宝くじは連番よりバラの方が当選確率が高い(2)~具体例の数学的証明
今日はドリームジャンボ宝くじ(第605回全国自治宝くじ)の発売最終日。
あわてて買いに行く前に、ちょっとネットで調べてる方が多いんだろうか。昨
日から、私が半年前に書いたロングセラー記事にアクセスが増えている。
宝くじの買い方、連番よりバラの方が当選確率が高い~朝日新聞・be
この記事は、朝日新聞の手短な解説を突っ込んで分析したもので、かなり
微妙な所まで考えてるし、具体的な計算もそこそこ入れてある。結論として
は、やっぱり朝日の記事は「正しそう」で、「高額当選」の確率を上げたいの
なら、連番よりバラ売りを買う方がかなり「有利そう」だということになった。
この場合の高額当選とは、1等と前後賞のどれかに当たることを指してる。
ジャンボ宝くじなら2億円と各5000万円だから、どれか1つでも十分高額
で魅力的だろう。
ただ、厳密な数学的証明は出来なかったし、もちろん朝日の記事にもない。
難しい点は2つある。まず、バラ売りする宝くじの選び方がどうなってるのか
という事。朝日新聞では、同時に2つ当たることは無いとされてたけど、信
頼できる根拠はネット上(みずほ、宝くじ協会など)に見当たらなかったし、
仮にそれが正しいとして、どのようにバラを選んでるのかが分からない。
一方、バラの選び方によって、当選確率に特殊な変化が起きないという証
明も難しい。直感的には、意図的に飛び飛びに選んでるのだから、どれか
1つが当たる確率は少し上がりそうな気もする。サイコロにせよ、くじ引き
にせよ、高校数学などの確率の問題では、「無作為抽出」が基本。簡単に
言うと、意図せずでたらめ(=ランダム)に選び出すわけだが、宝くじのバ
ラ売りの場合、販売以前に(おそらく機械的に)「作為抽出」してるのだ。
それによって当選確率が変わらないというのは、明らかではない。。
☆ ☆ ☆
それら2つの問題点は、その後もそのままになってたけど、昨日になって、
バラ売りのシステムを説明してくださるコメントを頂いた(去年の記事)。や
はり、2つ以上同時に当たらないよう、機械的に選んでるようだ。信頼でき
る根拠は添えられてないし、自分でも発見できてないものの、朝日の記事
とも整合的だ(=つじつまが合ってる)し、常識的にもそんな気がする。
だから、とりあえず以下では、次の仮説を認めとこう。
「バラ売りでは、2つ以上同時に当たらないような組合せ全体の
中から、無作為(でたらめ)に販売用の組合せを選んでいる」。
では、こうしたバラ売りは、やはり連番より当選確率が高いのか。また、
その選び方によって、当選確率は変わらないのか。それら2点について、
具体例で考察してみよう。一般化には成功してないし、それはおそらく非
常に大変(or 高度)だと思う。
結論的には、やはりバラ売りの方が遥かに当選確率が高いし、バラ売り
セットの作り方によって確率の妙な変化は起きない「ようだ」。私はまだ、
特に後者は確信してないけど、計算した具体例においては、完全に正し
いことが証明された。。
☆ ☆ ☆
元の朝日の記事では全体で100枚のくじから10枚選ぶ(or 買う)場合
を考えてるが、これだと計算があまりに面倒で、やる気がしない。上手
い方法も思いつかないので、13枚から4枚選ぶ場合と、14枚から4枚
選ぶ場合を考えてみる。
この中途半端な枚数について説明しとくと、1等と前後賞で3枚だから、そ
れを上回る最小限の枚数として4枚を選ぶことにした。キリのいい5枚に
するだけでも、かなり面倒になってしまう。
次に、全体の枚数は、バラ売りが可能な最低枚数が12枚となる。1~12
の番号を付けると、例えば(1,4,7,10)。こうした2枚飛ばし(2枚当選を
避けるため)が可能になるためには、12枚必要なのだ。1番と10番が2枚
飛ばしになるには、12枚必要だという点にご注意あれ。で、最低枚数だと
単純過ぎるから、1枚増やした13枚の場合と、2枚増やした14枚の場合
を考えてみることにした。
(1) 全部で13枚の宝くじで、4枚選ぶ(=買う)場合
くじを1~13番とし、1等を仮に5番とする(何番でも同様)。
まず、連番の選び方は、(1,2,3,4)、(2,3,4,5)、・・・
(10,11,12,13)、(1,11,12,13)、(1,2,12,13)、
(1,2,3,13)の13通り。最後の2セットも連番になることをお忘
れなく。
この内、1枚以上が1等か前後賞に当選するものは、(1,2,3,4)
から(6,7,8,9)の6通り。
∴ (連番の当選確率) = 6/13
一方、バラの選び方は、(1,4,7,10)、(1,4,7,11)、
(1,4,8,11)、(1,5,8,10)、(2,5,8,11)、(2,5,8,12)、
(2,5,9,12)、(2,6,9,12)、(3,6,9,12)、(3,6,9,13)、
(3,6,10,13)、(3,7,10,13)、(4,7,10,13)の13通り。
この内、当選するのは(3,7,10,13)以外の12通り。
∴ (バラの当選確率) = 12/13
したがって、バラの方が2倍の当選確率である。あと、このバラの
当選確率は、選び方による特殊な影響を受けてない。つまり、4枚
の内の1枚が当たる確率を単純に 3/13 として、それを4倍した
数字と一致している。つまり、朝日の記事の計算が通じてるのだ。
(2) 全部で14枚の宝くじで、4枚選ぶ場合
上と同様に、くじを1~14番とし、1等を仮に5番としておく。
まったく同様の考えで、(連番の当選確率) = 6/14 = 3/7
一方、バラの選び方は、(1,4,7,12)~(5,8,11,14)の
35通り(途中省略)。この内、ハズレるのは、(2,7,10,13)、
(3,7,10,13)、(3,7,10,14)、(3,7,11,14)、
(3,8,11,14)の5通りだから、当選するのは30通り。
∴ (バラの当選確率) = 30/35 = 6/7
興味深いことに、この場合もバラの方が2倍の当選確率だ。また、
(1)と同様に、バラの選び方による特殊な影響を受けてないことも
分かる。つまり、4枚の内の1枚が当たる確率を単純に3/14とし
て、それを4倍した12/14、つまり6/7が、バラの当選確率と一
致してるわけだ。。
という訳で、今回の目的は果たされた。(2)の35通りは、気になる方は自
分で数え上げてみて欲しい。ダブらず、もらさず、全てを数え上げるには、
何か工夫があった方がいいと思う。
私の場合、番号の飛び方に注目して、例えば間の数字が4枚、2枚、2枚、
2枚と飛んでる、(1,6,9,12)のような組合せは、「4222」と呼んだりし
た。すると、このタイプが14通りで、「3322」タイプも14通り、「3232」タ
イプが7通り、トータル35通りとなる。図は、横一列のものと、円順列みた
いに両端をつないだものとを併用した。
もっと「エレガントな解答がある」と思うけど、今日の所はこの辺で。。☆彡
P.S. 「縦バラ」買いについての記事を追加。
(計 2913文字)
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