9七桂、8六玉、藤井七冠が斬新かつ大胆な構想で難局を制す~2023棋聖戦・第3局
解説陣のプロ棋士たちはもちろん、AIもビックリしたと思う♪ 藤井聡太・七冠の中盤の指し手は、普通の人間にも予想しにくいし、AIの最善手や候補手ともかなり違ってた。
ところが、指されてみると、形勢判断は一方的な右上がりの「藤井曲線」で、差は確実に広がって行ったのだ。アベマAIの形勢判断の推移グラフより。一直線ではなくて、緩やかな放物線を描いてる。

下は、ライブ動画を配信したabemaのニュース記事。「新しい扉」、「脱帽」、「変幻自在」・・。衝撃を表す言葉が並んでる。「完勝」というほどの差は無かったし、危なく感じる局面もあったけど、深い読みと圧倒的な実力に支えられた余裕は感じた。明るいパステル系の色合いの着物も爽やか♪

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さて、2023年7月3日に行われた、第94期ヒューリック杯・棋聖戦、第3局。藤井聡太・七冠vs佐々木大地・七段。対局場所は、静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」。序盤までは、普通の角換わり腰掛け銀の戦型だから、指し手は速かった。

上図は、先手・藤井の37手目、2九飛の局面で、ほぼ同型だけど、後手は4四歩を突いてない。データベースには350局ほどの前例があるらしい。棋聖戦の公式棋譜サイトより。
この後、お互いに玉を細かく動かして間合いを測った後、藤井の45手目には驚いた。13分の考慮時間で、9七桂☆ 将棋を始めて間もない初心者が指した悪手みたいに見えてしまう。

もし後手が9五歩で端攻めを仕掛けて来たら、同歩、同香に9四角と反撃する手があるらしい。以下、7一玉、8五桂、同桂、8六銀とか。先手は飛車を左に回す筋もあるから、何とかなりそうだけど、角の位置も不安定だし、自信は持てない。
ただ、後手の佐々木は端攻めを自重して、逆に右からの攻めを見せる4四銀。藤井は構わず8九飛で、変則的な向かい飛車。
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その後、藤井は角を自陣にぼんやり打って、右を守ると共に、左での攻めも見せる。いい手なのかどうか不明だけど、藤井らしい角打ちではある。
後手・佐々木の60手目、7五歩に対して、藤井が同歩と素直に応じたから、後手は桂交換から7六桂と打ち込んで、先手陣に殺到する形になった。先手の飛車は2九に追いやられてるし、後手が有利に見える上図で、藤井の69手目は7六玉!
まるで、駒落ち対局の上手みたいに、玉を積極的に使う戦術。下手すると、すぐに負けそうだけど、アベマの評価値では藤井55%vs佐々木45%になってた。AIも、これで大丈夫だと判断してる。
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藤井はさらに、玉を積極的に利用。上の画像は先手73手目、8六玉☆ 36分の考慮。わざわざ玉を危険地帯に近づけて、おまけに飛車を8筋に回す筋もジャマしてる。7六桂と打って4六角で攻める筋があるとはいえ、かなりの悪手に見える。
実際、直前のAIの候補手5つには入ってなくて、指した直後には評価値が少し下がった。ちなみに候補手は、8六桂、6五歩、4六角、8八金、7四桂の5つ。
しかし、8六玉から逆に評価値は上昇。AIの読みが浅かったのか、佐々木が間違えたのか、よく分からない。
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佐々木が9五歩からの端攻めで歩切れを解消した後、8四歩と合わせて来たのは、AIも示してた手順だった。
しかし、藤井の9筋からの逆襲が、予想以上に厳しかったようで、差はジワジワと広がる。9二香から8三歩、8二歩成のと金攻めが地味に効いてた。
藤井の玉はその後、5筋まで逃げてるから、結果的に8六玉は「誘いの隙」みたいな手になってる。格闘技でよくあることで、わざと派手で危ない動きで相手の攻撃を誘った後、反撃する戦術。

最後は、藤井の107手目、8六銀の厳しい受けを見て、佐々木があっさり投了。18時37分。まだ評価値は84vs16だったけど、それ以上の大差。先手陣には意外なほど隙が無いし、後手陣は先手の飛車の侵入を防げない。逆に後手の飛車は単なる攻撃目標となってしまってる。
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投了後、佐々木は直ちに、8六玉で「しびれていました」と告げたらしい。相手の斬新な手を素直に褒め称える、潔い態度が好感持てる♪ やはり、AIの評価以上に、人間的には凄い手だったと。
これで藤井の2勝1敗となったけど、まだ油断はできない。王位戦も始まるし、夢の八冠制覇までしばらくは目が離せない状況。前人未踏の偉業達成を期待しつつ、今日はそろそろこの辺で。。☆彡
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