名古屋駅の鉄道パワーか、解説の村田六段の怨念か♪、藤井聡太・七冠が大逆転で八冠まであと1勝~2023王座戦・第3局

「具合の悪そうな藤井七冠が大逆転」とか、記事タイトルに書こうとしてたけど、局後の感想戦や前日のインタビューを見てると元気そうにも見えた。

   

ただ、対局中だと、大逆転した直後でさえ、まるで投了する直前みたいな暗めの表情や仕草も見せてたから、ちょっと心配ではある。疲れや重圧か、それとも単なる体調不良か。足が痛くなって来たとかいう話もある。

    

案外、対局やイベントより、日本将棋連盟の免状に揮毫するのが大変なのかも♪ かつての七冠王・羽生善治会長と、名人・竜王の藤井七冠の署名が並ぶから、希望者が大勢いるらしい。2ヶ月待ちの人気。

     

実は私もちょっと欲しいなと思ってるけど、もう長い間、単なる「観る将」になってるから難しい (^^ゞ 棋士にお金払って推薦してもらえばいいだけか(笑)。コラコラ! 下は公式サイトのサンプルより。

    

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さて、第71期・王座戦の第3局は、藤井七冠の地元・名古屋で開催。非常に得意な先手番だし、第2局に続いて連勝して、地元のファンの皆さんにも喜んで頂きたいところだった。

  

ところが、一方的に永瀬拓矢・王座に押される展開。私は、今日のブログ記事ではむしろ、解説の菅井竜也・八段のトークを前面に出そうかと思ってたほど♪ 深浦康市・九段がカウンセラー役になって、菅井八段が自らの思いをさらけ出すような珍しい場面があった。自分の言葉がファンや周囲の人達の一部に誤解されてしまうのを気にして、言葉を慎重に選んでるらしい。

   

それはともかく、対局は終盤になって、まさかの大逆転! まさに、藤井マジック☆ abema動画の評価値(期待勝率)は、藤井5%vs永瀬95%くらいから、藤井80%vs永瀬20%くらいへと一気に反転。そのまま、あっさり藤井の大逆転勝ちとなった。

      

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この日の解説者の1人は、王座戦の挑戦者を決めるトーナメントで藤井に大逆転負けした、村田顕弘・六段。彼が勝ってれば、藤井の八冠挑戦も無かった。今でもよく思い出すそうだから、彼の呪いが永瀬王座の敗着・4一飛を導いたのかも♪ 大逆転負けの仲間が欲しいと(笑)

    

もう一つ、藤井の逆転にパワーを与えたかも知れないのは、会場のJR東海・名古屋マリオットアソシアホテル。名古屋駅のホテルだから、鉄道ファンの藤井にはたまらない魅力らしい。前日のインタビュー映像で無邪気に鉄オタの笑顔を見せてた♪ 下は、Google Earthより。

    

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そろそろ、対局の簡単な解説と感想に入ろう。序盤は、後手の永瀬王座が研究の手順を上手く活用して、少しずつ有利に。

   

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後手の永瀬が、角道を止めて、角交換を拒否。飛車先も突かず、端歩は後手なのに伸ばして、居玉のまま。そして7筋からの袖飛車攻撃を見せる。先手の藤井は銀と飛車で3筋に攻撃開始。公式棋譜サイトより、後手の24手目、3四同銀の局面。

   

その後、後手は9筋から端歩攻め。藤井は局後に、予想より厳しかったと感想を話してた。

   

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先手の8五桂や、上図の49手目・7五歩は、AI的には良くない手と判断されて、既に評価値はハッキリと永瀬有利になってた。ただ、永瀬の飛車の逃げ場所によっては、一気に互角に戻る。

  

ところが、流石は永瀬。最善手の6四飛を選択。これで、後の飛車・角交換(6六飛)の攻撃が生じた。9四飛とかより、効果的な位置取りなのだ。

     

ただ、面白いことに、解説の村田六段はそれでもまだ先手をもちたいと評価♪ 後手玉は右側が壁の悪形になってるから、やがて藤井の鋭い攻撃でやられると予測してたのだ。大逆転負けの仲間づくりの期待も込めて(笑)

   

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6四飛に対して、藤井は51手目、4五銀で勝負に出た。AI的にも最善手の候補の1つになってたけど、先手の不利は変わらず。同銀、同桂に、4九銀の割り打ちが厳しい。しかし、永瀬の持ち時間が、残り少なくなって来た。いつの間にか、藤井より少なくなってる。

        

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そして上図が、運命の局面。先手・藤井の65手目、最後の望みを託して、2一飛と王手。プロでなくても、3一歩の底歩でがっちり受けるのが第一感だろう。既にAIの評価値は、5vs95くらいの大差で、後手の永瀬の勝勢になってた。

    

ただ、3一歩と受けた時は、色んな変化がある。4三銀、同金、3一飛成とか、4三銀、同金、3二角(または3二銀)とか、4四香とか。

  

永瀬の持ち時間は既に残り4分で、それを使い切ったから1分将棋。この僅かな時間では、全ての変化を読み切れず、4一飛と受けた。これは攻撃的な受けで、わりとよくある形でもある。しかし、この場合は、先手の6五角が厳しかった。金の両取りで、後手2一飛なら、3二角成の詰めよが厳しいし、受けにくい。

   

   

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それでもまだ、AI的にはほぼ互角。後手が7七桂、5九玉、4三歩と応答しとけば、まだまだの将棋だった。すぐに7七桂と王手すれば、先手は6八玉とは上がりにくい(2一飛で、6九飛を狙われる)。

   

ところが、秒読みに追われる永瀬は5四歩と受けたから、4一飛成、同玉、5六角で完全に逆転。最後は、藤井の81手目、3四歩を見て、永瀬があっさり投了。まだ少し頑張れたはずだけど、一気に逆転されてしまったから諦めが早かったのかも。4一飛の失敗にはすぐ気付いてたようで、局後、直ちに藤井にその辺りをたずねてた。

   

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上が投了図。後手が7九竜なら、3二金から即詰みらしい。同金、同銀成、同玉、3三歩成、同玉、3四歩とか。変化は色々あるけど、先手は持ち駒豊富で、中央の角や香車も使える。

      

というわけで、第3局は劇的な大逆転で終了。これで、藤井の2勝1敗となった。夢の八冠をかけた第4局は、10月11日。京都にて。報道陣が殺到するのは間違いなし♪ 数十年に1回あるかどうかの事だし、ファンも大勢、集まりそう。それでは今日はこの辺で。。☆彡

     

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レアな「持将棋カウンター」まで表示される大熱戦、214手の長手数を藤井聡太七冠が制してタイに~2023王座戦・第2局

永瀬拓矢・王座の恐ろしい粘りと、それを振り切って詰ました藤井聡太・七冠。両者の熱戦、激闘に、拍手、拍手、涙、涙・・☆

   

欲を言えば、もうちょっと早めに終わってくれた方が、毎日更新ブロガーとしては有難かった♪ 150手くらいで、既に解説の佐藤天彦・九段も増田七段も、藤井の勝ちが決まったような事を話してたし、私もそう思った。棋聖戦、王位戦の佐々木大地・七段なら、あっさり投げてくれてたはず♪

