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直前の欠場、「パリ五輪は、まだ走れ!っていうメッセージ♪」~カンテレ『前田穂南が走れなかったオリンピック』(TVer動画)

今まで、特にドラマ・レビューで度々示して来たことだけど、映像作品というのは気づきにくい独特のテクニックを使ってることがよくある。

  

今回の番組だと、放送トラブルかと思うような長いサイレント(沈黙)が何度か使われてるのはすぐ気づいたけど、冒頭で番組名のテロップを映すタイトルバックの技巧は、2回見て初めて気がついた。

   

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主人公のトップランナー・前田穂南が、ちょっとした山道のような場所を走ってる。ところが、画面の左側の手前には緑の茂みが広がってて、前田の姿が数秒間、完全に隠れてしまう。

   

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画面から前田がいなくなった所で、番組タイトルが映される。『前田穂南が走れなかったオリンピック パリとマラソンと私』。その後、再び前田の姿が現れるのだ。

     

まるで、ここ2ヶ月弱の彼女の人生みたいに。あるいは、この番組の全体的構成みたいに。走る → 五輪欠場 → 再び走り出す。。

  

   

     ☆   ☆   ☆

この一連の珍しい映像だけでも、スタッフの熱意とプロフェッショナルなこだわりを感じる。というか、カンテレの前田に対する情熱は凄いものがある。首都圏在住の私が見たのは、日本新記録の後の動画2本だけど、おそらくかなり前から前田にこだわり続けてるはず。

   

私も色んな意味で前田を応援してるし、実績も記録も飛び抜けた選手で、ルックスやスタイルにも恵まれてるけど、不思議なことに、前田のSNSのフォロワーはあまり多くない。更新頻度が低めで、本人のキャラをあんまり出してないからかね? 素でも可愛くて美人だし、化粧映えもするタイプ。体型もモデル級。

    

カンテレの番組を3本見た感じだと、マラソンは真剣に頂点を狙ってるけど、普段はかなりキャピキャピして明るい女の子。小悪魔的魅力もある。引退後にバラエティ番組とかに出れば、もっと人気が出てもいいはず。

   

ただし、引退はまだしばらく先延ばしらしい♪ その前にやる事があると。故障(右大腿骨の疲労骨折)を治した後、自分の日本記録の更新は絶対に狙ってるはず。

   

   

     ☆   ☆   ☆

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さて、CMとかを含めると1時間近くになる番組(テレビ放送は2024年9月1日)の最初は、パリ五輪のスタート直後のストリート映像。まさか、あそこで前田穂南らが観戦してたとは思わなかったし、もちろんテレビのマラソン中継でもそんな話は出てない。というか、前田にはほとんど触れないようにしてた気もした。

    

カンテレの特番では、五輪の様子は全く映されてない。たぶん、巨額のマネーが動く放映権の問題が大きいんだろうと思う。その代わりに、選手らが通り過ぎた後の前田の姿が映されてた。北浦愛のナレーションも入れず、テロップも入れず。無言の印象的な映像。

    

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左手で顔をおさえて泣いてるような姿の前田を慰めてるのは、かつての五輪マラソン入賞選手でもある山口衛里監か? 一緒に走る姿も何度か映ってた。

   

他の女子選手と比べてどうなのかは分からないけど、前田はよく泣いて、よく笑う。喜怒哀楽の激しさは、有森裕子・高橋尚子・野口みずきらとはちょっと違ってる。もっとフツーの女子なのだ。

   

   

     ☆   ☆   ☆

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高校時代は補欠だった前田が最初に輝いたのは、東京五輪の代表選考会MGCの優勝。一躍、期待の星になった後、コロナによる五輪延期、翌年の五輪での不本意な走り、パリ五輪MGCでの惜しい敗北とかを経て、再び輝いたのが今年1月だった。

  

大阪国際女子マラソンで19年ぶりに日本記録を更新。2時間18分59秒。しかも、ペースメーカーを中盤から置いてけぼりにする走りで、積極的なレース内容も素晴らしかった。

