八冠独占254日で七冠に陥落、藤井聡太を再び泣かせた男、伊藤匠21歳が新叡王、敗着は6四桂~2024叡王戦・最終第5局
個人的に眠くて時間も無くて、将棋のブログ記事なんて書いてる場合じゃないんだけど、藤井聡太・八冠の誕生まではかなり書き続けてたから、八冠の終わりにも一言だけ書いとこう。
今年度は伊藤匠七段との叡王戦で連敗するとか、どうも藤井八冠の調子が微妙になってたけど、名人戦は余裕で防衛、棋聖戦も連勝だから、何とかなるんじゃないかと思ってた。
そもそも実は、伊藤の今年度は藤井以上に不調だったのだ。ここまでの勝率は5割を切ってて、特に最近は負けが多くなってた。過去のトータルの対戦成績でも、藤井が圧倒的。
というわけで、今日の夕方まではあっさり勝って防衛かな・・と期待してたのに、終盤になって変調。最後は一瞬のチャンスも逃して、AIの候補手5つにも入ってない緩い悪手を指してしまった。6四桂が敗着。まあ、その前に時間を使い果たして1分将棋になってたから仕方ないか。
藤井の長考には結構、良くない手が多いと思う。特に今回みたいに、苦悶する表情を見せてる時には。途中で独り言のボヤキみたいなものまで聞こえたほど。考えてるというより、後悔で動揺してるようにも見えた。。
☆ ☆ ☆
さて、2024年・第9期・叡王戦。最終第5局は、非常に長くて丁寧な振り駒(笑)の結果、藤井叡王が先手番。これだけでも、もう防衛かと思ったほど。藤井は後手番でも強いけど、先手番の勝率が特に高いので有名。
先に評価値の推移グラフを載せとこう。abema動画のもので、終盤に入った頃までは藤井が有利だったけど、互角に引き戻されて、最後はチャンスに悪手を指してしまったから、グラフが上から下へと大きくブレてる。
この時、私は道を歩いてる途中で、立ち止まって最後までライブ動画を観戦。周囲の人に変な目で見られたかも (^^ゞ お互いに1分将棋に入ったし、奇跡の再逆転を期待してたけど、伊藤もやっぱり強いね。終盤だけなら、藤井より安定してた。
☆ ☆ ☆
戦型は、お馴染みの角代わりで、先手の藤井は変則的な穴熊。後手番の伊藤は右玉。かなり早い時点で、前例は無くなってたらしい。上図は、先手・藤井の77手目、6六銀直。タダで銀を捨てて猛攻につなげる奇抜な攻守。日本将棋連盟の公式棋譜サイトより。
同歩、6五桂、6四玉、5三桂左成・・・。ちょっと薄い攻めだけど、先手玉は穴熊で安全だし、藤井八冠なら鋭い攻めを続けそうな局面。ところが、下の105手目の局面から変調してしまう。後手の伊藤が、7六歩で反撃して来た場面。
先手は3四金、4二玉、4三歩で、普通に「王手」の「追う手」で迫れば良かった。相手玉を下段に落とせば、7一飛と打って、7六飛成で自陣の守備も堅くなる。ところが、藤井は6六銀と逃げてしまった。
藤井がその後もしばらく3四金と指さなかったのは、ちょっと重いし、金を守り駒としてキープしたかったからか。下手すると、3三歩で金を取られるハメにもなる。
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そして、上図が敗着の局面。先手・藤井の131手目。ここまで少し不利だったけど、まだまだ均衡を保ってた。そして、5五桂の王手から普通に攻めて行けば、少し有利になってたのだ。
ところが、藤井の131手目は、6四桂。その後、ようやく打った3四金との連携でも、相手玉には今ひとつ届かない。
最後は視聴者と大盤解説会場へのサービスのつもりだったのか、詰みそうにない形でしばらく藤井が連続王手を続けて、156手で投了。屋外で立ち止まって見てた私も、ようやく歩き始めることができた♪ ちなみに私は真面目な大人なので、歩きスマホはほとんどしない。
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上の投了図は、中継ブログより。個人的には、この図がちょっと淋しい。いかにも先手の藤井が、届くはずのない攻めを無理やり続けたような形だから。5筋、6筋、7筋に歩を打てないから、攻め駒が足りてない。絶対王者の風格が感じられないのだ。
というわけで、天才・藤井聡太の八冠独占は、「254日天下」で終了。
2023年10月11日から2024年6月20日までだから、両端の日付けも入れると、数式計算は次の通り。
(31-10)+30+31+31+29+31+30+31+20=254日
☆ ☆ ☆
まあ、9ヶ月近くもよく全冠をキープしたな・・と感心するべきか。伊藤は小学校時代の有名なエピソードに続いて、再び「藤井聡太を泣かせた男」になった。1回目は覚えてないとか、どうでもいいとか語ってたけど、2回目は一生の宝物になったはず。
ともあれ、激闘に拍手! そして、初タイトル奪取となった伊藤匠・新叡王、おめでとう☆ 実際に泣いたというか、感無量の涙を見せたのは、伊藤の方だったらしい。それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 1950字)
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