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1+2+3+4+・・・=-1/12、オイラーの数式とラマヌジャン総和法による「証明」~NHK『笑わない数学2』第7回

まだ11月22日の『フェルマーの最終定理』(再放送)について考えてる途中だけど、とりあえず昨日(2023年11月29日)の放送について記事をアップしとこう。

       

NHK『笑わない数学』第2シリーズ・第7回、「1+2+3+4+・・・=-1/12」。明らかに「釣り」的なタイトルで、内容も際どかったけど、いろんな意味で面白かった。

    

例えば、情報バラエティとはいえ、国営放送の数学番組で堂々と、こんな怪しげで妖しげな数式を前面に出すところとか。しかも、本当はおかしいという点は、パンサー尾形の絶叫の繰り返しを除くと、学問的に強調されてなかった。右下に小さな文字の注意書きが一瞬、1回ほど出ただけ。

   

   

    ☆   ☆   ☆

おそらく、かなりの視聴者は結局、この式と数学・物理学との関係がよく分からなかったと思う。要するに、現代の普通の数学ではもちろん、間違い、あるいは、正しくない。

    

ただ、拡張された変則的な数学、独自の理論としては、昔から今に至るまである。それが、最先端の物理学のごく一部ともつながってるということ。別に、物理学的に証明された数式ということでもないし、ごく一部の天才数学者だけが理解した真実というわけでもない。

   

そもそも、「超越数」の回で繰り返し使った「背理法」(矛盾法)の論理を使えば、オイラーは微妙としても、ラマヌジャンは正しくないと証明できるのだ。

  

 ラマヌジャンが正しいと仮定する。

 すると、1+2+3+4+・・・=-1/12。

 しかし、これは、左辺がプラス(正)であることと矛盾する。

 よって、ラマヌジャンは正しくない。

          (Q.E.D. 証明終了)

    

ちなみにこれは、もし背理法の論理を使えば、の話に過ぎない。背理法が正しいかどうか、使うべきかどうかは、また別のハイレベルな難問なので、念のため。数学の教科書に書いてあるとか、数学者が使ってるとか認めてるとか、そういった普通のレベルの話には留まらない、高度な次元の議論になる。

       

     

      ☆   ☆   ☆

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ここでは、天才数学者オイラーの拡張理論から始めてみよう。上の公式は、高校数学でも「中の上」程度のもので、難関大学の受験生の多くは、「等差×等比」の数列の和だと分かるはず。

  

公差1の等差数列「1,2,3,4,・・・」と、公比xの等比数列「1,x,x^2,x^3,・・・」の対応する項同士を掛け合わせた形。この場合,まず左辺の第n項までの部分和をSnとした後、公比xをかけたxSnを右に1つズラして下に書く。

  

辺々を引き算すると,

(1−x)Sn = 1+x+x^2+・・・+x^(n-1) − nx^n

       =(1−x^n)/(1−x)−nx^n

     

 nが限りなく大きくなる時もし-1<x<1なら、右辺のx^nの項2つはゼロに収束するから(右端の極限は有名問題)、

(1−x)Sn = 1/(1−x)

 ∴  Sn = 1/(1−x)^2  (正確には、n→∞における極限 lim)

   

    

    ☆   ☆   ☆ 

その話を、x=−1の時まで強引に拡張したのが「オイラーの数式」と呼ばれてたもの。

 1−2+3−4+・・・= 1/{1−(−1)}^2

                                 = 1/4

    

この少し前,画面の下側に小さく,「オイラーの考え方は『解析接続』を先取りしたものとされる」という注意書きが出てた。こう書くとまるで、先取りした正しい考えのようにも聞こえてしまう。

   

そうではなく,本質的にはあくまで,条件となる範囲に入ってないxの時まで、無理やり公式を当てはめたということ。あくまで左辺は、発散する無限級数であって、1/4という値に収束するとは言えない。

    

   

     ☆   ☆   ☆

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ただ、そのオイラーの数式が仮に正しいとして、さらに、1+2+3+4+・・・=A(1つの値)と書けるとするなら、A−4Aを計算すると、A=1+2+3+4+・・・= −1/12が導かれる。

  

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ここで一瞬だけ映された右下の小さい注意書きが頭に入った視聴者は、かなり少ないはず。「※ 実際には1+2+3+4+・・・は発散するので 和の存在を前提とする議論は正確ではない」。

    

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      ☆   ☆   ☆

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番組的には,この後で登場したのが,映画『奇蹟がくれた数式』(KADOKAWA)でもお馴染みのインドの天才数学者,ラマヌジャン。上の予告編動画からのキャプチャー画像、右端の若者。このブログでも以前、違う話で触れたことがある。若くして亡くなった上に、差別とも闘ったらしいから、伝記的な物語の主人公には相応しい。

     

ちなみにこの日本語のタイトルは,英語の原題(『The Man Who Knew Infinity』、無限を知っていた男)とは全く違う文芸的な表現で、おそらく、先に大ヒットしてた小川洋子の『博士が愛した数式』を意識してるはず。

    

それはともかく,英語版ウィキペディアを見ると,上の怪しげな引き算は、ラマヌジャンの最初のノートにも書かれてたらしい。ただし、それは単に気づきを与えてくれる発見法的なもの(heuristics)であって、厳密な数学的証明として書いたのではない。

   

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    ☆   ☆   ☆

怪しげな−1/12の式は、ラマヌジャンが英国でお世話になった数学者ハーディへの手紙にも書かれてた。これもあくまで,数学者の気を引くための釣りみたいなネタ。自虐的に、精神病院行きだと思われるとか書いてた。

   

番組では出典を明示してなかったけど、この手紙(の写真?)はハーディがいたケンブリッジ大学が所蔵してるらしい。下は、WIREDの記事より孫引き。左下あたりに、理論抜きで、数式がポツンと挿入されてる。

  

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では、省略された理論とは何だったのか? それは,ラマヌジャン総和法とか訳されてる独自の理論だったらしい。これもまた、別に正しい新発見というわけでもなくて、ハーディも使い方に注意するよう、アドバイスしてたとの事。

   

   

     ☆   ☆   ☆

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上の式は難しそうに見えるけど、ここでの適用だけなら簡単。f(x)=xとすればいいから、f(0)=0。また、2回以上の微分(導関数)はゼロだから、右端のシグマの中身はほとんどゼロで、残るのはk=1の時だけ。Bnはベルヌーイ数で、B2=1/6。

  

式の右端に残るfの1回微分は定数1だから、結局、

 (左辺の無限級数)″ = (−1/2)×0−{(1/6)/2!}×1

           =−1/12

    

ただし、パンサー尾形も叫んでたように、左辺には「引用符」が付けられてる。要するに、「1+2+3+4+・・・と似て非なるもの」独自の微妙な理論に当てはめて計算すると−1/12になるということ。

   

たぶん、このような冷静で厳密な語り口がラマヌジャンの情熱や発想に向けられた時、本人も含めて一部の人間には、差別とかイジメ、偏見みたいに見えたんだろうと想像する。そういった部分もかなりあっただろう、という意味なので、念のため。

    

一般社会は、ひらめき型の天才をイメージ的に好んで絶賛・崇拝したがるけど、厳密な学問というのはひらめきだけでは済まない。「インドの魔術師」という呼び名は、そんな事情も踏まえたものだろう。

    

231130i

  

入力と準備に大変な時間を取られてしまったので、今日はそろそろこの辺で。。☆彡

   

    (計 2425字)   

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