    

ところが、「鬼軍曹」永瀬王座は粘りに粘って、持将棋の引き分けに持ち込もうとした。相手は練習将棋までする仲間で、しかも圧倒的な才能を認めてる相手。それでも、容赦のない粘り。

     

おかげで、「持将棋カウンター」とか言われる駒数計算の数値まで表示。レアなものを見れたのもラッキーだった。時間がないけど、サラッと記事をアップしとこう。あぁ、2人を迎えた現地の会場の拍手も長くて盛大で、いいね♪

   

  

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2023年(第71期)王座戦、第2局は、兵庫県の「ホテルオークラ神戸」にて開催。先手の永瀬王座が角換わりに誘導した後、後手の藤井七冠は62手目で、右玉の構えを取った。公式棋譜サイトより。

     

藤井の玉はよく動くから、私は何とも思わなかったけど、序盤から右玉にするのは非常に珍しいとの事。0勝1敗で迎えた後手番に向けて練り上げた秘策か。

    

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上図は、6筋で桂馬を交換した直後、先手・永瀬の57手目、7七銀と引いた局面。abemaのライブ動画より。ここでAIは、後手の最善手として、6四金という手を示してた。解説者が、それは差しにくいとか言ってたら、藤井は本当に6四金。

  

一昔前までの感覚だと、金は下段という感じだったけど、AIが登場した頃から、金が上の方に出て行くことが増えてる。まあ、確かに、銀が上、金が下というのは、必ずしも正しくない固定観念だろう。

   

   

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今回、私も含めて、男性視聴者の目にはこのシーンが目立ってたかも♪ どこの茶髪ロン毛ギャルだよ!と突っ込みたくなるけど、これがまだ18歳の女流棋士。佐々木海法(みのり)1級。現地の担当の1人。関西大学1年生。

   

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アベマも初登場みたいで、藤井七冠の三時のオヤツの食レポが地味に面白かった。栗のロールケーキを食べた後、モンブランみたいですね、食べたことないけど・・とか説明したのだ(笑)。今どきの18歳の女子がモンブランを食べたことないと。

    

まあ、私が初めて食べたのは確か19歳だったけど♪ ホテルのバイトで、売れ残りのケーキを持ち帰ってたのだ。これは、当時でも禁止されてた事だったけど、黙認されてた。そもそも、まだ全然食べれるケーキをドサッとゴミ箱に捨てる作業が引っかかるのだ。   

    

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本人のX(旧・ツイッター)には、卒業したばかりの高校の制服姿の写真もあった。マスク美少女だね(笑)。コラッ! いや、褒めてるんだけど♪ 堂々と、大阪府立春日丘高等学校の正門写真も載せてた。

  

地味な将棋界に、次々と若い女の子たちが参入して来るのも、藤井七冠が作り上げた将棋ブームのおかげか。名人がAIに負けて、スマホ不正疑惑事件もあって、かなり暗い時期の将棋界に、すい星のごとく現れた救世主(紋切り型♪)。

    

    

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対局内容に戻ると、上は後手・藤井の100手目、4二同玉の局面。ここでは後手が少し有利になってた。

  

途中、永瀬らしい、じっと我慢する5七歩や8九桂があまりAIに評価されない手だけど、人間の実戦的には微妙な所か。実際、しばらく後で評価値(期待勝率)はキレイに逆転した。後手の藤井が114手目、9七同香成という悪手を指してしまったのだ。

     

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上は先手・永瀬の121手目、4一金。これが結局、敗着、敗因となった。ここは代わりに、4四馬と引き付けて、詰めろをかければ有利か、やや優勢だった。両者、1分将棋に追い込まれてたから、ミスはお互い様で仕方ない。

   

後手の飛車を金で取っても、玉を上部に逃がしてしまうのでダメなのだ。藤井は6二銀と馬を取って、3一金には4三玉。以下、スルスルと手前の永瀬の陣地へと入玉。

   

   

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後手・藤井の142手目、2七金くらいでもう勝負あったと思ったら、先手の永瀬の延々と粘りが続いたのだ。形勢のグラフを見ると、ずっと藤井の勝勢のまま、線が右に伸びてる。ということは、藤井は大きなミスを全くしなかったということ。

       

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ただ、永瀬の玉も相手の陣地へと入玉しそうになったから、「持将棋」で引き分け(先手・後手を入れ替えて、指し直し)が成立するための駒数の計算が問題になる。大駒(飛車・角)だけ5点、他は1点で計算(玉は除く)。

   

お互いに24点になれば引き分けだから、24点という基準に対してプラス・マイナス何点になってるか、数値が表示されてた。持将棋カウンターと呼ばれるらしい。

  

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上が最後の数字で、左の青字が藤井の点数。33点(大駒3枚+小駒18枚)だから、24点+9点。右の赤字が永瀬の点数で、21点(大駒1枚+小駒16枚)だから、24点-3点。

   

といっても、最後は詰みになったから、点数は無関係。ただ、それは永瀬が点数不足で諦めたから。詰ましてくださいという指し方に対して、藤井は見事に即詰みに打ち取った。

    

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上が投了図で、後手・藤井の214手目、2三同馬まで。以下、同玉に2二金と打てば、玉は押し戻されて、中段で簡単に詰む。5二歩が地味に役立ってるし、手前の、と金も役に立った。

   

第3局は9月27日の予定。それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

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勝者は永瀬王座と解説の渡辺明九段のぶっちゃけトーク♪、藤井七冠が先手番で逆転負け~2023王座戦・第1局

最後までハラハラ、ドキドキ。解説の渡辺明・九段のぶっちゃけトークに(笑)。そこか! いやぁ、前・名人のトップ棋士だから許されるようなものの、新人の若手棋士や女流棋士だったら、スタッフに怒られるか、二度と呼んでもらえないか。

   

「食べる」ことを、「食う」「食う」と何十回も言うだけでもかなり目立ってるけど、棋士の間の実力差とか、対局後のインタビューへの対応(何も考えず、当たり障りのないように返答)とか、あまりぶっちゃけたトークで、聞いてて本当にヒヤヒヤした (^^ゞ abemaのライブ動画だから、あれくらいは許容範囲なのかね。

     

極めつけは、激しい終盤の途中。風呂やシャワーなら今、といった感じの発言 (≧▽≦) これ、フツーの民放テレビの世界だと、伝説の干され事件に似たちょっと似た失言だ。

    

夜遅くの人気番組の途中、人気レポーターがCM直前に、トイレ行くなら今、というような失言をして、一気に仕事を干されてしまったとかいう伝説がある(おそらく事実)。

  

とはいえ、渡辺の解説はテキパキとしてて、内容も口調も非常に明快。変な話、この鋭い渡辺に勝ちまくってる藤井七冠の凄さを改めて思い知らされた。

    

   

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振り駒で、藤井聡太・七冠が先手番に。得意な角換わりの戦型に持ち込んで、後手の永瀬拓矢・王座は、4一玉の珍しい玉型のまま、7筋・8筋の早繰り銀で攻めて行く。それに先手の藤井が2四歩と反撃したのが上図(35手目)。公式棋譜サイトより。

   

