環境省「2100年 未来の天気予報」(by 気象庁&IPCC第5次評価報告書)

私は暑がりで寒がり(笑)の屋外スポーツ愛好者だから、お天気の

話はよく書いてるけど、「環境」カテゴリーの記事はほとんど無い。

基本的にあまりに大まか過ぎて信頼度が低いし、むしろ政治的・

経済的な意図を感じるからだろう。自然エネルギーも同様。

 

数十年後~数百年後の環境の予測も、今後の太陽活動の変化

などによって、逆になってしまうリスクが一応ある(確率と程度は

小さそう)。フェイクニュースとか捏造といった言葉も飛び交ってる。

 

まあでも、とりあえず国際的な主流派や日本政府の見解は一致。

地球温暖化が進んで、世界に深刻な影響が生じるというものだ。

ここ数十年の日本の変化だけ表面的に考えると、そんな感じかな

・・という気はする。

 

今日(18年9月1日)は朝日新聞・夕刊に、環境省「2100年

未来の天気予報」のニュースが出てたので、早速チェックして

みた。簡単かつマニアックにまとめて、軽くアップしとこう。82

年後の読者にウケるかも♪ 「大ハズレ!」って感じで。。

 

 

     ☆       ☆       ☆

環境省・政府の温暖化対策推進本部による運動、「COOL

 CHOICE」(クール・チョイス=涼しさの選択)の公式サイトに、

未来予報の動画が紹介されてる。

 

180901f

 

まだ人間の気象予報士を使ってるわけね。美人アンドロイドやCG

じゃなくて♪ 都市の外観も、今の東京・お台場と大差なし。

 

180901g

 

モデルもまだ若い人間女性を使ってるように見える。全国で

12万人が熱中症で病院に搬送。意外と少ない気もする♪

 

180901h

 

気温30度以上の真夏日の日数。札幌以外は100日以上か。

日中の温度だと説明してるけど、真夏日の基準は最高気温だから、

一時的なもの。エアコンと日傘と冷却グッズでも何とかなるかも。

 

180901i

 

ここでも、予想「最高気温」なのに表示がない。音声の説明では

話してるけど、40度台という数字だけ印象付ける映像で、その辺り

の意図や恣意性(意のままにしてる様子)が多少引っかかる。

 

180901j

 

台風の中心気圧は895hPa! もの凄く低い気圧だから、竜巻

なみの破壊力になる。最大風速65m、最大瞬間風速90m。

建物の作りを今より遥かに頑丈にして、外出は禁止。交通機関も

地下鉄(地上部分なし)と潜水艦(浮上禁止)のみと♪

 

 

    ☆       ☆       ☆

激しい論争が続く分野だけに、さすがに根拠はハッキリ丁寧に

示してあった。どうやって出したのか。直接には「気象庁・地球

温暖化予測情報・第9報」(正確には第9巻)で温度上昇を決め、

現在の気温に足し算したと。

 

180901k

 

180901l

 

気象庁の発表は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

の第五次評価報告書(AR5、2013年)の概要より

 

今以上の対策をしないと、21世紀末に世界の平均気温が「最大で

4.8度」上昇するという「RCP8.5シナリオ」に基づく。最小

だと2.6度上昇なのに、そちらは未来予報に使ってないので注意。

 

180901m

 

 

     ☆       ☆       ☆

英語のIPCC・AR5原典の図は下の通り

Global average surface temperature change

(世界の平均表面温度の変化)。

 

180901n

 

これは概要だけど、英語本文は長くて重いから、一般の人には

お勧めできない。私はしばらくダウンロードを待った後、ブラウザ

を再起動するハメになった(笑)。

 

RCPは、Representative Concentration Pathways

(代表的濃度経路)の略。無数の予想がある中、代表的なCO2

(二酸化炭素)濃度の変化プロセスという意味のようだ。8.5と

いう数値の単位はW/m²で、「放射強制力」(地球を暖める力)

の数値。無駄ゴマ的な言葉がやたら多くて分かりにくい。

 

個人的には、逆に「寒冷化」、寒くなってしまう方が怖いなと感じる

けど、一部で地味に話題の「ミニ氷河期」に突入したとしても、

気温は僅かしか変化しない、とされてるようだ。

 

 

     ☆       ☆       ☆

まあ、いずれにせよ、大まかな話のわりに(or だからこそ)、非常

に詳細なデータと理論が積み上げられてる分野で、アクセス数は

期待できないから、コストパフォーマンスが極度に低い♪

 

この程度の記事が適度で十分だろう。ではまた明日。。☆彡

 

            (計 1680字)

| | | コメント (2)

福島第一原発の汚染水、現状の定量的なまとめ(13年・夏)

福島第一原発の汚染水の問題は、今に始まったことではないが、大きく取

り上げられるようになったのは、この春からだろう。今日は時間がない中、

この問題について、簡単なメモ程度の「定量的」なまとめを作っておこう。

        

一連の放射線・放射能の問題の核心は「量」だから、前提となる量とその計

算が必要だ。もちろん、近似的なものに過ぎないが、そもそも純粋な数学と

論理学などを除けば、あらゆる議論は近似的なものであって、それでも有効

性を保てるのだ。完成度の高い物理学でさえ、あらゆる箇所に大まかな近

似があることを思い出そう。

    

     

         ☆          ☆          ☆

以下、大手新聞社の報道と東京電力の発表のみを基本データとして、話を

進める。まず、8月8日に東電HPで発表された、「地下水の流入抑制のた

めの対策」(汚染水処理対策委員会報告書 5/30)から、2枚の図をキャ

プチャーさせて頂こう。事の性質上、著作権を主張されることはないと考える。

         

130822a

 最初はわりと目

 に優しい図から。

 原発の西側の阿

 武隈山系から地

 下水が流れて来

 て、原発敷地内

 その他を通った

 後、東の太平洋

 に流れるイメー

ジだ。誰でも思い付きそうな事は、原発を通さずに地下水を流せばいい、と

いう発想だろう。まさに今、それが問題となってる訳だが、社会的・心理的な

事情などで、なかなか事が進まないようだ。

     

次の図は、上側が東の太平洋となってる(海は省略)。図の左上に、原発

の1~4号機が並び、右下には汚染水などの貯蔵タンクが並んでる。

     

130822b_2

    

   

ここで「地下水バイパス」と呼ばれてるのが、1~4号機の手前(赤い斜線部

辺り)の井戸で地下水を組み上げ、海(図の右上)へ流すシステムだ。これが

なぜ実現しないのかというと、政府が東電任せにしてるから、という事情もあ

るだろうが、要するにトラブル連発による反発や不信感が大きいのだろう。

    

     

           ☆          ☆          ☆

では、一連のトラブルとは何か。時系列にしたがって、4つ挙げとこう。

   

  13年4月  地下貯水槽で、高濃度の汚染水漏れが発覚。

          汚染水を地上のタンクに移した。

   

     6月  丈夫なはずの溶接型タンクから、微量の汚染水漏れ。

  

     7月  タンクと関係なく、敷地内の土壌(建屋の外)で放射能汚染

          された地下水が海に流出してることが発覚。政府の試算だ

          と、1日あたり300トン。

     

     8月  簡易型タンク(フランジ型、組み立て型)で、300トンの高

          濃度汚染水が発覚。1リットル(=約1kg)あたりの放射

          性物質(全ベータ、つまりβ線を出す物全体)は、8000万

          Bq(ベクレル)。300トン、つまり30万リットルだと、

          8000万×30万=24兆Bq。

          ちなみに飲料水の基準は、1kgあたり10ベクレル(放射性

          セシウム)だから、その800万倍の放射能濃度(ベクレルの

          単純な比較)。

            

         

