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ケプラー予想の前に平面充填問題、どんな四角形でも平面を埋め尽くせることの幾何学的証明~NHK『笑わない数学2』第6回

第4回でようやく気付いた、NHK『笑わない数学』第2シリーズ。第5回「超越数」についての記事を書こうとして準備してる間に、早くも第6回「ケプラー予想」が放送されてしまった。こっちもマニアックな記事を書きにくい内容だけど、超越数よりはマシだから、ケプラー予想「関連」で書いとこう。

  

ちなみに、第4回のマニアックな記事には地味なアクセスが続いてる。テレビで省略されてる具体的な計算や説明を、高校・大学レベルくらいで色々と解説しておいた。単なる番組のまとめではない。

     

 結び目理論の指紋、アレクサンダー多項式と交点の数、領域、行列式の計算方法、べきと符号の正規化~NHK『笑わない数学2』第4回

   

  

      ☆   ☆   ☆

さて、ケプラー予想というのは、空間に同じ大きさの球をできる限り多く詰め込む問題の答の予想で、だれでも思いつく内容だった。

    

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「空間に球を詰め込むとき この方法が密度が最も大きくなるはずだ」。「はずだ」の所だけ、文字が小さくなってる。単なる予想だから、「はずだ」は無くてもいいはずだ♪

    

この方法とは、まず平面上に球をびっしり詰め込んで(上の写真、一番下の緑の球)、その上のくぼみに、次の層の球を詰め込むやり方(黄色の球)。

  

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たぶん、平面的な並べ方が「稠密(ちゅうみつ)六方格子」で、上下の組み合わせ方が「面心立方格子」だろうと想像する。画面の右下に、その種の細かくて重要な数学的言葉・説明が添えられてるから、本気で見る時には注意が必要。

   

このやり方がベストだという事は、20世紀末になってようやく、コンピューターとソフト(プログラム)を用いて証明されたらしい。といっても、コンピューターとソフトの信頼性が問題だが、今ではみんな認めてるそうだ。

    

ちなみに私は、コンピューターやソフト、アプリをどの程度まで、どんな理由で信頼すべきなのか、非常に大きな問題だと考えてる。数学者の多くが認めてるから、というような説明は、あまり「数学的」ではなく、社会的なものだ。社会的なもの「にすぎない」とまでは言わないにせよ。

   

    

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とにかく、そのコンピューターとソフトを用いた証明の中身については、番組で語られてない。その代わり、ケプラー予想に関わる別の内容が多数、紹介されてた。

  

3次元の空間より、2次元の平面の方が、わりと簡単で分かりやすい。といっても、平面でも十分過ぎるほど難しいのも確か。

  

ここでは、1つの形の図形で平面全体を埋め尽くす「平面充填問題」を扱う。この言葉は正確に言うと、「平面を充填する問題」。それに対して、「円充填問題」という言葉は、「円で平面を充填する問題」のこと。紛らわしい用語法だと思う。

       

図形は裏返してもよいというルールらしいけど、三角形なら、裏返さずに、すぐ平面を埋め尽くせる。180度回転して、2つの三角形をつなげば、平行四辺形になるから、それを上下左右にぴったり並べて行けばいい。証明は省略。

   

  

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適度な難しさなのは、四角形の場合だろう。番組では、2つの組合せで「平行六辺形」ができると指摘した後、実際に平面を埋め尽くす画像を示して終了だった。

   

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以下では、中学の数学のレベルで、どんな四角形でも平面充填可能であることを証明する。

   

ただし、テレビ画面の右下に小さな注意書きが映されてたように、普通の「凸」四角形に限る。へこみ、くぼみのある「凹」角形は別の話で、直感的に、ほとんどの場合に無理のような気がする(未確認)。

   

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上図は、元の四角形ABCDに、180度回転した四角形EFDCをつないだ様子。まず、錯覚(角c)が等しいから、DFとBCは平行。また、錯覚(角d)が等しいから、ADとCEも平行。

   

さらに、ABとFEについても考える。上図のように、それぞれの辺を延長して、直線CDとの交点をH、Gとする。まず、三角形GBCに注目すると、角BGC=180°-b-c。また、三角形HFDに注目すると、角FHD=180°-b-c。よって、錯覚が等しいので、GBとHFは平行。よって、ABとFEも平行。

   

従って、六角形ABCEFDは平行六辺形である。どことどこが平行なのか、図に3種類の矢印を書き加えておこう。1本矢印の2辺、2本矢印の2辺、3本矢印の2辺が、それぞれ平行。もちろん、長さも同じ(180度回転しただけだから)。

    

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次に、その平行六辺形を横に2つ、つないでみる。少し傾いてるのは、テレビ画面を回転させずに利用してるから。

     

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上図のように、上側の中央のくぼみの角は、360°-a-bになる。ということは、c+dと一致。なぜなら、四角形の内角の和(a+b+c+d)は360°だから。

  

よって、上側のくぼみに、もう1つの平行六辺形をピッタリ挿入できる。辺の長さの一致については、簡単なので説明省略。

    

   

     ☆   ☆   ☆

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続いて、上図の右上のくぼみについて。大きさは、360°-a-c-dだから、bと一致する。よって、右上に4つ目の平行六辺形をピッタリ挿入できる。

   

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上図の左上のくぼみの角は、360°-b-c-dだから、aと一致。よって、左上にも5つ目の平行六辺形をぴったり接続可能。上図の右下のくぼみの角も、同じくaと一致だから、6つ目の平行六辺形をぴったり接続可能。  

   

以下、同様。したがって、平面は任意の凸四角形で充填可能である。証明終。Q.E.D.

 

   

     ☆   ☆   ☆

なお、平面充填可能な凸六角形には3つのタイプがあって、平行六辺形は「タイプ1」だと説明されてた。

  

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念のため、条件をみたしていることを確認してみよう。上図で、a=d(ここでは角ではなく、辺の長さ)は明らか。

  

また、角A+角B+角C=(六角形の内角の和の半分)=(6-2)×180°÷2=360°。

  

よって、確かに平行六辺形は上図のタイプ1に含まれる。というわけで、今日の所はこの辺で。。☆彡

   

      (計 2401字)

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