後手が同歩と取れば、先手は2五歩の継ぎ歩がセオリー。同歩なら同飛の十字飛車で、7五の銀と2一の桂の両取りが決まる。だから後手は2五歩を無視して、8六歩か7六歩と攻める所。2四歩には2二歩の我慢とか。私も何度か、実践の経験があると思う。

  

ここでは、永瀬は2四同銀と応じたので、大人しい展開になった。

   

   

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その後、攻め合いになって、上の画像は後手・永瀬の46手目、8二飛。abemaライブ動画より。先手の6五角に対して、大人しく引いた局面。AI評価値(期待勝率)は50%vs50%だけど、私は先手の方が指しやすいと思う。

  

この後、AIの予想通り、8三歩、7二飛、4四歩と進んで、さらに6四歩に5六角。この角が、3四と4五に出れるので、味のいい位置になってる。

    

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この日、対局内容と同じくらいの注目を集めてたのが、会場となった陣屋の名前を冠した「陣屋カレー」、伊勢海老つき☆ 女将によると、一般客もルームサービスで食べれるらしいけど、値段までは話してなかった。

   

昼間からこのメニューで、藤井七冠はこれだけだったけど、永瀬王座はさらに他の物も注文。ものすごいカロリー♪ 解説の渡辺は、そんなに腹は減らないと言ってた。人によって、頭脳のカロリー消費が大きく違うのかね? 私の頭脳もそんなにカロリー消費しないけど、気分的に甘い物を食べたくはなる。

   

    

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上の画像は、後手の62手目、5五歩の局面。私なら、7二歩成で飛車の効き筋をズラした後、素直に5五同銀と取る。

  

藤井七冠は、5二角成から4三金の強襲。ちょっとアマチュアっぽい強引な攻めには見えるけど、藤井ならそのまま押し切って楽勝かと思ってしまった。AI評価値的にも、既に藤井が少し有利。

   

ところがこの後、藤井はイマイチの手を連発し続けて、ズルズルと永瀬の優勢になってしまった。珍しい逆転パターンで、別の角度から見ると、永瀬がまずまずの手を指し続けたことになる。

   

    

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上は、先手の藤井の97手目、9二桂成の局面。飛車を取り合って、後手玉は詰めよの形になってるけど、ここで後手の永瀬は冷静に、1四銀の逃げ道を開ける好手。これで後手玉がなかなか寄らない形になった。攻められても、守り駒を打って粘れる。

   

先手玉も、入玉を目指すことはできるけど、駒数が足りなくて負けになってしまう。だから普通に、相手玉を詰ますしかない。

  

この後、1分将棋で永瀬に悪手が2回(112手目と118手目)出て、互角に近い形勢になったけど、藤井も時間切れでチャンスを活かせず。最後は無駄に粘るのを諦めて、あっさりと即詰みを受け入れた。

    

   

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上の投了図は、後手・永瀬の150手目、3五銀まで。4一香がよく効いてるから、先手玉は簡単に詰む。

  

その気になれば、先手はこの少し前、6二飛の王手から5四銀で、脱出を狙うことは出来たけど、実際にはすぐ捕まってしまう。下の評価値グラフは、元奨励会員アユムの将棋実況より。アベマAIもほぼ同型だった。

  

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先手番でいきなり負けてしまったので、藤井自身も語ってたように、八冠はちょっと苦しくなってしまった。まあでも、次戦からの巻き返しを期待しよう♪ 第2局は9月12日の予定。ではまた。。☆彡

   

      (計 1954字)

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佐々木大地七段が最後も潔い投了、藤井聡太七冠が王位防衛でいよいよ八冠へ~2023王位戦・第5局(最終局)

2023年、藤井聡太・七冠vs佐々木大地・七段の棋聖戦&王位戦、12番勝負。結局、棋聖戦3勝1敗、王位戦4勝1敗、計7勝2敗で藤井七冠がタイトル2つを防衛した。

  

一番、心に残ったのは、佐々木七段の投了の潔さ♪ こんなに潔い投了を連発する棋士は初めて見た気がする。最後の「伊藤園お~いお茶杯」王位戦第5局も、アマチュアなら絶対にここでは投げないだろうし、プロでもあと2手は指すと思う。珍しく、その辺りから解説&感想を始めてみよう。

  

    

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上図は、先手の藤井王位の95手目、8三飛成で金を取った局面。ここで後手の佐々木七段はあっさり投了。私は外出中にスマホでabema動画をチラ見してたけど、すぐ投げるとは思ってなかったから、頭を下げた瞬間の数秒だけ見逃してしまった。

   

後手としては、馬と龍で先手の玉に迫ってたのだから、一番フツーなのは6九馬だと思う。先手が8八玉と逃げた後、2四龍で自玉を少し安全にしつつ、先手にプレッシャーをかけると。藤井も残り時間8分だったから、粘られたら間違えてたかも知れない。藤井の竜が7筋とかにズレると、守りに効かなくなる。

    

ただ、たとえ後手の玉が右や上に逃げても、基本的には負け。龍を取られるとか、4五銀や1六金とかで入玉を阻止されるとか。2四龍の直後、5二と、3二玉、4二とで、変化は多いけど即詰みなのかも。いざとなったら、8五に龍を引く筋もある。

    

とにかく、佐々木大地の投げっぷりの良さは、私にとって好印象だった♪ 本人の考えや説明はともかく、藤井七冠や将棋そのものへのリスペクトを感じるし、良い意味でのプライドも感じたのだ。

  

ちなみにこの辺り、藤井はほとんど考えてない。持ち時間が残り少なかったという事情もあるけど、しばらく前に読み切ってたのだと思う。自玉はまだ安全、相手玉はほぼ受け無しだと。そして、佐々木もそのことを理解してたと。。

    

    

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では、序盤に戻って、まずは戦型から。後手の佐々木七段が、横歩取り戦法へと誘導。先手の藤井七冠が素直に応じて、3四飛と横歩を取った後、後手は普通に3三角の形を選択。

  

ただ、上図の先手21手目、3八金の局面は既にかなり珍しい。後手が元気よく2六歩と垂らして来たから、堅く受けたと。公式棋譜サイトより。

  

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その後、後手から角を交換した後、お互いに飛車を反対側に回って、相向かい飛車の形に。上は37手目、先手8五飛の局面。

  

多分、アマチュアの普通の将棋好きなら、この後、先手の8三角打ちが頭に浮かぶと思う。7一金なら5六角成で、次の8三歩成を狙うと。いかにも筋が悪い感じもあるけど、分かりやすい攻め。もちろん、藤井七冠は後でもっと筋のいい角打ちを見せてくれた。

    

   

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上は後手の封じ手、46手目、1四角。2時間04分の大長考の末に、思い切った攻撃を選択。アベマの解説では、4七角と受けつつ8三を狙うのが普通だろうというような話だったけど、藤井は1時間03分の長考で、AIの最善手である4七銀を選択。後手はかまわず、3五歩から攻撃続行。先手の端歩攻撃に対しても、角の筋はキープして先手玉を狙う。

    

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上は先手・藤井の攻防の角打ち、53手目、5六角。後で5五歩から取られてしまうのは覚悟の上。ちなみに9七の歩が赤っぽくなってるのは単なる私のミス。この辺りまで、AI評価値(期待勝率)はほぼ互角だった。