これらのトラブルから、政府・東電は地元(漁協など)の信頼を失い、地下水

バイパス計画の議論が難航している。ただ、冷静に考えれば、汚染水が溢

れ出すよりは、汚染される前の水をバイパスで海に流す方が合理的だろう。

そもそも、汚染水タンクを増やし続けるのも大変だし、その維持・管理もます

ます大変になって行くのだから。

     

    

          ☆          ☆          ☆

現在、原発敷地内を通る地下水の全体については、次のように考えられてる。

       

 山から1日合計、1000トン

      内訳  ① 300トン ── 汚染されずに海へ

           ② 400トン ── 原子炉建屋に流入、循環冷却に使い

                        つつ、処理装置でセシウムや塩分を

                        除去して、タンクに貯蔵

           ③ 300トン ── 建屋周辺の土壌で汚染されて、その

                        まま海に流出

       

      (☆追記: 8月23日に東電が修正。上の①と③の合計が400トン、

             ②と合わせて計800トンとのこと。①③の内訳は不明。)

       

    

この内、長期的には③が一番問題かも知れない。というのも、②のタンク汚

染水は、まだ数年はほとんど貯蔵できるし、今回の漏れも24兆Bq(ベクレ

ル)。この内の何割かは、建屋に流入して再び貯蔵されるだろう。

          

ところが、③は最大で1日あたり、ストロンチウムが100億Bq(おそらくスト

ロンチウム90に換算)、セシウム137が200億ベクレルだから、単純合計

で300億Bqが海に流出。1年=365日で10兆Bqを越えてしまう。 

      

ただ、東電の説明だと、③の汚染水でさえ、国の基準限度は一応下回って

るようだ。東日本大震災(3.11)以降、大まかに1000日と考えて掛け算。

   

  (ストロンチウムの最大値)≒100億×1000=10兆Bq

  (セシウム137の最大値)≒200億×1000=20兆Bq

     

この2つの単純な合計30兆Bqは、通常運転時の1年間の放出管理目標値

2200億Bqの100倍を超える。でも、その程度の余裕は見込んだ上の目標

値ということだろう。要するに、海の水は非常に多いし、流れもあるという話だ。

      

    

          ☆          ☆          ☆

ちなみに、世界の海水量は13.5億km³。1km³=(1000m)³=10億m³

だから、世界の海水量は、 13.5億×10億=135京(けい)m³

                             =135000京L(リットル)

                             ≒135000京kg

     

つまり、1350000000兆kg。この中に数十兆Bqの放射性物質が融け込

んでも、その10万倍でも、濃度はほぼゼロになる(国際的批判や心理的不

安、拡散に要する時間は別として)。

              

そこまで極端に考えなくても、仮に10km(10000m)四方で深さ100mの

狭い範囲(原発付近)だけ考えてみると、

       

  10000m×10000m×100m=100億m³

                        =10兆L(リットル)

                        ≒10兆kg。

      

この中に30兆Bqの放射能が2年間で流入した時、1kgあたり3Bq。20年

間続いたとしても、10倍にして、1kgあたり30Bqだから、飲料水の基準値

の3倍に留まる。もちろん、時間が立てばその分、放射能は広い海へと拡

散するし、ストロンチウム90もセシウム137も、半減期・約30年で半分に

なるのだ。

       

    

         ☆          ☆          ☆

なお、たとえば反原発の朝日新聞・朝刊(8月21日)では、「汚染水 打つ

手なし」、「地下もだめ、地上もだめ」と見出しを付けてるが、そこはもっと冷

静にとらえる必要がある。

    

地上のタンクは約1060基(簡易型が約350基)。その内、1つの簡易型

から、1/3弱の汚染水が漏れたわけだ。タンク全体の数から大まかに

考えると、約3000分の1の話だ。

(☆追記: 別のタンク2基からも漏れたようだが、ごく微量とのこと。)

       

汚染水の量で考えると、タンクの総容量は約41万トン。その内、既に約35

万トンが入ってる。この内の300トンが漏れたのだから、約1000分の1だ。

ほとんどの汚染水は、まだタンク内にある。現在の情報によると。。

    

したがって、残された時間的余裕や社会的・国際的反応を見つつ、できるだ

け早めに地下水バイパスを実現させることが必要だろう。実際、大手新聞社

の社説も揃って、その方向を主張している。

           

後は、トリチウム(三重水素)なども含めて、汚染水の処理のレベルを上げる

と共に、タンク(出来れば丈夫な溶接型)を増設。古い簡易型タンクのパッキ

ンは、5年の耐用年数より少し早めに交換して行くとか、点検をより厳格に行

うとか、出来ることを少しずつやって行くしかない。理想論、責任論などより、

現実的な対処が大切なのだ。

    

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

   

    

     

P.S. 8月21日の原子力規制委員会の発表で、今回の汚染水事故が

     INESのレベル3に相当するという暫定的な見方が示された。これ

     を受けて、ロイター発の記事が数千テラ(=兆)ベクレルの放射性

     物質という基準を簡単に示してるが、この量は「Mo(モリブデン)-

     99」換算という操作で大きくなったもの。Sr(ストロンチウム)90な

     ら、ベクレル数を140倍するのだ。Cs(セシウム)137は12倍、Cs

     134は20倍。

        

     気体による汚染ならヨウ素131換算(事故後まもなく話題になった)、

     固体ならセシウム137換算、液体ならモリブデン99換算ということに

     決められてる。

        

     

cf.被曝する年間放射線量すべての計算方法(自然・医療、外部・内部、屋外・屋内)

  ラジウム温泉の放射線について~低線量被曝の影響

  朝日の甲状腺被曝87ミリシーベルト報道の意味~実効線量と等価線量

  WHO(世界保健機関)による被曝線量の推計(全国、年代・経路別)

  文科省が10都県で確認、ストロンチウム(Sr)90の実効線量係数など

  湖や海、水浴場における放射線(外部&内部被曝)の計算

  魚・貝・海藻など、水産物の放射能(セシウム)について

  確率的影響と確定的影響~放射線被曝の二分法の再考

  外部・内部・甲状腺、福島県の放射線被曝について~3・11から2年

  日本人の自然放射線と医療被ばく線量(『新版 生活環境放射線』2011) 

  汚染水のトリチウム(三重水素)、実効線量係数と年間の内部被曝線量  

             

                                    (計 3547文字)

| | | コメント (0)

丸2日間の山岳耐久レース、NHK『富士山トレイル161キロ』を見て

これは凄い・・・☆ 私がたまたま見たのは、土曜日の昼前の再放送。金曜

夜が本放送だし、レース自体は4月26日~28日だから、かなり遅れた記

事だけど、非常に面白かったから感想その他をまとめとこう。ブログ運営上、

月曜の日付けになった直後に、1本記事をアップしときたいわけ♪ 明日と

明後日はドラマ『ガリレオ2』に追われるもんで。。

  

テレビ番組は、NHK『特報首都圏』。今回は、「密着!富士山トレイル~

161キロレースの挑戦者たち~」。大会の正式名称は、ウルトラトレイル・

マウントフジ(UTMF)で、まだ第2回とはいえ、国内最高レベルの苛酷さ

らしい。

          

今回は、厳しい資格をクリアした男性829人、女性162人が出走。46時

間での完走率は共に70%強だから、大変なのがよく分かる。ちなみに東

京マラソン2013の完走率は、96.5%だ(フルマラソン、7時間以内)。

仮眠施設は無いし、長時間の休憩もご遠慮ください、とされてる。

        

    

         ☆          ☆          ☆

ところで、スポーツ好きなら「トレイル」と聞いて、すぐイメージが湧くだろうけ

ど、一般にはまだ知られてないと思う。実際、私は外出先で偶然テレビを

見たんだけど、周りの人達は画面を見てなかった (^^ゞ 

          

