されたボクは、バイクの免許を取って、初心者ライダーになった。素敵な上司の面影を追うように。いつか、他の女の子とタンデムできますように。あるいは、こっちに帰って来た上司とツーリングとか、夢見つつ。。

     

私はバイクの免許を取った後、すぐに女の子とタンデムでツーリングしてる。超初心者がいきなり2人乗りで信州へ、しかもバイクは小さめの250ccだから不安定。かなり危ないから、いま考えると論外 (^^ゞ 良い子も良い大人も、真似しないように。青春はやっぱ、青いと♪

    

そのコはしばらく前まで、遠くにいたことが分かってるけど、その後は不明。名字が変わってるかな、Kちゃん。・・・おっと、余計なことまで書いちゃったから、直ちに削除(実話・・笑)。あぶない、あぶない。。

      

    

     ☆     ☆     ☆

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時間が無くなったから、後は簡単に。第4話「ジェントル・レイン」は、親が離婚した後の、娘の結婚のお話。ただし、年齢差が大きい、年の差婚。

   

娘・花連(カレン)は、離れ離れになった父が好きだったジェシィズ・バーに、年配の男性を連れてやって来る。マスター(ジェシィ)経由で、父・健(タケシ)に結婚式の招待状を渡して欲しいと。外には雨。

        

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マスターは快く了解。2人が帰った後、新聞を読んでる(フリをしてた)男性が、新聞を下に降ろす。父だった。よく見ると確かに、2つ上の画像の左上にも、新聞を読んでる男性が描かれてる。

     

この後、「ジェントル・レイン」(優しい雨)みたいな涙を流すということか。父とマスターと2人で。ピアノを弾きながら。天井からは、わたせが好きなフライファン(大型扇風機)の優しい風♪

    

この後、父が出席するのかどうかは分からない。娘の結婚相手は、父に似てた。それをチラッと確認できただけでもう、十分かも。母の再婚後の「新しいお義父さんに気を遣ってね」。名曲「Gentle Rain」の歌詞とメロディを考えても、やっぱり出席はせず、バーでマスターと過ごすとか。。

   

   

      ☆     ☆     ☆

最後、第5話「見返り美人」。菱川師宣の代表作とされる浮世絵で有名だし、昭和の切手ブームの代名詞でもある(古っ・・)。

      

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コロナ禍のリモートも一段落。グループ会社の研修会で再会した女性・静華(しずか)が、壮大な富士山をバックにして振り返った瞬間、ボクは恋に落ちる。

     

告白したけど、好きな人がいるから、1年後にまた、とのこと。友人の情報では、どうも相手は女性らしい。なぜか女性同性愛が2つで、ゲイ(男性同性愛)の話はなし。やっぱり、原作者が女性好きの男性だからか♪

    

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彼女はその後、転職してしまったから、ボクの恋は完全に終了・・と思ったら、1年後に彼女の方から会いに来てくれた。前にプレゼントした「真珠のピアス」(これもユーミン♪)を付けて、富士山をバックに。女性に失恋して髪を切ったからか、ショートヘアから耳が見えた。「B」、バイセクシャルの例か。

     

後は、振り返って微笑んでくれれば、恋の始まり。。♡ なぜ富士山なのかがよく分からないけど、日本の象徴で、麓の辺りが研修とか合宿に使われるからか。日本一の山は、会社が目指す世界一の象徴でもある。

  

   

     ☆     ☆     ☆

私もたぶん、富士山あたりには10回くらい行ってるはず。女の子と行ったのは2回かな? あっ、3回か。富士山に行った時の私の写真を見たのがキッカケで、バイクのタンデムその他でデートした女の子もいた(笑)。自慢か!

       

いや、記憶の片隅に埋もれてた事実を思い出したもんで♪ 富士山にもバイクで行ってる。電話だと何時間でも喋るのに、直接会うと無口で戸惑った (^^ゞ そうそう、そのコが他のコを私に紹介してくれて、渋谷で映画見たら、このコが感動で号泣ししたんだった。友人Tのお勧め映画、『M』。次々に思い出して来たから、もう止めとこ♪

      

とにかく、原作者のわたせは、まだ創作意欲も十分あるみたいだから、続編アニメや新作マンガにも期待しよう。それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

      (計 4432字

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