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藤井聡太・七冠、永世棋聖に続いて永世王位の座を獲得、自由で変幻自在な指し回しで永世二冠~2024王位戦・第5局

「自由自在」とかいうと、小学校の参考書のシリーズを思い出す♪ 私は買ったことないけど、分厚い本がズラッと並ぶ様子は地元の小さな本屋でさえ目立ってて、たまにチラ見くらいはしてた。

   

似た言葉だと、私がお世話になった先輩が好んでたのは、「臨機応変、変幻自在」。臨機応変は将棋だとちょっと変だから、記事タイトルには「自由で変幻自在」と書いてみた。

    

この対局、藤井聡太・王位(七冠)の差し回しは序盤から終盤まで光り輝いてたと思う。必ずしもAI評価値的な最善手ではないけど、人間的には斬新で面白いと感じるし、序盤から終盤まで安定した差し回しだった。

    

いつも思うけど、abema動画とかのAI評価値を見ずに観戦すれば、遥かに興味深い内容だと思う。おそらくプロ棋士でも、終局近くまで、形勢判断にあまり自信を持てなかったはず。最後の最後、相手玉が詰むこと、自玉が詰まないことまで正確に読んで、初めて一手勝ちだと分かるのだ。一手の差であって、評価値ほどのハッキリした差があったわけではない。

    

    

     ☆   ☆   ☆

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2024年8月27日~28日、兵庫県神戸市の有馬温泉「中の坊瑞苑」で行われた、第65期・王位戦・第5局。上図は公式の棋譜サイトより1枚だけ縮小引用。先手・藤井の21手目、3八飛まで。自玉の囲いを後回しにして、左側の壁銀の悪形も気にせず、素早い攻撃態勢。

   

ここまで、藤井王位の3勝1敗にはなってるけど、内容的にはむしろ渡辺明・九段の善戦が目立ってた。2人の全対局の勝敗は、渡辺から見て、5勝23敗。勝率はわずか1割8分。ほんの数年前まで将棋界のトップに君臨してた渡辺にとって、さすがに特別な気合が入るはず。

     

対局は藤井が先手番で、戦型は相掛かりでも角代わりでもなく、先手・藤井の矢倉の手前vs後手・渡辺の雁木といった感じ。といっても、そんな型にハマった分類にはあまり意味がない。この後、序盤から(ほとんど)前例のない戦いになる。特に藤井は、ノーガードの打ち合いに持ち込む感じで、大胆不敵。

   

   

     ☆   ☆   ☆

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角交換から、渡辺が6四角と打ったのに対して、藤井の31手目は攻め合いの4四銀。abemaのAI評価値(期待勝率)はまだほぼ互角で、少し藤井が良い程度。この後、渡辺が3三歩と我慢。藤井も3七歩と我慢。

        

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落ち着いたかと思った途端、渡辺が鋭く踏み込んで来た。36手目、8六銀。アマチュアみたいな露骨な攻めだけど、迫力も威力もある。藤井は8八銀と受けて、7七銀成には同玉!

    

相当な実力と読みがないと、なかなか指せない危ない手だ。もし同銀なら、また8六銀と打たれて、千日手になってしまう可能性もあった。もし、差し直しになると、藤井は少し不利な後手番になってしまうから、回避したと。もちろん、同玉の方が、観戦するファンにとっても刺激的♪

    

      

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その後も、藤井は自玉の薄さや危なさを顧みず、攻撃的に指し続ける。上のアベマ動画の画面は、後手・渡辺の72手目、4三銀の局面。AIの最善手は、同飛成で、同金に3二角という直線的な攻撃。私もすぐ、そう指すと思う。

   

ところが藤井は、同飛成、同金の後、6四歩と打つ。渡辺は5二銀で、後手陣が堅くなってしまった。藤井がリードしてた評価値は、一気にほぼ互角に逆戻り。

   

局後の藤井の感想だと、6四歩とは限定してなかったけど、この辺りでちょっと誤算もあったらしい。ただ、局後の渡辺の感想だと、この6四歩は厳しく感じたようだった。渡辺の感覚は、AIとは違うことが多い気がする。

   

      

     ☆   ☆   ☆

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藤井は3二角ではなく、9六角と打つ。前から書いてるように、藤井は、「遠見の角」に好手=巧手が多い。この角の場合、攻撃は8五歩で止められてしまうけど、相手の飛車先も止まるし、自陣の受けに効く。実際、最終盤で、この角が7八や6九の守りに効くことになった。

   

藤井の7四銀の攻めに対して、渡辺は攻め合いで2八飛と打ち込む(上図、後手80手目)。この局面ではもう、AI評価値は藤井が有利に戻ってた。この飛車はこの後、取られてしまうから、むしろ3八飛と打つ方が良かったような気もするけど、それだと4八角のような受けでも困るのかも。そこで2八飛成なら、渡辺の1手損に近くなってしまうから。

   

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渡辺は自陣で飛車と銀を交換して、5七銀と打ち込む。藤井は3九角の両取り(85手目)。アマチュアの対局だと、この角打ちは受けの悪手で、一方的に押し切られてしまうかも。

    

しかし、代わりに3一飛、4一金、2一飛成の平凡な攻めだと、形勢は逆転してしまう。藤井は、最後の詰みの辺りまで読み切った上で、一旦、受けに回ってるのだ。この後、また攻めに転じれば、際どく一手勝ちになると確信。渡辺も局後、3九角でもう負けだと認めてた。と言っても、実際にはまだ投了しない。

   

   

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藤井の97手目、7四桂を見て、渡辺が投了。終局図は公式ブログより縮小引用。もし渡辺が7八金寄なら、6二銀成から即詰みで、難しくはないけど手数はちょっと長い。

  

実は、その即詰みの手順の中で、8五角という手も出て来る。藤井が20手前に9六角と打った時、そこまで読んでたのかも。受けだけでなく、潜在的に攻めにもなってたのだ。後手の8五歩ですぐ止められても。

   

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なお、アベマの評価値の推移グラフは上図の通り。大まかに見れば、キレイな右上がりの「藤井曲線」。これで永世棋聖に続いて永世王位の称号の資格も獲得。最年少の永世二冠に輝いた。

   

また一つ、歴史的な快挙を達成。どうも、おめでとう! それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

     (計 2288字)

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