トレイルという言葉自体が、車のトレーラーくらいしか馴染んでない。英語だ

と「trail」。名詞としては、山野の小道や、何かが通った跡を表す。語源を遡

ると、引きずるという動詞で、引きずったような跡が小道ってことだろう。

     

だから、トレイル・ランとは本来、山野の道を走ることで、そこには海外で人

気のクロスカントリーも入って来るはず。ただ実際には、どうもそこに特殊

な意味合いが加わって来たようだ。小型リュックに装備を入れて、山道メイ

ンで走るのが、トレイル・ラン。つまり、山岳ランを表す言葉になってる。

       

最近のプチ・ブームで、軽くて靴底のグリップのいい専用シューズを使うの

もフツーになってるらしい(多数派かどうかは不明)。専用グッズが広まると、

スポーツ企業や雑誌、ショップも盛り上がる。ランニングと違って、最初に

一通り揃えるだけでも10~50万円のお金が動く、自転車のロードバイク・

ブームがいい例だろう。ゴルフも同様。

        

ただ、ウチでも以前、記事にしたように、トレイルランとエコ=環境保護とい

う2つの流行は、似て非なるもので、ビミョーな関係にある。今回のトレイル

も、富士箱根伊豆国立公園を走ってるようで、自然を楽しめる半面、自然

破壊につながる恐れもある。試しに今、ウィキペディアを見ると、批判的な

見解もわりと強調してあった。似たような話は、自動車、バイク、自転車(M

TB)でもあるのだ。まあ、それについてはまた後で触れるとして、ここでは

テレビとレースの中身に入って行こう。。

        

     

         ☆          ☆          ☆

NHKの番組は、男性スーパーアスリートと、わりと普通っぽい女性(もちろ

ん凄い)の2人をメインにして、映像中心に描いてた。言葉の説明は少ない

から、後ですぐネットで調べることになったけど、やっぱり映像の力は大きい。

         

編集してると分かってても、「こんなに素晴らしくて面白そうなコースなのか」

と感心してしまった。同じ富士山でも、山麓を一周する山岳コースのあちこ

ちから眺めると、色んな表情を楽しめるのだ。お天気にも恵まれてた。しか

し夜の山道なんて、女性が1人で走って大丈夫なのかね? 実際、番組の

主役の1人、野口昌代さんも、ちょっと道に迷う素ぶりを見せてた。

   

女性選手を見てすぐ思ったのは、トイレはどうするの?ってこと。NHKでは

説明がなかった気がするけど、携帯トイレの所持が義務で、基本は10~

15kmおきくらいにあるエイド・ステーション(休憩所)のトイレを使う。もし途

中で携帯トイレを使ったら、紙も含めてエイドステーションで処分するらしい。

    

流石に、環境には気を使ってるわけだ。富士山は世界遺産への登録も(ほ

ぼ)決定したばかりだしね。ま、レース直後のニュースだったけど♪ ちなみ

に去年の第1回では、コースの一部でゴミが見つかったと、大会HPに書い

てあった。事前の調整も含めて、運営にはかなり気を使ってそうだ。

    

         

          ☆          ☆          ☆  

一方、もう1人の主役、男性スーパーアスリートは山屋光司さん。名前だけ

でも素晴らしい♪ メタボ対策で始めたって話だけど、僅か3年でフルマラ

ソン2時間41分を出してるから、努力はもちろん、才能にもかなり恵まれ

てたはず。私は一目見て、カッコイイなと思った(笑)。浅黒い、鍛え上げた

細身の身体と顔が渋いのだ。ちなみに奥さんもなかなか可愛かった♪ 仲

間にも恵まれて、幸せで、「いいね」。そりゃ、意味がちょっとズレてるか。

        

Facebookは(なぜか?)見当たらないけど、ブログの該当記事には「いい

ね」が100とか200も入ってた。ま、実績も飛び抜けてて、爽やかで、あち

こちで紹介されてるし、NHKのゴールデンタイムの主役にまでなったんだ

から、当然だろう。

           

大会2週間前に撮影の話が来たそうで、ゴールではNHKスタッフと熱い握

手をかわしたそうだ。私も番組を見ながら、カメラマンが大変だよなと思っ

てた。重いカメラで映しながら、山道を駆け抜けるんだから。。

    

         

         ☆          ☆          ☆

さて、市民アスリートの視点で富士山トレイルを見ると、最大の特徴はやっ

ぱり長さだろう。距離や高低差(合計9000m超!)もそうだけど、時間が

際立ってる。20時間程度でゴールするトップクラスの選手も含めて、みん

な夜の山道を経験するわけだ。明るいライトや電池の準備は当然だし、

色々大変だろう。

               

公式サイトで「必携品」(チェックあり)とされてる物には、コースマップ、飲

食物、ライト、携帯電話、携帯トイレ、防寒具(綿素材は禁止)、高性能の

雨具の他に、なるほどと思う物が並んでた。ホイッスル(笛)、サバイバル・

ブランケット(専用の軽い、はおり物)、テーピング用テープ、保温用の手

袋、耳まで隠す帽子、保険証。そして、携帯コップ(150cc以上)と熊鈴♪

   

携帯コップは細かいね。エイドステーションに紙コップはないらしい。まあ、

実際にはないはずの物があったりするのが世の中の常だけど、富士山

は特殊な場所だし、たぶん本当に無いんだろう。

    

    

         ☆          ☆          ☆

で、最後に、私が一番気になった「熊鈴」(くますず)。必携品って所が面

白いね。確かに、熊に襲われたってニュースは時々耳にするけど、問題

は熊鈴の総合的評価だ。ちなみに私が毎年出てる日本最大の自転車ヒ

ルクライム、「乗鞍」も、熊による被害が大きなニュースになった場所だけ

ど、熊鈴は使ってない(ほとんどの人は♪)。

     

これ、調べてみると、熊鈴に対する否定的意見も珍しくないようで、効果が

ないとか、うるさいというのが代表的な論点だ。試しに、Youtubeでいくつ

か動画の音を聞いてみると、キレイな音だし、特に大きいとも感じない。た

だ、静かな山の中だし、気になる人にとっては気になるんだろう。グルー

プになってると、音量も数倍になるしね。

          

商品サイトには当然、効き目があるかのように書かれてるけど、事の性格

上、効き目は実証しにくいはず。ただ、富士山トレイルの場合、山道だと

選手がばらけるだろうし、レース中だから、うるさいと感じる一般人も(あま

り)いないと思う。地元の運営サイドとしては、万一の安全のために、伝統

的な知恵を使いたいんだろうね。

        

ただ、大会前の「試走」については、熊鈴禁止区間が設定されてる。やは

り、ビミョーな道具なのだ。ストック(杖)も多くの区間で禁止だから、環境

対策は気を使う話だね。。

           

   

         ☆          ☆          ☆

ちなみに乗鞍では経験ないけど、美ヶ原の自転車ヒルクライムだと以前、

音が大きめの鈴をチリンチリン鳴らし続けながら抜いて行く自転車がいて、

「うるせぇ~!」と怒鳴られてた。普通は何も言わずにスパッと抜くか、「す

みません、通ります」と一声かけるのだ。「空けろ!」とか怒鳴る選手がた

まにいて、これもまたトラブルの元になる。個人スポーツも、人間関係と無

縁ではない。

       

ついでに、前から気になってた物も調べてみた。ベルの代わりに、一部の

ロードバイク(レースタイプの自転車)が付けてる、音の優しい「鈴」。歩道

とか多摩川サイクリングロードとか、狭い所で存在を知らせる物だ。チーン

と鳴らすベルよりはスマートだなと思って、私も前から欲しかったんだけど、

商品化されてるんだね。「ViVa(ビバ)きづきベル」って商品がメジャーで、

800~900円くらいで多色展開してた。

   