   

評価に差がついたのは、この後。7四歩、7五歩、5四歩、7四歩、7六歩、8五桂、5五歩、8三歩成と進んで、それを佐々木が同金と取った辺り。といっても、まだ10%くらいの差だった。

   

    

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そして、上が後手の68手目、3五金の進撃。ここは先手がかなり怖い局面だけど、藤井はすっと玉を上げた。5七玉で角道から玉を逸らしたのはいいとして、6八玉ではない所が凄い。

  

後手の佐々木は、2七歩成から猛攻。角も捨てて龍を作った。ここで解説者の勝又清和七段は悩んでたけど、藤井はAIの候補手に入ってなかった2四歩の待ち伏せ。AIの最善手は、5三とが基本だったと思う(刻々と変化)。

     

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この77手目、後手が龍で取ってくれれば1手稼げるけど、たぶん取らずに攻撃して来るはず。だから2四歩は緩い悪手かと思ったら、AIも慌てて計算し直して、そこそこ評価してた。藤井の評価は少し下がっただけで、65vs35くらい。まだ藤井が有利。

    

正直、私の目には、互角か佐々木やや有利くらいに見えてた。先手の受けが分からなかったからだけど、実は先手玉はこの後、スルスルと左に逃げて行く。

  

一度、5七に上がったのに、6八、7九と左へ早逃げするのだ。といっても、7六歩が待ち構えてるから、安全地帯ではない。ちなみに佐々木にとっては、2四歩は意表を突く手だったようで、次の3六銀を指すまで1時間36分も苦悩してた。素直に感情を顔や仕草に出す辺りも、好感持てる♪ 藤井より分かりやすいかも。

    

   

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その後は藤井がスルスルと玉を逃げて、手堅く銀も1枚受けに使って、佐々木を潔い投了へと追い込んだ。この記事の冒頭を参照。評価値の推移グラフは下の通り。

   

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2四歩の辺りで一度、グラフは下に落ちてるけど、その後すぐに右上がりに反転。少し長めに見れば、2四歩は「AI超え」の好手だったのかも。

    

とにかく、これでいよいよ王座戦で夢の八冠に挑戦することになった。こうなったらもう、ストレートで決めて欲しいもの♪ 永瀬拓矢・王座との第1局は、8月31日。1日制のタイトル戦だから、見る方は楽だ♪ ではまた。。☆彡

    

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終盤までAI評価値も揺れる接戦、藤井聡太七冠が最善手5三桂を逃したのが敗因か~2023王位戦・第4局

将棋や囲碁のAIにせよ、Chat-GPTとかの対話型AIにせよ、同じ問題に対する回答は一定してない。人間を遥かに上回るレベルに到達してる将棋のAIでさえ、秒単位で最善手や評価が刻々と変化することを考えると、車の自動運転とか大丈夫なのかなとちょっと不安になる。

    

今回の第64期・王位戦、第7局(8月15日・16日、佐賀)も、藤井聡太ファンとしては終盤に逆転したかと思ったのに、実はAIの計算ミスか計算不足があったのかも。

  

まあでも、最後の敗着は、藤井七冠の人間的なミスだった。圧倒的に強い先手番と比べると苦手な後手番だし、たまには負けることもある。次の先手番で王位を防衛して、いよいよ王座戦で夢の八冠へと前進して欲しい。

   

   

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戦型は、先手の佐々木大地・七段の誘導で、毎度お馴染みの相掛かりへ。公式棋譜サイトより、先手・佐々木の19手目、3七桂の局面。この局面で既に、前例はないとのこと。

   

abemaの解説者の1人、中川大輔・八段によると、相掛かりという言葉は、昔はもっと広い意味で使われてたらしい。そもそも、相掛かりと角換わりをハッキリ区別するようになったのは、わりと最近のような気がするし、中盤まで考慮に入れた時、その2つを分けることにそれほど意味があるのかどうかも微妙な所。いずれ調べてみたい。横歩取りの区別も同様。

  

・・・とか、のんびり言ってる内に、直ちにデータベースとAIで分析されてしまう時代なのであった♪ とにかく、現代社会はスピードが速くて、あまり人間的とは感じられない。

    

   

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後手の藤井は、飛車で先手の横歩(7六歩)を取った後、飛車の使い方に苦心することになる。上図は先手の佐々木の31手目、8六金の局面。ここで飛車を逃げるか、それとも7九飛成で激しく攻撃するか。藤井は55分考えて、結局、初日の封じ手となった。

    

長考してるし、藤井は飛車切りが目立つから、飛車を切るのかと思ったら、翌日に開封された手は普通の5五飛。これはAI的な最善手とされてたけど、飛車を切ってもそれなりにさせたらしい。

  

例えば、7九飛成、同玉、8八歩、同玉、6八角、9七角、6五桂のような展開。この時点ではまだ、後手陣は飛車の打ち込みに対して強い形なのも大きい。ところがこの後、後手陣は盛り上がって来たから、逆に飛車打ちの隙が出来てしまった。実際、最終的には、取られた飛車を打ち込まれて、後手がすぐ負ける形になったのだ。

  

  

      ☆     ☆     ☆

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上図は先手・佐々木の55手目、3六銀で、後手の飛車が追い詰められた局面。ただ、同飛、同角、3五銀、4五角、3六歩と進んで、一応は二枚替えの形になる。後手の飛車と、先手の銀・桂の交換。

  

この辺りでのAI評価値(期待勝率)は、大体、60%vs40%くらいで先手有利になってた。それがようやく逆転したのが、下の辺り。先手・佐々木の77手目、2四歩で、後手が逆に61vs39で有利になってる。

  

そして、ここでの後手の最善手は、同銀上とされてた。ところが、藤井が実際に同銀上と指した途端、評価値は佐々木有利へと反転したのだ (^^ゞ ハァッ?・・って感じ。

   

同銀上の後の展開予想が、5四角、5五金となってる点を見ると、AIは先手の6一飛車の打ち込みを軽視してたのかも。これが見た目以上に速い攻めだった

      

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ただし、藤井にもチャンスがあった。上の局面から、2四同銀上、6一飛と進んで、次の後手80手目。5三桂が最善手のようで、5四角、6四金とかで、後手有利らしい。そのまま4五桂と角を取れれば、先手陣への強烈な攻めゴマにもなる。

    

5三桂には、角を逃げずに5一角と打ちたくなるけど、5二玉と強気で逃げてギリギリ何とかなるということか。とはいえ、解説の中川八段も、5三桂は玉の逃げ道を自分で塞ぐことになるし、指しにくいと言ってた。5三桂以外の候補手だと、どれも先手有利か優勢になる。

  

   

      ☆     ☆     ☆

残念ながら、後手の藤井の80手目は、候補手のどれでもない5五桂。その後の展開を考えると、劣勢だと誤解して、既に半ば形作りに出たのかも。

  

評価値は一気に、85vs15くらいで先手優勢になった。さらに、4一銀、6七と、と進んで、90vs10くらいに。単なる数字的には、まだ逆転の望みはあるけど、解説の中川八段も早めに、もう終了みたいなことを話してた。

     

