ネット論争、円安は近隣窮乏化(beggar-my-neighbour)で日本有利?、語源のカードゲームとChatGPT4oの説明
高橋洋一という学者の名前は、コロナ関連でよく目にするようになって、当時はわりと好意的に見てた。データを広く見渡した上で、普通なら言いにくい事もハッキリ自分の言葉で指摘する。
ただ、最近は彼に対して、中立的な立場で見るようになった。おそらく本当はもっと学問的な話ができる人だろうけど、少なくとも語り口がSNSモードで、「論破」的。まあ、その方が人気や知名度が上がって、収入も増えるのかも知れない。
「円安(自国通貨安)は日本有利(自国有利)なのは、近隣窮乏化として古今東西知られている」とX(旧 twitter)に投稿したのは、元祖論破王・ひろゆきからの批判への応答、反論らしい。
日本有利か日本不利かはともかく、「古今東西知られている」という言い方は曖昧で、学問的ではないし、論拠にもなってない。というのも、各種の辞典類を見渡した時、確かに「知られている」けど、肯定的な説明はあまり見当たらないのだ。むしろ否定的な扱いの方が目立つ。
コトバンク掲載の「改訂新版 世界大百科事典』(平凡社)、『日本大百科全書』(小学館)、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』(ブリタニカ・ジャパン)、そして英語版ウィキペディア。
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「MBSラジオでは、高校で習う近隣窮乏化を知らない人から絡まれたといい、数式も出していないと言われたので、彼が引用したTVでOECDのモデル計算によると解説をした」。
「高校で習う」というので、「-高橋」、「-ひろゆき」で最近のネット論争の記事を除いたマイナス検索をかけると、なかなか高校の学習内容がヒットしない。少なくとも、高校生が普通に知ってる内容ではないと思う。後で、高校・公民の政治・経済の参考書を確認する予定。 (☆追記: 山川出版社の政治・経済用語集には載ってない。)
OECDのモデルというのは、テレビのキャプチャー画像から考えると、おそらくこの「OECD's NEW GLOBA MODEL」だろうと思う。
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確かに、10%の円安(yen depreciation)によって、日本(Japan)のGDPレベルが0.4~1.2%上昇すると表に書かれてる。ただ、最近の円安は10%では収まらないはず。そもそも、このモデルはかなり前のもので、当時は1ドル90円前後の円高だったから、今とは極端に違ってる。
おまけに、大まかな数式の仮説だから、どの程度の信頼性があるのかほとんど分からない。少なくとも、このモデルがよく当たってるという話は、一般レベルで一度も聞いたことがない。
さらに言うと、これは経済の専門用語を並べてるから難しく見えるだけで、物理や数学のハイレベルな数式と比べると非常に簡単なものになってる。
ノーベル賞学者のクルーグマンも「円安は日本にプラス」と言ってるとのことだけど、ノーベル経済学賞というのはそれほど権威があるものでもない。ノーベル賞・各賞の中でも別扱いとされてるものだ。
ちなみに、「今のうちに外貨を売って含み益を出しておくべき」という説には同意する。まあ、言われなくてもやってるとは思うけど。ドルを買ってる素人の為替トレーダーでも、そうした利益確定の取引は普通にやってるはず。手持ちのドルを半分くらい売っとこう、とか。
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ところで、私が気になったのは、近隣窮乏化政策の英語「beggar-my-neighbour policy」。英語版ウィキでは、my の代わりに thy となってた。
「beggar-my-neighbour」という英語は、文字通り、「近隣を窮乏化させる」という意味で、昔からあるカードゲームの名前。自分の手持ちの切り札(絵札)を出すことで、相手のカードを取り上げて行く。
これが要するに、為替の切り下げ(例えば円安)や関税アップによって、貿易の多い国を窮乏化させるイメージと繋がってるのだろう。
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しかし、YouTubeでプレイの様子の動画を見ると、実際には自分が絵札を出しても、相手も絵札を出し返して来ることが多くて、簡単に相手を窮乏化させることはできないようだった。
そもそも、その動画もそうだけど、これは単純で古い子ども向けのゲームらしい。ルールと偶然に従うだけで、確率を考えつつ自分で戦略を練る知的ゲームではなさそうだ。
ということは、この名前がついた政策も、古くて単純で人気がないものというイメージがあるのだろうと推測する。実際、国の政策に、子どものお遊びの名前を付けるのは珍しい。
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最後に、毎度お馴染み、ChatGPT4oに意見を聞いてみると、予想通り、慎重な姿勢だった。
輸入コストの増加、近隣国との貿易摩擦、国内消費者への影響などを、長期的かつ多角的に考えた上での、バランスの取れた政策が求められる。
とりあえず個人的には、円安はかなりの物価高につながってるから、大幅なマイナス。今後、プラスに転じるとも思えない。高橋洋一なら、ドル建て資産に分散投資して、円安リスクをそれなりに回避(ヘッジ)しろと言うのかも。
私ならむしろ、消費を減らして耐える方を選びたい。そして、タイミングを見計らって、逆に円買いで対応するとか。ともあれ、今日はそろそろこの辺で。。☆彡
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