陸上男子100m決勝、華麗な演出&走り高跳び1位決定戦ジャンプ・オフ、WA世界陸連テクニカル・ルール(英語、和訳)

最近、日曜は仕事してることがほとんどだったけど、昨日は久々にほぼお休み♪ 夜21時から23時くらいまで、ボーッとNHKで東京五輪を見てた。

  

いや、ひょっとすると急に(一部)中止になるかも知れないから (^^ゞ 月曜はともかく、明日の火曜夜の新規感染確認者数が問題。東京だけで5000人、全国で15000人とか行くと、政治もザワザワすることになる。

   

そろそろ、少ないままの死者数に注目すればいいのに、報道の大部分は感染者数で、重症者数の話が少し。死者数の少なさはほとんど報道されない。実は昨日も、感染者1万人超で、死者数はたった5人なのだ。

  

日本の1年間の死者数140万人、1日平均の死者数4000人から見ると、少なくとも、コロナで極端に騒ぐ理由は薄れてしまう。そう思われると、マスメディアの立場上、困るんだろうね♪

    

異常に悪化する数字だけ伝えてるから、こんな時にまだ五輪?と疑問を投げかける声が一部で出るのは自然なこと。まあ、それでも開催前と比べると反対の声は激減してるけど。政府関連の人がまた、反対運動の「さざ波」とか、失言?しそうなほど♪

   

    

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話を五輪に戻そう。ちょっと驚いたのは、注目の陸上・男子100mの決勝。走路(ホーム・ストレート)に開会式みたいなプロジェクション・マッピングを行って、選手紹介を盛り上げてた。他の競技だと、ここまではやってないんじゃないかな?

  

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わざわざ会場の照明を落として、幾何学模様や五輪マークを映したり、国旗と選手名を映したり。上は9秒80の欧州記録で優勝した、イタリアのマルチェル・ヤコブス(Marcell JACOBS)の紹介。ジェイコブスとも読まれてる。

  

マラソンだと、こんな演出は出来ないね。やっぱり、男子100mは人類最速だから特別なのか。女子はどうだったのかね? 今だと差別とかいう声も出るはず。私はいいと思うけど。世の中には無数の「区別」があって、それを「差別」と呼ぶ声も必ず出る。

       

個人的には、準決勝の中国の選手・蘇炳添(スー・ビンチャン)の走りに驚いた。スタートから物凄いダッシュで、9秒83のアジア記録。エッ?!って感じ♪

   

   

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しかし短距離とか、シンプルな身体能力の競技の場合、まだドーピングの可能性があるから分からない。実はヤコブス、この1年間で急激にタイムを上げてるし、体格も以前よりガッチリしてる気がする。体重も英語版ウィキの79kgには見えない。

      

彼の去年までの自己ベストは10秒10。日本人のトップ選手より下だった平凡な選手が、いきなり五輪決勝で9秒80を出して金メダル(追い風0.1m/s)。2時間前の準決勝でも9秒84。当然、あちこちから目をつけられるだろうし、今後に注目。

  

ちなみに、明らかに奇妙なジョイナーの女子100m世界記録10秒49は、33年経っても異次元タイムのまま。前年までより0.5秒、つまり5%弱も縮めてた。28歳のベテラン女性選手が、29歳になるまでの1年で。

  

驚異的な記録を出して金メダルを取った後、すぐ引退して、9年後には心臓発作で急逝。文字通りの神話になってる。まあ、その種の「神」は彼女だけではないけど。。

     

  

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一方、その直前のイタリア人選手らの金メダルは、別の意味で興味深かった。

   

走り高跳びの決勝、同じ高さの2m37cmでトップに並んだ2人が、いよいよ第1位決定戦の「ジャンプ・オフ」(jump-off)で盛り上げてくれるのかと思ったら、いきなりイタリア人選手が大喜びで抱きついた。一部の特殊な女子も興奮♪

   

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要するに、赤いウェアで固めたバルシム(カタール)が審判に申し出て、タンベリ(イタリア)が了承して、審判も提案を認めたと。暑いし(笑)。ライブ(生放送)で見てたから、解説も間に合わなくて、私は何やってんの?って感じだった♪

  

その後、マニアは直ちに、WA(世界陸連)のテクニカル・ルールを英語で確認。日本陸連の翻訳もチェックした。まず、競技規則26.9。

  

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Athletes concerned must jump at every height until a decision is reached or until all of the athletes concerned decide not to jump further.

 

当該競技者は決着がつくまで、あるいはすべての当該競技者がこれ以上跳躍しないと決めるまで、すべての高さで跳躍しなければならない。

  

続いて、前に遡って、26.8。

   

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If no jump-off is carried out, including where the relevant athletes at any stage decide not to jump further, the tie for first place shall remain.

   

当該競技者がもうこれ以上跳躍しないと決めた場合を含みジャンプオフが実施されない場合、同成績により第1位となる。

   

この英文はちょっと訳しにくいし、陸連の和訳も直訳とは微妙に違うけど、まあ正しいはず。「at any stage」(どこかの段階で)という言葉は訳さず、最後の英語は分かりやすく訳したと。

  

なお、この夜は女子三段跳び・ロハス(ベネズエラ)の世界新記録15m67cmまで出て、お得感があった♪ 脚の長さだけで、身長の6割くらい(笑)。それでは今日はこの辺で。。☆彡  

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コロナ禍の東京2020オリンピック開会式、控えめでも完璧、感動、涙・・

素晴らしい!☆ 凄まじい逆風が吹き荒れる中、これだけの開会式をよく作り上げたね♪ 地味とか安っぽいとか言われても、私は最初から最後まで感動、随所で涙ぐんでしまった。

    

質素な作りの向こう側に、どれだけの努力と思いが込められてることか。録画でじっくり見直しても、またウルウル。。 HDDの空きを4時間分、作っといて成功。

   

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ほとんど完全な出来栄えだった。日本の技術力を誇示したのは、1824台のドローンの制御。地球の映像という報道ばかりが目立ってたけど、あれ、地球の中の日本列島を手前に向けてたのだ。上空のカメラのアングルも含めて、実に素晴らしい。案外、単なるCGとか(笑)

 

☆追記: 実は米国インテル社のシューティング・スターと呼ばれるドローンとのこと。日経新聞その他の報道より。)

   

目立つミスといえば、NHKの豊原謙二郎アナがイランを「アラブ諸国」扱いしたことと(調べてみると結構ビミョーな問題)、動くピクトグラムでパントマイムのGABEZ(ガベジ、吉本興業)がバドミントンのラケットを落としたくらいか。

    

五輪の旗を運ぶ時、自衛隊か警察官か、左後ろの女性が最後の階段で躓いたのは良しとしよう♪ 細かっ! いやぁ、もし転んで旗がビリッと破れてたら大ごとだった。

   

上原ゆかり・・じゃなくて(古っ!)上原ひろみ(Hiromi)に拳で叩かれまくってたピアノも、よく壊れなかったね(笑)。ジャズピアノの過激な即興演奏、恐るべし。。

   

   

      ☆     ☆     ☆

開会式は、直前の特番から笑えた。サンドウィッチマンの富澤たけしが、聖火台の点火の予想で、自分のプランを披露。辞任解任された方が勢ぞろいして、その炎上の炎が聖火台にいくとか(笑)。NHKの直前の生番組で、禁断の炎上ネタ。いいね♪

   

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そして、声まで美しい和久田麻由子アナがチラッとだけ映った後、開会式の最初のCGにもウケた。暗闇の宇宙から国立競技場に、大量の岩石が降り注ぐシーン(笑)。そこか! 多分ほとんど理解されてないから、マニアック・ブログとしては強調しとこう♪

  

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石が降り注ぐ中、緑色の光に包まれて、花の芽のように立ち上がるのは、コロナで五輪の夢を絶たれた看護師の女性ボクサー、津端ありさ。女性、アスリート、コロナ禍、医療関連。条件が揃ってる人選。顔も「男前」で、ジャニーズのタッキー(滝沢秀明)似。

      

女子ミドル級ボクシングの日本代表を目指してたのに、6月の世界最終予選が中止。ランキングで出場者が決まったから、落とされたらしい。しかし、あれだけ目立つ役に抜擢されれば、奇跡的な幸運。

  

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そして、一回目の短めの花火。競技場の外には人込みが出来てて、スマホで撮影してたらしい。やっぱり産経デジタルの写真はキレイだ。警備の皆さんもお疲れさま♪ 反対デモもあるし、さすがに大勢で厳重に警備。

  

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    ☆     ☆     ☆

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コロナ禍での困難なトレーニングの表現は、アスリート達の意見を取り入れてたらしい。エアロバイクこいでた女の子も選手なのかね? ペダルの回し方に力が入り過ぎてたけど、可愛いからOK♪ 細かっ!

