サブリース契約、2003年の最高裁判決で業者が強気に、12年アベノミクス金融緩和で一般人オーナー急増〜『正直不動産2』第9話
妻 パパがまずは一番になってほしいわよね♪
神木 分かった だったらパパも今月 会社で一番になる
だから翔太も パパと一緒に1位になろう
翔太 パパと一緒に?
神木 うん 約束だ いっぱい頑張れば 絶対1番になれる!
2人 指切りげんまん 嘘ついたら針千本飲ます 指切った♪
(ドラマ脚本 根本ノンジ)
☆ ☆ ☆
予想通り、死んだ息子との約束だったか。パパは1番になる。息子もママも死んでるから、今さら無理して1番になっても意味がない・・とフツーなら考える。しかし、パパ=神木(ディーン・フジオカ)はフツーの状態ではないのだ。
永瀬(山下智久)に負けて2番に落ちた時、ママと息子が消えた。でも、また1番になったら再会できた。これは、鵤社長(高橋克典)がホームレスの神木を口説き落とす時に使った説明なのかも。また1番になれば、必ずまた会える。
やや広い意味での妄想、おかしな考えというものは、程度の差はともかく、わりと多くの人が持ってると思う。例えば、全人口の5%とか。
☆ ☆ ☆
それに対して、幻覚は少ない。というより、幻覚が現れると現実の普通の社会生活を送りにくくなってしまう。悪化すると、周囲の力で閉じ込められることになる。それこそ、統合失調症の長期入院(日本で数十万人レベル)。最近は、患者を解放しようという動きが日本でも増えてるけど、実現はなかなか難しいと思う。家族でさえ、同居が難しいくらいだから。
神木の場合、妻と子どもの幻覚がたまに現れる以外、社会生活は問題なく送れてるから、強制的な入院はない。その代わり、あまりに悪どい営業をやってると、刑務所への入所ということになる。いずれにせよ、あまりに異常だと、社会から排除される。究極の社会的な排除が、死刑なのだ。
それに対して、究極の自発的な排除が、自殺。お遊びの賭けとはいえ、ゲームに負けてしまった神木は、自殺しそうになった。半ば、異常な営業手法。半ば、絶望的な自殺願望だろう。負けた自分には存在価値がない。。
☆ ☆ ☆
・・とか書いてると、また先週みたいに6000字近く行きそうだから、自制しよう♪ そもそも今週は既に月火水でかなり書いてるのだ。
その代わり、久々に映像の分析を入れてみる。まず、夜の事故現場らしき場所のシーン。
その代わり、久々に映像の分析を入れてみる。まず、夜の事故現場らしき場所のシーン。横断歩道の端の歩道に花を供えた神木は、妻と息子と再会。息子が喜んでくれるヒップホップ(笑)・・じゃなくてタップダンスを踊る神木。
そこへ1台の車がやって来る。神木のそばを通り過ぎると、妻と息子は消えてしまった。
といっても、上の情景は、神木の視点(2人は消えない)ではないし、周囲の第三者の視点(2人はもともと見えない)でもない。あくまで、テレビ視聴者向けの映像なのだ。もし実写なら、車は3回くらいは通過したはず。テイク・スリー、OK!って感じ。今回の演出は、川村泰祐。
☆ ☆ ☆
大部分の視聴者は、意識的にはこの車の効果が分からなかったはず。ただ、この「暗い」情景と赤い色(車のテールランプ)の組み合わせが無意識にインプットされる。
それは、即死の衝突で流れたはずの大量の血とつながるし、後になって、夜のミネルヴァ不動産のオフィス・シーンにも繋がるのだ。
「ほら そこにいる」。神木が幻覚を見る不気味なシーン。この暗い映像で、2人の唇が赤く輝いてる。明らかに技巧的な撮影(または編集)。特に、花澤(倉科カナ)の表情の映し方は凝ってた。
暗い中に赤いものがあると、エモーショナル(情動的)な効果を呼び起こす。夜の赤提灯ならポジティブな効果だけど、事故現場や幻覚シーンだと不安や恐怖につながって来る。
