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絶対に離れない手のつなぎ方、正義も真実も超えて、人間として「心中」へ・・~『Destiny』第1話~第4話

ここ数年はあまり書いてないけど、過去19年近くのブログ毎日更新で、多数のドラマレビューを書いて来た。その中で、4話までをまとめて短い感想記事にしたことはないはず。極端な手抜きだけど、時間が無い中、ちょっとだけでもコメントしときたくなった。

   

そもそも私は、第2話の冒頭までしか見てなかったから、視聴を止める前に2話の続きくらい見とこうか・・と思ってTVerにアクセスしたら、最新の第4話まで見てしまった。

    

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今季(2024年・春クール)の連続ドラマの中で、今現在、TVer動画のお気に入り数は110万でトップになってる。テレビ放送の世帯視聴率はここまでの平均で7.4%に留まってるけど、石原さとみが3年ぶりの主演復帰ということもあって、かなりの視聴者を惹きつけてるのは確か。

   

私の評価も、ここまで高い。単に面白いとか、石原が可愛いとかいうことだけじゃなくて、ベテラン脚本家・吉田紀子が緻密な物語を作り上げてるし、演出もドラマらしくていいと思う。1話・2話が新城毅彦、3話・4話が星野和成。

   

   

    ☆   ☆   ☆

このドラマが、脚本的にも演出的にも緻密に作られてる具体例として、第1話の前半、ドライブのシーンをまず見てみよう。

  

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明るく楽しい青春、男女5人の大学生のグループ交際(死語♪)。この時、車のハンドルを握って運転してるのは、カオリ(田中みな実)。隣の助手席にいるのは、真樹(まさき:亀梨和也)。

  

別にSNS向けの芸能ネタのサービスじゃなくて、この楽しさの絶頂シーンが、その後しばらくして、一気に暗転するのだ。2人で一緒に死のうとするカオリの暴走運転を、必死に止めようとする真樹。鮮明なコントラスト(対比)が出来てる。

  

上の映像をよく見ると、車の進行方向のすぐ先には、曲がりくねった急カーブの道が待ち受けてる。実際、数ヶ月後くらいにカオリはハンドルを切り損ねて(あるいは、思い通りにハンドルを操作して)、山道で事故死。真樹も重傷。5人の関係も大きくひび割れてしまった。

  

   

     ☆   ☆   ☆

そもそも、男2人と女3人という構成から、計算されてる。普通なら、現実でもドラマでも、男の方が多いはず。例えば、『野ブタ』や『たったひとつの恋』を思い出しても、そうなってた。

   

人数が多い側には、男女の関係で余ってしまう「かわいそうな」役割が1人、生じやすい。で、この『デスティニー』でも、余ったかおりだけがすぐに死んで消えてしまった。男女の人数の比から、既に計算されてた形に見える。

    

Googleで検索すると、「Destiny 意味」というフレーズの検索が多いらしい。日本語や日本文化の中だと、この英単語は、重い運命的つながりに使われる傾向が強い。ヒロイン・奏(かなで:石原)と真樹は、父親同士が命がけのライバル関係(検察官vs弁護士)。大学の法学部で出会ったのは、単なる偶然を超えた重いつながりを感じるから、デスティニーだろう。

  

ちなみに、同名のMy Little Loverの曲は、歌詞の最後が「涙が溢れること ずっとずっと知っていたのに」(作詞・小林武史)。ユーミン=松任谷由実の曲は、歌詞の最後が「むすばれぬ 悲しい Destiny」となってる。

      

    

     ☆   ☆   ☆

ここで思い出すのは、このドラマの主題歌『人間として』。最初に聴いた時は、イントロの弦楽器の音が綺麗だなと思ってたら、妙に明るくて華やかな調子のメロディーと歌声が続いて来て、驚いた。

   

作詞・作曲に椎名林檎という名前を見て、なるほど・・と納得。尖った独自路線のベテラン人気女性ミュージシャン。笑顔が溢れるミュージカルの喜劇みたいな感じの曲で、SNSでは視聴者の違和感のつぶやきが多いというようなネット記事も出てた。

   