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上の投了図は、先手の85手目、5三角。打たれた瞬間、藤井はもう盤面から目を逸らして、しばらく気持ちを整理した後、頭を下げた。藤井が負けた姿を久々に見た気がする。棋聖戦、王位戦、王座戦と、7連勝中だったのだ。

  

投了図以下の詰みは簡単。3三玉なら3二銀成。5三同玉なら、5一飛成。先手の4五角や8六銀がよく効いてる。アベマは13手詰と表示してたけど、11手詰のはず。まあ、その種の細かい計算ミスは、AIにありがちな事。少し前には、藤井が気づいた即詰みの手順を、AIが見逃してたことさえあった。

    

    

     ☆     ☆     ☆

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なお、評価値の推移グラフは、abemaだと上の通り。終盤まで互角で評価が揺れてたのが分かる。YouTubeの元奨励会員アユムの将棋実況で、水匠・最新版のAI評価値グラフを見ても、ほぼ同じ動きだった。

  

次の第5局は、1週間後、8月22日・23日に徳島にて。それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

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藤井聡太七冠、遂に王座戦の挑戦者決定で夢の八冠へ!、159手の大熱戦で豊島将之九段に勝利☆

素晴らしかった。駒テラス西参道の出張ライブ中継で、無意味に奥から手を振り続ける野原未蘭・女流初段が♪ そこか! たまたま昨日(2023年8月4日)が20歳の誕生日ってこともあって、はしゃいでたのかも。女子高生のノリが残ってて、キョロキョロ見回すクセも可愛いけど、着実にキレイなお姉さんになってるね。

  

・・とかいう話をしてる場合ではない。遂に、藤井聡太七冠の八冠挑戦が「ほぼ」決定した☆ ほぼというのは、まだ王位戦の防衛が決まってないからだけど、既に3勝0敗だし、佐々木大地・七段には棋聖戦でも勝ってるから、まず大丈夫だろう。

    

中学生の頃から、これは数十年に1人の天才だと思って応援し続けて来たけど、こんなに早く八冠に挑戦するとは思ってなかった。本人も、今まで八冠には興味なさそうな事を言ってたけど、昨夜(ついさっき)勝利した直後には、ちょっと気合を見せてた♪ ひょっとすると、もう二度とない絶好のチャンスかも知れないから、これを逃すわけにはいかない。

    

    

      ☆     ☆     ☆

さて、第71期・王座戦、挑戦者決定戦。藤井の相手は、かつての難敵・豊島将之九段。数年前まで、藤井キラーと呼ばれて厚い壁になってたけど、最近はもう完全に藤井優勢。直近では8連勝だったから、これで9連勝になった。対戦成績は、今回も含めると、藤井の21勝11敗。

  

しかし、やっぱり豊島も強い。本当に最後あたりまでハラハラする大熱戦、大激戦というのは珍しい。先に、abemaの評価値(期待勝率)の推移グラフを見とこう。

  

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非常に激しく上下に変化してる箇所が4つある。まず、藤井がミスして、有利から互角になった時。次に、豊島がミスした時。さらに、藤井がミスして勝勢から一気に互角になってしまった時。最後に、豊島が玉を逃げ間違えて、一気に敗勢になってしまった時。両者1分将棋に追い込まれた中、全く目が離せない劇的な終盤戦が展開された。

    

   

      ☆     ☆     ☆

まず振り駒で、藤井が先手番に決定。先手だと圧倒的に勝ちまくってるので、この辺りも強運の持ち主。後手番になった豊島は、角換わりの戦型を避けて、変則的な構えを見せる。

   

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上の後手20手目、4四歩で、もう前例はわずか2局しかないらしい。かなり受け身の戦法か。公式棋譜サイトより。   

   

藤井は51手目の6四歩の突き捨てから、攻撃開始。局後のインタビューでは、その仕掛けから苦しくなったと言ってたけど、評価値的には互角の形勢が続いてた。悪くはないはず。

  

4四の地点で角を切って銀を取った後、自陣の6七の銀も見捨てて、強引に飛車を成り込む。細い攻めだから、切れそうにも見えるけど、巧みに手をつないで、徐々に有利に。

  

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ところが、上の105手目の1六香が悪手で、一気に互角まで戻ってしまう。ここは1五香と打てば、同玉、1三龍で有利をキープできた。もし2五玉なら、1六金と打てるから即詰み。

    

   

      ☆     ☆     ☆

しかし、その少し後。豊島の118手目、3四玉の早逃げが悪手で、一気に藤井の勝勢になる。

   

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上の局面で、藤井が2七金と打てば、後手の角をタダ取りできて、1二角とかの筋も生じてた。実際には、藤井は1四金と打ったから、3二桂の受けでやや微妙になる。

   

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それでも藤井が勝勢だったのに、秒読みに追われてギリギリで打った、上図の135手目、3三歩が大悪手で、一気にやや不利になってしまった。局後に、豊島もあそこがチャンスだったと思うと指摘してた。

  

AIが示してた最善手は、6四角。5四玉、5五銀。玉が手前に逃げて来たら意外とキレイに捕まえられるけど、向こうに逃げた時がハッキリしないから、藤井も読み切れなかったのかも。

   

   

      ☆     ☆     ☆

最後、豊島の敗着となった150手目、6五玉は、仕方ないと思う。自然な逃げ方だし、むしろAIが最善手としてた5四玉の方が大悪手に見える。

   

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上が藤井の149手目、6七桂の局面で、桂馬が2枚並んでるし入玉の筋もあるから、読みづらいのは確か。6六玉は7七銀とかでダメそうだから、6五と5四の選択。ただ、5四玉だと、3四龍と手順に香車を取られて王手になってしまうから、人間の直感的には避けたい所だ。

  

しかし、6五玉の逃げ間違えで、一気に豊島の敗勢に。159手目、藤井の安全確実な4五龍を見て、豊島が投了。

  

下の投了図は、珍しくYouTubeでCM付き無料配信を行ってた、囲碁将棋プラスより。以下、8四玉、8五香で、4二とで金も補充できるから、先手の勝ち。豊島はかなり悔しそうで、藤井はかなりグッタリ疲れた様子に見えた。ギリギリの1分将棋が長かったから、21歳になったばかりの若さでも当然の疲労か。

   

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     ☆     ☆     ☆

アベマ動画よりも、AIの読み筋が長く目されてるのが良い点。アベマも昔は8手くらい示してたのに、なぜか去年か一昨年くらいから3手しか示さなくなってしまった。まあ、その気になればYouTubeとかでAIの読み筋は調べられるけど。

   

というわけで、とりあえず次は王位戦の防衛に期待しよう。8月15日と16日、北海道で第4局が開催される予定。あっ!、記事を書いてる間にフィギュアの羽生が結婚?!・・とか驚きつつ、ではまた。。☆彡

     

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佐々木大地・七段、4三馬の敗着で終盤のチャンスを逃す、藤井聡太・七冠が3連勝~2023王位戦・第3局

abemaライブ動画の2日目は良かった♪ 聞き手の女流棋士が2人とも可愛くて(笑)。そこか! 先日触れた、アイドル的な可愛さと若さの小高佐季子・初段に加えて、エリリン。山口恵梨子・女流二段が登場。

     

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総合的に見ると、やっぱりエリリンがベストかな♪ トークの話題が広くて上手いし、表情の動きも身振りも大きくて見栄えがする。オマケに、お嬢様っぽいロングヘアと、ちょっと鼻にかかったような甘える声が萌えるのだ♡ 欠点と言えば、服装がわりと地味なことと、アレが無いことくらいか(笑)。何?!

