天才マリリンの正答が批判されたモンティ・ホール問題(確率論)、元のTV番組にはない作り話~『笑わない数学』第11回

今回のメインの内容は、数学好きにとってはまた出たか・・といった感もある、確率論の超有名問題。番組では名前を出してなかったが、「モンティ・ホール問題」(Monty Hall Problem)だ。

  

3つの選択肢から、お目当ての1つを当てる時、自分がまず何か1つ選択した後、ハズレを1つ教えてもらえるという話。その情報を受けて、自分の選択を変えるべきかどうか。

   

論理的な確率論と人間心理がぶつかる問題で、誰でもすぐに設定は分かるし、不思議で面白い。解説は高校1年の数学の教科書レベルで、実験による確認も簡単に可能。

   

   

      ☆     ☆     ☆ 

ネット上に数学的な説明や感想(納得いかないとか♪)も溢れてるし、このブログでも過去2回、関連記事を書いてる。今さら、同じ説明を繰り返すのは避けよう。

   

 全国学力調査、伝説の確率の問題が登場♪(モンティ・ホール問題)

 ベルトランの箱のパラドクス~フランス語原文と日本語訳、確率の計算

   

歴史的な流れをまとめると、もともと「ベルトランの箱」という話があって、それを面白く改良したのが「3囚人問題」。1人の囚人だけ助けてもらえるが、自分はその幸運な1人かどうかを当てようとする。

      

そして、もっと身近なくじ引きタイプのバリエーションにしたのが、今回のNHKでも大きく扱われた「モンティ・ホール問題」だ。

   

既に記事を2本書いてる話だから、スルーしようかと思ったが、調べてる内に意外な事実を発見したから気が変わった。日本ではほとんど紹介されてないようだから、私が書いてみよう。この問題はもともと、作り話、単なる若手の統計学者の創作だったということだ。

   

   

     ☆     ☆     ☆

『笑わない数学』に即して、問題と騒動の流れをカンタンにまとめとこう。

  

3つのドアA、B、Cの内、どれか1つの向こう側に当たりの商品(車)が隠されてるゲームを考える。あなたがまず、ドアAを選んだとしよう。すると司会者が、Cはハズレだと教えた上で、選択をドアBに変更してもいいですよと誘う。

   

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残りのドアはAとBの2つで、当たる確率はどちらも2分の1だから、選ぶドアを変えても変えなくても同じ(?)。そう考えるのは「自然」な発想の1つだし、「理屈が合ってるような感」もある。

    

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      ☆     ☆     ☆

この問題が約30年前(1990年)、IQ228とされる天才女性タレント、マリリン・ヴォス・サヴァント(賢いマリリンという意味の本名)の雑誌コラム、「マリリンに聞け」(Ask Marilyn)に投稿された。写真を見ると、美人でもあるようだ。雑誌名を間違えて書いてる日本の学術論文も見かけたが、正しくは『Parade』(パレード)で、現存する人気週刊誌。

         

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マリリンは質問に対して、「変更する方が有利で、当たる確率は2倍」と返答。これが正解。

   

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ところが、それは間違いだ、おかしい!といった投書が殺到してしまう。批判者の中には、学者も含まれてた。

     

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      ☆     ☆     ☆

NHKでは、3つの箱を使って100回ずつ2通りに実験。選択する箱を変える「マリリン派」は、70回成功。箱を変えない「反マリリン派」は33回の成功。ほぼマリリンの意見の通り、約2倍の差になった。

   

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実験的にもマリリンは正しそうだし、理論上も正しい。説明は色々とあるが、NHKが示したのは次の通り。

  

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あなたがAを選んだとする。もし、当たりがAなら、変えない方がよい。当たりがBなら、変えた方が良い。当たりがCでも、変えた方がよい。

  

よって、変えずに商品をもらえる確率は3分の1。変えて商品をもらえる確率は3分の2。「確率は2倍なのです」。

  

  

      ☆     ☆     ☆

この説明は、数学的、論理的にかなり問題がある。数学監修の小山信也と楠岡成雄は、これで正しい証明だと思ったのだろうか? まさか炎上狙いとも思えないが、編集の過程でズレが生じて、完成後の最終チェックはしなかったのかも知れない。

    

そもそも、Cがハズレだと分かったという直前の条件を使ってない。だから上図で、Cが当たりの場合まで書いてしまってる。つまり、いつの間にか問題を変えてしまってるのだ。

      

また、Cの話と関連することだが、Cがハズレと分かった時点で、Aが当たりの確率とBが当たりの確率がどうなってるのか、そこも説明されてない。上の説明では、まるでそれらが同じのようにも聞こえてしまう。

   

   

      ☆     ☆     ☆

正しい説明は、ウチでも前に書いてるし、至る所に書かれてるから、今回は省略しよう。「条件付き確率」とか「原因の確率」で計算すればいい。

  

