4×9=36マスの格子を、8つの長方形(1~8マス)に区切る方法~開成中2025年入試、算数・問題2の解き方
2週間遅れになりましたが、今年も最難関・開成中学校の入試の算数を見てみましょう。小学6年生に対する試験として良い問題だと思ったのは、第2問。分かりやすい設定で、開成中の受験生なら誰でも半分くらいの点数は取れて、しかも時間をかけて努力すれば少し点数が上がると思われるからです。
ただし、最後の(3)の理論的に完全な解説はかなり難しいというか、面倒でしょう(この記事の最後で大まかに説明します)。もちろん、そんな事までは試験で問われていませんが、有名な塾の先生たちがどうやって「正解」を出したのか、興味深いところです。
コンピューターを使って、すべての場合の区切り方を調べたのかも知れません。あるいは、少し条件をつけて。例えば、一番上の1行目にタテ1×ヨコ7の長方形、2行目にタテ1×ヨコ5の長方形を置くとか。変化が多いので、人間が行うと、うっかり何かを見落としてしまう可能性が十分あります。
なお、問題は、四谷大塚HPから引用させて頂きました。
☆ ☆ ☆
[2] 同じ間隔でタテ4行×ヨコ9列の目盛りがかかれた板があります。
この板を目盛りにそって8つの長方形に区切ります。長方形は、
このとき、行ごとに長方形が何種類あるかを数え、
例えば、次の(図1)の区切り方のポイントは28です。
(1) 次の(図2)、(図3)の区切り方のポイントをそれぞれ答えなさい。
(解答)
(図2のポイント)
=1×3+2×3+3×2+4×2
=23 ・・・答
(図3のポイント)
=1×2+2×3+3×5+4×3
=35 ・・・答
☆ ☆ ☆
(2) ポイントが20、30となる区切り方をそれぞれ1つずつ答えなさい。
(解答の例)
(ポイントが20の区切り方)
(1×2+2×2+3×2+4×2=20)
(ポイントが30の区切り方)
(1×4+2×3+3×4+4×2=30)
☆ ☆ ☆
(考え方、発展) 横方向の種類が多いとポイントが増えるので、大まかに見ると、長方形はなるべく縦型に使う方がポイントが増えます。逆に言うと、ポイントを少なくするには、長方形を横型に使えばいいことになります。
だから、ポイント20の区切り方は簡単に分かるでしょう。ちなみに、図1、図2、図3のポイントがそれぞれ28、23、35だから、ポイント20というのはかなり少ない方だろうと推測できます。
ところで、最小値が20であることの証明なら簡単に出来ます。中学以降なら、不等式を使って処理するところですが、小学校ではあまりやらないようなので、等号つきの不等号(≧、≦)などは使わずに証明します。
(証明) 各行は9マスで、長方形は1~8マスなので、行ごとの最小の種類は2種類。
そして実際、解答例のように、すべての行に2種類の長方形だけを置くことができる。
よって、最小のポイント数は、1×2+2×2+3×2+4×2=20 (証明、終わり)
一方、ポイントを30にするには、20の時の式に似た形で、
1×3+2×3+3×3+4×3=30
とする考え方もあります。
ただ私は、図1のポイントが28だから、それを少し変更して、ポイントが少しだけ上がるようにしました。
この問題は、受験としては、理屈や数式でスパッと解く問題ではありません。だから解答欄には、下書き用のマス目がたくさん書かれていました(18コ)。「試行」錯誤するのも、「思考」力です。
素早く解いた生徒には、書かずに頭の中だけで解いた人もいたでしょう。遥かに複雑な将棋や囲碁でさえ、頭の中だけで出来る小学生もいるので。
☆ ☆ ☆
(3) ポイントがなるべく大きい区切り方を1つ答えなさい。また、そのポイントを答えなさい。(ポイントが大きい答ほど、高い得点を与えます。)
(解答の例)
(1×3+2×4+3×5+4×5=46ポイント)
(考え方、発展) 横に長い7マスと5マスの長方形は、それぞれ1行目と2行目に置けばいいでしょう。左右にズラすことも出来るので、それだけでも変化が増えます。
なるべく長方形を縦長に使うということでは、例えば8マスの長方形と6マスの長方形を下のように置くのは筋が通った考えで、区切り方もすっきりキレイです。
ただ、これだと、1×2+2×3+3×4+4×5=40ポイント。これで何点もらえるのか分かりませんが、半分くらいはもらえるのかも知れません。
欠点があるのはハッキリ分かります。4マス、3マス、2マスの長方形を、縦長に使えてないからです。そこで、上図の右端の8マスの長方形を横向きにして左下に置いて、代わりに4マス、3マス、2マスの長方形を縦長に置き直したのが、正解の例の図なのです。
ちなみに、1行あたりの長方形の種類の最大値は6(例えば、1×1+2×1+3×1+4×1+2×3+4×2)なので、下図のように、4行目を6種類にすることは、試す価値があります。ただ、残念ながら、7マスの長方形が置けなくなってしまいます。
とはいえ、上図のような事を試すと、1~4、6、8マスの長方形すべてを縦長に使うことはできないことが分かります。4マスと8マスの両方を縦長に使うだけでも不可能(7マスの長方形が置けなくなる)。では、どれを諦めて、どうするのか。時間内で素早く実験することになります。
☆ ☆ ☆
最後に、ポイントの最大値について。上のように考えると、どうも1行あたり6種類というのは無理そうなので、1行あたり5種類が最大だろうと考えられます。しかも、下図(正解の別の例)のように、5種類の行はおそらく2つの行が限度。
さらに、1行目は7マスの長方形を置くと、最大で3種類。2行目は5マスの長方形を置くと、最大で4種類(3、4行目を5種類にしたいから)。
よって、ポイントは最大でも
1×3+2×4+3×5+4×5=46(以下)
そして実際、この46に出来るから、ポイントの最大値は46。
まだ説明不足ですが、こんな感じでもう少し頑張れば、きっちりした証明になりそうです。とりあえず、今日はそろそろこの辺で。。☆彡
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