宇宙船に乗った異星人はどこから地球に来たのか?、出身星を見分ける効率的な質問方法~2024年共通テスト・情報関係基礎・第2問
3週間遅れになってしまったが、2024年・共通テストの『情報関係基礎』についても記事を書いとこう。いつものように、国語と数学についてはすぐに記事をアップしてある。
公表データによると、受験者数は僅か124人。他にも、英語以外の外国語とか地学とか、奇妙なほど受験者が少ない科目は、問題作成者が気の毒になる。といっても、作成者の報酬や待遇に関しては、他の科目との差は無いだろう(未確認)。
来年、鳴り物入りの必修科目『情報 I 』が新たに登場するが、どの程度の受験者数になるのか、まだ予想しにくい。教科書を見る限り、科目内容は興味深くて、現代的かつ実用的だと思うが、大学側の反応はまだあまり好意的ではないように見える。これでは高校の授業でも軽視されてしまうから、先に大学が態度を変えるべきだろう。そうすれば、高校も受験生も変わるはず。
☆ ☆ ☆
では、本題に入ろう。今年は第1問の方が興味深い感もあるが、やはり特殊な問題を出す第2問に注目。要するに、統計学的なデータ分析で、理論的・計算的には簡単だが、変数やパラメーターが多くて文章が長いのがポイント。問題はいつものように、河合塾HPを経由して、大学入試センターから拝借した。
問1 上図の質問方法の場合、トウ星人には1人あたり1回、リク星人には1人あたり3回質問する。・・・アの答
「トウ星人ですか?」、「カイ星人ですか?」、「ホク星人ですか?」で3回。すべて「いいえ」がリク星人。
宇宙船Aの人にたずねたときは、トウ星人3人に合わせて3回、カイ星人2人に合わせて4回質問。・・・イの答
カイ星人1人あたり2回の質問(トウ星人ですか?、カイ星人ですか?)だから。
10人全員だと質問は22回。 1×3+2×2+3×(1+4)=22
宇宙船Cの10人への質問回数は、1×1+2×3+3×(2+4)=25回。・・・ウエの答
次に、こうした「順次法」の質問の順番を変える。1番目がトウ星人ですか?、2番目がリク星人ですか?、3番目がホク星人ですか?とたずねる場合、最初の順番と比べると、カイ星人1人あたりに質問する回数は1回多い。・・・オの答(選択肢4)
最初の順番だと2回、新たな順番だと3回だから。
表1の宇宙船Aの10人への合計回数は、 1×3+2×4+3×(2+1)=20回だから、
2回少ない。・・・カの答(選択肢1)
☆ ☆ ☆
問2 グループ法で表1の宇宙船Aの人に尋ねると、1人あたり常に2回だから、合計で20回。・・・キクの答
☆ ☆ ☆
問2(続き) 順次法で合計回数を最小にするには、出身者が多い星から順にたずねる。
宇宙船Aだと、リク星人ですか?、トウ星人ですか?、とたずねればよいから、
1×4+2×3+3×(2+1)=19回。・・・ケコの答
こうした最小にするたずね方だと、5隻のうち、合計が最小になるのは宇宙船D。・・・サの答(選択肢3)
要するに、10人の出身星が最も偏っている宇宙船ということ。
1×7+2×3=13回
さらに、順次法とグループ法の使い分けを考える。グループ法だと、1人あたり2回。
順次法だと、出身者が最も多い星は1回(つまりマイナス1回)になるが、出身者が3番目に多い星と最も少ない星では3回(つまりプラス1回)になってしまう。
よって、出身者が3番目に多い星の人数と出身者が最も少ない星の人数の合計が、出身者が最も多い星の人数より多い場合は、グループ法の方が効率的。・・・シスセの答(選択肢23(順不同)、選択肢0)
☆ ☆ ☆
問3 上の「二段法」の「前手順」で宇宙船Aを対象としたら、
X星はリク星(最も多い4人)、Y星はトウ星(2番目の3人)となる。・・・ソ、タの答(選択肢3、0)
☆ ☆ ☆
問3(続き) 上の表2において、二段法の前手順で宇宙船Bを対象とした場合、後手順のX星人はカイ星人だから、人数は合計で、2+3+7+6=18人。・・・チツの答
前手順で宇宙船B・D・Eを対象とした場合に合計回数が少ないのは、X星がカイ星となった(つまり最も人数の多い星となった)ことによる。・・・テの答(選択肢0)
