王者の貫禄、5五歩の細い攻めの一手勝ちでも余裕、藤井聡太・七冠が連勝~2023王位戦・第2局
藤井聡太・七冠vs佐々木大地・七段の、暑い、熱い夏。棋聖戦&王位戦の計12局。といっても、七冠vs七段のタイトル戦。本当に12局も行われる可能性は低いと思う。夢の八冠制覇に向けて、藤井ファンなら10局くらいで共に防衛して欲しい所だ。
伊藤園お~いお茶杯・第64期・王位戦・第2局(2023年7月13・14日)は、藤井が後手番だから、先手の時ほどの余裕はなかったはずだけど、1局を通して貫禄勝ちの様相。少しずつ確実に差が広がる状況に、佐々木七段は絶対王者の圧倒的な実力をひしひしと感じたと思う。
もちろん、局後の感想では、藤井はいつものように控えめで、何とか一手勝ちに出来たといったコメントだった。しかし、ギリギリの終盤でも、一手負けになるような雰囲気はほとんど無し。別にAIの評価値やプロ棋士の解説など無くても、藤井の勝ちだと分かる内容だった。
☆ ☆ ☆
戦型は、十分予想された通りの相掛かり。公式棋譜サイトより、トリミング&縮小して引用。私自身は、基本的に居飛車党だけど、先手でも後手でも最初に角道を開けるタイプで、相掛かりはほとんど指した経験がない。
確か、最初に読んだ入門書に、初手は角道を開けるのがベストというような事が書かれてた気がする。飛車先の歩を伸ばすよりも、大駒の行き先が一気に増えるから。
上図は、先手・佐々木の35手目、4五銀。1時間57分も考えて指した攻めの手で、AI的には、別に良くも悪くもない手らしい。まだabemaの評価値(期待勝率)は50vs50くらいだった。微妙な変化も多くて、あまりハッキリしない複雑な局面。
後手の藤井は、3三桂で強く応じた。負けずに先手の佐々木も、3四銀の突撃。局後の感想では「暴走」というような自嘲の言葉も口にしてたけど、それほど悪い筋でもない。藤井が4七角と応じた局面でも、まだ55vs45で、藤井が僅かに指せる程度の評価になってた。
☆ ☆ ☆
藤井の角打ちの後、佐々木は。6六歩。このままだと藤井は馬を作れないので、7五歩で角を引き戻す道を空けて、飛車を銀に当てる。佐々木が6七角と打って、銀を守りつつ、攻撃(2三銀成とか)にも効かせた。
7六歩、5八金と進んだ所で、藤井の44手目が封じ手。59分の長考で、7四角成とした。8三角成との比較はビミョーで、AIが示す最善手や評価も微妙に揺れてたけど、馬を中盤で攻めに使いたかったらしい。8五馬とか、7五馬とか。
上の局面で、アマチュアの対局なら、2三銀成と単純に攻め込む人が多いはずだけど、公式サイトのコメント欄では全く触れてなかった。少し後なら触れてるけど、それはまた別の話。
2三銀成なら、同銀、同角成に、2七歩、同飛、2六歩、同飛、2五銀と止めるのか? 先手が無理に攻めても、後手の玉は右側(7筋とか)に逃げれるし、反撃が痛い。
とにかく、上図で佐々木が選んだのは穏やかな端攻めで、1五歩。この後、小競り合いが続いて、先手は飛車を4筋に回す。
☆ ☆ ☆
対する藤井は、中段の飛車を3筋に回して対抗。飛車が捕まるのは承知の上で、飛車と角の取り合いになった後、5筋に伸びる5六歩が厳しい。先手は壁銀で、左に逃げ道がないし、左の金銀が単なる邪魔物みたいになってるのも痛い所。
後手の藤井はその後、3九角と打ち込んだ後、5七角成で金を取って、上図は80手目、5五歩。
後手の持ち駒は金1枚と歩だけとはいえ、馬がよく効いてるし、先手の玉は裸で逃げ道も少ない。2九馬で桂馬を補充する筋や、1筋から端攻めする筋もある。逆に先手は、受けに使える持ち駒(金・銀)がないし、飛車と角を持っててもそれほど役に立たない。
AIの評価値も、ハッキリと後手優勢のままで、差は広がる一方。藤井ファンとしては、安心して見てられる。
☆ ☆ ☆
最後は、藤井の安全策の98手目、4四銀を見て、佐々木が投了。2人ともまだ時間は50分ほど残ってた。ちなみに上図は既に大差だから、後手は単純に4八金と攻めても勝ちらしい。同飛、同金、同玉、3八飛、5九玉か。
ただ、先手玉に詰みはないから、逆に後手玉が即詰みにされる恐れもある。詰将棋の達人の藤井でさえ、安全策を取ったくらいだから、金を2枚渡してしまうとかなり怖い。
逆に、4四銀に対して先手が無理に攻めて駒を渡すと、先手玉は即詰みになる。投了の判断は自然だろう。どうも、佐々木は投了が潔い気がする。無理に粘って手数を伸ばすことがない。
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AI評価値の推移グラフは上図の通りで、真っ直ぐ緩やかに右下に向かう線。直線バージョンの藤井曲線か。
将棋の内容とは全く関係ないけど、初日のabama動画の聞き手の1人、可愛い脇田菜々子・女流初段がピンクのマスクをしてるのを見て、立会人の福崎文吾・九段がカメラ越しに「マスクを取ってみて」とか言ってた。
酔っ払いオヤジみたいな危ないノリで、ちょっとセクハラ&パワハラ気味だけど、脇田も福崎の性格はよく知ってるみたいで、にこやかに「コロナ明けなんで」とか返答。その後、1秒くらい、妙な間(ま)が開いたのが個人的に笑えた♪ 脇田の鮮やかな1本勝ち。
2人の次の対局は、7月18日の棋聖戦・第4局。移動もあるから、非常に忙しい日程だけど、この2人なら大丈夫だろう。なお、今週はPCトラブルとジムで時間を取られたので、計12373字で少なめに終了。ではまた来週。。☆彡
(計 2225字)
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