   

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プロジェクション・マッピングで季節の移り変わりと微妙な心が表現された後、ダンサー達が赤いロープで緊縛される♪ SMショーのイメージだろうけど、流石にNHKの解説には出ない。去年、京都大学で炎上したばっかだし♪

   

そして、再び走り出すアスリート達から、周囲に強い光が放たれる。束縛から解放された人々は再び動き出す。

  

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天皇陛下とIOCバッハ会長のご登場の後、日の丸掲揚。日の丸を運ぶ高橋尚子とかより目立ってたのは、制服姿の女性救急隊員・あさばみずきさん。

  

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misia(ミーシャ)が君が代を熱唱すればもう、紅組の勝利♪ 紅白歌合戦か! レインボードレスが米国メディアNBCのロゴに(たまたま?)似てて、あちらでも反応。裏に大人の事情があるのかも。ドラマ『やまとなでしこ』のラストも米国だったね。

        

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真矢みきが中心になってた江戸の火消しと棟梁のシーン。海外に意味が伝わったかな? 東京の歴史を受け継ぎつつ、コロナ禍の炎を消して、新しい世界を創り上げる姿だと。その象徴が、これから入場する選手たちだと。五つの輪の木材は、57年前の東京五輪とつながってるとの事。

  

花火の後は、いよいよ入場行進。ギリシャから始まって、日本語のあいうえお順。日本を意識して、丸印や扇子、富士山、桜、波、うちわを取り入れてくれた国々には、特に感謝♪

 

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最後は、28年五輪開催の米国、24年のフランス、そして開催国・日本。天皇陛下の微笑みが映ったのは、この時だけ。隣の菅義偉首相は、わざと厳しい表情で通したのかな。旗手は父親が黒人の八村塁と、須崎優衣。203cmと153cmで、身長差50cm。どこまでも多様性♪

  

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金髪の笑顔が目立ちまくってたのは、19歳のスケボー選手、西村碧莉(あおり)かな? 少女らしく、わかりやすい金メダル宣言♪ 小池百合子・都知事はほとんど映らなかったけど、日本選手団の入場の時には笑顔で拍手してた。

   

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「Faster Higher Stronger Together」。より速く、高く、強く、一緒に。五輪の理念と花火の後、山縣亮太と石川佳純が選手宣誓。両脇には、審判代表とコーチ・役員代表だったかな。

  

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多様な参加者がカラフルな積み木遊びみたいなパフォーマンスをして、最後はエンブレムが完成。そして、上空にはドローンのエンブレムが登場。長方形は3種類で、多様性の調和と統一を表現。まもなく、地球と日本列島へと変化。

  

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橋本聖子・組織委会長のスピーチは適度だったけど、バッハ会長の演説は12分くらいもあった (^^ゞ 長過ぎるのは明らかだから、演出の大部分が中止になった場合に備えて無理やり長くしたのかも・・と好意的に解釈しとこうか♪

  

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海外の選手が後ろでカメラに映ろうとしてたけど、さすがに日本選手団は真面目に聞いてた。ちょっとスマホ撮影してた程度。ただ、入場行進時のスマホは禁止されてたようで、目につかなかった。

  

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天皇陛下(His MAJESTY THE EMPEROR NARUHITO)が短く開会宣言。「私はここに、第三十二回近代オリンピアードを記念する東京大会の開会を宣言します」。五輪憲章の「celebrating」を「祝い」と訳さず、記念すると表現。細かい配慮。

   

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花火、五輪旗の掲揚(エッセンシャルワーカー含む)、そしてオリンピック賛歌。合唱は、男子は福島県郡山高。女子は屈指の進学校で合唱部も強い、東京の豊島岡女子学園高。わりと可愛い子が揃ってたね♪ 才色兼備。中央の右寄りで目立ってた子が好みか(笑)

  

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昭和の名曲『翼をください』と共に、鳩のプロジェクション・マッピングと鳩の形の紙吹雪が流れた後、面白いと好評だった動くピクトグラムのパフォーマンス。

  

これ、カメラワークも音楽・効果音も良かったし、着替えを手伝ってるスタッフも必死に頑張ってた♪ 50個中、49個成功(笑)。残り1コも、笑いを取れたから良しってことで。実は、元の動くピクトグラムもよく出来てる。ブラウザがIEだと映らないけど。

  

   

     ☆     ☆     ☆

最後は、劇団ひとりと荒川静香のコントの流れで、東京の各地がライトアップ。東京タワー、日本武道館、各地の競技場、スカイツリー。渋谷スクランブル交差点には、五輪公用語のフランス語で「Bien Venue!」(ビヤン・ヴニュ:ようこそ)♪

  

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やがて歌舞伎座にライトが当たる映像の後、ステージには市川海老蔵が登場。上原ひろみのピアノとの融合は良かったし、外国ウケもいいはず。和の静の男と、洋の動の女。組合せの妙味。全体的な色調は赤で、聖火を意識したもの。

 

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そして最後は、野村忠宏&吉田沙保里から、長嶋茂雄&王貞治&ゴジラ松井、医師&看護師、東北の子供たちと聖火をリレー。ミスター長嶋が松井に手助けされながら必死に脚を動かす姿に、こっちまで力が入った。

  

  

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最終点火者は、直前の予想通り、大坂なおみ。色々あるけど、多様性と実力・実績で日本を代表するのは事実だから、順当か。それで、今春の欠場騒動の時でさえ、東京五輪は出ると明言してたわけね♪ 

  

世界中に放映される1度切りの大役を笑顔でこなせるんだから、やっぱり例のツイートの「depression」はうつ病と訳すべきじゃないね。うつ症状とか、気持ちの落ち込みとか。お化粧も黒人好みの髪型も、バッチリ決めてた♪

  

聖火台は、佐藤オオキ&デザインオフィスnendoが担当。太陽や五輪、炎をイメージして、5枚のパネルが上下2段になってる。富士山みたいな土台も含めて全体的に小さめで地味だけど、競技場の構造や1年延期による予算の制約があったはず。

   

   

     ☆     ☆     ☆

パァーン、パァーン! 最後はまた短めの花火が華やかに上がって、23時45分からは『ゆく年くる年』(笑)。大晦日か! そうじゃなくて、大幅な放送延長の後、23時51分に終了、ニュースに変わった。

  

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選手も関係者もエッセンシャル・ワーカーも、皆さん、本当にお疲れさま♪ 拍手、拍手! 最後の最後までドタバタになった開会式も、ようやく無事終了。ゆっくり休んで欲しいもの。今さら何が起きても、もう関係ない(笑)。それでは今日はこの辺で。。☆彡

  

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       (計 3675字)

  (追記54字 ; 合計3729字)

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哲学者ニーチェ名言「深淵を覗(のぞ)く時、深淵もこちらを覗いている」、ドイツ語原著『善悪の彼岸』と原文~『レッドアイズ』最終回

日テレのドラマ『レッドアイズ』については、第2話で暗号記事を書いた後、名言の原文記事を5本書いて来た。

 

 ソルジェニーツィン「善と悪の境界線はすべての人の心の中に」、意味とロシア語原文(第6話)

 『レッドアイズ』第7話のバルザック引用「孤独はすばらしいが・・」は、半ば間違い(フランス語出典付)

 詩人ロバート・W・サーヴィス「死ぬのはとても簡単で・・・」、英語出典と原文~第8話

 第9話のチャーチル名言「地獄の真っ只中にいるのなら、そのまま突き進め」、ほぼ間違い

 チャーチル名言「これは終わりではない。終わりの始まりですらない」、英語出典と原文~最終回

   