まあでも、基本的には鳴らさない方がいいと思う。歩道なら、抜くチャンス

を待つか、降りて押すか、「すみません」と声をかけるか。多摩川だと、私

がよく使う方法は、十分減速して歩行者から距離を1m以上取ること。こ

れは当たり前にはなってない。歩行者の10cm横で飛ばす自転車はよく

見るし、反対車線を2台並んでオシャベリしながら逆走して来た上で、仕

方無いからこちらがブレーキをかけて止まったのに、謝りもしない自転車

も実在した。2人で顔を見合わせて、苦笑いしてるだけなのだ。

    

熊鈴から話が逸れたが、あらゆる面で大変なトレイル・ラン。「ハセツネ

30K」(距離32km)とか、短い大会なら興味あるけど、荷物を持って走

るのはちょっとダルイかも。ま、そんな事より、今は心臓リハビリに徹す

るとしよう。

           

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

             

                                (計 3804文字)

| | | コメント (0)

大気汚染物質の監視サイト、「SPRINTARS」&「そらまめ君」

昨日の硬派の記事は、日付けと週をまたいで、先週(昨日)の分が約3000

字、今週(今日)の分が約4000字となってる。月曜~日曜で計算する週間

文字数制限2万字を形式的に守ってるから、こうゆう面倒なことになる訳だ

が、とにかく今週はもう残り16000字しか書けない。たかが自主規制、され

ど自主規制なのだ。

   

そこで今日は、あまり文字を使わないわりに意味のある記事を書いてみよ

う。今、日中で話題の、中国の大気汚染の問題だ。2011年に米国が事

態を公表して警告、中国が反発した辺りがニュースの発端だろうか。現在

日本はまだ、深刻に考えるほどでもないらしいけど、ぜんそく、肺がん、

脳梗塞とか、色んな病気と関係があると言われてる。北京では、スモッグ

(霧)が街を覆ってる(こともある)らしい

         

私は3.11の直後から、いずれ西日本も、中国の兵力や原発の放射能リ

スクに揺さぶられるだろうとは思ってたが、大気汚染が偏西風に乗って押し

寄せるとは思わなかった。

      

Googleの期間指定ニュース検索や朝日新聞デジタルで検索すると、去年

の春から、西部や地方版の記事でたまに話題になってたようだが、全国レ

ベルで大きな話題になったのは今年に入ってのこと。急激に深刻化したと

いうより、前からあった話に注目が集まって来たと見る方が近いと思う。。

   

    

(☆追記: この記事アップの直後、日経HPが記事を掲載。中国の汚染

       80年代後半から悪化。特に北京は、多数の火力発電所、自動

       車の増加、暖房、山に囲まれた地形などのせいで、ひどくなっ

       たとのこと。北京五輪の時だけ、一時的に清浄化したそうだ。)

   

(☆追記2: 2月6日公開、在中国・日本大使館の講演資料によると、北

        京のPM(粒子状物質)は依然として深刻ながらも、2012年

        か11年まで、14年連続で改善との事。やはり注目度が上がっ

        ただけなのか。中国でのデータ公開もかなりあるようだ。)

   

      

          ☆          ☆          ☆

で、字数がないから要点に移ると、放射能や花粉と同様に、大気汚染の

状況を図で示してくれるシステムのHPが2つある。

     

130204_00

  まず、九州大学が中心となって

  る、「SPRINTARS」(スプリン

  ターズ)。大気汚染微粒子(エア

  ロゾル:すす、他)や黄砂が移

  動する様子を、カラーの時

130204_03

  空連続的な予測動画で見せて

  くれる。3時間おきだし、一切の

  責任を負わない試験的公開に

  すぎないけど、一応分かった気

  にはなれるものだ。色が濃い、

つまり汚染がひどい地域(特に赤色)だけ注目すれば、コンピューター・シ

ミュレーションの動きが分かりやすい。

           

130204_06

  左に並んだ図は、2月4日の0時か

  ら21時までの予測を静止画キャプ

  チャーしたもの。公の機関が土台

  だし、著作権を強調してるサイトで

  もないので、好意的な紹介で注意

130204_09

  されることは無いだろう。

    

  昼間だけ汚染がひどいのかと思っ

  たら、深夜も明け方も、中国では

  悲惨。日本への影響は、午後から

  夜にかけて強まってるが、いつも

130204_12

  こうなのかはまだ分からない。

    

  あと、偏西風のスピードは上空

  の最大値あたり(ジェット気流)

  で時速数百kmだけど、低い側

130204_15

  (地面の近く)では遥かに遅い

  はず。時速100kmとしても

  6時間で600kmの移動に過

  ぎないから、日中の汚染濃度

  の時差を説明できるかどうか、

  ビミョーな所だ。

   

130204_18

  ちなみに飛行機のマイレージ

  で計算すると、上海と福岡

  距離は1000km程度。大阪

  だと、1500kmくらいだ。ま

  あ、今後は時々チェックして、

  法則性についても考えてみよ

130204_21

  う。これって、天気予報に似て

  るね。ということは、ある程度

  分かるけど、それほど簡単で

  もないのだ。

         

130204sp

  

  左の画像は、CG動

  画とは別に掲載され

  てる、各地の簡単な

  予報の表だ。念のた

130204_chi

  め、外務省HPから拝借

  した北京・上海あたりの

  地図も挿入しとこう。

  国には、インドの大気汚

  染が来襲してそうだ。。

     

  (☆追記: アジア全体

  の夕方の図も下に添付。

  やはり中国が目立つ。)

       

     

130209a

           

   

        

           ☆          ☆          ☆   

もう一つのお役立ち情報サイトは、環境省の大気汚染物質・広域監視シス

テム、「そらまめ君」空をマメに監視してくれるそうで、ソラマメ(空豆)の

キャラクターがちょっと可愛い♪ 

   

130204s

  個々の測定局における、

  別の大気微粒子のデータを

  色と数値で見れるからなの

  か、人気のようで、今はちょっ

  とアクセスが重くなってる状

  況だ。左は九州の北西部で、

  話題の「PM2.5」の様子を

  見たもの。

   

130204s2

 これは「Particulate Matter

 2.5μm」の略。つまり直径

 2.5マイクロメートル以下

 粒子状物質を指す用語で、

 中国では流行語になってる

 という報道まである。

     

  細かい話をすると、実は2.5

  μm(=1000分の2.5ミリ)

130204s3

  より大きい直径の粒子も混ざってる

  一方、2.5以下がすべて考慮され

  てる訳でもない(理論的に50%)。

  試しに、表面的なデータで比較する

  と、SPM(浮遊粒子状物質)の半

  分以上、多くの場合7割以上が、

  PM2.5のようだ。SPMには土ぼ

  こりが含まれ、PM2.5には黄砂

  が含まれる。

       

130204s4    

  また長くなるから、

  この辺でアッサリ

  終わりとしよう。

  ではまた。。☆彡

    

   

         

P.S.  オマケとして『ビブリア古書堂』で話題になってた本の情報をプ

      ラス。宮沢賢治、『春と修羅』の初版本は、国立国会図書館の

      近代デジタルライブラリーで無料ネット公開されてる。少し重い

      けど、元のままの画像だ。内容だけなら、無料の電子図書館

      「青空文庫」でも公開中で、こらちは動きがすごく軽い。

       

      

P.S.2 地味な話題にも関わらず、予想以上に検索アクセスが多いの

      で、細かい追記をもう一つ。

  

