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結び目理論の指紋、アレクサンダー多項式と交点の数、領域、行列式の計算方法、べきと符号の正規化~NHK『笑わない数学2』第4回

最近、以前の『笑わない数学』記事へのアクセスが少し増えてるのは気づいてたが、再放送に続いて、第2シリーズが開始されてるのは知らなかった。

  

たまたま一昨日(水曜)の夜、動画配信の終了間際に発見したので、録画もせずに視聴。本放送から1週間以上も経ってるが、面白かったので、補足的で具体的な記事を書いとこう。番組でスルーしてる事や計算方法を示す。

   

静止画キャプチャーしか持ってないし、アップルペンシルも無い状態でのiPad入力だから、かなり不自由だが、過去の長い経験上、同種のレビューはほとんど無いと思う。

   

   

    ☆   ☆   ☆

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さて、19世紀に結び目が注目されたのは原子論の流れによるものだったらしい(私は未確認)。そこは番組でも最初に少し触れただけだし、今回はスルーしておく。

   

数学の結び目理論では、結ばれた双方の線の両端をつないで考えるようで、イメージ的には、複雑に絡まった輪っかみたいなものが対象。

  

その結び目は何種類あるのか? ピーター・テイトは、交点の数で場合分けして、しらみつぶしに調べたそうだ。    

 

   

    ☆   ☆   ☆

まず、交点が1個の場合。つまり、「十」字型(縦線が上側)が1個だけの時、その十字の端の点は4コだから、それがどう繋がってるかを考えると、単純計算なら3通りになる。

  

高校1年の数学の場合の数によると、4コから2コ取り出す組み合わせの数は、4×3/2×1=6通り。残りの2コの組み合わせはもう1通りしかない。よって、6×1=6(通り)・・というのが、ありがちな誤答。

   

このままだと重複が含まれてしまう。例えば、a、b、c、dの4個から、先にaとbの組み合わせを取り出すのと、先にcとdの組み合わせを取り出すのは、結局、同じこと。この重複を消すには、2で割ればいい。

  

 ∴ (4×3/2×1)/2=3(通り) 

     

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ただし、上図の右端だと、実際には交点が2コで、紐(ひも)も2本に分かれてる。つまり、結果的には二重の意味で不適当。

   

上図の左と真ん中は、実際には結び目になってない。結局、上の3通りはどれも不適当だから、交点1個の結び目はゼロ。

   

    

     ☆   ☆   ☆

次に、交点が2個の場合。十字型の端の点は合計8コあるから、どの2コがつながって4組を作るのか、先ほどと同じように考えて重複も消すと、

  

{(8×7/2)×(6×5/2)×(4×3/2)}/(4×3×2)

=28×15×6/24=105(通り)

   

これらもすべて不適当らしい。つまり、交点2個の結び目もゼロ。

   

 

続いて、交点が3個の場合。上の計算式と答を利用すると、少し簡単になる。

  

{(12×11/2)×(10×9/2)×(8×7/2)×(6×5/2)×(4×3/2)}/(6×5×4×3×2)

=(66×45/30)×105=10395(通り)

  

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    ☆   ☆   ☆

というわけで、交点7個以下の結び目を調べると、下のようになるらしい。非常に少ない。

    

ただし、右下にやたら小さい文字で書いてるように、「鏡像は除く」。例えば、交点3個の場合も、左右が逆の鏡像を別扱いするなら、2通りになる。それはテレビの映像でも出てた。

   

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しかし、そうした区別は本当に正しいのか? 結び目の「指紋」みたいな明確なものを探す作業の中で、最初に見つかったのが、アレクサンダー多項式。ちなみに、アレ「キ」サンダーと書いてる場合もある。

   

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上図は、交点3個の場合の考え方。ひもで区切られた領域3個を選んで、交点との関係を式にして行く。例えば、領域1は交点1をくぐる前の左だから、表の左上(領域1、交点1のマス目)には、−tと記入。領域の選び方については、この記事の最後にあらためて触れる。

  

出来上がった表を「行列」と考えて、「行列式」を計算する。といっても、しばらく前から高校数学で行列の内容が無くなって、つい最近、控えめに復活したばかりらしいから、何の事か分からない視聴者も少なくないはず。

  

要点だけなら、中学生でも分かる。上下に3行、左右に3列、数や文字式が並んでる時、下のように計算するのが行列式で、detと書いたりする。

   

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上図で、行列のどこがどの式に対応するのか、色分けして示してある。3行3列の行列や、2行2列の行列は、すぐに計算可能。とにかく、t^2−t+1。これがアレクサンダー多項式。

  

    

     ☆   ☆   ☆

では、下のような交点5個の結び目だと、どうなるか? 番組的には、実はさっきの交点3個の結び目と同じだと説明してた。

       

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ただし、上図の右下に注意! 「tのべきと符号について正規化」と書いてある。

  

まず、普通に計算すると、下のようになる。大学1年の基本問題レベル。まず、1行目に4行目を加えることで、1行目を簡単にする。次に、4行目と5行目に対して、1行目の−1倍を加えて簡単にする。行についての基本変形の1つで、行列式は変化せず、同じまま。

   

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以下の計算は、行についての余因子展開とか呼ばれてる計算法で、要するに、5行5列の行列を、3行3列まで小さくしていく方法。あちこちに説明はあるので、ここでは数式変形を示すだけにしとこう。

    

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231103k

   

とにかく答は、−t^3+t^2−t。この式のtの次数を1ずつ下げて、さらに符号のプラス・マイナスを反転すると、t^2−t+1。

  

結局、交点3個の時のアレクサンダー多項式と一致するから、同じ結び目だと判断できる。上の、次数を下げたり符号を変えたりする操作のことを、テレビ画面の右下で「tのべきと符号について正規化」と書いてたのだ。

    

ちなみに、正規化という言葉は、状況によって色んな意味になる。要するに、その場で標準的な形にすること。

   

   

    ☆   ☆   ☆

実は、多項式を計算しなくても、上の例は交点3個の時と同じだと分かる。交点1と交点4は無意味な交点で、少しヒモを左右に引っ張れば消えてしまうから。

    

頭の中だけでもイメージできるが、下のように本当にひもを用意して、少しずつ変形すると分かりやすい。ライデマイスター移動と平面上の連続変形とか呼ばれてる。

    

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231103m

   

上で交点3個になってる。ここでさらに、上側で曲がってる部分を下側にパタッと折り返して180回転すれば、交点3個の結び目の分かりやすい形になるのだ。

   

231103n

   

   

      ☆   ☆   ☆

では最後に、アレクサンダー多項式を導く前の、領域の選び方について補足しよう。下では、領域2の選び方が番組と違ってる。

   

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上のように普通に計算すると、多項式は、−t^2+t−1。つまり、元の式と符号が逆転する。

  

このように、領域の選び方によって、tの次数や符号が変化するが、それを除けば、領域をどう選んでも同じ多項式になるらしい。証明はネット上にあったが、難しいのでとりあえずスルーした。

   

   

     ☆   ☆   ☆

というわけで、番組の序盤だけでも、かなりの内容が含まれてた。一般視聴者向けの番組として、非常に上手くまとめてたと思う。難し過ぎるジョーンズ多項式、HOMFLYPT多項式、コンツェビッチ不変量については、具体的な説明はスルーしてた。

   

私もそこはスルーしとこう。それでは今日はこの辺で。。☆彡

     

      (計 2859字)

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