ロシア語、フランス語、英語、英語、英語。 最後を締めくくるのは、偶然なのか必然なのか、ドイツ語。亀梨和也&山下智久主演の名作『野ブタ。をプロデュース』の第1話と同じ、ドイツの哲学者ニーチェを扱うことになった。チャーチルの名言の少し前に出たテロップ。

  

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 深淵を覗(のぞ)くとき、深淵もまたこちらを覗いている

           ニーチェ

  

  

     ☆     ☆     ☆ 

野ブタについては、去年の再放送の直後、本格的なレビューを新たに書いてる。

  

 哲学者ニーチェ「神は死んだ。人間は仲間と創造のゲームで遊べ」~『野ブタ。』第1話(再放送)

  

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写真は英語版ウィキペディアより。ニーチェは、普通の考えや価値観を徹底的に批判・否定した過激な思想家で、野ブタの場合は彰(山P)が「神は死んだ」という超有名な言葉を引用した後、仲間が集まってゲームで楽しく遊ぶ方向に進む。

   

土9のドラマだから、明るくポジティブな方向に持って行ったわけだけど、実は白岩玄の原作小説はネガティブな方向に進む暗い内容だった。

  

普通のものを否定すると、型破りで目立つことは出来るけど、社会で生きるのが大変になる。周囲はフツーの人達、フツーの社会だし、自分の中にもフツーの部分があるからだ。もちろん、内なる怪物(モンスター)と共存・共生する形で。

   

   

     ☆     ☆     ☆

『レッドアイズ』最終話の場合、心理カウンセラー・鳥羽和樹(高嶋政伸)は、自分の心の奥底、無意識から湧き出る巨大な破壊衝動や快楽への欲望に正直に生きて、現実の社会で抑えつけられた。

  

ただ、彼が刑務所に入っても、死刑を執行されない限り、人格的には変わらないはず。実は、伏見(亀梨)らも、凄まじい怒りや攻撃性を密かに持ち続けることになる。理性的な振舞いは、あくまで表面的なものに過ぎない。

   

・・・というような考えを20世紀に一気に広めたのが、同じドイツ語圏(オーストリア)の精神分析家フロイトで、その深層心理学のもとにニーチェ哲学があるのは有名な話だ。ここでは簡単な指摘に留めとこう。

  

  

     ☆     ☆     ☆

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上が、Friedrich Nietzsche(フリードリッヒ・ニーチェ)の1886年の原著、『Jenseits von Gut und Böse』。副題は「Vorspiel einer Philosophie der Zukunft」(未来の哲学への前奏曲)。インターネット・アーカイブで公開中

    

日本語では普通、『善悪の彼岸』と訳されるけど、直訳するなら「善と悪の向こう側に」となる。

  

もちろん、ここでの善と悪とは、フツーの善と悪。困ってる人を助けるのが善とか、人を殺すのが悪とか。そうした平凡な価値観やキリスト教的な考えを過激に攻撃して、「向こう側」の考えや生き方を目指したのがニーチェだった。

  

しかし、別にニーチェとか持ち出さなくても、そうしたフツーの倫理に限界があるのはすぐ分かる。覚醒剤が切れて困ってる人に手渡すのは善ではなさそうだし、死刑囚を国家が殺すことは日本では認められて、国民もそれほど反対してない。

   

   

     ☆     ☆     ☆

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上の下半分、第4篇に位置する第146節の後半が、「深淵」の引用句の部分だ。前半も含めて、ドイツ語を直訳してみよう。

  

 Wer mit Ungeheuern kämpft, mag zusehn, dass er nicht dabei zum Ungeheuer wird.

 怪物と闘う人は、気を付けて欲しい、そこで自分が怪物にならないように。

   

 Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, blickt der Abgrund auch in dich hinein.

 そして君が長く深淵を覗く時、深淵もまた君の内側まで覗くのだ。

     

   

     ☆     ☆     ☆

ここで、「深淵」が擬人化されてる。ドラマなら、分かりやすいのは、鳥羽とか、同種の危険思想の持主のこと。フツーの考えでは、悪の確信犯。

  

一方、深淵を「危ない考え」とすると、「危ない考えもまた君の内側をのぞく」という意味になる。のぞくと、君の心の奥にも巨大な危ない考えがうごめいてるじゃないか、ということになる。ほら、それを解放してみなさい。途方もない快楽が得られるから。。

   

そうした危ない考えを理論と実践の両面で世界的に普及させたのがフロイトで、内なるモンスターとは、例えば「エス」(それ、英語に直訳するとIt)と呼ばれてる。この言葉、概念は、ニーチェの『善悪の彼岸』でそのまま出て来てるのだ。

  

「私が考える」(われ思う)、という見方は間違い。「エスが考える」と言い直してもまだ不十分。要するに、私とか、何か主体的で中心的なものが動作を行うのではなくて、単に考えがある、衝動が生じて膨らんでいる。それだけのことなのだ。

    

あまり長く書いてると、私もズブズブと深みにハマりそうだから、そろそろ終わりにしとこう♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

      (計 2266字)

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チャーチル名言「これは終わりではない。終わりの始まりですらない」、英語出典と原文、意味の解説~『レッドアイズ』最終回

前回・第9話で間違ったチャーチルの格言もどきを引用して、「最終回のラスト」でもチャーチルの名言♪ これでまた間違ってたら、さすがにヤバイなと思ったら、今度は正しい引用だった。チャーチルは、第二次世界大戦の頃の英国首相で、作家としても有名。

   

繰り返すけど、前回のチャーチル名言もどきは(ほぼ)間違い。偽物だ。敵のワナに引っかかったような失敗。第7話のバルザック名言は、言葉自体は間違いではないけど、人違いなのだ♪

  

いまだに訂正が出ない辺り、全体のチェック体制が気になる。スタッフか関係者の方、ブルーレイ作る前に修正することをお勧めしとこう。単なるテロップだから、簡単に直せるはず。ウチの記事では、英語とフランス語の証拠・根拠をハッキリ示しておいた。

    

 『レッドアイズ』第9話のチャーチル名言「地獄の真っ只中にいるのなら、そのまま突き進め」、ほぼ間違い

 『レッドアイズ』第7話のバルザック引用「孤独はすばらしいが・・」は、半ば間違い(フランス語出典付)

   

  

     ☆     ☆     ☆

で、最終話の正しい名言は、長いからなのか、画面の左右両端に表示された。脚本・酒井雅秋、演出・水野格。

  

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 「これは終わりではない。終わりの始まりですらない

  だがおそらく、始まりの終わりなのだ

          W・チャーチル

    

前回の間違った名言もどきはほとんど話題になってなかったのに、これは大勢ツイートしてた。最終回のラストだし、ちょっと謎めいた言い回しだし、読み方によっては、続編の予告とも解釈できるからだろう。

   

  

     ☆     ☆     ☆

意味が分からないと正直に告白してる twitter もいくつかあったから、明確な図で説明すると、下のように書ける。

  

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歴史や物語が、上から下に流れてると考えると、

 「一番下の濃い青色ではないし、下から二番目の水色でもない。たぶん、わりと上のピンク色あたりだろう

と言ってるのだ。

  

普通に考えると、「悪との闘いはまだ序章が終わっただけ。これからも延々と続く」という意味。既に、はるか(高橋ひかる)も監視のターゲットになってるよ、と。あるいは、そこでテレビや動画を見てるあなたも危ないよ、とか。

    

中学校の3年間にたとえると、

 「中学3年の3月(卒業)ではないし、3年の4月でもない。たぶん、中学1年の3月だろう

ということ♪

  

仮に、このドラマが3シーズン続くとしたら、

 「第3シーズンの最終回ではないし、第3シーズンの初回でもない。単なる第1シーズンの最終回だから、今後の続編をお楽しみに♪

ということになる。その前にブルーレイ買うか、有料のサブスク動画でおさらいしてね、とか(笑)

  

  

     ☆     ☆     ☆

英語の原文は、英語版ウィキクォート(引用句のウィキ)より。Winston Churchill(ウィンストン・チャーチル)。

   

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 Now this is not the end. It is not even the beginning of the end.