たまたま(?)昨日、集英社オンラインの記事がYahoo!に配信されて注目を集めてた。夜の暗い道や通路に、ポツンと赤い封筒が落ちてたら、それだけで不安になるはず。「この赤い封筒を決して拾ってはいけない」。
これも神木と同じく、死者への強い思いから置かれたもの・・ということになってる。まだ現地(中国や台湾)のサイトでは確認できてないけど、これであなたも毎晩、ホラー作品の主人公になれるはず♪ キャーーッ!・・・
☆ ☆ ☆
さて、今回の不動産ネタは、サブリース契約。物件のまた貸し。原作マンガだと、第121直と第122直。前回に続いて、今回もかなり原作とドラマは違ってた。
今までで最も違ってたと思う。おまけに、ドラマの脚本は、これまで原作に忠実だった根本ノンジ。もちろん、今季は続編だし、原作者や小学館(『セクシー田中さん』と同じ出版社)とのコミュニケーションは十分取れてるはず。
原作では、今回もハッピーエンドではない。困り果てた永瀬が最後に土下座すると、ミネルヴァ不動産の西岡の心が少し動いて、永瀬が依頼したオーナーに関しては解約となる。ただ、西岡は代わりに他のオーナーや住人を騙してるから、微妙な終わり方なのだ。永瀬も、自分の無力さを痛感。それを、石田(山崎努)が優しく慰める。
ドラマでは、ミネルヴァに騙されたオーナを永瀬らが集めて集団訴訟をアピールすることで、ミネルヴァが渋々と解約に応じたような流れになってた。勧善懲悪、正義のヒーローが敵を倒す。これが大衆的なテレビドラマのあらすじの王道なのだ♪
☆ ☆ ☆
ところで、そのサブリース契約というもの。日経で調べてみると、どうも元々は1980年代のアメリカまで遡るらしい。それが90年ごろのバブル期に、日本の業者同士の間で広まった。
すると、業者同士で契約を激しく争うことになる。そこに出て来たのが、2003年(平成15年)の最高裁判決。直前の高等裁判所の判決を破棄して、サブリース業者も借地借家法で守られることになった。
逆転判決の理由は、「建物の賃貸借契約であることが明らか」とされてる。
この最高裁の判例(その他)によって、業者はオーナーに対して、物件の賃料の減額(値下げ)を「請求」できることになった。ただし、実際に減額されるかどうかは別問題で、個々の状況に応じて決められる。
もちろん、借地借家法に「サブリース」という話は書かれてないし、業者が保護されるというような文言も入ってない。結局、法律そのものではなく、裁判官の人間的な解釈と判断で決まるのだ。その後は、社会が従うことになる。基本的、建前的には。
そして、一気に一般人オーナーに広がったのは、2012年からのアベノミクスと日銀の異次元の金融緩和によって。オーナーは融資を受けやすくなったし、銀行その他の金融機関も、少しでも高い金利を稼ぐために積極的にお金を貸したということらしい。それなりに調べてるけど、もうこの辺りで自粛しとこう。
☆ ☆ ☆
最後に、十影(板垣瑞稀)がゲーム感覚で大儲けして、高価なスーツや高級腕時計を買った後、大損したという暗号資産(仮想通貨)。
これは明らかに、最近のビットコインその他の暴騰を意識したドラマ脚本で、実はドラマの放送のわずか数時間後、本当に急落したのだ。十影の呪い♪
ところが、下落は一瞬だけ。すぐにリバウンドして、高値圏で粘ってる。仮想通貨の種類は非常に増えてるけど、ビットコインに関しては基本的に右上がりだと見てる。問題は、激しいアップダウンを我慢できるかどうか。精神的、経済的に。
あのエイベックス・松浦会長でさえ、我慢するのが大変らしい♪ それでも、売らないどころか、買い増しを続けてるあたり、只者じゃないのであった。それでは今日はこの辺で。。☆彡
cf. 「どこ向いてるんだ?」、タワマン大好きの永瀬財地(さいちん♪)〜『正直不動産2』第1話
写真と違うムービー(動画)の長所、全体の空間的・時間的つながり〜第2話・使用貸借契約と解除
もしも家族が仲良しなら、小さな家でも、おもちゃのピアノでも関係ない〜第3話・狭小住宅(ペンシルハウス)
