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佐々木大地七段が最後も潔い投了、藤井聡太七冠が王位防衛でいよいよ八冠へ~2023王位戦・第5局(最終局)

2023年、藤井聡太・七冠vs佐々木大地・七段の棋聖戦&王位戦、12番勝負。結局、棋聖戦3勝1敗、王位戦4勝1敗、計7勝2敗で藤井七冠がタイトル2つを防衛した。

  

一番、心に残ったのは、佐々木七段の投了の潔さ♪ こんなに潔い投了を連発する棋士は初めて見た気がする。最後の「伊藤園お~いお茶杯」王位戦第5局も、アマチュアなら絶対にここでは投げないだろうし、プロでもあと2手は指すと思う。珍しく、その辺りから解説&感想を始めてみよう。

  

    

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上図は、先手の藤井王位の95手目、8三飛成で金を取った局面。ここで後手の佐々木七段はあっさり投了。私は外出中にスマホでabema動画をチラ見してたけど、すぐ投げるとは思ってなかったから、頭を下げた瞬間の数秒だけ見逃してしまった。

   

後手としては、馬と龍で先手の玉に迫ってたのだから、一番フツーなのは6九馬だと思う。先手が8八玉と逃げた後、2四龍で自玉を少し安全にしつつ、先手にプレッシャーをかけると。藤井も残り時間8分だったから、粘られたら間違えてたかも知れない。藤井の竜が7筋とかにズレると、守りに効かなくなる。

    

ただ、たとえ後手の玉が右や上に逃げても、基本的には負け。龍を取られるとか、4五銀や1六金とかで入玉を阻止されるとか。2四龍の直後、5二と、3二玉、4二とで、変化は多いけど即詰みなのかも。いざとなったら、8五に龍を引く筋もある。

    

とにかく、佐々木大地の投げっぷりの良さは、私にとって好印象だった♪ 本人の考えや説明はともかく、藤井七冠や将棋そのものへのリスペクトを感じるし、良い意味でのプライドも感じたのだ。

  

ちなみにこの辺り、藤井はほとんど考えてない。持ち時間が残り少なかったという事情もあるけど、しばらく前に読み切ってたのだと思う。自玉はまだ安全、相手玉はほぼ受け無しだと。そして、佐々木もそのことを理解してたと。。

    

    

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では、序盤に戻って、まずは戦型から。後手の佐々木七段が、横歩取り戦法へと誘導。先手の藤井七冠が素直に応じて、3四飛と横歩を取った後、後手は普通に3三角の形を選択。

  

ただ、上図の先手21手目、3八金の局面は既にかなり珍しい。後手が元気よく2六歩と垂らして来たから、堅く受けたと。公式棋譜サイトより。

  

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その後、後手から角を交換した後、お互いに飛車を反対側に回って、相向かい飛車の形に。上は37手目、先手8五飛の局面。

  

多分、アマチュアの普通の将棋好きなら、この後、先手の8三角打ちが頭に浮かぶと思う。7一金なら5六角成で、次の8三歩成を狙うと。いかにも筋が悪い感じもあるけど、分かりやすい攻め。もちろん、藤井七冠は後でもっと筋のいい角打ちを見せてくれた。

    

   

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上は後手の封じ手、46手目、1四角。2時間04分の大長考の末に、思い切った攻撃を選択。アベマの解説では、4七角と受けつつ8三を狙うのが普通だろうというような話だったけど、藤井は1時間03分の長考で、AIの最善手である4七銀を選択。後手はかまわず、3五歩から攻撃続行。先手の端歩攻撃に対しても、角の筋はキープして先手玉を狙う。

    

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上は先手・藤井の攻防の角打ち、53手目、5六角。後で5五歩から取られてしまうのは覚悟の上。ちなみに9七の歩が赤っぽくなってるのは単なる私のミス。この辺りまで、AI評価値(期待勝率)はほぼ互角だった。

   

評価に差がついたのは、この後。7四歩、7五歩、5四歩、7四歩、7六歩、8五桂、5五歩、8三歩成と進んで、それを佐々木が同金と取った辺り。といっても、まだ10%くらいの差だった。

   

    

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そして、上が後手の68手目、3五金の進撃。ここは先手がかなり怖い局面だけど、藤井はすっと玉を上げた。5七玉で角道から玉を逸らしたのはいいとして、6八玉ではない所が凄い。

  

後手の佐々木は、2七歩成から猛攻。角も捨てて龍を作った。ここで解説者の勝又清和七段は悩んでたけど、藤井はAIの候補手に入ってなかった2四歩の待ち伏せ。AIの最善手は、5三とが基本だったと思う(刻々と変化)。

     

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この77手目、後手が龍で取ってくれれば1手稼げるけど、たぶん取らずに攻撃して来るはず。だから2四歩は緩い悪手かと思ったら、AIも慌てて計算し直して、そこそこ評価してた。藤井の評価は少し下がっただけで、65vs35くらい。まだ藤井が有利。

    

正直、私の目には、互角か佐々木やや有利くらいに見えてた。先手の受けが分からなかったからだけど、実は先手玉はこの後、スルスルと左に逃げて行く。

  

一度、5七に上がったのに、6八、7九と左へ早逃げするのだ。といっても、7六歩が待ち構えてるから、安全地帯ではない。ちなみに佐々木にとっては、2四歩は意表を突く手だったようで、次の3六銀を指すまで1時間36分も苦悩してた。素直に感情を顔や仕草に出す辺りも、好感持てる♪ 藤井より分かりやすいかも。

    

   

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その後は藤井がスルスルと玉を逃げて、手堅く銀も1枚受けに使って、佐々木を潔い投了へと追い込んだ。この記事の冒頭を参照。評価値の推移グラフは下の通り。

   

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2四歩の辺りで一度、グラフは下に落ちてるけど、その後すぐに右上がりに反転。少し長めに見れば、2四歩は「AI超え」の好手だったのかも。

    

とにかく、これでいよいよ王座戦で夢の八冠に挑戦することになった。こうなったらもう、ストレートで決めて欲しいもの♪ 永瀬拓矢・王座との第1局は、8月31日。1日制のタイトル戦だから、見る方は楽だ♪ ではまた。。☆彡

    

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