トランプ相互関税の税率の数式、経済的にも意味はあるけど数値1つ(分母の係数 φ)の代入ミス、英語原文と数学的解説
今は日本時間で2025年4月9日になったばかり。まもなく、米国の「相互関税」が実行に移される。関税率の高さに世界が動揺する中、その率を導く計算式が無意味というような批判が広がってる。
それに対して私は、計算式に一応の意味はあるし、それなりに筋が通ってると思ってたので、先ほどChatGPT4oと議論。その通りといった感じの結論になった。おまけに、その意味とか理由は、米通商代表部がそれなりの長さで説明してるのだ。
しかし、式に代入する数値が間違ってるという指摘は、昨日、日経新聞で読んで初めて知った。正しい数値を代入すると、多くの相互関税率が大幅に下がってしまうから、トランプ政権はミスとかエラーを認めないと思われる。そもそも、関税率を大幅に上げたいという結論が最初からあるわけで、式や理屈は後知恵とか補足に過ぎない。
さらにいうなら、どうせその関税率がそのまま長く続くわけではないと思われる。今後、米国と各国との交渉で、細かい修正や妥協が進むはず。
とはいえ、せっかく元の計算理論も批判も英文で理解したので、簡単にまとめて解説してみよう。
☆ ☆ ☆
ではまず、政権側の米通商代表部(USTR)の説明から。その名もずばり、「Reciprocal Tariff Calculations」(相互関税の計算)。

まず、(ほとんど)誰も指摘してない事から書いとこう。もともと、今までの経済理論がおかしいというのが前提に書かれてるのだ。いつまで経っても、米国の貿易赤字が消えない。だから、新しい実効的な考えや行動が必要だという流れ。

式の左辺 τ i が、ある国 i に対する上乗せの関税率。i とは日本とか中国とか。xi は、米国からある国 i への輸出額。m i は、ある国 i からの輸入額。すると、式の分子の x i -m i は、多くの場合マイナスになって、貿易赤字額を示す。
☆ ☆ ☆
では、上の分数の式をゆっくり導いてみよう。基本的に、そのマイナス分(貿易赤字額)を、i国に対する関税の収入増と合わせて、ゼロにしてしまおうと考えるのだ。赤字を関税でチャラにしたいと。
x i -m i +(関税の収入増)=0
∴ x i -m i =-(関税の収入増)
=-(関税率の増加×新たな輸入額)
∴ (関税率の増加)=(x i -m i)/(- 新たな輸入額)
=(x i -m i)/(元の輸入額 m i ×マイナスの係数)
ここで、マイナスの係数(パラメーター)というのは、関税率を上げると、輸入額は減るだろうから。さらに、そのマイナスの係数は、2つの係数(プラスとマイナス)の掛け算に分解できる。
関税率を上げた時の輸入価格の上昇率(プラスの係数 φ)と、輸入価格の上昇率が上がった時の輸入額の上昇率(実際は下がるだろうからマイナスの係数 ε)。
ちなみにその2つは、日経の記事の書き方だと、「関税を課した場合の輸入価格の変動を表す数字」と、「輸入価格に対する輸入需要の弾性値」。
∴ (関税率の増加)Δ τ i =(x i -m i)/ε φ mi

ちなみに、英文の ε の値4は間違いのはず。正しくは、-4。マイナスという前提で設定してるので。分子は、赤字だからマイナス。分母は、左端の ε だけがマイナス。左辺の関税率の増加は、もちろんプラス。

このように、数式の構成は別に意味が分からないわけではない。ただ、どうして関税だけで一気に貿易赤字を解消しようとするのかとか、為替の変動はどうなのかとか、様々な要素を無視してるのは事実。
まあでも、それは経済学でよくあることでもあるし、もっと広く、経験科学の本質的な欠点の1つでもある。色々と面倒な要素を抜きにする「仮定」のもとで考えないと、話が進まない。だから、経済、気象・天候、宇宙、心理とか、大きなもの、複雑なものを扱う時には、その仮定が崩れて、上手く行かないことも多い。
☆ ☆ ☆
一方、その式を仮に認めたとしても、数値の代入ミスが致命的な失敗だと指摘してるのが、米国の研究所AEIの主張。
間違った数値を使ってるせいで、本来の関税率の4倍になってしまってるという指摘。「・・・It's Also Based on an Error」。その数式はまた、誤りを元にしている。




式の分母のパラメーター φ は、関税率を上げた時の「輸入価格」の上昇率だったはず。これは、実際には1に近い0.945らしい。
他の学術論文にそう書かれてるとのことだけど、有料の会員記事だから、私は確認してない。AIも直接的には読んでないけど、間接的に確認できるとか書いてた。
トランプ政権の計算では、その1に近い正しい値が、関税率を上げた時の「小売価格」の上昇率0.25とされてるから、右辺の分母が4分の1になって、左辺の関税率が4倍になってしまってる。正しくは、日本も含めて多くの国が、一律の低い税率10%になるらしい。
それらの数値の違いは、常識的に考えてもわりと納得しやすい。関税率が上がると、輸入価格もその分に近く上がる。しかし消費者相手の小売価格にはそのまま反映されずに、かなり少なめの価格上昇に抑えられる。消費者はシビアだし、小売同士の価格競争もあるから。
☆ ☆ ☆
というわけで、おそらく間違いだろうけど、トランプ政権が誤りを認めて撤回することはなさそう。これだけ世界を揺さぶった後で、今さら間違ってましたとは言えないし、そもそも計算とか根拠とかあまり関係ないのだ。
要するに、まず高い関税を示して、相手の国との交渉を有利に運ぼうとするディール(取引)の武器に過ぎないから。それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 2197字)
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