 But it is, perhaps, the end of the beginning.

   

1942年11月10日、ロンドン市長公邸における市長との昼食会において。アフリカでの戦闘における英国の勝利に言及して、とのこと。まだまだこれから大変だし、ロンドンも危ないから、市長さんも気を引き締めてね、と。

   

     

     ☆     ☆     ☆

個人的には、はるかが持ってたブランド品のバッグに書かれてた、英語ロゴと矢印アクセサリーが興味深かった。

  

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 Everything

 HAPPENS FOR A REASON  

 すべての物事は 何か理由があって起きる

  

ドラマ『ガリレオ』の湯川なら、「現象には必ず理由がある」と言う所♪ 要するに、このバッグに例の矢印マークが付いてることにも、ちゃんと理由がある。彼女はまだ狙われてるんだよ、とか、実は彼女も敵の側のスパイなんだよ、とか。

  

ちなみにバッグは、SAMANTHA THAVASA(サマンサタバサ)の PETIT CHOICE(可愛い選択)というブランドの物。これは実在するものであって、ドラマの虚構(フィクション)ではない。このトートバッグかな。税込9900円。

  

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というわけで、『レッドアイズ』も終了(始まりの終わりかも♪)。ウチは今週、計14115字で終了だけど、途中の終わりでしかない。ニーチェの「深淵」をめぐる名言については別記事にする予定。ではまた来週。。☆彡

  

  

  

cf. 詩人ロバート・W・サーヴィス「死ぬのはとても簡単で・・・」、英語出典と原文~第8話

 ソルジェニーツィン「善と悪の境界線はすべての人の心の中に」、意味とロシア語原文(第6話)

 『レッドアイズ』第2話の暗号解読方法と英文~アルファベットを13文字ズラした「rot13」

      

      (計 1916字)

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『レッドアイズ』第9話のチャーチル名言「地獄の真っ只中にいるのなら、そのまま突き進め」、ほぼ間違い

☆追記: 最終回のチャーチルは本物の名言で、別記事としてアップした。

 「これは終わりではない。終わりの始まりですらない」、英語出典と原文、意味~『レッドアイズ』最終回 )

  

 

     ☆     ☆     ☆

チャーチルの名言もどきなんて、あんまし話題になってないだろうな・・と思って、ツイッター検索をかけてみると、あんましじゃなくて、ほとんど話題になってない。みんな、物語の進展や真犯人探しに夢中らしい。

   

ただ、予告が始まる直前の心理カウンセラー・鳥羽(高嶋政伸)の言葉は、合計で30人くらいがつぶやいてた。その統計が面白い。「記憶を楽しめ」説がやや優勢だけど、「地獄を楽しめ」説をとる人も結構いる。

  

私は最初、「記憶を楽しめ」に聞こえたし、意味も一応分かる。ただ、あまりに深層心理学的な言葉だし、直後のチャーチルの言葉は「地獄」、その後の予告編のテロップでも「地獄」と書いてたことを考えると、ビミョーな所だ。

  

10回くらい聞き直すと、「ジオクを楽しめ」が一番近い発音だと思う。冗談ではなくて、本来の台詞は「ジゴク」だけど、「キオク」に聞こえるように演技・演出した可能性はある。高嶋の活舌の問題もあるのかも。

  

ちなみに、脚本は酒井雅秋、演出は水野格。

   

   

     ☆     ☆     ☆

では、今週の名言について。第7話のバルザック半ば間違いだと指摘したけど、予想通りアクセスは少ないし、間違いの訂正も公式には出てない。

  

そこで、もう1回、ポイントだけ書いとこう。ドラマのテロップは有名なバルザックの名前を書いてた。ところが、あの言葉は別の無名のバルザックの言葉だ。別人である2人を混同してしまってる。

     

調べるということをしてないから、今回はほぼ完全に間違えてた。脚本家も演出家も、第7話とは別人だけど、要するにスタッフ全体による検証システムが機能してない。

   

下が証拠の静止画キャプチャー。主人公・伏見(亀梨和也)が、仲間の小牧(松村北斗)を銃で撃った後に逃走(?)してるエンディング。

   

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 地獄の真っ只中にいるのなら、そのまま突き進め

       ウィンストン・チャーチル

   

   

     ☆     ☆     ☆

この言葉、検索すると日本語の個人サイトがズラッと並んだので、最初の10以上をチェックしてみたけど、どこにも出典が書かれてない。英文は書かれてるけど、どのメディア、何の本に書かれてるのか、ソース(情報源)が全くないのだ。

     

もちろん、これだけではまだ間違いとは言えないけど、かなり怪しい。ちなみに、1つのサイトだけ、この格言は間違い(偽物)だと指摘してた。

   

私はいつものように、英語版ウィキクォートをチェック。ウィキの引用句版。今回は元の文が英語だし、英国の超有名人(元首相&有名作家)だから、ここが一番信頼できるメジャーなサイトだ。

    

わざわざ赤茶色にしてある「Misattributed」(間違ってチャーチルのものとされてる言葉)の枠組に、例の言葉の英語が入ってた。

  

  

    ☆     ☆     ☆

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 If you're going through hell, keep going.

 もし、あなたが地獄を通過してるなら、そのまま進みなさい。

   

  

ドラマのストーリー的には、婚約者を殺された伏見が、信頼してた仕事仲間を撃った後に走り去ることを示してる。

    

この言葉は、ウィンストン・チャーチル協会の雑誌『ファイネスト・アワー(最も輝かしい時)』が調べた所では、どこにも見当たらない。本当の源泉である発言者も不明。

    

さらに、ウチでも以前、高く評価したことがあるマニアックな調査サイト「Quote investigator」(引用調査人)でも、たぶん間違いだとしてる

  

   

     ☆     ☆     ☆

日本では珍しく、間違いを指摘してたサイトは、協会HPが間違いを指摘してる記事を根拠に挙げてた。実はその協会の記事こそ、英語版ウィキクォートが挙げてる雑誌の4つ前の号(141号)なのだ(ネット公開)。

    

ただ、英語版ウィキクォートが挙げてる145号の雑誌の方がハッキリした指摘になってるので、そちらの原文を引用させて頂こう。これもネットで無料公開されてる

   

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 (Finest hour, The Journal of Winston Churchill, number 145, 2009-10, p.9

   

チャーチルによる言葉ではないし、少なくとも、関連する5000万の単語を調べても彼のものだとは確証できなかったと書いてる。

   

   

     ☆     ☆     ☆

時々、言われるように、一般に何かが世の中に「存在しない」ことの証明は非常に難しい。不在の証明はほぼ不可能なのだ。逆に、存在なら1つ見つければいいだけ。

   

数学などの理論的・人工的な世界は例外だから除くとして、普通の経験的世界には、いつ、どこに、何があるか分からない。その意味で、チャーチルの例の言葉も、ひょっとすると本当はどこかにあるのかも知れない。

  

ただ、専門家も含めて誰一人として出典を挙げれないような引用句は、ほぼ間違いとすべきだろう。ということで、日テレには訂正をお勧めするけど、ほとんど可能性ゼロかも。

    

マニアック・ブログとしては、この程度の根拠を示して間違いを指摘した所で終わりにしよう。ではまた。。☆彡

   

      (計 2096字)

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哲学者シェーラーの名言「愛こそ、貧しい知識から豊かな知識への架け橋」、ドイツ語出典と原文、英訳(『ここは今から倫理です。』)

『ここは今から倫理です。』というマンガが人気なのは、ネット情報で一度だけ目にしたことがあった。雨瀬シオリ原作、謎めいたイケメンの倫理教師が主人公。その時は、どこかでチラッと漫画を確認しただけで終了。

  

その後、今年(2021年)になって、NHKドラマ(よるドラ)の第1話をたまたま目にしたけど、この時も15分くらい見ただけで終了。

   

ただ、派手な女の子よりも、倫理の教師が今どきタバコを吸ってる姿は印象に残った。脚本は高羽彩だけど、タバコ好きは原作からある設定らしい。

  

   

