策士・渡辺明九段、詰みを逃して藤井聡太七冠に大逆転負け、敗着は4二龍 〜 2024王位戦・第1局(千日手指し直し)
これが人間の将棋。。 AIより遥かに遅くて不正確な能力だから、最後に時間が無くなった状況だと大失敗してしまう。トップクラスの棋士でさえ。
今回は特に、始めの対局が千日手指し直しになってしまったこともあって、両者ともに少ない持ち時間で再戦。最後は両者とも1分将棋に追い込まれて、ストップウオッチで秒を読まれてた。
将棋ファンなら、去年の秋の王座戦・第4局を思い出したはず。永瀬拓也九段が圧倒的に優勢な終盤で、間違えてしまって逆転負け。藤井聡太・八冠が誕生する直前、まだ対局中の永瀬が頭の髪をかきむしって失着を悔しがる様子が印象的だった。
ただ、どちらかというと、今回の渡辺明九段の方が難しい状況だったと思う。AIは一瞬で即詰みを読み切って、渡辺の勝ちの確率を99%と判断してたけど、23手詰だったから、59秒で読み切るのは難しい。藤井の直前のトップ棋士だった渡辺でさえ、5手目で間違えた。
☆ ☆ ☆
上のabema動画の映像キャプチャーが、決定的な場面。先手の渡辺の119手目。
この直前に、4二銀不成、同金、6一龍、4一銀と正しく進んでた。ただ、上図で4一同龍と正しく指すのはちょっと難しい。むしろ、渡辺が指した3ニ銀の方が指しやすい。ただし、AIの評価値はすぐ逆転。31%vs69%で藤井の優勢に変わった。
同玉、3三金、同金、6ニ龍、4ニ金、3三歩成、同玉と進んで、下図。評価値は揺れ動いてたけど、ほぼ互角くらいだった。
ここで普通に3四歩と打てば、まだまだ戦いは続いてた。ところが、渡辺はここで龍を切ってしまう。4二龍。これで評価値は、10%vs90%くらいで藤井の勝勢になった。
頼みの綱の龍を切ってしまったから、もう最後の詰みまで持って行くしかないけど、後手の6九馬が守りにもよく効いてる。その状況はあらかじめ避けることも出来たけど、渡辺はそれにも気付かなかった。終局後の感想を聞くと、あの辺りはどうもよく分かってなかったらしい。
藤井の方は、自分の負けに気づいてたような感じで、勝った後も負けたような暗い表情のままだった。
☆ ☆ ☆
投了図は、公式ブログより。後手の藤井の136手目、1三玉を見て、渡辺が投了。落胆の様子を素直に表してた。勝負事に、「たら・れば」は禁物だけど、もし藤井の馬が効いてなければ、投了図から1四金で詰みだった。
なお、80手で千日手になった対局の最後は、下図の通り(持ち駒は両者とも無し)。後手番の渡辺が、先手の藤井の攻撃を上手く抑え込んでた。AIは、先手の8五桂の攻めを推奨してたけど、それは人間的にはやりにくいはず。先に桂馬を損して、おまけに8六歩で桂馬を取り返す時、自玉のそばに隙を作ることになるから。
ちなみに今回の解説の聞き手は、若い女流棋士2人。内山あや・女流初段と加藤結李愛・女流初段。特に内山はキャピキャピ感があって、女子高生みたいにコロコロ笑うから、コメント欄には「可愛い」といった声が並んでた♪ どこでもいそうな普通の可愛い子だけど、どこでも人気者のはず。もちろん、将棋の解説にも単なる雑談にもしっかり対応してた。
今週は、長大な自転車レース記事も含めて、計15107字で終了。ではまた来週。。☆彡
(計 1361字)
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