前に進むための一歩、昔の思い出を大切にしたまま、新しく・・〜『正直不動産』ミネルヴァSP「守りたい場所」(空き家問題)
エモーショナル(情動的)で、勉強にもなるドラマで、いいね♪ 「正直」に言うと、あんまし期待してなかったし、流し見で済ませようかと思ってた。ところが、真面目に見たから、レビューも書かないと損した気がしてしまう(笑)
人が行動する理由・動機は2つだけ。得をするためか、損を防ぐため。ミネルヴァ立川店店長・神木(ディーン・フジオカ)の言葉は、大まかだけど、大間違いでもない。
と言っても、実際には、今どきテレビドラマのレビューなんて書いても、得はしないし、手間ヒマかかって大損だけど (^^ゞ それでも書いてしまうのが、ブロガー症候群の恐ろしさ♪ ブログが、特別「守りたい場所」になってるのだ。アクセスが減って、「空き家」みたいになっててても(笑)。自虐か!
空き家を放置してると、窓が割れて、不穏な空気が周囲に流れて、治安が悪化(「割れ窓理論」)。空き家率が30%を超えると、一気にスラム化が進むとか。
まあ、このブログは、私自身が毎日更新してるから、もうしばらく大丈夫。って言うか、ほぼ放置されてる多数のブログも、別にスラム化してない。コメント欄をブロックするか閉じればいいだけだから。
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そんな事より、本来の主役のPちゃん? ハイハイ♪ もちろん、2時間近いドラマの冒頭と最後だけチョコッと登場した美青年・山下智久(永瀬役)についても細かく見てる。
冒頭のこの画像の左下、懐かしの「ROUTE 66」のイラストを入れてるのはすぐ気づいた。ウチでずっとレビューし続けて、全国のファンも集まってくれてた、日テレの深夜ドキュメンタリー♪ 米国の国道66号線を車で走る素敵な旅番組だった。
ちなみに画像の右下、自由の女神のイラストも、『プロポーズ大作戦』の「ドント・ノック・ニューヨーク」を思い出す・・なんて書いとけば、マニアックで、いいね!
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さて、正直、放送さえ全く知らなかったこのスペシャル・ドラマ。本編の外伝、派生作品、スピンオフ的番組。最初の放送は、マイナーなNHK・BSの放送で、2025年2月1日だったらしい。その前には、番宣も兼ねて、過去の本編の再放送もあったとの事。
ちょうどその頃から、ウチの『正直不動産』レビューへのアクセスが地味に増えてた。情報に気づいてなかった私が、続編(第3シリーズ)のニュースでも出たのかな?と思って検索すると、ミネルヴァSpecialがまずBSで放送されて、3月2日には地上波のNHK総合で再放送があったと。
地上波の番組なら、NHKプラスの動画配信で見れる。フツーに面白かったし、涙を誘う感動もあった。深みや難しい話は無くて、あくまで分かりやすいテレビドラマの娯楽コメディだけど、最初から最後までよく作ってある。
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朝ドラ『おむすび』で批判されることもある脚本家・根本ノンジは、かなりセリフの伏線・つながりを張り巡らせてる技巧派だし、映像的にも色んなフラッグ(後の展開を暗示する旗印)が挿入されてた。
例えば、高齢者の一人暮らしを続けてる塚原(武田鉄矢)が、庭でマーガレットに水をやる一瞬の映像。周りがゴミや雑草だらけでも、マーガレットは別扱いで大切にされてる。この直後に、檜山和寿子(松坂慶子)がやって来て、塚原の大好物の筑前煮をお裾分け。
その後、番組の後半あたりでは、塚原が和寿子にマーガレットをプレゼントする。「私が愛した者がとっても好きだった花なんですよ」。
塚原は認知症で、和寿子が数年前に熟年離婚した妻だということを忘れてる。脳神経内科でドネペジル塩酸塩錠(東和薬品)を処方されてる状況。それでも、昔の最愛の人(妻)が好きだった花はちゃんと覚えてたのだ。新しい「流動性記憶」の知能は衰えても、古い「結晶性記憶」は保存されてると。