        

自虐ネタも時々、入ってた。解説の男性棋士とあんまし顔を合わせてないという話の流れで、「私は対局も少ないし」とか(笑)。トークだけ聞いてると、わりと強そうに感じるけどね。今回だと、先手の2三角打ちの筋の指摘とか、私も地味な好手だなと思ってた。頭の回転や、相手の言葉へのレスポンスも速い。

   

残念ながら、今年の1月に一般人男性との結婚を発表(入籍は2022年)。一応、将棋を指せる人らしいけど、名前その他、公表されてない。あの明るく元気なキャラなら、開けっ広げで公開しても良さそうなもんだけど。実業家か医師か、エリート会社員か♪ 相手には困らないはず。

  

   

      ☆     ☆     ☆

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さて、2023年7月25日・26日に行われた、第64期・王位戦、七番勝負の第3局。ここまでは藤井聡太・王位の連勝。夢の八冠達成に向けて、ここは一気にタイトル防衛に接近したい所。七冠vs七段だから、ポジションにはかなり差がある。

   

先手・藤井の誘導に後手・佐々木が乗る形で、普通の角換わり・腰掛け銀の戦型に進んだけど、微妙なやり取りを通じて前例から離れて行く。上図は公式棋譜サイトより   

   

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先手は玉や飛車、銀の移動、後手は玉や金銀の移動で、微妙な駆け引き。上図は後手・佐々木の50手目、4一金の局面。こんな手待ちの金引きは、昔は無かった気がする。

  

それでもタイミングを計って、先手の藤井が4五歩、同歩、同桂、同銀の流れを作り出した。その辺りでは、後手が僅かに有利で、期待勝率は55vs45くらい。ところが。。

  

    

      ☆     ☆     ☆

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驚いたのは、後手の側から1五歩と端攻めして来たこと。ここは普通、先手の側から攻める箇所だけど、指されてみれば角の打ち込みで馬を作れるから一理ある。ただし、評価値は少しだけ藤井有利に振れて、ここからしばらく差がジワジワと広がった。

      

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後手が2七角から3六角成としたおかげで、先手は3三歩と打ち込めることになる。金の位置がズレたからこそ、しばらく後、先手87手目、4二銀も成立した。この後、先手の藤井は強引に飛車・角交換に持ち込んで、飛車の打ち込みから龍を作る。ただし、まだそれほど差は広がってなかった。たかが40vs60前後とか。

        

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そして終盤、後手の佐々木にチャンスが訪れる。7五歩からの攻めを、藤井がちょっと受け損ねて、上図の直前までは50vs50の互角になってた。ところが佐々木が114手目、4三馬と引いた途端、評価値は藤井の優勢へと大きく振れる。

  

局後の感想によると、その後の藤井の4四香を甘く見てたらしい。同馬に1一角の攻めが、意外なほど厳しい。後手の馬を取る筋もにらんでる。

  

ちなみに、4三馬の所では、フツーに6四桂と攻めれば互角のままだった。1一角の後、今さら6四桂では一手負けになる。

   

    

      ☆     ☆     ☆

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その後の藤井は調子を取り戻して、あっさり即詰みに打ち取った。上の投了図は、先手131手目、3三銀まで。127手目の3二金で投了する方がキレイだったけど、佐々木は割り切れなかったのか、あるいは視聴者サービスで分かりやすい詰みまで持って行ったのか。

  

投了図以下は、同玉に4四角で詰み。先手の4七の金や6八の飛車が効いて来て、入玉は不可能。

      

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評価値の推移グラフはちょっと変わった形になってた。垂直に藤井側(上側)に触れてる場所が、後手の4三馬の時点。将棋の終盤は、1手のミスで大きく変化する。

     

というわけで、藤井七冠の次の対局は大一番、王座戦の挑戦者決定戦☆ 8月4日、豊島将之・九段との対局は、タイトル戦よりも注目かも。八冠に期待しつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡

     

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敗勢だった藤井七冠、終盤の8七歩成の勝負手で再逆転、棋聖位を防衛~2023棋聖戦・第4局

ウチは総合マニアック・ブログだから、あんまし将棋の記事ばっかり書くのは気が引けるんだけど、夢の八冠制覇への道だから仕方ない。数十年に1度の機会だから、それなりに記録を残しとこう。

    

私も中学生くらいまでは、ちょっとプロ棋士を夢見てたのだ。もし、近くに道場があるか、師匠候補の棋士がいたら、挑戦してた可能性はある。

   

残念ながら、田舎の小さな街の少年にとっては、どちらも遠い存在だった。少年向けの大きな大会の会場からも遥かに遠かった。おまけに、両親も冷たい反応だった♪ そりゃ、そうか。

     

   

      ☆     ☆     ☆

さて、昨日(2023年7月18日)の、第94期・ヒューリック杯棋聖戦・第4局。私は藤井聡太・七冠が防衛すると勝手に思ってたから、将棋の内容よりも、abema動画の聞き手の方が気になった♪

   

小高佐季子・女流初段。アイドルか、新人女子アナみたいな可愛いルックスで、直ちに検索。まだ21歳の若さで、検索候補のフレーズの追加語句には、「かわいい」とか、「藤井聡太」という言葉が挙がってた(笑)   

   

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これは、お似合いのカップルって意味かね? 年齢的にも職業的にも確かにお似合いだけど、やっぱり話題性としては芦田愛菜を推したい。とりあえず、小高・女流初段にも注目しとこう。ちなみに、本名は「はしごだか」を使って「小髙」らしい。日本語の漢字も難しいね。。

   

   

      ☆     ☆     ☆

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さて、佐々木大地・七段の先手で始まった対局。戦型は居飛車同士の相掛かり。最近あまりに流行ってるから、そろそろ見飽きて来たけど、意外とまだまだ変化が複雑らしい。

   

既に上の先手19手目、5八玉で、前例がゼロとのこと。公式棋譜サイトより。確かに、後手が9四歩と端歩を受けてない点とか、5二玉、7二銀、6四歩の組合せとか、ちょっとずつ前例を離れる部分が入ってる。

      

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上は後手・藤井の34手目、3五歩。中段の8五飛との組合せで、先手の桂馬を目標に攻める積極的な手だけど、2六飛と引かれて大した事はなかった。

   

その後、先手の佐々木は39手目、9七桂という変わった手を指す。これは第3局で、藤井が披露して話題になった手と似てるけど、他の駒の配置がかなり違ってるから、あまり参考にならない。

   

   

      ☆     ☆     ☆

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その後、先手の1筋の端攻めに対して、後手の藤井が9筋の端攻めで対抗。もともと後手番だし、後から端攻めで対抗するのはわりと珍しい気がするけど、要するに先手の9七桂をとがめようとする作戦。先手の佐々木としては、左の桂馬を取られる間に、何かやろうという考え。   

     

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両端で、桂馬と香車と歩だけの攻め合いをした後、上の局面は67手目。先手の佐々木が飛車の効きを軽く止めようとした手筋。

