NOT回路(ゲート)、AND回路、OR回路を組み合わせた設計、論理回路の問題の解き方、考え方~ 高校『情報 Ⅰ 』
今日は久々に、高校の必修科目『情報 I 』の記事を書いてみよう。使うのは東京書籍のややレベルの高い教科書『情報 I Step Forward!』(2022年・令和4年)。内容は、論理回路。
教科書の普通の説明は2ページだけで、ごく簡単な知識だけ書いてるけど、章末にはやや難しい問題を掲載してた。電子回路や論理学の知識があればすぐ解けるけど、普通の高校生だと苦戦しそうな問いが入ってる。正月明けの共通テストで、どの程度の問題が出るのかは読みにくい。
ちなみに、ここでの過去記事は、公開順に次の3本。1本目の画像の圧縮が最も読まれてる。他にプログラミングの記事も色々とアップ済み。
デジタル画像の可逆圧縮、「ランレングス(連長)圧縮」の簡単な具体例と説明、圧縮率の計算~高校『情報Ⅰ』
アナログの音のデジタル化(標本化=サンプリング、量子化、符号化)~高校『情報Ⅰ』(新必修科目)
2進法の計算、直接的な減法(引き算)と、コンピューター内部で「2の補数」を用いる減算 ~ 高校『情報Ⅰ』
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では、教科書3章の章末問題4を解いてみよう。ただし、元の問題のままだと設定的に分かりにくいし長いので、以下では分かりやすく書き直してある。
1と0を反転させるNOT回路、入力が1と1の時だけ1を出力するAND回路、入力が0と0の時だけ0を出力するOR回路を、次のように組み合わせた論理回路を考える。ちなみに元の問題では、それぞれP、Q、Rと名付けられた謎の装置になってる。
(1) 入力が(X1,X2)=(0,1),(1,0),(1,1)の時の出力Yを求めよ。
知識があれば、これはXORゲートとか呼ばれる有名な基本回路だと一目で分かるから、答も計算不要ですぐ分かる。XORとは、イクスクルーシヴ・オア(排他的選言)。2つの入力が両立する時(どちらも1の時)には、出力が0になってしまう特殊なOR回路ということ。
参考までに、出力を表す論理式を書いとこう。
Y=(X1 AND (NOT X2))OR((NOT X1) AND X2)
=(X1 ∧ ¬X2)∨(¬X1 ∧ X2)
以下では、普通に回路図に記入しながら計算してみる。各回路ごとに、入力と出力をきっちり書いていけばよい。まず上図より、(X1,X2)=(0,1)の時、Y=1。
次に、上図より、(X1,X2)=(1,0)の時、Y=1。
最後に、上図より、(X1,X2)=(1,1)の時、Y=0。
なお、論理式と真理値表の知識があれば、手作業で表計算することもできるけど、教科書に書いてないので、ここでも省くことにする。そもそも、知識があれば、計算不要ですぐ答を書けてしまう。
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(2) 下図の回路の点線で囲まれた部分に、3種の回路を2つ書き加えて、(1)と同じ出力の回路を構成せよ。
これも、知識があれば一目で分かってしまう。先ほど触れたXORゲートの別の形で、こちらも有名なのだ。ORに似てるけど、AND(両立)はダメ、という意味の式。
Y=(X1 OR X2)AND(NOT(X1 AND X2))
だから、上図のAND回路のすぐ右側にNOT回路を入れて、そのまた右側にAND回路を入れればよい。
ただ、知識がないと、単なるカンで見つけ出すか、場合分けして全て調べることになる。以下では、全て調べてみよう。
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まず、(X1,X2)=(0,0)の時、点線内への入力は(0,0)で、出力は0。上図の青い丸印に注目。
(X1,X2)=(0,1)の時、点線内への入力は(1,0)で、出力は1。
(X1,X2)=(1,0)の時も同様に、 点線内への入力は(1,0)で、出力は1。
(X1,X2)=(1,1)の時、点線内への入力は(1,1)で、出力は0。
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さて、点線内の2つの回路は、以下の6通りの組み合わせが考えられる。図の左半分は無視して、点線内の入力と出力を調べると、5通り目までは全て不適。最後の6通り目だけが正しいことが分かる。
こんな面倒なチェック作業を試験場で時間内に行うのは難しいはずだけど、高校や塾・予備校、参考書でどう教えてるのかは不明。ちなみに教科書には、最後の答の図が書いてあるだけで、全く説明なし。
現実的には、もし共通テストで出題するのなら、もう少しヒントを付ける所だと思う。例えば、2つの回路の内、1つは教えて、残り1つは選択肢の中から選ぶとか。
ともあれ、今日のところはこの辺で。。☆彡
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