     ☆     ☆     ☆

私自身はタバコを全く吸わないし、正直言うと、嫌いだ。臭いも嫌だし、密室で目にしみて苦痛だった経験もある。

   

しかし、10年以上前から続くタバコや喫煙者への冷遇には、多少の違和感もある。多様性や共生への配慮もほとんど感じない。そうした態度は、攻撃しやすい標的を見つける度に一斉に激しく襲い掛かって叩きつぶそうとする、最近の社会やネットの状況と似たものにも見える。

   

だから、国営放送のドラマの問題提起的な姿勢に興味を抱いたけど、10代~20代前半の少年少女向けのドラマに見えたこともあって、それ以降は全く見てなかった。実際、マンガの愛読者の年齢層もかなり若いと言われてる。

  

  

     ☆     ☆     ☆

ところが金曜(3月18日)の深夜、寝る前にTVerの動画をチェックしたら、『ここは今から倫理です。』の最終回がトップページで配信されてたから、試しに流し見。

   

何となく最後まで見続けて、エンディングの綺麗なカットが印象に残ったのだ。高柳先生(山田裕貴)にフラれた逢沢いち子(茅島みずき)が、雑踏を歩きつつ、振り向いてマスクを外した微笑みを見せるカット。その後、黒板に映し出されたパスカルの有名な言葉より、遥かにいい。

    

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もちろん、このカットでの「ここ」、雑踏は、高校の教室ではなく、大学か社会に進んだ後の彼女の状況を指してる。ここで今から、私が生きる姿こそ、実践的な倫理です。渡辺哲也の演出は、別にオシャレな洋服に身を包んだ可愛い子の笑顔だけを撮りたかっただけではない。

  

とにかく最後の印象が良かったから、ブログの記事を書くことに決定。ただし物語的なレビューではなく、名言・格言について。いつもの事ながら、今現在まだネットに正確な記事は見当たらないので。英語圏にも不十分な記事しか見当たらない。大半は単なるコピペだろう。

   

   

     ☆     ☆     ☆

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 「愛とは 貧しい知識から豊かな知識への架け橋である

  

各種のネット情報によると、この言葉は第1回に出たものらしいから、公式HPや公式twitterで探したけど、見当たらない。

  

そこで、週刊ヤングジャンプのサイトで原作第1巻を無料で試し読みしたら、運良く載ってた。わざわざ下の名前(ファーストネーム)まで入れて、「マックス・シェーラー」と呼ばれてる。右下の小文字の説明は、「※ドイツの哲学者。“愛”のもつ意義について説いた。

      

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      ☆     ☆     ☆

この出典と原文を見る前に、ドラマの映像をよく見てみよう。実は、告白してるいち子にとって、先生は少し上の場所に立ってるのだ。地面にハッキリ傾斜がある。

  

2人の間に、いち子を愛する男の子の姿を小さく挟んでる所(もう一つの小さな架け橋)まで含めて、おそらくこれは監督の演出。非常に繊細で丁寧だと思う。

  

つまり、愛とは、上の「存在」に向かうもの。あるいは、そうした側面や部分を合わせ持つもの。これが、この名言やシェーラーの哲学の本質なのだ。「知識」には限らない。原書では、前にも後ろにも、「存在」という言葉を入れた文が並んでる。

  

ではまず、分かりやすい英語の文から見てみよう。ドイツ語原文の英訳で、名言サイトの類でそこそこ拡散されてる。

 

出典はGoogle booksで一部公開されてる論文集『On feeling, Knowing, and Valuing』(感じること、知ること、そして価値づけること)に収録された論文、「Love and Knowledge」(愛と知識)。

   

  

      ☆     ☆     ☆

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 Love is a bridge, or better, a movement from poorer to richer knowledge.

 愛とは、より貧しい知識からより豊かな知識への1つの架け橋、より正しく言うなら、1つの運動である。

  

図の下から4行目が、この英文。「愛とは・・・架け橋(ブリッジ)である」とだけいうと、愛が静的なもののように感じられるけど、動的な動き、進化としてとらえられてるのだ。

  

他に、簡単に分かるのは、前後に古代ギリシャの超有名哲学者3人衆の名前が並んでること。前には、プラトン、アリストテレス。後ろには、ソクラテス。

    

普通に考えれば、シェーラーの恋愛論の源流は古代のプラトン哲学、特にイデア論ということになる。イデア、つまり理想的な存在に関する考え。

   

   

     ☆     ☆     ☆

では最後に、ドイツ語原文。初出の文献(雑誌?)まではたどり着けてないけど、ネットで普通に無料で手に入るのは、インターネット・アーカイブの論文集『Krieg und Aufbau』(戦争と再建;1916)に収録された論文、『Liebe und Erkenntnis』(愛と認識;1915)。Max Scheler

  

同名の短めの論文の前半に、こう書かれてる。下図の6行目から9行目あたりまで。英訳とは、文の区切り方が少し違ってる。

  

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 ・・・ die Liebe ganz intellektualistisch nur ・・・ als Ubergang und “Bewegung” einer ärmeren zu reicherer Erkenntnis verstanden wird, ・・・

   

 ・・・愛は、より貧しい認識からより豊かな認識の成立への架け橋、そして「運動」として、まったく知的である・・・

   

    

     ☆     ☆     ☆

ドイツ語特有の飾り文字(フラクトゥール)のせいで、余計に難しく感じるけど、構文的にはわりと普通の文章だ。文の切り方以外にも、細かく見ると、英訳とは色々と違ってる

   

大きい違いは、ドイツ語だと、愛の知的性格を主張する文脈になってること。英訳は、文を区切ってるから、その文脈が切れてしまってる。また、橋を表すドイツ語「Ubergang」には、移行とか過渡期という意味が含まれる。単語を2つに分解すると、文字通りの意味は「上への動き」。

  

他にも例えば、英訳の「or better」(より正確には)という語句はドイツ語に入ってない。単に引用符でくくられてるだけだ。英訳の不定冠詞(a)も、ドイツ語にはない。普通に読むなら、ドイツ語の方が「愛は架け橋、運動」という点が強調されてることになる。

    

   

     ☆     ☆     ☆

最後に一言、少年・少女とは言いにくくなった視聴者の素朴な感想♪ 下はNHKの公式HP、トップより。「この授業は、人生に効く。」

      

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このキャッチコピー自体が、私には効かないどころか、完全に逆効果だ♪ むしろ、「人生に効くとは言わない。でも、この授業を見て欲しい」とか、「この授業は、心に響く」の方がマシ。そもそも倫理も哲学も、分かりやすい効き目を主張するものではない。

     

その辺りが、昔の「NHK教育テレビ」的発想のままだけど、視聴者層の好みやニーズとは合ってるのかも。本のベストセラーを見ても、人生に(すぐ)効くものを求める人が非常に多いのは明らかだから。

   

ともあれ、キレイな終わり方で、ドラマ全体がより上のレベルに向かう架け橋のような構造になってた。なお、今週は意外と文字数オーバー、計15192字で終了。ではまた来週。。☆彡

   

      (計 3084字)

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詩人ロバート・W・サーヴィス「死ぬのはとても簡単で、難しいのは生き続けること」、英語出典と原文~『レッドアイズ』第8話

本題の前に、いよいよドラマの前面に出て来た精神科医(またはカウンセラー)について一言。

  

 鳥羽和樹 TOBA KAZUKI

 和田秀樹 WADA HIDEKI

   

高嶋政伸が演じる鳥羽は、おそらく実在する有名な精神科医、和田秀樹をもじったものだろう。ツイッター検索だと、この類似を指摘するつぶやきはまだ見当たらない。

  

あんまし似てないと思うかも知れないけど、その程度の違いは出さないと、攻撃的な性格の和田からクレームが入る可能性があるのだ。他にも、和田はテレビやメディア出演も多いから、日テレとしても配慮する必要がある。

  

和田のカウンセリングは、富裕層に特化した高価なもの(1回3万円、保険外診療)で、しかも無意識の欲望を重視する精神分析学が基本だから、鳥羽の「自分の感情に正直になること」という主張とも合ってる(同じとは言わない)。

    

