70年・大阪万博、太陽の塔「消えた第4の顔・地底の太陽(いのり)」、現在は神戸で産業廃棄物に?~NHK追跡特番
2025年5月4日の夜、NHKで放送されたミステリードキュメント『太陽の塔 消えた顔を追え』。私は全く知らなかったけど、昔から話題になってた謎のようで、今回の特番で新発見や新しい推測も発表されてた。
意外なほど面白い番組だったけど、その反面、歴史的事実とそうでない部分の違いがちょっと分かりにくい作りになってる。例えば、番組公式サイトや番組内で使われた上の画像。これはおそらく、7年前に復元されて一般公開された展示物だろうと思う。
知ってる人にとっては当たり前の事かも知れないけど、番組内では昔の写真も映されてたから、どれが昔でどれが現在なのか分かりにくい。例えば、顔の向かって左側に制服コンパニオンの女性が立ってる映像は、昔の記録写真なのかも。
ちなみに、太陽の塔公式サイトで飾られてる第4の顔も、おそらく復元後の地底の太陽だと思う。天井には、世界各地の仮面とかが飾られてる。
☆ ☆ ☆
さて、太陽の塔は一応知ってるつもりになってたけど、3つか4つの顔の区別は知らなかった。モヤモヤしたまま、脳内イメージの中で顔が混ざってたのだ。70mの塔のトップで一番目立つのは、未来の象徴、黄金の顔。
そのかなり下、お腹の辺りで、ひねくれた顔でにらんでるように見えるのは、現在の象徴、太陽の顔。
その裏側、不気味な悪の姿に見えるのが、過去の象徴、黒い太陽。
そして、現物は行方不明になってる第4の顔、地底の太陽。これも復元後の映像だと思う。顔は直径3m、左右のフレア(炎)を入れると全長11mの巨大芸術オブジェ。
☆ ☆ ☆
2025大阪万博のプロデューサーの1人、福岡伸一が密かに追跡を始めてて、2021年のコロナ期、自分からNHKに企画を売り込んだらしい♪ おかげで、国営放送ならではの手間ヒマかかった番組が出来上がってた。テレビに映らなかった部分の地味な努力を想像すると、素直に賞賛に価する。
まず、王子動物園に移されてたという話は、ウィキペディアによると、しばらく前から分かってたことらしい。顔だけでフェンスにあったとか、箱入りで野ざらしになってたとか。
その後の展開に移る前に、追跡とは直接の関係はないけど、新発見が紹介された。今まで存在しないとされてた元の図面を、スタッフが探し出したようだ。素晴らしい☆
3枚発見したらしいけど、画面に映ったのは2枚に見えた。その右下には、「図面名称」として、「こころ<いのり>」と書かれてる。設計者は、現代芸術研究所の代表取締役、岡本太郎。
私が朝日新聞のデータベースで調べてみると、2018年3月の復元公開の記事には、図面が見つかってないことが書かれてた。図面が無いのに展示を再現するのも凄いことだけど、膨大な資料の中から図面を探し出したのも凄い。これは運良く成功したけど、失敗に終わった作業も今まで多数あったはず。
ちなみに、元の地下の展示は、「いのち」「ひと」「いのり」の3つの空間から成ってたらしい。祈りというものは、今回の番組内では、作者・岡本太郎の縄文時代への思いと結び付けてた。
☆ ☆ ☆
その図面とは関係ないけど、第4の顔の追跡は、現在の2025万博会場である夢洲に向かう。ただ、時期的に合わないようで、夢洲に埋められてるという仮説は結局、否定。
そして、神戸市の布施畑環境センターに辿り着いた。日本最大級の産業廃棄物処理場があるらしい。周囲には、縄文以来の(?)原生林や洞窟があって、ゴルフ場らしき開発も目立ってる。Google Earthの航空画像より。
ここに持ち込む際には、30cm角以下の大きさにしないといけないから、もし本当に持ち込まれたとしたら、小さく分解されてることになる。粉々かどうかはともかく、発掘は非常に困難。でも一応、将来の科学技術の進歩で発掘できる可能性は残されてる。
福岡伸一は、作品にふさわしくない場所だと嘆いてたけど、私は逆に、最高にふさわしい場所だと思った。
現代文明の発達や人類の進歩を否定・批判して、古代への熱い思いや祈りをアピールする時、産業廃棄物処理場ほどふさわしい場所もなかなか無い。
美術館や記念館、研究所とかよりは、遥かにメッセージ性があるし、岡本太郎らしい反骨精神も感じ取れる。そもそも太陽の塔には、代表的建築家・丹下健三による大屋根をぶち抜くという思いが込められてたらしい。
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結局、上図の赤丸からの矢印にそって、地底の太陽は移動したのかも知れない。と言っても、まだ未確認の仮説の段階だから、いずれ誰かがこっそり秘蔵してたものが出て来るかも。そもそも図面も、捨てられたと思われてたのに、キレイに存在してたのだ。上図の青丸が、現在の万博会場、夢洲。
というわけで、今日はここまで。今週も少なめ、計13793字で終了。ではまた来週。。☆彡
(計 2088字)
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