1分将棋の熱戦を藤井六冠が制す、千日手へと逃げなかった振り飛車党・菅井八段にも拍手♪~2023(第8期)叡王戦・第3局
今年の叡王戦はまだ記事を書いてなかったのか。いまだにこの新しいタイトルには馴染めない。叡王(えいおう)という言葉と漢字が特殊だからだと思う。
日本将棋連盟の2015年の説明を読むと、公募とユーザー投票によって決定。命名者(BONYさん)が込めた意味は、人間ならではの「叡」智。当初は、叡王戦の優勝者がコンピューター・ソフトと対戦する仕組みだったから。
「叡」は常用漢字外で人名用漢字だけど、あまり見ることはない。とにかく、今週は既に制限字数も残り少ない中、簡単に記事を書いとこう。藤井聡太六冠の将棋(特にタイトル戦)としては珍しい、振り飛車を相手にした相穴熊の熱戦だった。
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先手が藤井六冠。後手が、今のプロでは少数派の振り飛車党、菅井竜也八段。人間を超えたAIが、振り飛車を低く評価しがちだと言われる。上図は公式の棋譜サイトより。先手33手目、7九金の局面。
相穴熊の将棋というのは、私自身はほとんど経験ないけど、単調で型にはまりがちなイメージがある。左側の形はほぼ同じだから、中盤で右側の飛車角銀をどうするか。
この将棋もそうだけど、右側の桂香(特に香車)は単に取られて持ち駒になることが多い気がする。相居飛車なら、少なくとも桂馬は活躍する機会が多い。
久々に見た、聞き手の武富礼衣(たけどみ・れい)女流初段。23歳の若さで、声も口調も初々しくて可愛い♪ 研究者でもあるからなのか、「確かに」という硬めの受け答えが個性的。abemaのLIVE動画より。
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上もabemaで、後手・菅井の80手目、6二歩の局面。角金交換で攻め込んだ先手が有利に見えるけど、後手は馬と飛車が守りに効いてるし、7六歩の拠点も大きい。いずれ2二角も先手の玉をにらんで来るから、形勢は互角。
お互いに少し攻めた後、上図は98手目。後手が6六桂と打って、先手の飛車の縦利きを止めた局面。時間が無い藤井は、慌てるように6六飛と指した。同角には、6九香。後手は8八角成から単純に攻めて来る。
この辺りで、形勢は菅井に傾いて、勝利の確率が70%前後まで上昇。アマチュアでも分かりやすい攻めが続くから、藤井が負けそうだなと思ってた。
ところがこの後、菅井も持ち時間(4時間)を使い果たして、両者1分将棋に。藤井がまずまずの手を指し続けたのに対して、菅井はAIの候補手にないような悪手もいくつか指してしまう。
藤井が必死に守って粘る中、最初に逆転したのは、藤井が117手目、2二角と打って受けに効かした局面。菅井は、千日手に逃げることも出来たけど、戦線を拡大する9五歩で端歩攻めを開始。これが緩くて、藤井は無視して7一歩成から8一と。遂に、穴熊に対して王手。
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勝ちを決めた好手が、上図の先手149手目、7二銀。自玉も危ないけど、2二角の守りで詰みはないから、一瞬の隙をついて詰めろ。後手の変化は色々あるけど、そのままなら8四桂や9四香の筋で詰むし、7九龍なら8九金打ではじけば勝ち。
控室の研究陣も驚いたらしい、怖くて大胆な勝ち方。1分将棋を続けて来た中で、最後にこんな決め方が出来る辺りが、藤井の圧倒的な終盤力。精神的な持久力も凄い。
最後は即詰みに打ち取って、163手で藤井の逆転勝ち。投了図は公式中継ブログより。この後は、8三でバラした後、7五桂で詰む。最後まで、先手の香車と角が遠くからよく効いてた。
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なお、abemaのAIと水匠・最新版の評価値の推移グラフは下の通り。水匠は元奨励会員アユムの将棋実況より。
藤井の次戦は、また名人戦。七冠への王手を期待しよう♪ 今週は計14999字で終了。また来週。。☆彡
(計 1542字)
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