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犯罪捜査「ロカールの法則(交換原理)」とフランス語原文、サブタイトル「第四の終章」の意味~『教場0 風間公親』第7話

鐘羅 女がヒモ男と切れないのは

   弱みを握られたか 男がめちゃくちゃ

   優しいかの どっちかです

   傷つくのが好きな女って

   意外と多いんですよね

   麻由佳って そういう女かも

   何となくですけど

 

風間 私はタバコが嫌いではないが

   君は吸うのか?

        (脚本 君塚良一)

  

    

     ☆     ☆     ☆

風間教官(木村拓哉)の見事なクリーンヒットが決まった、このシーン。実はこれこそ、"いわゆる"「ロカールの法則」の応用になってた。

   

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今回のドラマでは、「ロカールの法則」は、「物体同士が接触すると 両方に痕跡が残る」と説明されてた。実はこれ、本人の言葉ではないという話は、後に回そう。

     

人間の身体は、物体の一種。鐘羅路子(白石麻衣)の身体は、自宅の部屋でヒモ男(渋谷謙人)が吸うタバコに接触してるし、喫煙者であるヒモ男の身体との濃厚な接触もある(断言♪)。

   

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だから、路子の身体には、タバコの痕跡(臭い&原因物質)が残ってた。ヒモ男というものについて感情を込めて熱弁する若い美人刑事から、タバコの臭いが漂ってるということは、喫煙者であるヒモ男と同棲してるのではないか? 風間の観察力とツッコミ力は非常に鋭い。次回は、ヒモ男に頼まれて路子がやってた不正な情報収集にも気づくと。

   

ちなみに路子によると、風間自身からは女の香りは漂ってないらしい。痕跡を完全に消してるのだ(笑)。"いわゆる"ロカールの法則にも、例外があると♪

   

    

     ☆     ☆     ☆

接触によって両方に痕跡が残るということは、一方から他方へと何かが残されて、逆に、他方からも一方へと別の何かが残される。だから、「ロカールの交換原理」とも呼ばれる。

         

例えば、路子の指にタバコの痕跡が残る時、同時に、路子の指紋やマニキュアがタバコに残される。

   

殺人犯・筧麻由佳(瀧本美織)の手には、首吊り殺人で握り締めた麻縄の毛が残るし、麻縄の側にも、麻由佳の指紋や皮脂などが残る。だから実は、犯行直後の取り調べ中、麻由佳が慌ててトイレで手を洗い流しても、それほど意味はない。たかが、逮捕状の発行が遅れる程度。

     

    

     ☆     ☆     ☆

さて、この「ロカールの法則」とか「ロカールの交換原理」と呼ばれてるもの。先に結論を書こう。

  

 "いわゆる"「ロカールの法則」に正確に対応する本人のフランス語原文は、存在しない。

   

 すべて、ロカール自身ではなく、他の著者によるまとめや言い換えに過ぎない。

     

   

出典不明の言葉や誤った説明がネットで拡散するのはよくあることだし、当サイトでも今まで度々指摘して来た。

           

私が英語とフランス語でネット中を探し回っても、法則に対応するエドモン・ロカール(Edmond Locard)の原文は発見できない。私の数百倍くらい調べまくって、ほぼ同じ結論に達してる研究者までいらっしゃった♪ マニアック魂は国境を越えると。

       

ただし、ロカール(1877年~1966年)というフランス人研究者が実在して、似たような話をしてたのは事実らしい。彼が、「フランスのシャーロック・ホームズ」と呼ばれてるのも事実。

        

   

      ☆     ☆     ☆

では、拡散してる日本語(2種類)は、どこから来たのか? 犯罪捜査の専門家らしいフランク・クリスピノが公開してるフランス語の博士論文(ローザンヌ大学、2006年)と、英語版ウィキペディアを参考に考えてみよう。

  

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まず、ドラマの「物体同士が接触すると 両方に痕跡が残る」。長岡弘樹の原作小説も同じパターン。

  

この形の言葉は、20世紀半ば(1956年)まで遡れる。ニコルスという人が、「Lorsque deux objet entrent en contact, il y a toujours transfert de materiel d l'un vers l'autre」と書いてるらしい。「2つの物が接触すると、常に一方から他方へと物質の移動がある」。「trace(痕跡)」という言葉を使ったヴァージョンも、しばらく後に確認されてる。

   

   

     ☆     ☆     ☆

一方、「あらゆる接触には痕跡が残る」。

    

この有名な一般形は、正確には新しいようで、1995年に確認されてる。「Tout contact laisse une trace」。英語だと、「Every contact leaves a trace」。

   

一応、これに似た表現をロカール自身が1934年に書いてるらしいけど、そこには条件が付いてたらしい。「犯罪者の暴力が、その痕跡を浮かび上がらせる」。

  

一般論ではなく、あくまで犯罪捜査に限定したかったということか。ロカールの原文までは引用されてないから、未確認。あまり似てないからこそ、引用してないのだろうと思う。    

 

    

      ☆     ☆     ☆

なお、日本語ウィキペディアの「エドモンド・ロカール」の項目には、「引用」とされる文が「エドモン・ロカール」という署名付きで掲載されてる。

  

ところが、(いつものように)出典は付いてないし、項目全体にも何も出典なし。当然、最上段には注意書きが太字で枠入りで書かれてる。「この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です」。

