「恋愛」という言葉の語釈(辞書的意味)と恋・愛・異性、大渡海、広辞苑、大辞林、大辞泉~『舟を編む』第2話
個人的に今、レース直前だから、ドラマ見たりレビューしたりしてる場合じゃないんだけど、この辞書作りの作品は面白いから、またちょっとだけマニアックな感想を書いとこう。
ちなみに前回の感想は次の通り。今のところ検索アクセスに無視されてるけど、私自身はかなり気に入ってる♪ 独自の妙なこだわりを「愛」してるかも(笑)。自己愛か。
「右」という言葉の説明、「(東の)朝日を見ながら泣いた時、
(南の)風に吹かれて先に涙が乾く側のほっぺた」~『舟を編む』第1話
☆ ☆ ☆
さて、NHK『舟を編む』第2話は、「恋愛」(言葉、行為・状態)中心にしたエピソードだった。脚本・蛭田直美、演出・塚本連平。
すぐ思い出したのは、このブログで10年前に書いた「恋」の記事。
「恋」という言葉、辞書的意味の比較~新明解・三省堂・岩波・明鏡国語辞典など
ポイントの部分だけ、自分で引用しとこう。
「やっぱり、恋と愛は違うし、恋と恋愛もちょっと異なる。本質的に不安定、不完全だからこそ、恋は心ときめくものなのだ。恋とは、軽い欲望を明るく示す言葉。そして欲望とは、存在しないものを求める思いのことだ。」
不安定、不完全、存在しないものを求める。これらは全て、今回のドラマの核心にもなってた。
☆ ☆ ☆
番組のラスト近く。岸辺みどり(池田エライザ)が、自分で考えた「恋愛」の語釈(辞書的な意味)をホワイトボードに書く。毎回、このパターンで一つの単語を中心にするのかな。新しい中辞典『大渡海』の編集作業として。

恋愛 特定の二人の互いへの思いが、恋になったり愛になったり、時に入り交じったりと、非常に不安定な状態
辞書編集者として、「感情論ではない根拠」を元にした、「異性を外しても成り立つ語釈」を目指してる。
とはいえ、自分の元カレとの思いを、「あきらめて あきらめて あきらめて」考え出した語釈。「明らかにして 断念して 心を明るくして」、その直後の語釈。「非常に不安定」という言葉とか、ちょっと個人的すぎるから、推敲(すいこう)作業で洗練されるはず。
☆ ☆ ☆
ところで、このドラマの同名の原作小説(三浦しをん)は、2009年から2011年にかけての連載(光文社のファッション誌『CLASSY.』)で、ドラマの現在の年代設定は2017年。
この2017年というのはちょうど、日本の辞書の「恋愛」の説明が変わり始めた時期らしくて、代表的な中辞典『広辞苑』(第7版)の発売の前年になる。
ドラマの中での広辞苑の説明には、「恋愛」の冒頭にいきなり「異性」という言葉が書かれてた。現在の第7版を調べても、まだその点は改訂されてない。「(love の訳語)男女が互いに相手をこいしたうこと。また、その感情。こい。」。
ただ、「恋」の説明なら、少し変更されてた。「特に、男女間の思慕の情」とされてたのが、「(特に男女間の)思慕の情」に変わってる。男女という要素を丸カッコに入れてるのだ。
つまり、男女とか異性という要素を薄めてるわけで、次の広辞苑の改訂(第8版)だと、「恋愛」の項目でも男女がカッコに入れられるかも。
☆ ☆ ☆
そうした話は以前、朝日新聞の夕刊記事(2021年4月7日)で読んで、覚えてた。「[女]とは [男]とは 辞書も省みる」。恋や愛に限らない、もう少し広い視野の内容。

小ぶりの記事だけど、4人の記者の連名だから力が入ってる。才本淳子、田中章博、杢田光、田中ゑれ奈。女性2人、男性2人という、細かい配慮。
やっぱり、独自路線で人気の三省堂『新明解国語辞典』が、多様性や少数派への配慮の時代に素早く対応してるようだ。
☆ ☆ ☆
三省堂の中辞典『大辞林』でも、2019年の第4版を見ると、既に「恋愛」の説明や用例から、「男女」や「異性」が消えてた。「互いに恋い慕うこと。また、その感情。ラブ」。
小学館の中辞典のネット版、『デジタル大辞泉』でも、「恋愛」の説明・用例に男女や異性は入ってない。「特定の人に特別の愛情を感じて恋い慕うこと。また、互いにそのような感情を持つこと」。
まあでも、同性愛に対して「恋愛」という言葉を使うケースはまだかなり少ないと思う。それは、ドラマでも言われてたけど、「同性愛」という特別な言葉が別にあるからかも。
☆ ☆ ☆
本当は、恋愛と恋、愛の細かい関係についても書きたかったけど、もう時間が無くなったから、あっさり終わりにしよう。
準備が無駄になってしまうけど、「あきらめる」しかない。自転車のヒルクライム(山登り)レースでしか会えない、キツイ「激坂」に、「恋」して「愛」してるから。慕うというのはちょっと違うけど♪
それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 1930字)
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