      「SPRINTRS」という検索が結構入ってるが、これは「短距離

      走者」の英語の複数形で、10年前までのトヨタの小型車名とし

      ても有名。それに対して大気汚染監視サイトは「SPRINTRS」

      で、後ろから3番目のアルファベットは「A」だ。これは、中心的

      な言葉であるエアロゾル(Aerosol)の頭文字だから、「E」とする

      訳にはいかない。実は当初、私自身も本文中では間違ってた。

       

      なお、発音とか読み方は、綴りからどう見ても「スプリンターズ」

      だし、09年のpdfファイルにもそう書かれてる。ちなみに、「そら

      まめくん」とひらがなで書くと、人気絵本シリーズ名らしい。

         

   

P.S.3 『週刊文春 2013年2月14日号』(2月6日発売)では、中国の

      大気汚染が大きく扱われてたが、土壌・農産物汚染はさらに大き

      な扱いだった。「猛毒米」が年間5万トン日本に入ってるとのこと。

      中国では、農業の基準自体が日本より相当緩いようなので、

      ドミウム、水銀、ヒ素、鉛、クロム、銅、有機塩素化合物(DDT、

      BHC)などには注意が必要だろう。。

    

                                 (計 2650文字)

| | | コメント (3)

外部被曝におけるベクレルとシーベルトの計算式(by IAEA)

時間に追われる中、前から引き延ばしにしたままの放射線記事を、軽く

き上げておこう。原発事故から5ヶ月半経っても需要の多い話、ベクレルと

シーベルトの関係だ。

    

この問題については、3月半ばにアップしたロングセラー記事、「シーベルト、

グレイ、ベクレル~放射線・放射能の単位について」で扱って以降も、度々

言及して来たが、ベクレル(放射能)とシーベルト(放射線量、正確には実

効線量)の「物理的な関係式」(吸入や飲食を除く)については、一度も

いてなかった。と言うのも、今の日本の状況だと、あまり実用的な話では

ないからだ。実際、マスメディアで正確に報じられることも(ほとんど)ない。

              

たとえば、当サイトへの検索アクセスを見てると、「○○ベクレルは何シーベ

ルトか?」といった質問文をよく見かける。これが、「○○ベクレルの放射性

物質を体内に取り込むと何シーベルトの『内部』被曝なのか」という意味なら、

かなり実用的な話で、もちろん当サイトでも度々書いて来た。身体の内部

で、長時間、至近距離から放射線を浴びることが避けられないからこそ、

重要な問題なのだ。

                 

例えば、Cs137(質量数137のセシウム)なら、関係式は次の通り。

       

 Bq(ベクレル数)×0.013(実効線量係数)=μSv(マイクロシーベルト)

    

ただし、こうして求めたシーベルトは、成人飲食した場合の50年分

被曝量(経口摂取による預託実効線量)で、子供だと別だし(年齢に応じて

不規則な変化)、1年分なら少し減る(以前のセシウム牛肉の記事を参照)。

ベクレルに掛け合わせる実効線量係数は、ヨウ素131なら0.022セシ

ウム134なら0.019が、現在よく使われてる数字だ(別の説については、

以前のシーベルト記事参照)。

   

                 

         ☆           ☆          ☆

それに対して、「○○ベクレルは何シーベルトか」という質問が『外部』被曝

に関するものなら、多くの市民にとって、ほとんど実用性はない。これはた

とえば、セシウム牛肉の「売り場」を通り過ぎるとどれだけの放射線を浴

びるか、というような話で、あまりに小さい値だからだ。そうでなければ、テ

レビでいわゆる「ホットスポット」(空間線量が異常に高い場所)の測定な

ど、気軽にするはずはない。

     

ただ、原発事故の現場処理の作業者とか、福島県の一部地域の住民に

とっては、小さい値とは限らないし、純粋に物理的・科学的な興味を持つ

人もいるだろう。あるいは、一部には、福島から来た人や物に近づくと危

ないような気がしてる人もいるようだ。心情的な側面もあるだろうが、

確な知識があれば、そういった誤解や偏見を持つこともないと思う。

    

そこで、以下では、信頼できる公の文書を参照して、外部被曝における

ベクレルとシーベルトの関係を解説し、具体的に計算してみよう。ポイン

は、放射性物質との距離、接近時間遮蔽物(普通は空気)、これら3

つの要素だ。いわゆる距離の「逆二乗法則」、たとえば距離が3倍にな

れば線量は9分の1になるといった話を、厳密に定式化したものだと言っ

てもいいだろう。ちなみに逆2乗法則の基本的な話については、3月に

既に記事をアップしてある。

              

     

         ☆           ☆         ☆  

出典は、IAEA(国際原子力機関)2000年の文書、「放射線緊急事

態時の評価および対応のための一般的手順」(Generic Procedures

for Assessment and Response during Radiological Emergency)。この

日本語訳が、国の唯一の研究機関とされる放射線医学総合研究所

よって、pdfファイルで公開されている。英語原文も簡単にダウンロード

可能だが、以下では基本的に邦訳を使用し、英語原文は補助的に示

すことにしよう。

              

全185ページの本格的文書の中盤、81ページから始まる「セクション

E 線量評価」の冒頭は、総実効線量を求める簡単な足し算になってる。

邦訳に続いて、参考までに原文も挿入しておこう。まさか著作権を問われ

ることはないと確信している。

      

110826a

     

110826a2

      

    

要するに、全放射線量=外部被曝+内部被曝(呼吸&飲食)という当た

り前の話だ。ここから、「外部放射線からの実効線量」(つまり外部被曝)

を求める話へと移行する。もっとも基本的な、「点状線源」(狭い空間に集

まった放射性物質)の場合、その関係式は、次の通りだ。

    

110826b

    

110826b2

      

これを見ると、線量ベクレル数(A)や被曝時間(T)に比例し、距離(X)

の2乗に反比例してるのが分かるだろう。表E1の換算係数というのは、

Cs137の場合、6.2×(10の-8乗)。Cs134なら、1.6×(10の

-7乗)、I (ヨウ素)131なら、3.9×(10の-8乗)だ。

         

また、「半価層」とは、線量を半分(0.5)にしてくれるような遮蔽物の厚み

のことで、物の種類によって異なるが、表E2で「大気」の項目を見ると、

Cs137なら0(ゼロ)とされている。これは0.99cm未満という意味だから、

多めに1.0としとけば十分だ。式の右上、「0.5」の部分は、遮蔽の効果

を示している。例えば半価層の3倍の「遮蔽厚」の遮蔽物があれば、0.5

の3乗倍、つまり0.125倍(=1/8)まで線量が減ることを示すわけだ。

         

            

          ☆          ☆          ☆ 

では最後に、具体的な外部被曝の実効線量を計算してみよう。4000ベ

クレル(=4kBq)の放射能を持つ牛肉から1m(=100cm)の場所に、

6分(=0.1時間)いたとすると、上の公式を用いて、次のように計算で

きる。公式の指定に合わせた単位の取り方に、注意して頂きたい。

       

110826c2

    

これは要するに、ほとんどゼロということだ。この計算で大きい役割を果た

してるのは遮蔽の部分で、これを考え合わせるなら、線量は距離の逆2乗

よりも更に小さいことになる。ただし、これについては元の文書に、「遮蔽

は考慮できるが過小評価になるかも知れない」といった内容の話や、「

蔽を無視するためには遮蔽厚をゼロに設定する」という文も書かれてる。

        

そこで、遮蔽を無視して計算し直すと、2.5×(10の-5乗)μSv

つまり、0.000025マイクロシーベルトとなって、ほんの僅かに意味の

ある数字となる。とはいえ、セシウム牛肉を大量に取扱った業者でさえ、

この10万倍程度の被曝だろうから、ほとんど実害は無いはずだ。

         