  

この種の、直接的でない歩は、取らないことも多いけど、藤井は直ちに取って、解説陣もビックリ。AI的には、8七歩成、同金、5四香とかで、後手が有利を保つとしてた。評価値(期待勝率)的には、60vs40で藤井有利。持ち駒の桂馬と香車を活かして、中央から攻めれば良かったし、1五角の狙いもあった。飛車が逃げれば、4八角成とか。

  

ところが、ここからの数手で逆転する。同飛、8五歩、同飛、9六銀、2四香。飛車を取り合うと、意外と後手玉が弱くて、詰み筋もすぐ出て来るのだ。

   

   

      ☆     ☆     ☆

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上は、先手の5五桂に対して、後手の藤井が76手目、5四銀と逃げた局面。AI的にはなんと、7vs93で先手勝勢になってる。いや、人間的にはそこまで離れてないはず。

   

実際、先手の93%という勝率は、非常に指しにくい7三香と指した場合のみ。打った瞬間も、7三同桂、8一角と進んだ局面も、先手は怖い。

  

かと言って、6三角だと大幅に勝率が下がるし、それ以外なら再逆転。実際、藤井は局後の感想で、8七歩成を「勝負手」だったと話してた。この辺り、後手にはずっと9五角という攻防の手もある。

     

まだ少し時間が残ってた佐々木は、間違えてしまった。7三香は一応、考えてたみたいだけど、実際の指し手は3四香で、一気に逆転。最後はいつものように、あっさりと投了。アマチュアなら、まだしばらく指すはず。

   

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上の投了図は、後手・藤井の84手目、9五角。これを金で受けても、攻め駒が減るから、結局は攻め合いで1手負けになる。後手の2六香の飛車取りが間に合ってしまう。9五角に7七角の合い駒でも、交換して5九角とかで後手の勝ち。

    

   

      ☆     ☆     ☆

AIの評価値の推移グラフは、珍しいくらいに鋭く尖った再逆転を示してる。藤井の有利 → 佐々木の勝勢 → 藤井の勝利。ただ、人間的には最後近くまでかなり際どい形勢。局後の感想でも、藤井は、最後の9五角でやっと勝てそうだと思ったとか話してた。

    

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ともあれ、藤井七冠はまず、棋聖位を防衛。早くも四連覇で、依然としてタイトル戦は負けなし☆

      

次は王位戦の防衛だけど、8月4日の王座戦の挑戦者決定戦(vs豊島九段)も絶対に負けられない対局。八冠ロードの王者の歩みを、じっと見つめることにしよう♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

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王者の貫禄、5五歩の細い攻めの一手勝ちでも余裕、藤井聡太・七冠が連勝~2023王位戦・第2局

藤井聡太・七冠vs佐々木大地・七段の、暑い、熱い夏。棋聖戦&王位戦の計12局。といっても、七冠vs七段のタイトル戦。本当に12局も行われる可能性は低いと思う。夢の八冠制覇に向けて、藤井ファンなら10局くらいで共に防衛して欲しい所だ。

    

伊藤園お~いお茶杯・第64期・王位戦・第2局(2023年7月13・14日)は、藤井が後手番だから、先手の時ほどの余裕はなかったはずだけど、1局を通して貫禄勝ちの様相。少しずつ確実に差が広がる状況に、佐々木七段は絶対王者の圧倒的な実力をひしひしと感じたと思う。

   

もちろん、局後の感想では、藤井はいつものように控えめで、何とか一手勝ちに出来たといったコメントだった。しかし、ギリギリの終盤でも、一手負けになるような雰囲気はほとんど無し。別にAIの評価値やプロ棋士の解説など無くても、藤井の勝ちだと分かる内容だった。

    

   

      ☆     ☆     ☆   

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戦型は、十分予想された通りの相掛かり。公式棋譜サイトより、トリミング&縮小して引用。私自身は、基本的に居飛車党だけど、先手でも後手でも最初に角道を開けるタイプで、相掛かりはほとんど指した経験がない。

   

確か、最初に読んだ入門書に、初手は角道を開けるのがベストというような事が書かれてた気がする。飛車先の歩を伸ばすよりも、大駒の行き先が一気に増えるから。

  

    

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上図は、先手・佐々木の35手目、4五銀。1時間57分も考えて指した攻めの手で、AI的には、別に良くも悪くもない手らしい。まだabemaの評価値(期待勝率)は50vs50くらいだった。微妙な変化も多くて、あまりハッキリしない複雑な局面。

      

後手の藤井は、3三桂で強く応じた。負けずに先手の佐々木も、3四銀の突撃。局後の感想では「暴走」というような自嘲の言葉も口にしてたけど、それほど悪い筋でもない。藤井が4七角と応じた局面でも、まだ55vs45で、藤井が僅かに指せる程度の評価になってた。

   

   

      ☆     ☆     ☆

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藤井の角打ちの後、佐々木は。6六歩。このままだと藤井は馬を作れないので、7五歩で角を引き戻す道を空けて、飛車を銀に当てる。佐々木が6七角と打って、銀を守りつつ、攻撃(2三銀成とか)にも効かせた。

  

7六歩、5八金と進んだ所で、藤井の44手目が封じ手。59分の長考で、7四角成とした。8三角成との比較はビミョーで、AIが示す最善手や評価も微妙に揺れてたけど、馬を中盤で攻めに使いたかったらしい。8五馬とか、7五馬とか。

  

上の局面で、アマチュアの対局なら、2三銀成と単純に攻め込む人が多いはずだけど、公式サイトのコメント欄では全く触れてなかった。少し後なら触れてるけど、それはまた別の話。

  

2三銀成なら、同銀、同角成に、2七歩、同飛、2六歩、同飛、2五銀と止めるのか? 先手が無理に攻めても、後手の玉は右側(7筋とか)に逃げれるし、反撃が痛い。

   

とにかく、上図で佐々木が選んだのは穏やかな端攻めで、1五歩。この後、小競り合いが続いて、先手は飛車を4筋に回す。

  

   

      ☆     ☆     ☆

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対する藤井は、中段の飛車を3筋に回して対抗。飛車が捕まるのは承知の上で、飛車と角の取り合いになった後、5筋に伸びる5六歩が厳しい。先手は壁銀で、左に逃げ道がないし、左の金銀が単なる邪魔物みたいになってるのも痛い所。

   

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後手の藤井はその後、3九角と打ち込んだ後、5七角成で金を取って、上図は80手目、5五歩。

   

後手の持ち駒は金1枚と歩だけとはいえ、馬がよく効いてるし、先手の玉は裸で逃げ道も少ない。2九馬で桂馬を補充する筋や、1筋から端攻めする筋もある。逆に先手は、受けに使える持ち駒(金・銀)がないし、飛車と角を持っててもそれほど役に立たない。

   

AIの評価値も、ハッキリと後手優勢のままで、差は広がる一方。藤井ファンとしては、安心して見てられる。 

    

   

     ☆     ☆     ☆

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最後は、藤井の安全策の98手目、4四銀を見て、佐々木が投了。2人ともまだ時間は50分ほど残ってた。ちなみに上図は既に大差だから、後手は単純に4八金と攻めても勝ちらしい。同飛、同金、同玉、3八飛、5九玉か。