前手順の対象がAの時とCの時を比べると、後手順のX星人は同数だが、合計回数はCの方が遥かに少ない。これは、後手順でY星人が多いから。言い換えると、Cの後手順でその他が少なかったことによる。・・・トの答(選択肢3)
Cの後手順でY星人が多いのは、Y星がカイ星となったため。・・・ナの答(選択肢2)
BよりEの方が合計回数が1だけ少ないのは、Eの方が後手順のX星人が1人だけ多いから。
ところで、(Bの後手順のX星人、18人)=(X星人(=カイ星人)全25人)-(Bの前手順のX星人7人)
(Eの後手順のX星人、19人)=(同上、25人)-(Eの前手順のX星人6人)
だから、言い換えると、Eの方が前手順でX星人が少なかったから。・・・ニの答(選択肢1)
☆ ☆ ☆
最後の設問は、消去法でもただ1つの選択肢に絞れるとはいえ、消去に時間を取られるし、いろんな意味でかなり分かりにくい。問題の文章自体、設問の流れ、解答群にいきなり「前手順」の人数に関する選択肢を並べている点。
最後に無理やり、ひねり過ぎた問いを設定して、トップクラスの受験生の差をつけることを狙った感じか。情報関係基礎の最高点が98点なのは、上のニで間違えたのではないかと想像する。
とはいえ、第2問の全体を見ると、風変わりな形で基本的な情報処理能力を求める労作ではある。というわけで、今日はそろそろこの辺で。。☆彡
(計 2297字)
| 固定リンク | 0
「数学」カテゴリの記事
- 積立預金2、今でも申し込める高島屋「スゴ積み」、実質年利15%の計算式と解説&今季ハーフ3本目、まずまず♪(2024.12.06)
- ヤマダデンキの幻の積立預金、実質年利18.5%(!)の計算式と解説&7kmラン&計14kmウォーク(2024.12.03)
- パズル「絵むすび」32、解き方とコツ、考え方(難易度4、ニコリ作、朝日新聞be、2024年11月9日)(2024.11.09)
- 中国アリババ世界数学コンテスト2023予選、火の玉のコントロール、球状閃電(球電:ball lightening)の問題と解説(2024.11.05)
- NOT回路(ゲート)、AND回路、OR回路を組み合わせた設計、論理回路の問題の解き方、考え方~ 高校『情報 Ⅰ 』(2024.11.02)
「教育」カテゴリの記事
- インドの摩訶不思議な「ヴェーダ数学」、100に近い2つの数の掛け算のやり方、明星学園の中学入試問題(算数)と一般的証明(2024.07.06)
- Mrs. GREEN APPLE の曲『コロンブス』のMV炎上、探検家の歴史的評価の変化と、山川出版社の現在の高校教科書『世界史探究』(2024.06.15)
- 2進法の計算、直接的な減法(引き算)と、コンピューター内部で「2の補数」を用いる減算 ~ 高校『情報Ⅰ』(2024.06.04)
- ChatGPT-4oが音声と画像認識を利用して家庭教師、三角関数(三角比)のsinを英語で教えるビデオ動画の解読(2024.05.18)
- 朝ドラ『虎に翼』で受験、昭和初期(戦前)の国家・高等試験問題とAIの解答〜司法科・選択科目「論理学」、繋辞(コプラ)の意義(2024.05.11)
「情報」カテゴリの記事
- NOT回路(ゲート)、AND回路、OR回路を組み合わせた設計、論理回路の問題の解き方、考え方~ 高校『情報 Ⅰ 』(2024.11.02)
- ps5.js Web Editor(Processing)のプログラミングでお絵描き、アニメーション作成~ 高校教科書『情報 II 』(東京書籍)(2024.08.22)
- 2進法の計算、直接的な減法(引き算)と、コンピューター内部で「2の補数」を用いる減算 ~ 高校『情報Ⅰ』(2024.06.04)
- デジタル画像の無駄な1ビットに、ひそかに文字を埋め込む暗号の作り方~2024年共通テスト・情報関係基礎・第1問・問3(2024.02.14)
- 宇宙船に乗った異星人はどこから地球に来たのか?、出身星を見分ける効率的な質問方法~2024年共通テスト・情報関係基礎・第2問(2024.02.03)
コメント