   

その「引用」はおそらく、英語版ウィキの「Locard's exchange principle」(ロカールの交換原理)に書かれてる他人(ポール・カーク)の英文を誤解して和訳したものだろう。

 

単なる機械翻訳にも見える。本当に自分で英語版ウィキを読みこなしたのなら、英文の筆者を誤解して署名まで付けるとは思えない。ただ、英語版ウィキも、ロカールの法則をフランス語原文ではチェックしてないので、話はややこしくなる。

     

ロカールの著作がほとんどネット公開されてないのが一つの原因だろう。一応、インターネット・アーカイヴで1冊公開されてた。『17世紀における血の犯罪と愛の犯罪』。路子が好きそうな、ドロドロしたタイトル♪

       

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本人の著作そのものではないけど、日本でも最近たまたま研究書の翻訳本が発刊されてた。ショーヴィ『科学捜査とエドモン・ロカール』、鳥影社、2023年3月。

    

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      ☆     ☆     ☆

一方、第7話のサブタイトル「第四の終章」の意味。これは原作『教場0』からそのまま取って来た題名だけど、ドラマだけ見てると、ほとんど意味が分からないはず。例によって、対話型HI(人間知能)ChatTEN4に質問してみよう♪

   

視聴者  こんにちは♪ フジテレビのドラマ

     『風間公親 教場0』第7話の

     サブタイトル、「第四の終章」とは

     どういう意味ですか?

 

TEN4 こんにちは♪ 長岡弘樹の原作小説

     では、その点を説明していますが、

     ドラマは説明がありませんでした。

     犯人の麻由佳は、もともと人生で

     3回、終わってるような状況に

     追い込まれたそうです。また、

     劇団名は「サード・エピローグ

     で、訳すと「第三の終章」です。

     麻由佳の劇団人生は終了、人生で

     4回目の「終わり」に向かうから、

     「第四の終章」なのです。

     容疑者・被告・受刑者としての

     人生を、新しい劇団「フォース・

     エピローグ」(第四の終章)で

     演じるという解釈もできます。

     劇団名は「しらかば」という公演

     ポスターで表示されていました。

    

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      ☆     ☆     ☆

他に、ドラマで説明不足だったのは、麻由佳が首吊りした身体を抱えてた理由。原作だと、僅かな時間でホントに死んだかどうか不安だから、確認してたことになってる。ドラマだと、上に登って締め上げてたから、抱える必要は無かったかも。

     

あと、なぜか原作の有島武郎(白樺派)が、芝崎鉄幹(てっかん)に変えられてた。与謝野鉄幹は、妻がいるのに若手の晶子(後の与謝野晶子)と不倫してるけど、自殺はしてないし、白樺派でもない。それに対して、有島武郎なら、不倫がバレて脅迫されて、縊死(首吊り自殺)したらしい。

   

犯人役の瀧本美織は、名前しか知らなかったと思うけど、クセのあるいい演技をしてた。「小さな劇団で主演女優を務める、妖しい=怪しい悪女」を好演。NHKの連続テレビ小説『てっぱん』で主役だったのか。アッ!、「てっぱん」だから、「てっかん」にしたと?♪

   

   

      ☆     ☆     ☆

今回は、劇の中に別の劇が組み込まれた、「劇中劇」の構図。麻由佳と被害者の自殺劇、劇団の劇、幸葉(堀田真由)たちの犯行再現劇、3つの「劇中の劇」があった。幸葉のブロック(LEGO?)遊びのバンジージャンプを加えれば、4つか♪

     

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劇中劇の形だとリアルさが増すように感じるのは、「劇中の劇」がはっきりフィクション(作り物、虚構)だから、それを含む劇の側が相対的にリアルになるんだろうと思う。

  

まあ、神や運命、天命(テンメイ)の視点だと、無数の人生はすべて劇中劇なのかも。なお、第7話の世帯視聴率は8.9%、個人視聴率は5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

    

     

cf. 一筆書きできない道、奇点を2コに修正すべき&万力で締め付けられる黒い心、光と影の映像美

    ~『教場0 風間公親』第1話

 いじめ不登校の子どもの母親、担任教師への殺意から自分が逃げるべき~『教場0』第2話

 1人でできないことは2人で・・自殺ではなく他殺だと示す「毒のある骸(死体)」~『教場0』第3話

 孤独の胎衣(えな、たいい)、虐待の冷水、幼児を覆う流れは親の涙か・・~『教場0』第4話

 カンニングの法則、SNSや地図のトラップ、大学教授のパワハラもどき~『教場0』第5話

 子どもの原風景と運命、イメージと現実の連鎖~『教場0』第6話

 「闇中の白霧」の意味、原作はウィルソンの霧箱、ドラマは闇中の白石麻衣~『教場0』第8話

 列車に死体を載せる懐かしい小説、ドイル(ホームズ)、フリン、乱歩、横溝~『教場0』第9話

 フライパン空焚きで発生するフッ化水素で死ぬトリックは困難&エモーショナル映像~『教場0』第10話

 風間の前世はフランス・レジスタンス組織の盲目隊員、特別編はナノ・ブロック♪~『教場0』最終話

 警察学校の花壇と、レゴではなくナノブロックの花壇、風間からの贈り物♪~『教場0』特別編

  

       (計 3770字)

   (追記224字 ; 合計3994字)

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