  

ただ、先手玉に詰みはないから、逆に後手玉が即詰みにされる恐れもある。詰将棋の達人の藤井でさえ、安全策を取ったくらいだから、金を2枚渡してしまうとかなり怖い。

  

逆に、4四銀に対して先手が無理に攻めて駒を渡すと、先手玉は即詰みになる。投了の判断は自然だろう。どうも、佐々木は投了が潔い気がする。無理に粘って手数を伸ばすことがない。

    

   

      ☆     ☆     ☆

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AI評価値の推移グラフは上図の通りで、真っ直ぐ緩やかに右下に向かう線。直線バージョンの藤井曲線か。

   

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将棋の内容とは全く関係ないけど、初日のabama動画の聞き手の1人、可愛い脇田菜々子・女流初段がピンクのマスクをしてるのを見て、立会人の福崎文吾・九段がカメラ越しに「マスクを取ってみて」とか言ってた。

  

酔っ払いオヤジみたいな危ないノリで、ちょっとセクハラ&パワハラ気味だけど、脇田も福崎の性格はよく知ってるみたいで、にこやかに「コロナ明けなんで」とか返答。その後、1秒くらい、妙な間(ま)が開いたのが個人的に笑えた♪ 脇田の鮮やかな1本勝ち。

    

2人の次の対局は、7月18日の棋聖戦・第4局。移動もあるから、非常に忙しい日程だけど、この2人なら大丈夫だろう。なお、今週はPCトラブルとジムで時間を取られたので、計12373字で少なめに終了。ではまた来週。。☆彡

    

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佐々木大地七段が横歩取りの戦型に誘導、藤井聡太七冠が安全策の9六歩で勝利~2023王位戦・第1局

佐々木七段は、投了の仕方が個性的なのかね。局面的には、わりと早めに投了するけど、その前の表情や所作が味わい深い。今日の対局でも、投了するかも・・とか解説の飯島栄治・八段が話す中、しばらく間をおいて、無念そうに投了した。

  

時間的には、ほんの少し前まで有利な状況だったし、珍しい戦型への積極的な誘導もそこそこ上手く行ってたから、言葉に出来ないくらい残念だったと思う。

  

横歩取りというのは、私も昔、さんざん指してた好きな戦型で、特にアマチュアの地元のプチ強豪だった父親と何十局も指してる。トータルだと、8割以上は私の負け。「・・・・は弱い!♪」と、さんざんバカにされて悔しがったのも、今となっては懐かしい思い出だ。。

   

    

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さて、伊藤園お~いお茶杯・第64期・王位戦。棋聖戦に続いて、藤井聡太・七冠vs佐々木大地・七段の対決となった。

  

七冠と七段では、かなりの差があるけど、藤井は最近、過密な日程で疲れてるはず。できれば今年の秋までに、夢の八冠制覇の瞬間を見たいと思ってる私としては、なかなか目が離せない。

   

・・とか言いつつ、昨日の初日は平日ってこともあって、ほとんど見てなかった♪ 2日制のタイトル戦は、1日目はちら見程度で、2日目の午後だけ流し見すれば十分なのだ(個人の感想)。

   

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後手の佐々木七段は、横歩取りに誘導。公式棋譜サイトより。先手・藤井の3四飛の横歩取りに対して、3三角と対応した。

   

これがフツーだけど、私の父親は3三桂と跳ねて、後で攻撃に使うのが好きだった・・という話は何度か書いてる♪ 自分で角道を止めてしまうことになるし、プロの対局だとほとんど見ないけど、意外と先手はとがめにくい。いずれヒマが出来たら、自分で研究してみたいと思ってる。まあ、AIの評価は低いだろうけど(笑)

   

   

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上が、初日の封じ手の局面。後手の佐々木は予想通り、36手目で6二銀と指してた。もともと少し不利な後手番としては、ここまで上手くバランスを保ってる。

  

先手の藤井は早めに自陣に角を打ってるけど、この扱いに中盤まで苦労してた。まあ、こうした角打ちは、藤井らしさの一つでもある。手持ちの駒にしておいた方が得だという考えは、藤井にはあまり無い気がする。

    

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アベマのAIの形勢判断が大きく動いたのが、上の局面。先手・藤井が61手目に、9六歩という意外な手を指すと、それまで藤井68vs佐々木32くらいだったのが、一気に互角になってしまった。52分の長考。

    

   

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完全に予想が外れた解説陣は、みんな驚いて反応に困ってたけど、ハッキリ言ってイマイチの手♪ 飯島七段だけは、少し遅れて、控えめに否定的なコメントをしてた。正直で、いいね! 9六歩の端歩の代わりに、8五桂で一気に勝負に出れば良かったみたいだけど、龍を作られて自玉が危なくなるから、藤井は自重したらしい。

  

まあ、大勝負に出れば、効率的に勝てるかも知れないけど、一気に敗勢になるリスクもある。口には出さず、虎視眈々と八冠を狙う藤井七冠としては、安全策を取ったのは正解なのかも。

  

その後、AIの評価値はジワジワと佐々木が有利になって行ったけど、藤井がじっくりと中央辺りで陣形を組み直してる間に、佐々木の方が間違えてくれた。

   

藤井が5五歩と5六銀で中央を支配したのに対して、佐々木が70手目、5四歩と反発したのが無理筋だったようで、評価値は再び反転。藤井の銀が攻め込んで行く形になって、有利になった。特に、3五歩、同金、4四銀の展開で、一気に先手優勢。佐々木は何か、誤算か見落としがあったのかも。

    

    

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佐々木は、誘い出された金を逃げて、代わりに飛車を渡す筋を選択。仕方なかったとはいえ、先手の藤井が飛車を持つと、後手玉はすぐに危なくなる。2二の位置まで玉が逃げてるけど、銀冠の陣形が崩れたこともあって、かなり弱い玉形。

  

5一飛と打ち込まれた佐々木は、6六金という派手な手を指したけど、AI評価値的にはマイナスで、さらに差が広がった。もう、ここからなら、私が先手でも確実に勝てる。いざとなったら、8六飛と切って、銀を攻めゴマに補充することも可能。   

   

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最後は藤井の安全確実な手、6四とを見て、19分考えた後、佐々木が投了。もう、後手は何も出来なくなってしまってる。攻めも受けも無し。97手にて、まず藤井が勝利。最後まで、先手陣の左辺では駒が膠着状態のままだった。

   

   

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なお、評価値の推移グラフは下の通り。上下に揺れた後、終盤はジワジワと藤井曲線。緩やかな放物線を描いて、差が広がって行く展開。

   

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個人的に一番の注目点は、まだ19歳の女流棋士、野原未蘭・初段。表情も仕草もまだ女子高生みたいな初々しさがある♪ まだまだ美人棋士になって行きそうで、いいね♡ ウィキペディアを見ると、中3の頃、藤井に角落ちの指導対局で完敗したらしい♪

     

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王位戦の第2局は、7月13日・14日。棋聖戦の第4局は、7月18日 (^^ゞ やたらタイトな日程が心配だけど、2人ともまだ若くて、棋力・体力充実してるから、大丈夫か。それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

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