ちなみに、同じく亀梨和也主演の日テレのドラマ『神の雫』(2009年)に対して、和田が批判。私がレビューで反論して、一部で話題になったことがある。

  

本人が認めてるように、頭脳は優秀でも、ちょっと色々とクセのある人物。一匹狼的な所も含めて、やはり鳥羽に似てる気がする。

  

  

     ☆     ☆     ☆

では本題。前回・第7話のバルザックの引用が半ば間違いだったから、今回の第8話も警戒してたけど、本物の引用句だった。内容的には平凡とも言える言葉だけど、原文は詩だから芸術性がある。脚本・福田哲平、演出・茂山佳則。

  

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 もう一度だけ やってみよう。

 死ぬのはとても簡単で、難しいのは生き続けることなのだから

             ロバート・W・サーヴィス

   

日本ではほとんど無名な、19世紀終盤~20世紀半ばの詩人。非常によく似た名前の歴史学者ロバート・サーヴィスとは別人なので、念のため。実際、前回のドラマでも、2人のバルザックを混同して間違えてたことだし。

  

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写真は英語版ウィキペディアより。かなりイケメンというか、古典的な二枚目(死語♪)に見える。ちなみに、日本版ウィキには項目がない。

  

   

     ☆     ☆     ☆

ドラマの中では、人生や命に対して投げやりな男・蠣崎(かきざき:忍成修吾)と、そうではない女性・島原由梨(松下奈緒)の対比で用いられてた。もちろんテレビ的には、後者を持ち上げる。何とか頑張って、生きて欲しいと。

   

サーヴィスの最も有名な言葉の一つみたいで、英語版ウィキクォート(格言集)でも一番上に挙げられてた。ただ、ウィキクォートの出典は、後の書物の名前になってるので、ここでは元の作品を紹介しよう。

  

1912年の詩集『Rhymes by a Rolling Stone』(あるローリングストーン=転がる石の詩集)。これが一番最初かどうかは不明だけど、普通これを出典とするはず。

   

ローリングストーンというのは、超ベテラン大物ロックバンドの名前でもお馴染みで、変化し続けるというポジティブな意味合いと、落ち着かないというネガティブな意味合い、両方を含んでる。もちろん、直接的には、詩人であるサーヴィス自身のこと。

  

本当にあちこち動き回る人で、84歳まで長生き。当時としてはかなり長寿のはず。自殺したという情報は見当たらない。

   

   

     ☆     ☆     ☆

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この本は著作権が切れてるのか、あるいは放棄したのか、あちこちで無料公開されてる。ここではAmazonの電子書籍kindleから引用。有料の読み放題の会員じゃなくても、アプリさえ手に入れれば0円で閲覧可能。

   

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引用句が含まれる詩のタイトルは、「The Quitter」。根性無し、すぐ諦める人。詩を書いた本人でもあるし、読者の一部でもある。

  

まあ、誰でも半ば、そんな部分はあるだろう。私自身も、必死に頑張る部分と、投げやりな部分が同居。最近はちょっと諦めの境地に傾いてるかも♪

   

東洋的な「諦念」を悟って来たのだ・・とか言ってると、サーヴィスか木村祐一(チコちゃんの声♪)に叱られる。「ボーッと生きてんじゃないよ!」(笑)

  

詩の冒頭、ゲームに負けたら決まりに従って拳銃(リボルバー)で死ぬとか書いてるけど、実はこれ、来週のドラマ第9話の蠣崎と重なるらしい(予告ストーリーより)。それに対してサーヴィスは、そんな自滅は人間の掟(おきて)が禁止してると語る。

   

  

     ☆     ☆    ☆ 

下が、短い詩の後半で、最後に例の引用句が登場。

  

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 Just have one more try ── it's dead easy to die,

 It's the keeping-on-living that's hard.

   

「死ぬのはとても簡単」という箇所は、英語原文だと、「dead easy to die」。直訳すると、「死ぬのは、死ぬほど簡単」と言ってるのだ。これは文学的な言葉遊びで、テレビだと分かりにくいし反発も出て来るから使えない。

   

「生き続けること」は「keeping-on-living」(キーピン・オン・リヴィング)。これは、2行前の「broken and beaten」(ブロークン・アン・ビートゥン)と韻を踏んだ表現。「敗北して打ちのめされた」という言葉を、「生き続けること」という言葉で置き換えてる。

   

なぜ、大変な苦労をしてまで、生きるのか? that's the best game of them all. すべての中で最高のゲームだから。

   

詩の英語は、難しいけど、特殊で面白い。とはいえ、今日の所はそろそろこの辺で。。☆彡

    

      (計 2194字)

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『レッドアイズ』第7話のバルザック引用「孤独はすばらしいが・・人が必要だ」は、半ば間違い(フランス語出典付)

ドラマ『レッドアイズ』で前回(第6話)、ソルジェニーツィンの引用なんてお堅いものが登場。ひょっとして、また・・と思って、第7話もTVer動画で流し見したら、今度はバルザックが登場。同じく終盤、事件が一段落ついた直後だった。

  

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 孤独はすばらしいが、孤独はすばらしいと言ってくれる人が必要だ

  オノレ・ド・バルザック

   

  

     ☆     ☆     ☆ 

先に、結論から簡単にまとめとこう。これは半ば間違いだ。大間違いとまでは言わないけど、少しの間違いとも言いにくい。

   

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まず、人物を誤解してる。オノレ・ド・バルザックは上の写真で、ドラマの間違い。正しくは、同じフランスのバルザックではあるけど、全く別人のジャン=ルイ・ゲ(ズ)・ドゥ・バルザックの言葉。下図の写真が本物で、これは単純な凡ミス。

   

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ネットで少し調べるだけで分かることだから、脚本家・福田哲平や演出家・長沼誠だけの責任ではない。あと、内容も多少ズレてる。単純化して強調してるのだ。

   

要するに、原文やフランス語・英語情報を調べずに、日本語の名言サイトとか名言本みたいなものを軽く調べただけで書いてると思われる。よくある事だが、地上波テレビのゴールデンタイムのドラマだから、もう少し正確さが欲しい。

  

以前から何度も書いてるが、名言サイトや格言集の類は、信頼性が低いものが非常に多い。特に、出典を明記してないもの(大半)は、個人サイトや商業サイトはもちろん、ビジネス本でも怪しいと思った方がいいと思う。

   

   

     ☆     ☆     ☆

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上が、フランス語版ウィキクォート(ウィキの引用句版)からの引用Jean-Louis Guez de Balzacの読み方は、ジャン・ルイ・ゲ・ドゥ・バルザックか、ゲズ・ドゥ・バルザックか、2通りあった。

   

ゲとゲズのどちらが正しい発音なのか、まだ不明。フランス語の普通の発音なら、ゲ、だろうけど、17世紀の人名だとハッキリしない。

         

いずれにせよ、17世紀の作家であって、特に日本では無名に近い。それに対して、19世紀前半の有名な作家が、ドラマが間違って書いてたオノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)で、だからこそ誤解が生じた。

   

フランス語の原文はわりと簡単で、私が少しずつ区切って日本語に直訳してみよう。ウィキではなく、下図の原書の表記に従う。途中の切り方がわずかに違って、原書の方が訳しやすいのだ。

  

   

     ☆     ☆     ☆

La solitude est certainement une belle chose;

孤独は、確かに美しいものだ。

  

Mais il y a plaisir d'avoir quelqu'un qui sache répondre,

しかし、応答してくれる誰かを持つ喜びというものもある。

   

à qui on puisse dire de temps en temps, que c'est une belle chose.