   

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天満屋の陸上部でも、「ほーちゃん」への祝辞プレートを載せたケーキを用意。ソフトクリームとか、甘い物はフツーに好きらしい。大量のカロリーを消費して走り続けてるから、ダイエットの心配もないと。むしろ、細すぎるほど痩せてる。

  

   

     ☆   ☆   ☆ 

番組の見どころは、やっぱり後半。パリ五輪の直前から。アメリカ合宿の様子まで、よく取材してる。

    

7月24日、アルバカーキ。ボルダーや中国・昆明と並ぶ、高地トレーニングの聖地で、標高1800mくらいで晴天が多く、施設も充実してるらしい。シューズはもちろん、契約してるアシックス。私と同じだ。まあ、私のより高価な靴の、そのまた特注品だろうけど♪ 

     

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7月29日の昼間の練習までは、まずまず順調だったらしい。後ろ姿も美しいし、長い脚もキレイに伸びてる♪

  

   

    ☆   ☆   ☆

ところがその後、違和感を覚えるようになって、軽くジョギングしたり歩いたりの繰り返し。検査しても異常は見つからず。監督も本人も、身体の内部の細かい負傷までは分からない。そもそも、トップランナーに多少の痛みは付きものでもある。

   

パリに移動して、レース4日前の8月7日にはあの急な登り坂を歩いてチェック。歩くだけなら平気に見えた。

   

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そして、レース2日前、8月9日の夜。MRI検査で、右大腿骨疲労骨折が判明。山口監督と竹富豊・前監督(現・専任コーチ)がほぼ強制的に欠場を決断して、本人には選択肢を与えなかったらしい。

    

選手生命を断たれるリスクを避けるために。数年前くらいか、竹富が止めても走り続ける前田の姿を見て、竹富が苦笑してる姿も映ってた。強制的に止めないと、無理して走ろうとしてしまう。前田に限らず、トップランナーにありがちな事だろう。

    

レース開始のわずか35時間前、欠場を決めた夜については、番組では(ほとんど)触れてない。本当は撮影してるけど、心遣いでカットしたということか。

    

ちなみに、ネットで少し騒がれてた「補欠」不出場問題にも全く触れてない。レース2日前の骨折判明という想定外の事態だから、補欠だった細田あいに交代できないのは仕方ない。そもそも、その1週間前(8月2日)、既に補欠は解除されてた。

   

   

     ☆   ☆   ☆

レース当日の夜、応援ツアーの懇親会というものがあったらしい。ネット検索すると、80人くらいが参加したとされてるけど、それほど大規模なツアーの記事は見当たらない。20人程度の応援団の出発ならローカル記事で掲載されてた。

  

まあ、メダルの可能性は確かにあったし、本人も去年の秋(まだ代表になる前)には「金メダル」と口にしてたくらいだから、自身もやる気もあったはず。両親その他も来てただろうし、合計で100人近い応援団がいても不思議はない。

   

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先に挨拶した山口監督の涙に誘われるように、ずっと涙を流しながら挨拶する前田。ただ、既にこの先のリベンジを見据えてるような言葉も入ってた。涙を拭う指のマニキュアも、キラキラ輝いてる。

   

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そして最後は、懇親会の終盤(?)での名言。インタビューに答える形で、「パリ五輪は、まだ走れ!っていうメッセージです♪」。明るい笑顔で無邪気に話してた。

   

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チームやスタッフ、両親、仲良しの先輩(特に2月に引退した谷本観月)らにも恵まれた環境だし、まだ28歳と2ヶ月。次の五輪はともかく、日本新記録更新や世界選手権とかなら、十分狙えるはず。

    

エッフェル塔みたいに華やかに君臨する姿を再び見せてくれることを期待しよう♪ 焦らず、着実に前進して。それでは今日はこの辺で。。☆彡

  

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