テレビドラマの脚本と原作マンガの比較、共通点と違い〜第4話・賃貸保証会社と人の信用
偽善とは、表面的な善意から不幸な代償を生み出してしまう行為や意図〜第5話・フラット35
家賃滞納3ヶ月で明け渡し(強制退去)、法律(借地借家法・民法)の条文には明記されてないけど〜第6話
ノックスの探偵小説・十戒(英語)、犯人は物語の序盤に登場、探偵は犯人ではない〜第7話
浮き沈みの激しい不動産(ワンルーム・マンション)投資、始まりは80年代・バブル期〜第8話
(計 3450字)
| 固定リンク | 0
« 水平回転と垂直回転のジャイロ効果の違いなど、ChatGPT4に質問した回答(『魔改造の夜』)&11km、休養でもランペース♪ | トップページ | 「美人局」(つつもたせ)の語源・出典、中国・宋代『武林旧事』第6巻、AIによる翻訳と解釈(ChatGPT4、Google) »
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- 約100年前のライオン歯磨きPRのアニメ映画(北山清一郎・作画)、全体の流れ・ストーリーをNHKニュース映像から再構成(2024.05.09)
- 「一生幸せでいたいなら正直でいろ」(英語の諺 Let him that would be happy for ・・ be a honest man)〜『正直不動産2』最終回(2024.03.14)
- サブリース契約、2003年の最高裁判決で業者が強気に、12年アベノミクス金融緩和で一般人オーナー急増〜『正直不動産2』第9話(2024.03.07)
- ノックスの探偵小説・十戒(英語原文・原書)、犯人は物語の序盤に登場、探偵は犯人ではない〜『正直不動産2』第7話・契約の誘引(2024.02.22)
- テレビドラマの脚本と原作マンガの比較、共通点と違い〜『正直不動産2』第4話・賃貸保証会社と人の信用(2024.02.01)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 福岡・博多で77年間、自転車の流し屋台わらび餅、買ってもらうのがうれしい♪ ~ NHK『ドキュメント72時間』(2024.10.26)
- NHKスペシャル『ジャニー喜多川 "アイドル帝国"の実像』、スタートエンターテイメント出演再開の告知特番(2024.10.22)
- 『雲上を駆ける! 第39回・乗鞍ヒルクライム2024』(NBS長野放送)、YouTube動画で見た感想(2024.09.24)
- やす子24時間マラソンの2日目と「同じ道」を9時間で歩いて「検証」した YouTuber、実際は6割弱の距離(29km)を歩いただけ(2024.09.12)
- 直前の欠場、「パリ五輪は、まだ走れ!っていうメッセージ♪」~カンテレ『前田穂南が走れなかったオリンピック』(TVer動画)(2024.09.06)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 中山美穂54歳急死、浴槽の溺死(ヒートショック)の年齢別死亡者数(厚労省・人口動態調査と消費者庁の分析)&休養7km(2024.12.07)
- 紅白の初出場アーティスト、紅組だけ予習♪&レース後も休みなしで好調、14km走(2024.11.20)
- 山P=山下智久、あの小泉みゆきを渋谷でナンパ♪(『アルジャーノンに花束を』第4話)&荷物ウォーク・プチラン(2024.11.13)
- 国民民主党・玉木雄一郎の不倫相手とされる小泉みゆき39歳、10年ほど前までレースクイーン&私の体重もRQに接近?♪(2024.11.12)
- 「極悪女王」唐田えりか、数年間の試練に耐えて覚醒、いよいよ復活へ♪&7kmラン・8kmウォーク(2024.11.03)
コメント