孤独は美しいものだと、時々話しかけることができるような相手を。

   

  

    ☆     ☆     ☆

簡単に最大のポイントだけ指摘すると、別に友達が「必要」とまでは書いてない。友達がいるのは喜び、楽しみだと書き添えてるだけだ。深読みとか解釈=改釈せず、普通に読むなら。

  

フランス語の出典は、1657年の『Entretiens』(談話)。ちなみに1658年という仏語ウィキクォートの記述はおそらく間違い。ネット上で原書が公開されてた。多分、1年後の版だけ見た人が、58年と書いてしまったのだろう。複数の版で年が違うことはよくある。

  

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英語版ウィキクォートだと、出典が1665年の『Dissertations chrétiennes et morales』とされてる。ハッキリとは分からないが、おそらく少し後の全集とか著作集みたいなものの中で、こちらのタイトルが副題か見出しに使われてたのだろうと推測する。

   

     

     ☆     ☆     ☆

なお、どうして私が間違いに気付いたかというと、普通に調べても信頼できる情報が全く見当たらなかったし、この種の間違いが非常に多いことを経験的に知ってたから。

  

あと、英語の「quotepark」(引用句の広場)というサイトの説明の最後に、「Misattributed」(間違って関連付けられている)と添えられてたから。

   

英語圏では、「Solitude is fine, but you need someone to tell you that solitude is fine」とか言われてるらしい。人名は完全に間違って、内容もかなり間違って

   

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最後はフランス語版ウィキクォートとグーグル・ブックスの原書で調べて、ほぼ完了。スタッフのどなたか、今のところ視聴者は(ほとんど)気付いてないようだけど、早めの訂正をお勧めしとこう。少なくとも、ブルーレイやDVDの発売前に。

    

ちなみに先週のソルジェニーツィンの言葉は、内容がちょっと単純化されてるだけで、ほぼ本物だった。ロシア語で確認済み。下のリンク参照。ではまた。。☆彡

  

  

  

cf. ソルジェニーツィン「善と悪の境界線はすべての人の心の中にある」、『収容所群島』での意味とロシア語原文(『レッドアイズ』第6話

    

        (計 2081字)

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ソルジェニーツィン「善と悪の境界線はすべての人の心の中にある」、『収容所群島』での意味とロシア語原文(『レッドアイズ』第6話)

亀梨和也の連続ドラマはかなり見て来たけど、今季の日テレ『レッドアイズ』を見たのはまだ2回目。疲れ切った頭でボーッと第6話(TVer動画)を見てると、お目当ての暗号はハッキリ出てないけど、スリルとアクションはフツーに楽しめる。

   

小牧(松村北斗)が大学時代の後輩・悠香(森田望智)に手錠をかけて、一件落着。緊張感が緩んだ瞬間、意外な言葉が暗い画面に重く映し出された。古い人名と共に。

  

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 善と悪の境界線はすべての人の心の中にある

   アレクサンドル・ソルジェニーツィン

   

  

     ☆     ☆     ☆

ソルジェニーツィンというと、旧・ソ連の強権的な政治・社会を批判して追放された、ノーベル文学賞受賞者(1970年)。古くて特殊で重すぎるからか、最近の翻訳書の動向を調べても、非常に地味な扱いみたいだ。名前を聞くのも珍しいほど。

     

この種の名言・格言の引用には、偽物や怪しいものがかなり紛れ込んでるから、素直なマニアック・ブロガーは直ちに検索でチェック♪ 本物だった。脚本家・まなべゆきこに謝罪。しかも、すぐ原文までたどり着けたということは、世界的にも有名らしい。

  

ドラマ放映直後のツイッターの様子を検索すると、この言葉はかなり引用されてたけど、ソルジェニーツィンという名前まで引用したツイートは少ないし、『収容所群島』という書名に触れたツイートはわずか1つくらいしか見当たらない。

  

私も知らなかったけど、せっかくロシア語原文までチェッツクしたことだし、基本的なことを簡単にまとめとこう。

  

  

     ☆     ☆     ☆

まず、例のシーンの映像について。演出家・茂山佳則に意図があったかどうかはともかく、あれは「収容所」の表現になってた。

  

つまり、あの言葉が映し出された数秒間の間に、画面の左右の金網が閉じて行ったのだ。下の画像は、最初の瞬間の映し方。金網がまだ両側に大きく開いてる。これが中央に向かって閉じた後の画像が、最初に引用したもの。

    

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カメラの望遠レンズをズームアウトして、このシーンの終わりを印象付けると共に、登場人物3人に目線を絞り込む。すると、ちょうど「すべての人」という文字のあたりに、3人の姿が重なることになる。

   

   

     ☆     ☆     ☆

で、あの言葉。先に、意味について触れとこう。多数のツイートを見てると、「善悪というものは曖昧であって、それぞれの人の心で決まるものにすぎない」・・といった感じの意味にとらえてるものがいくつかあった。

    

言葉やドラマの解釈は基本的に、読み手や受け手の自由だが、もしその意味なら、引用文は「善と悪の境界線は(それぞれの)人の心の中にある」とする方が自然。

  

「善と悪の境界線はすべての人の心の中にある」というドラマの書き方は、もっと普通に、誰にでも良い部分と悪い部分があるという意味が中心だ。直接的には、小牧と悠香のことを表してる。

  

小牧はもともと、犯罪で逮捕された悪いハッカーだったが、今では犯罪を取り締まる側の善いハッカーになってる。逆に、以前は小牧にとって善い後輩だった悠香は、今では悪い犯罪者となってしまってた。

   

その意味で、善悪の基準は明白なのだ。もちろん、その基準が正しいのかどうか、今の悠香は本当に悪者なのか、深く考えることもできるが、今回のドラマはそこまで触れてない。

   

   

     ☆     ☆     ☆

そして、言葉の出典となってるソルジェニーツィンの代表作でも同様。普通にその箇所を読むと、直接的には、誰にでも何にでも善い部分と悪い部分がある、というような意味なのだ。

  

それだと当たり前じゃないか? そう思うのは自然なことだけど、時代や社会の背景を考えると、当たり前ではない。下は新潮社のかつての単行本セット(Amazonより)。帯を読むだけでも、強制(=矯正)収容所やレーニン・スターリンの専制は悪とされてるのが読み取れる。

    

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引用されてた箇所は、この長編小説というか長編作品の最初の辺り。第1部・第4章。

  

英語版の訳書『The Gulag Archipelago』がインターネット・アーカイブで公開されてるので、引用してみよう。日本語訳だと、いつものように、無料のものは見当たらない。

  

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     ☆     ☆     ☆

If only it were all so simple! If only there were evil people somewhere insidiously committing evil deeds, and it were necessary only to separate them from the rest of us and destroy them.

     

もしも、それが全くシンプルな話であったなら! もし、どこかに悪い人々がいて、こっそり悪い事をしてるのであれば。そして、必要なのは、彼らを残りの人々から区別して破壊することだけであったなら。 

 

But the line dividing good and evil cuts through the heart of every human being. And who is willing to destroy a piece of his own heart?

  

ところが(実際には)、善と悪を分ける境界線は、すべての人の心を通り抜けているのだ。そして、自分の心の一部分を破壊しようとする人など、いるだろうか?

   

   

     ☆     ☆     ☆

原文の直訳だと、「心の中にある」ではなく、「心を通り抜けている、通過している(cuts through)」。

    

ロシア語原文と英語対訳については、下のGoogle翻訳を参照。ロシア語は、ロシア語版ウィキクォートで発見した。横切る(cross)という意味の言葉を使ってる。

  

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もし「善悪が心の中にある」と言いたいだけなら、そもそも「善と悪の境界線」と言う必要はないのだ。わざわざ「境界線は・・・通り抜けている」と書いてるのは、その後の箇所で、その境界線が揺れ動くと語ってるから。

  

誰でも思い当たる事だろう。ある時、ある状況では、善い自分が優勢になってる。ところが、別の時、別の状況では、悪い自分が優勢になってる。。

   

  

     ☆     ☆     ☆

それにしても、やっぱり普通の言葉、考えにすぎないのでは? 人によっては、そう思うかも知れない。

    

そもそもソルジェニーツィンは、ソ連の悪の部分を告発した最初のあたりの代表者。ということは、勇気ある告発者の彼自身は、善と思われがちだ。

  

ところが彼は、自分の中の悪にも自覚的で、「悪い人達」と自分をハッキリ分けることはしない。だから、例の箇所の直前には、政治的な悪の暴露だけ期待する人はこの本をすぐ閉じて欲しいと書いてた。ということは、周囲の期待とは多少違うことを敢えて語ってるのだ。

     

収容所というと、ソ連も有名だけど、圧倒的に有名なのはナチスドイツのアウシュビッツ。それは絶対的な悪とされてるのであって、それらにも少しは良い部分があった、などというような事を政治家がうっかり語ると、大変なことになる。