ちなみに、老人や加齢に関するこの知識。昔、「私が愛した者」から聞いた話だったりする。聞いてない? あっ、そう♪ いや、実話なのだ。たまに外部に表現しないと、私のちょっと結晶性っぽい記憶も薄れてしまうから。
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ついでにもう一つ、誰も気づかないような一瞬の映像に注目してみよう。塚原と和寿子が、和菓子屋でくつろぐシーン。
塚原にとっては、まさかのデートで幸せなひととき。ただ、和寿子にとっては、認知症の塚原をそっと支える罪滅ぼし。かつて、塚原の認知症に気づかず、表面だけ見て愛想を尽かして離婚してしまったから。
というわけで、和寿子は塚原の「お気に入りの杖」になってる。だからこそ、このシーンのラストで、塚原は一緒に買ったばかりの杖を大切にそばに引き寄せてた。簡単に言うと、あれは象徴的に和寿子を抱き寄せる愛情表現だったのだ。頭上には何気に和傘があって、相合傘の形になってる。
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和寿子は、たまたま街で見かけた塚原が自分を忘れてたことから、認知症だと気づいた。醤油を何本も買ったこと、たった今お風呂に入ったことも、全く覚えてないほど。
だから、既に自分も忘れられてるのに、塚原の家の横に引っ越してまで支え始める。悪徳不動産(?)ミネルヴァで契約する時、立川店営業部長の花澤(倉科カナ)が念を押してた。「どんな嘘でもつき通す覚悟はありますか?」
嘘とは、アパート契約のために年齢を誤魔化すこととかじゃなくて、知らない他人のフリをしたまま、元・夫の塚原を支え続けること。根本が書くセリフは、かなり後の方まで、説明なしにつながりを持ってるのだ。
朝ドラへの批判の一部も、説明の少ない技巧やその価値が理解されてないからだろうと想像してる。まあ、朝ドラは忙しい時間帯にサラッと見るのが基本だから、分かりやすさが第一条件ではあるけど。夜のドラマや映画とは、視聴者に関する前提条件が違うのだ。
それにしても、年老いたとはいえ、かつての美人女優の代表・松坂慶子には迫力・・じゃなくて貴賓があるね♪ 声や喋り方はあんまし衰えてない。今、72歳。まだまだ頑張って欲しい。75歳の武田鉄矢も、わざと老けたメイクと演技で地味に好演してた。
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ところで、塚原のエピソードは、まだ後期高齢者の一人暮らしであって、空き家になる直前。だから、全国900万戸とか言われる空き家問題そのものの話ではない。
ただ、空き家が片付かない理由の一つは、古くて大切な思い出が染み付いてるから。過去の思い出に、人と人との新しいつながりを加えれば、未来の別の思い出を作り出せる。塚原の話は、そんな具体例になってたのだ。
一方、空き家そのものの話で、ドラマ全体の中心でもあったのが、神木の元・妻(藤井美菜)の実家。妻も息子も15年前の交通事故で亡くなったし、妻の両親も家を離れてるらしい。
家主となってた元・妻の妹、沙織(朝倉あき)は、神木に、家を売ってくれと頼む(専属専任媒介契約)。しかし、神木にはどうしても売れない。あの家に他人の思い出が「上書き」されてしまうのは嫌だから。
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上書きという言葉は、ドラマ冒頭、三井住友銀行・・じゃなくて光友銀行本店融資審査部課長へと出世した愛原(松本若菜)が口にしてた。古いものを消して、新しいもので置き換えるのが、上書き保存。
ちなみに、1年半前から私が使ってるiMacのmacOSだと、何の操作もせずに上書きみたいなことが行われるけど、元の情報も密かに保存されてて、戻そうと思えば戻せる。
しかし、思い出の家に他人が住んでしまうと、思い出が消されて、戻すこともできない。だから、神木にはどうしてあの空き家が売れない。そのまま「守りたい場所」なのだ(今回のスペシャル番組のサブタイトル)。
でも、それではいつまでも前に進めない。新しい居場所、新しい人のつながりも出来ない。だから結局、神木はその辺り一帯(国立・日野・武蔵村山・立川・府中、東京の北西あたり)の5地区老人クラブ連合に空き家を売ることに決定。銀行の高額の融資も、神木がイケメンだから、愛原が独断でOK(笑)