なお、原発の事故現場では、放射性物質が空気中(つまり身体のすぐ近

く)に大量に浮遊している可能性があるので、距離遮蔽厚ゼロに近

づくし、ベクレル数桁違いに上がる。すると、実効線量は数ミリ~数百

ミリシーベルトの危険域にまで達してしまうわけだ。もちろん、外部被曝以

外に、吸入による内部被曝も相当あるだろう。したがって、高性能な防護

服(つまり遮蔽物)に身をつつみ、時間を短く制限することになる。

         

      

          ☆          ☆         ☆    

「ベクレル 危険度」とか、「ベクレル 危険値」といった感じの検索アクセ

スがよくあるが、ベクレルの値だけでは、危険かどうか分からない。放射

物質の種類、距離、時間、遮蔽物に応じて、個別に計算・判断する必

要があるのだ。放射線の話は、きわめて定量的なものであって、しかも

計算の多くは単純な算数レベル。今こそ、目を背けず、みんなが正面か

ら向き合うべき事だろう。

      

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

      

     

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

cf.原発から各地までの距離と、放射線の年間総量(by文科省データ)

  放射線(放射能)の危険性と距離~2つの逆二乗法則(情報源明示)

  シーベルト、グレイ、ベクレル~放射線・放射能の単位について

  雨の長距離ランニングで浴びた放射性物質の計算(by定時降下物データ)

  体内摂取した物質の放射線量の計算~物理学的・生物学的半減期

  原発事故評価レベル7と、セシウムのヨウ素換算値の計算(by INES)

  福島原発レベル7の基準を読む~INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)

  福島原発によるガン発生の厳しい試算~欧州放射線リスク委員会

  なぜセシウムのヨウ素換算値は40倍か~放射性物質の計算理論(by INES)

  被災地の被害が深刻とされる、「風評」の意味とは・・

  「想定外」という言葉の考察&リハビリラン2日目

  実効線量、等価線量、線量当量~様々なシーベルトの関係

  各地の放射線量、文科省データと「本当」のデータの比較

  原発事故はみんなが無責任、だけどね・・

                    ~東電社員の息子・ゆうだい君への応答

  震災後の青空文庫で人気、寺田寅彦『津浪と人間』  

  ランニングの呼吸で内部被曝した放射線量の計算

 被曝する年間放射線量すべての計算方法(自然・医療、外部・内部、屋外・屋内)

  久々に涼しい1日&放射線量の「ホットスポット」など

 セシウム牛肉、食後1年間での内部被曝線量の計算方法(定積分&実効半減期)

  放射性物質の半減期、壊変定数、質量(重さ)~微分方程式の初歩など

  津波の物理学~浅い海、水面波の波動方程式と速度

  放射性ラジウムその他と崩壊系列&37度微熱ラン

  ラジウム温泉の放射線について~低線量被曝の影響

  放射線被曝のがんリスクを帳消しにする運動量の計算など

  福島のスギ花粉の放射能による内部被曝の計算式(by林野庁)

  朝日の甲状腺被曝87ミリシーベルト報道の意味~実効線量と等価線量

  WHO(世界保健機関)による被曝線量の推定(全国、年代・経路別

  確率的影響と確定的影響~放射線被曝の二分法の再考

  義務教育における放射線・放射能~中学校・理科の教科書&副読本

     

                                 (計 3834文字)

| | | コメント (0)

唱歌『故郷』(ふるさと)、日本の原風景~朝日新聞「うたの旅人」

朝日新聞・土曜朝刊の別刷「be on Saturday」には、毎週有名な懐メロ

特集が掲載されている。文芸・健康・食事などを扱うオレンジ色の表紙

の方で、2ページも使って大きな写真や詳細な情報を載せてるから、知っ

てる曲の時はなるべく目を通すようにしてる。

                         

今回(10月24日)扱われたのは、誰でも知ってる小学校の唱歌『故郷』

(ふるさと)。この曲、歌詞もメロディーも大好きなのだ♪ 最近は、紅白

歌合戦とかで耳にする程度だけど、変な話、その気になればすぐに泣け

るだろう。私自身が子供時代に過ごした故郷と重なるし、ウチの母親も

たまに鼻歌で歌ってた、何とも懐かしい曲だ。田舎から出て来た頃は、

「志をはたして ♫」と歌うこともあった気がする。ちょっと恥ずかしいかも。。

             

既に作詞者・高野辰之の他界(1947年)から50年以上過ぎてるし、今

でも小学校6年の教材に掲載されてるのだから、著作権の問題は無い

と判断。以下、全文を引用させて頂くことにしよう。

    

     兎追ひし かの山

     小鮒釣りし かの川

     夢は今も めぐりて

     忘れがたき 故郷

      

     如何にいます 父母

     恙なしや 友がき

     雨に風に つけても

     思ひ出づる 故郷

    

     志を はたして

     いつの日にか 帰らん

     山は青き 故郷

     水は清き 故郷  

            

       (朝日よりむしろ、ウィキペディアのオリジナル歌詞を参照した)

 

        ☆          ☆          ☆

さて、新聞記事の見出しは、テレビ東京の懐メロ特番のパロディみたい

に、「これが日本の原風景だ」♪ 連載企画のタイトルは「うたの旅人」だ

から、『故郷』にまつわる旅をすることになる。今回はそのまま、曲が歌う

故郷への旅。作詞者・高野の出身地、長野県中野市永江村のことだ。

                

JR飯山線・替佐(かえさ)駅から車で15分くらいの場所が彼の生家だそ

うで、駅のホームでは『故郷』が流れるし、列車内でも「懐かしい日本の

風景が広がります」というアナウンスがあるとの事。上信越自動車道なら、

豊田飯山ICを利用。

              

高野辰之記念館の高野源・元館長によると、生家から5分歩いた場所に、

曲が歌う原風景が広がってて、「かの山」とは左右に並ぶ低めの大平山

(おおひらやま)と大持山(だいもちやま)、「かの川」とは辺りを流れる小

川の班川(はんがわ)のこと(記念館HPでは大平山だけを紹介)。

             

山と川と畑に囲まれて民家が点在する、平凡ではあってもまさに原風景

的な自然の光景。この写真を見て、私は自分の故郷をちょっと思い出し

た。瀬戸内海に面した田舎町だけど、海の反対側はすぐ山。畑も当時は

そこそこ残ってた。ただ、いくつかある小川は班川のような清流では無く

て、せいぜい大人の目を盗んで危ない水遊びを楽しめる程度。「小鮒」を

釣ったためしはない。ちなみに班川にいたのもヤマメなどの清流魚で、

フナという歌詞は日本の釣りで一般的に有名な魚だからだろうというの

が、元館長の解説。

                        

歌詞については、もっと意外でちょっと笑える話が書いてあった。「ウサ

ギ追いし」というのは、子供たちがウサギを追いかけて楽しく遊んでるの

かと思ってたんだけど、ウサギ鍋にする貴重なたんぱく源を捕まえるた

めの、「兎追い」という行事のことだったらしい。肉を手に入れるためとは

いえ、牧歌的なイメージが揺らいじゃうかも♪

                             

子どもが一列に並んで、大声を上げて雪山を登り、驚いて逃げるウサギ

を漁師が撃つ。この時の子供たちは、「友」達同士が「垣」根のように連

なってたんだろう。このようなイメージが、「友がき」という歌詞の由来らし

い。『大辞林』(三省堂,第二版)によると、「ともだち。友人。交わりを結

ぶことを垣を結びのにたとえていう」とのこと。『大辞泉』(小学館)もほぼ

同じ説明で、「友」達の悪「ガキ」という意味ではないようだ♪ なお「恙な

」(つつが無い)とは、病気・災難などの「恙」が無い平穏無事な状態だ。

           

