3年連続中止の数学甲子園の2019年・予選問題、2つのAIに解かせると大苦戦(ChatGPT4、Wolfram Alpha)
コロナ禍に加えて、参加者の不正行為事件があったとはいえ、数学甲子園が3年連続で中止されたのは残念だった。しかも、前の2年と違って、今年(2022年)は公式サイトに何のアナウンスも出てない。
大声を出すし、身体の接触もある野球の甲子園でさえ、今年は普通に開催されてたのに、どうしたことか? 晴れ舞台への挑戦が消えてしまった高校生の皆さんは、気の毒だと思う。まあ、昔は大会が無かったし、数学の甲子園なんて考えもしなかっただろうけど。。
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このブログでは2019年まで毎年、数学甲子園について、詳しくて具体的な記事をアップして来た。単なるニュースのまとめや感想ではなくて、多くの問題について解き方を説明。途中の計算式もある程度は載せてた。
このまま忘れ去るのも残念なので、今年は3年ぶりに記事を書いてみよう。もちろん、大会は無かったから、直近の2019年の予選問題について。この年は、予選で4本のブログ記事を書いてた。
今年わざわざ新たに書き足すのなら、やっぱり話題のAIを使うべき。ChatGPTのmodel4(有料サブスク・バージョン)と、しばらく使ってなかった Wofram Alpha(ウルフラム・アルファ)。どちらも米国製という辺り、日本人としては淋しい感もある。
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ではまず、予選の問題1。当時のウチの記事2本目からコピペする。
問題1 次の式を因数分解しなさい。
a²(c-b)+b²(a-c)+c²(b-a)
明らかに簡単な問題で、高校1年の教科書レベル。予選の最初だから、ウォーミング・アップ用だろう。
AIにとっても簡単だろうと思ったら、そうでもなかった。まず、ChatGPT4の回答。
最初の式の展開で、いきなり大きく計算ミス。一応、最後まで見ておこう。
なぜか、カッコの左側のcが消えてる。おそらく、「・・・=0」の形の方程式の処理と混同して、両辺をcで割ったのだろう。初心者の高校生がやるようなミスで、私も最初はこんなミスをやってた気がする。
それより、そもそも最後の答らしき式が、因数分解とは言いにくい。先頭にマイナスをくくり出してるから、-1を因数と考えてるのか♪ あるいは、消してしまったcも考慮して、先頭が-cだと考えてるのか。
私はこの後、何度もやり取りして、AIに教えたけど、正解に行き着くまで大変だった。とにかく、簡単で単純な計算ミスが非常に多い。
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一方、以前からあった数学中心のAI、ウルフラム・アルファなら簡単に解くかと思ったら、どうも自然言語の処理が全くレベルアップしてないようだ。
「自然言語」入力すると、因数分解だと理解できてない。「数学入力」でも、元の問題文のままだと理解できず。
公式サイトのトップに挙げられてるサンプル通りのたずね方に直すと、ようやく正答。キレイな輪環形になった。ただし、途中の説明はない(無料だと)。有料だと一応、途中の説明もあるらしいけど、対話型AIほどの会話能力はなさそう(未確認)。
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続いて、問題2。循環小数を既約分数で表す。これも、全体的に奇妙なほど難しかった2019年の問題の中では、明らかに簡単。
数学定数の1つにネイピア数eがあり、その値は e=2.718281828459 と無限に続きます。eを近似する循環小数2.718281828・・・を既約分数で表しなさい。
これは、元の問題文だと、数字の上の小さい丸点で循環部を示してるので、少し補足してChatGPT4に聞いてみた。
この問題では、循環する部分を分けて考えない方が簡単だけど、それは良しとしとこう。ハッキリ間違ってるのは、循環部分を0.1828としたこと。正しくは、0.01828だ。最後まで見ておこう。非循環部分を計算して、循環部分と通分して足し合わせた後、分母・分子を約分。
これは、通分で間違えてる。分母の9999が、いつの間にか10000になってるのだ。近似値の計算方法と混同してるのかも。最後に出した答を小数に直せば、誤答だと分かったはずだけど、その検算の作業もなし。
一方、ウルフラム・アルファは、問題を理解できなかった。単なる「約分」という単語として認識してるらしい。かなり簡単に言い換えたつもりだけど、まだ私の問い方が不親切なのかも。サンプルには類題が見当たらず。
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最後に、問題20。4年前に書いた4本目の記事よりコピペ。これも簡単な問題を選んだけど、2つの放物線の共通接線を求める問題は、解き方によって所要時間が大きく違って来る。
f(x)=(1/2)x²、g(x)=x²+2xー7とします。曲線y=f(x)上の点(a,f(a))におけるy=f(x)の接線と、曲線y=g(x)上の点(b,g(b))におけるy=g(x)の接線が一致しました。このような接線の方程式をすべて求めなさい。
これは、それぞれの接線の式を書いて、それらが完全に一致すると考える解き方で、正しいけど、遅くて面倒で下手。それはいいとして、この後が笑えた♪
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途中で止めてしまってる。面倒だったのではなく、人間の勉強の手助けをしてるつもりだろうけど、ここから続けろと言われても、鉛筆が止まってしまう高校生・受験生が多いはず。大学生でもあまり変わらないと思う。
とにかく、「私ではなく、あなたがその先に進んで、最後の答を出してください」と入力すると、次のように続けて来た。
計算を間違えてるし、ルートの書き方がブレて変になってるので、以下はもう省略しよう。-b・(2b+2)の展開で間違えてしまってる。正しく計算すれば、(a,b)=(4,-8),(-8,32)になってたはず。
最後に、より良い解き方を教えると、「おっしゃるとおり・・・・・・ありがとうございます」と丁重に長く回答。日本語の文章の滑らかさだけは、多くの人間を超えるレベルで素晴らしい。
なお、ウルフラムは、この問題も日本語の意味が伝わらないようだった。英語では試してないけど、どうもここ数年、サイトのデザインも(ほとんど)変わってないようだから、調べる気がしない。開発競争で取り残されてるのかも(個人の感想♪)。
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というわけで、高校数学に関しては、対話型でもそうでなくても、AIの能力はまだまだ不足してる。上で解かせた3問は、数学甲子園の予選20問の中でも簡単な問題だから、難しい問題はもう無理だろう(未確認)。
しかし、非常に進歩のスピードが速いのがAIの特徴。多くの人間が、数学でAIにかなわなくなるのは、もう時間の問題だと思う。遅くても5年後くらい、早ければ3年以内か。それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 2740字)
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