決断のタップダンスを踊った後、神木の前には太陽の光が差し込む。もちろん、一気に明るい未来が開けたわけではないし、辛くて重くて切ない思い出も残ってる。それでも、上の画面の右端、息子の成長の記録を書き込んでた大きな表には、明るさも生じてる。
そして、老若男女の交流広場を目指すNPO法人・みんなのいえの集まりでは、花澤の一人息子がタップダンスを披露。足元は、神木の息子の形見であるタップシューズ。見守る神木と花澤の間にも、新しいつながりが芽生えつつあるのであった。。♡
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今回、新登場して目立ってたのは、クセのあるルックスのタメ口ギャル、雪野遥香(見上愛)。おバカな若者かと思ったら、実はキレ者の高級会社営業ウーマンだったらしい。自分から鵤(いかるが)社長(高橋克典)に売り込んで、ミネルヴァ不動産に転職。
他人と同じことをやってたら勝てないと気づいて、「正直」でフランクな営業に路線変更したら、店のトップに浮上。「パレートの法則」(2:8の法則)でいう「2」になった。組織の全体の8割を売り上げてる、優秀な2割の側。神木や花澤と同様に。
彼女の場合、正直といっても、永瀬とは全く違う正直さだけど、単なる世間知らずの若者ではない。社長も神木も、それはすぐに理解したらしい。NPO法人というアイデアも、遥香が出したというお話。
ちなみに美上愛という女優。全く知らなかったからウィキペディアも見ると、まだ24歳で、元々は裏方を志望。それが女優になって、4年前には「容姿にコンプレックスを持つ女子高生を演じ、注目を集める」。分かりやすいキャスティングと言うと失礼か♪ まあでも、印象的だから一発で記憶に刻まれた。
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このドラマを見終わって、すぐ思ったのは、このNPO法人、これから大丈夫かな・・ということ。
8000万円の物件を購入して、おそらく大半の資金も銀行融資。会費・助成金・補助金とかで収入があるとしても、運営費がかかるし、正直、続かないような気がする。残るは借金と、メンバー間の不和だけとか。建物も、担保物件として銀行に回収されて、転売されるはず。フィクションとはいえ、大人としては、つい真面目に心配してしまう。
というより、そもそも以前は、子供たちが集まってくれなかったのだ。建物が出来たくらいで、どうして急に、竹とんぼや形の悪い野菜が人気になるのか。ゲームの方が面白いだろうし、市販のお菓子の方が美味しいはず。竹とんぼは硬くて不規則な飛び方をするから、危なかったりもする。
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まあしかし、空き家を地域交流の場として活かすというアイデア自体はそれほど悪くないし、購入費がゼロで済む空き家も、全国でかなりあるはず。成功すれば、高齢化社会の理想的なモデルケースとして、日本全体に光を投げかけてくれるとは思う。
とにかくこれで、次は来年公開予定の映画『正直不動産』の番。正直、過去のNHKの映画化はそれほど成功してないとかいう情報もあるけど、果たしてどうか。『コード・ブルー』みたいな大ヒットじゃなくても、普通のヒットくらいなら期待したい。一般男性の私がわざわざ映画館に行くと、誤解されそうだし、再来年以降のNHKテレビの放送を待つことにしよう。
なお、不動産売買の小ネタとしては、空き家対策特別措置法の改正(2023年)とか、「ペット飼育申請書兼許可書」、短期譲渡所得(5年以下)と長期譲渡所得との税率の違いが興味深かった。認知症患者の不動産売買に関しては、ハッキリした事は決まってなくて、それぞれの事情に合わせて個別に判断されるということか。
久々にドラマ記事を軽く書いたら、5000字近くの長編レビューになってしまった♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 4771字)
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