三番の歌詞「志をはたして いつの日にか帰らん」というのは、まさに

詞家自身の思いだったようで、実際しばらく後に実現したとの事。作詞

の11年後、1925年に名著『日本歌謡史』で東大の文学博士号を得て、

翌月にすぐ凱旋帰郷したらしい。その後も一線の国文学者として活躍。

出来過ぎのキレイなお話だ☆

                               

キレイと言えば、岡野貞一作曲とされる美しいメロディーに関しても、逸

話が掲載されていた。日本語も曲も知らないアラスカ先住民が、現地で

活躍した写真家・星野道夫の追悼行事で初めて『故郷』を聴いて、涙を

流したというのだ。賛美歌ゆずりとも言われる、ゆったりした3拍子の旋

は、国境を越えて人々の心にしみ入ったのだろう。。

               

       ☆          ☆          ☆       

高野&岡野のコンビは、『春が来た』(春が来た 春が来た どこに来た

♫)、『春の小川』(春の小川はさらさら行くよ ♫)、『紅葉』(秋の夕日に 

照る山紅葉 ♫)なども作ったとのこと。どれも素晴らしい曲で、しかも輸

入ではなく日本独自の作品として先駆的な業績だ☆ 

      

私もいずれ、「志をはたし」たいという思いはあるけど、なかなか上手くい

かないのが実際の人生。『故郷』でも口ずさみつつ、初心を思い出しても

う一度頑張ってみよう・・・とか書いて終われば学校教育的でいいのかも。

小学校の先生が二重丸くれそうだ♪

                       

なお、高野辰之記念館はなかなかしっかりした作りのようで、事前予約

の団体客には付近の「ふるさと遊歩道」のガイドもしてくれるそうだ(HP

情報)。時代はまさにエコブームだし、自然と共生する古き良き日本を

再発見するにはいい場所だと思う。私もいずれ、電車か自転車でのん

びり行ってみたいな。自分の故郷でもいいけどね。

        

ではまた。。☆彡

       

           

         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.ウィキペディアでは、岡野の作詞というのは不確定情報として扱っ

    ている。文部省唱歌として、しばらく作者が伏せられていたことな

    ど、特殊な事情が影響してるようだ。ちなみに『春の小川』の元の

    歌詞は、実は「さらさら流る」であって、その後2度の変更を受けた

    という話も載っていた。

         

P.S.2 日本画家の東山魁夷は、『故郷』に触発されて『郷愁』という作

      品を描き、日展で無鑑査出品の資格を得たとのこと。また、国

      語学者の金田一春彦は、「日本人に、日本に生まれてよかった

      ・・・・・・という自覚を持たせた詩人といったら私は高野辰之博

      士が一番だと思う」と語ったそうだ。紅白歌合戦の司会者が言

      いそうな言葉だけど、ホントに一番かもね。。☆

| | | コメント (17)

トレイルランとエコ=環境保護の対立

RUN 14.3km,1時間07分46秒,心拍153

自転車+山登り=ヒルクライム、ランニング+山登り=トレイルラン(山道

走)。とりあえずこう考えてみると、山登り・自転車ヒルクライム・トレイルラ

ンの3つの流行がシンプルに結びつけられることになる。ただ、もちろんこ

れは大雑把な話で、実際にはそれぞれ、かなり違う特徴を持ってる。

              

山登りは中高年が中心で、ゆったり自然とふれあう運動。それに対して、

自転車ヒルクライムは少し年齢層が若くなって、車道で力を振り絞るス

ポーツ。そして最後にトレイルランは、更に少し年齢層が若くなって、自然

とふれ合いながら力を振り絞るスポーツだろう。ヒルクライムとトレイルラ

ンの決定的な違いは、道だと思う。「トレイル」(trail)とは、森林・原野・山

などの舗装してない道を指すのが普通で、だからこそ自然とか環境の問

題がシビアになってくる。

                          

        ☆          ☆          ☆

今日(9月17日)の朝日新聞・夕刊の「環境・エコロジー」欄には、「トレ

イルラン 定着するか」、「人気の一方、環境への影響に懸念」という、わ

りと大きな記事が掲載されてた(編集委員・武田剛、松尾一郎)。有名な

富士登山競走の写真が2枚掲載されて、山道でランナーがひしめき合っ

てる様子が写されてる。今年で62回目、3000人以上を集める人気の

大会で、トレイルラン・ブームの象徴的存在だ。

            

その一方、国立公園で開催予定だった「ツール・ド・TANIGAWA」(谷川

岳)と「OSJハコネ50K」(箱根)は中止に追い込まれた。自然保護団体

から自治体への反対や意見が響いたようだ。環境省も、国立公園での

競技会開催には難色を示しており、谷川岳の場合には「特別保護地区、

第1種特別地域及びこれに準ずる地域での競技会は禁止」との方針を

示した。   

    

ところが、この方針というのは法的拘束力がないし(自然公園法)、伝統

ある富士登山競走のコースも、国立公園の特別保護地区に入っている。

国立公園課の担当者は「個別に対応する」と語ってるそうだけど、どうし

て富士は良くて谷川岳はダメなのか、二重基準=ダブルスタンダードの

矛盾を指摘する声は当然あるだろう。

        

ランニングじゃなくて、バイクや自動車なら規制は簡単なはずだ。ところ

が、環境法の専門家・加藤峰夫教授(横浜国立大)も語るように、「走る」

というのは曖昧な概念で、人が普通に「歩く」ことの自然な延長だから、

法的に規制するのは難しい

    

結局、まずは全国の競技会の具体的な実施状況を知る必要があるとい

うことで調査が始まってるようだ。自然は大切だけど、自然を守るために

人間との触れ合いまで禁じるのも行き過ぎの感はある。参加人数、走り

方、マナー、環境保護対策など、個別の具体的内容をよく見極めて、折り

いをつけていくしかないだろう。

                

ちなみに私も、トレイルランには興味があるけど、手軽に出来ることでも

ないし、脚の故障も心配だから、とりあえずは様子見の姿勢だ。まあ、自

転車ヒルクライムで山や高原の景色を楽しむだけでも十分だろう。。

    

       ☆          ☆          ☆ 

おっと、また長くなってしまったから、自分の走りは簡単に。今夜は気温

が19度しかなくて、Tシャツと短パンだと、スタート時に肌寒く感じるほど

だったけど、しばらく走れば涼しくて快適な気象条件だった。ところが、な

まじ意識的にゆっくり走ろうとしたのが災いしたのか、古傷の右脚付け根

がギクシャクして、ちょっと痛い。普通10分もすれば治るのに、今夜は最

後までおかしいままで、とてもスピードを出す気にはならなかった。14.3

km走り通すだけでも、かなり辛かったほど。

           

それでも、トータルでは1km4分44秒ペースだから、ボチボチかね。明

日の夜までに治るとは思えないから、1日か2日休むハメになるかも

れない。気温が低くなると、走るのはラクになるけどトラブルは増えるね。

心拍はプラス10の補正。ではまた。。☆彡

     

           

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.のりピー=酒井法子の記者会見を見た。う~ん、思わずウルウル

    しちゃったけど、これまでも清純派イメージを装いつつ覚せい剤に

    手を出してたことを思うと、かなり複雑かも。とりあえず入院先のメ

    ンタルケアをじっくり受けて、今後に備えて欲しいもんだ。。

           

  往路(2.45km)   12分16秒  平均心拍142          

  1周(2.35km)   11分24秒        153       

  2周           11分20秒        154       

  3周          11分13秒        155 

  4周          10分58秒        157

  復路           10分36秒        160   

計 14.3km 1時間07分46秒 心拍153(83%) 最大167(ゴール時)