  

実際、自民党の麻生氏は2回、謝罪に追い込まれた(2013年、17年)。出版の世界でも、昔から代表的なタブーなのだ。

   

というわけで、半世紀前にソルジェニーツィンがソ連の悪を告発しながら、「善と悪の境界線はすべての人の心の中を通り抜けている」と語るのは、あくまで内省的で勇気ある文学者だったから。政治的批判よりも、文学的誠実さを選んでるのだ。

  

  

     ☆     ☆     ☆ 

なお、「収容所」に似たものとしては、ドラマの地下室や捜査本部も挙げられるし、われわれ視聴者が今おかれてる状況も挙げられる。本来の日常生活でも、コロナ自粛でも。

   

その意味では、ソルジェニーツィンを今読み直す価値はあるし、その言葉を目立たせたドラマにも価値があるだろう。それでは今日はこの辺で。。☆彡

  

  

   

cf.『レッドアイズ』第2話の暗号解読方法と英文~アルファベットを13文字ズラした換字式暗号「rot13」

 『レッドアイズ』7話バルザック引用「孤独はすばらしいが・・人が必要だ」は、半ば間違い(フランス語出典付)

       

        (計 3164字)

   (追記52字 ; 合計3216字)

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初めて見た恋愛リアリティー番組(企画)、日テレ『幸せ!ボンビーLOVE』

「リアリティーショー」とか呼ばれる虚構と現実が混ざり合ったテレビ番組は、今までほとんど見たことなかった。『あいのり』は何回かチラッと見ただけだし、『テラスハウス』も例の事件の直後に動画でちょっとチェックしただけ。

  

まあでも、そうした呼び名がつく前から似た企画はいくらでもあったはずで、知らない間に色々見てることになる。テレビに「素人」が出演しても、単なる素人とは思いにくいのだ。そもそもドキュメンタリーと呼ばれる番組でも、かなりの演出や編集が入ってる。

   

というわけで、若者向けのリアリティー企画と知ってたら、この番組は見なかったと思う。ところが出張の夜、テレビが調子悪くてあちこちチャンネルを変えてたら、最初にキレイに映ったのがこの番組♪ そうゆう理由か!

   

すぐ、「これがウワサのリアリティーか」と気付いたけど、試しに最後まで鑑賞。フツーに面白かった♪ 番組の中だけなら(笑)。途中から見て中途半端だったから、後でTVer動画もチェック。先週と今週の2回連続らしいけど、先週は見てない。今、公式サイトでまとめ記事を発見。

  

   

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さて、番組全体のタイトルは『幸せ!ボンビーガール』。1度も見てないけど、名前だけは聞いたことあった。人気断トツの水卜アナが進行役ってことは、日テレも気合いが入ってると。

   

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“恋愛ボンビー”な男女6人の恋が完結。貧乏、コンプレックス、トラウマで・・・恋愛ボンビー(貧乏・・蛇足♪)。

   

最初は特殊なSNSと番組貸出のスマホでチャットとかしてたのかな。番組の最後にQRコードが登場したけど、LINEとは言わなかった気がする。それぞれが1人だけ、デートに誘えるルールらしい(後で知った)。ギャラの契約は不明(笑)。コラコラ!

    

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6人の顔を一目見ただけで、まったく恋愛ビンボーって感じがしない♪ 恋愛リッチだろ! 母を助けるために本当に貧乏なOL(とされる)、真世(26歳)はちょっと美人で華がある。おまけにYouTuber。誘いを断るのが大変そうなタイプ。

   

すし職人見習いのあこ(26歳)は可愛いメガネっ子。女芸人みたいなボケを連発してるのに、恋愛トラウマとか言われてもね・・♪ りさ(19歳)は貧しい母子家庭で育ったって話だけど、キラキラ輝くアイドル系少女。広瀬すずに似てるし、TikTokその他でも人気がありそう。絶対、勝ち組。断言♪

  

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男3人も、デート相手にはあんまし困らないんじゃないかな? たいし(24歳)は、収入はともかくプロサーファーだし、地味だけど真面目そうなイケメン。

  

真世とのデート場所に選んだ、island Yoga 湘南サザンビーチ店も、いいね♪ ヨガ店の宣伝に(笑)。コラッ! いや、私は瀬戸内海出身だから、ホントに海は好きだし、湘南も何十回も行ってる。フルマラソンまで3回走ったほど♪

   

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ノリ(28歳)は売れない俳優とのことだけど、モテそうなイケメンだから、恋愛リッチ間違いなし♪ ・・とだけ言っとこう(笑)。いや、テラハ問題がまだ記憶に新しいだけに、念には念を入れてと。

   

一番、本当のボンビーに近く見えたのは、しょうご(25歳)かも(失礼♪)。声優の卵で、高い声にコンプレックス。キャラ的にも、ちょっとオドオド系。あれが演技なら、なかなか上手い(笑)

    

りさを誘ったデートも、お食事はビミョーに見えたし、お店に着いた時、UberEatsの配達員と間違えられたのには爆笑。「僕 Uberじゃないんですけど・・・」。

 

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これは放送作家の台本でもOK。マジでウケた。まあ、本物のウーバー配達員が番組を見てたら、ビミョーかも♪

   

   

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最後は伝説のお見合いバラエティー、とんねるず『ねるとん紅鯨団」みたいな告白タイム・・・なんでしょ? 平成ブロガーはよく知らないけど♪

     

ただし、コロナの影響もあるのかガラス越しのご対面。3人vs3人で時間の余裕があったから、いきなりの「ごめんなさい!!」もゼロ♪ 前置き、長い長い。ふられた側も、「あばよ!」とか捨て台詞はいて走り去ったりしない(笑)。

  

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男子からの告白3つ、女子の側からの告白1つっていう割合も、現代的なバランスか。全部、男子からだと、また制作スタッフがイジメられそう。

     

結局、たいしが真世と成功。しょうごがリサに撃沈。りさがノリに撃沈。ノリがあこと成功。番組や企画の名前が「幸せ」となってるから、6人中の4人は幸せになると。フラれた形のりさも、よみうりランドのイルミネーションはキラキラ☆ 最高の宣伝・・じゃなくて思い出になったと♪

     

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ふられ役のリサは、リアルだとモテモテに決まってるから、やっぱり、しょうごだけ気の毒に見える♪ 料理の配達でも頼もうかな(笑)。しばらくイジってもらえるから、美味しいはず。

  

  

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で、この記事を書く前にネットで女の子達を検索してみたら、出てくる出てくる、大量の情報 (^^ゞ

  

セミプロというか、セミ有名人というか。twitter、youtube、instagram、tiktok、芸能メディア、雑誌・・etc。「番組のスマホを返したら もう連絡は取れない・・・」って、いくらでも連絡できるわ!

    

もちろん、その種の個人的な芸能情報もすぐネットで拡散してるから、今さら1週間遅れでウチが書いても無意味だろう。とか言いつつ、twitterだけリンク♪ 真世(mayo)あこ(ako 63)、りさぴょん(荒牧理沙)

  

番組を見ながら、そもそも住んでる場所が離れてるんじゃないの?と思ってたけど、真世は兵庫と東京を行き来してるらしい。

  

番組公式サイトを見ると、恋愛企画の出演者も新たに募集してるから、また時々やるわけネ。まあ、一時期は恋愛ドラマも消えてたけど、最近は復活。

   

疑似恋愛とはいえ、これが男女の健全な姿だね・・とか政治家がうっかり話すと大炎上する時代なのであった♪ 官僚も大変だね。道理で就職人気が下がるはず。

  

  

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とにかく、番組そのものは楽しめたから、いずれまた見ちゃうかも。女子が可愛かったら♪ ルッキズム(外見主義)か! いや、番組冒頭のパフェ店経営エピソードだって、要するに美味しそうな外見が勝負でしょ。インスタ映えの写真も含めて。あの若きオーナーも結構、可愛かった。

   

それにしても、恋愛カテゴリーの記事は超久々かも。何でだろ?(笑)・・とか思いつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

        (計 2592字)

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