そう言えばユーミンの曲も、歌詞や状況は暗い失恋なのに、わりと明るめのアップテンポのメロディーになってた。ドラマが描こうとしてるものが重すぎるから、椎名はあえて逆方向の路線で作ったんだと思う。重さを笑い飛ばすというか、歌声で叫び飛ばすというか。

    

『人間として』の歌詞を読むと、やはり「正義」と距離をおいて、ちょっとからかうようなノリになってる。「うるさい 黙っておれ」。「付き合う以上 もう心中覚悟・・」。

   

    

     ☆   ☆   ☆

この「心中」という歌詞のワード。もちろん、カオリが真樹を道連れにしようとした暴走運転よりも、奏と真樹の今後の展開を想定してるように感じる。

   

特に、社会人としても女性としても「勝ち組」的な位置にいる奏にとって、真樹との関係や父・栄介(佐々木蔵之介)の死の真相にこだわり続けるのは、自殺行為か心中に向かうようなもの。

    

それでも奏は、「絶対に手が離れない」くらい、しっかりと手を繋いでるのだ。特別な男性2人とのデスティニー、運命によって。手が離れないつなぎ方というのは、第1話のベッドシーンで真樹が奏にささやいてた小話。離れないつなぎ方を甘くささやいてるシーンで、背景にティッシュの箱が映されてるのは、象徴的で暗示的。

      

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     ☆   ☆   ☆

その後、第3話のエンディングでの手の使い方は巧みだった。幹線道路を行き交う車を挟んで、「手、離さないで」と叫ぶ真樹。ドラマ好きならもう、ここで2人が再び駆け寄るのは分かるはず。

  

もちろん、婚約相手と手を離さないで、という表面的な意味を超えて、「俺と手を離さないで」「俺も離さない」という意図が表現されてる。もともと、14年前に一方的に手を離されてしまった奏としては、再び手をつなぐしかない。正しいかどうかは分からないけど。正義が何と言おうと。

  

「手を結わえてくれ・・僕らは制御不能・・」(椎名『人間として』)

   

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サブタイトルの「許されないキス」の映像。2人の唇のすぐ下に、青とピンクの丸い光が重なってるのがテクニカル。こんな映像は、狙って撮影した後で上手く編集しないと出来ない。

  

そして、その後の2人の「引き」の映像も暗示的だった。2つの街頭の左側の下に2人がいて、右側は空虚な暗闇になってる。まるで、今後また手を離す展開を予告するフラッグ(旗印)みたいに。左右が非対称的なこの構図も、かなりテクニカルで珍しい。右側の暗闇から、カオリが手招きしてるようにも感じられるほど。。

        

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     ☆   ☆   ☆

映像の分析として、最後に残りの仲間3人の映し方も見ておこう。

   

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第1話で、真樹と奏の父親同士の因縁をたまたま知った知美(宮澤エマ)と、それを聞いたカオリが、真樹に告げるかどうかで言い争う場面。

   

カオリは奏への嫉妬もあって、告げようとしてるけど、知美は勉強が忙しいこともあって否定的。この映像、よく見ると、手前の物体を左右にわざと入れてボカしてる。その種明かしは、第4話で登場。実は、手前の柱の陰から、祐希(矢本悠馬)が立ち聞きしてたのだ。

  

ということは、カオリの死のキッカケに、知美がいることを祐希は知ってた。罪の意識に苦しむ知美が、自分に救いを求めてることも分かってた。それでいて、何も語らずに受け止めて、幸せそうな家庭を築いた祐希。

  

ちょっと、いい人過ぎるから、今後は何か別の側面が出て来るのかも。真樹への静かな挑発を始めた、奏の婚約者、貴志(安藤政信)みたいに。

  

   

   ☆   ☆   ☆

なお、真樹の父・野木浩一郎(仲村トオル)と、奏の上司・大畑(高畑淳子)も、ベテランらしく渋い味わいを出してた。特に高畑は、プライベートでも存在感があって、凄い女性だなと注目してる。

   

というわけで、遅まきながら4話まとめて簡単にレビューしてみた。これで、「何で亀ちゃんだけ書かないの?」と思われることもないはず♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

    

      

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 リアルな人間との向き合い方 野ブタ原作

   

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     (計 3498字)

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