続きを読む "トレイルランとエコ=環境保護の対立"

| | | コメント (0)

エコ電気とグリーン電力証書について

新聞というメディアは、かなり苦しい立場に置かれている古い情報産業だ。もと

もと、マスメディアの第1位の座をテレビに譲って以降、押されっぱなしだったの

に加えて、最近ではネットという強敵にも脅かされてる状況。速報性ではネット

が一番だし、大衆性(普及度・人気・分かりやすさ・面白さなど)ではテレビが一

番だ。もはや、新聞に残された長所は、信頼性、一覧性(全体をパッと眺められ

ること)、特集記事や文化記事、折込広告くらいだろう。

    

このうち、信頼性に関しては、新聞社のHPを見れば同じことだから、私が新聞

を取り続けてるのは、一覧性と特集記事・文化記事と折込広告のためだ。で、

昨日はテレビの特集記事について触れた記事をアップしたわけだけど、今日

はエコロジー(広い意味)の特集記事に触れてみよう。

     

       ☆          ☆          ☆

朝日新聞では毎月の最終日曜日に、「環境ルネサンス」と題するシリーズで、1

ページの大きな特集記事を掲載している。全体の色調は緑で、本文の冒頭に

は「for a Sustainable Society 明日の地球環境のために」という文字と共に、

緑色のリボンをアレンジしたようなデザインも掲げられている。数年前から流

行し始めて、早くも下火になって来た感のある、「ロハス」(LOHAS=Lifestyles

Of Health And Sustainability)、つまり「健康と持続可能性のライフスタイル」と

の関連も明らかだろう。

    

そのシリーズの今月の記事は、昨日(2008年2月24日)の朝日新聞朝刊

掲載された。大見出しは「買おう エコ電気」。小見出しは三つあって、「広がる

『グリーン電力証書』」、「秋田の風 愛媛のタオル生む」、「企業イメージ向上

にも貢献」と書かれてる。左側には、風車と緑色のタオルの大きな写真。

        

さて、この記事はまさに大新聞の面目躍如でしっかりしたものだけど、詳し過

ぎて焦点がボケてるようにも感じられる。これを読んだ読者に「エコ電気を買う

てどうゆうことですか?」と質問したら、何割の人が答えられるか怪しいもんだ。

私なら簡単にこう答える。「普通に電気を買って、それにプラスして風力発電と

かに寄付金を払うこと」。

    

少しだけ詳しく説明しよう。具体例は、愛媛県今治市の池内タオルだ。この会

社はごくフツーに四国電力の電気を使ってタオルを作る。その一方で、会社は

秋田県の能代風力発電所にお金を払って、「グリーン電力証書」を貰う。そし

て、「風で織るタオル」と名づけた商品を売るわけだ。

         

この程度なら簡単な話で、風力発電された電気が東北電力に販売されるという

ことを付け加えても、大したことはない。朝日の記事がややこしいのは、会社と

風力発電所(or太陽光,バイオ)の仲介をしてグリーン電力証書を発行する、

本自然エネルギー会社」を中心にして説明してるからだけど、それは枝葉

末節にすぎない。市民レベルからのお金の動きを大きく図式化すると、結局は

「消費者→タオル会社→風力発電所」なのだ。電気の動きは近所でやり取りす

る普通のもので、エコ電気とかグリーン電力証書とは関係ない。

             

ここで問題なのは、これが本当に良いシステムなのかどうかってことだ。例えば

「消費者→風力発電所」という形で直接お金を回すのと比べてどうなのか。今

現在、エコ電力を買うことが出来るのは企業・団体に限られてるらしい。個人の

参加は、Tシャツ等を利用して昨年末までやってたらしいけど、現在休止中との

ことだ(日本自然エネルギー会社のHPより)。だから、エコ電力というものに賛

同する個人は、商品を買ったりイベントに参加したりすることになる。でも、それ

なら風力発電(or 太陽光発電、バイオマス発電)に直接寄付した方が中間の

ムダが省けていいんじゃないだろうか。

                

と言うのも、東京電力などが出資した日本自然エネルギー会社の運営だけで

相当な費用(特に人件費)がかかってるはずだし、チェック役のグリーン電力

認証機構の運営費も気になるし、例のタオルも調べてみるとかなり高価に感じ

るからだ。

    

池内タオルのHPで月間ランキング1位とされてる「オーガニックカラーソリッド1」

の場合、フェイスタオルで1300円(税込)、バスタオルで3600円(同)だ。ス

ウェーデンで認定された枯葉剤を使用しない有機栽培綿100%とはいえ、この

値段のどれだけがエコに使われてるのか、気になってしまう。フェイスタオルな

んて、今どき200円前後で十分買えてしまうものだ。無印良品なら、210円と

か315円である(同)。差額の1000円はどうゆう使われ方になるんだろうか。

        

ウィキペディアを見ると、ロハスのブームが下火になって来たのは、ビジネスと

の絡みが問題となったのが大きかったようだ。でも、それを言うなら、エコロジー

の話は最初からビジネスの匂いがかなり強かった。緑色にしてエコとか環境と

かいうだけで巨額の金と大勢の人が動くのが現実だ。

     

私は、別にエコとかロハスを否定してるわけじゃなくて、重要な考え、あるいは

運動だと思ってる。ただ、その中身、あるいは使われ方が問題なのだ。ややこ

しいシステムを作って、中間で利益を得ようとする人間や団体は、どの世界で

もいくらでもいるだろう。別に利益を得ることは悪いことじゃないし、必要な仲介

役だってある。ただ、表面だけキレイにした上で、分かりにくい形でこっそり儲

けるのはどうかな、と少し疑問に思ってるだけだ。 

       

少なくともマスメディアの代表の1つ、朝日新聞の特集記事なら、たとえばフェイ

スタオルなら、800円はエコに回して200円は会社の手数料と思われるとか、

仲介役の日本自然エネルギー会社からエコにいくら回されて運営費がいくらな

のかとか、そうゆう本質的な部分を追求して欲しいもの。これは「単なる金の細

かい話」ではなくて、エコと呼ばれてるもののどの程度が本当にエコなのか、と

いう意味で、話の核心部なのだ。

     

人間だから、お金でイメージを買って満足するってこともあっていい。また、エコ

について考えるキッカケとしては、色んな目新しいものがあってもいいと思う。

「風で織るタオル」が去年のミスチル=Mr・Childrenのコンサートグッズになっ

たとか、池内タオルが22日に経済産業省から新エネルギー大賞・審査委員長

特別賞を受けたとか、別にかまわないと思う。単に会社が風力発電に寄付する

だけだと、こうゆうインパクトを生み出すことはできなかったはずで、発想とか

影響力は評価されてもいい。

     

でも、ハッキリしてるのは、イメージとか商売とは別に、本物のエコが必要とさ

れる時代に入ってるということだ。とりあえず我々としては、「買おう エコ電気」

とか言う前に、電気や水のムダ使いを無くすとか、車よりも自転車を選ぶとか、

身近にできる確かな行動から始めることが大切だろう。ま、割り箸はビミョーな

問題だけどね。

                       

ともかく、エコを取り巻く全体は、今のところ緑ではなくて灰色に見えている。

その色を美しく透明にする作業は、予想以上に大変なことのようだ。。☆彡  

    

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.京都市が昨年末から試験的に始めた「京(みやこ)グリーン電力証書」

    も、発電設備が身近にあるのがメリットとはいえ、本質的な構造は同じ

    こと。ただし、京都議定書の採択地だから、世界に向けたメッセージと

    しては大きいと思う。。 

| | | コメント (0) | トラックバック (1)