簡単に説明し直すと、ハズレ情報なしの普通の「事前確率」で計算した時、ドアCが開かれる確率は次の2通り。

   

 (Aが当たりで、Cが開かれる確率)=(1/3)×(1/2)=1/6

 (Bが当たりで、Cが開かれる確率)= (1/3)×1=1/3

       

よって、(Cが開かれた後、Bが当たりの確率)

 =(1/3)/{(1/6)+(1/3)}

 =2/3 ・・・事後確率

、  

       

ただし、理屈の最終的な根拠は、実験による統計的な実証しかない。有名な数学者エルデシュが納得したのも、コンピューターによるシミュレーションだったとか言われてる。その意味で、番組が実験してみたのは正しい姿勢。

  

といっても、視聴者にはそのデータの信頼性までは分からないが。制作スタッフを主観的に信じるしかない。だからこそ、たまに暴露されるやらせのような偽造、捏造が強く非難されるわけだ。

    

   

      ☆     ☆     ☆

さて、この問題は、モンティ・ホールという司会者によるテレビ番組『Let's Make a Deal』(取引しよう)だとされて来た。

    

番組を受けて、スティーブ・セルヴィン(Steve Selvin)という学者が学会誌『American Statistician』(米国統計学者)の1975年2月号で紹介。75年8月号で「モンティ・ホール問題」と名付けたとか。下は公開されてる部分。なぜか、司会者の名前 Monty が Monte と書かれてる。意図的に少し変えたのかも。

   

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ところが昨日、私がYouTubeで過去の番組の動画を見た所、内容がちょっと違ってる。3つのドアがあって、車が当たりでヤギがハズレとか、ハズレのドアを示すとか、似た形にはなってるが、司会者が変更を促す様子がないし、参加者が選択を変える場面も見当たらない。

   

そこで調べ直してみると、どうも番組を受けて若手学者がアレンジした創作らしい。作り話であって、本当にテレビでモンティ・ホールが、みのもんたの「ファイナル・アンサー?」みたいなプレッシャーを参加者にかけてた訳ではない。

   

ホール自身からセルヴィンへの応答が、学会誌に掲載されて、番組HPにも転載されてた。実際にショーに来てくれれば分かりますよ、と書かれてる。セルヴィンも認めてるとのこと。

    

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そもそも、最初の学会誌投稿も「レター論文」であって、正式な学術論文ではない。若手の研究者がちょっと「盛った」話を書いたのが、やがてマリリン騒動につながって、世界中に拡散したという感じか。

    

   

     ☆     ☆     ☆

間違った情報、フェイクニュースの方が拡散スピードが速いとか、ウケるという指摘は、こんな所でも正しいようだ。私も昨日まで知らなかったので、ちょっと反省した。

    

なお、一般化すると、Nコのドアの内、pコのドアを開けるという形になって、常に選択を変更した方がよいことが示される。ただし、ドア全体が多くて、開くドアが少ないと、あまり違いがなくなって来る。これは直感的にも納得できるだろう。

  

一般論の説明はもう省略。それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

  

   

cf. デカルトが「虚数(nombre imaginaire)」と名付けたという説明は誤り(or不正確)~『笑わない数学』第6回

 初期値敏感性とカオス(混沌)理論でピザ作り、「パイこね変換」具体例の計算と解説~第8回

 素数の積(11×19)を公開鍵209にしたRSA暗号、作り方と解読方法の具体例の解説~第9回

 自然数の素因数(遺伝子)に関する「abc予想」、例外が生じる簡易版と本物の違いの解説~第10回

    

      (計 3260字)

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家庭崩壊の恨みを抱く古芝=山上徹也、手作りの科学的武器で政治家の暗殺を計画~『ガリレオ 禁断の魔術』レビュー(数式解説付き)

湯川 科学を発展させた要因は色々あるが

   最大の原動力は 世界を豊かにしようとする探求心

   すなわち 希望だと僕は思っている

   「科学を制するものは 世界を制する」

   いい言葉だ

   

高校の恩師 湯川君は本当に純粋そのものといった生徒でね 

     まあ それゆえ 心配なところもありました

  

   

     ☆     ☆     ☆

9年ぶり(!)の『ガリレオ』シリーズの新作ドラマ、『禁断の魔術』。期待通りすごく面白くて、懐かしかった♪  テーマ曲や挿入曲(菅野祐悟)も効果音もいい。フジテレビとか、どうしてもっと早く作らなかったのか、不思議なほど。

    

このブログでは過去17年間、毎日いろんな事を書いて来たが、最もこだわって来た作品といえば、『ガリレオ』なのだ。第1シリーズのドラマの第1話以来、レビュー、数式解説、原作小説との比較など、50本ほどのマニアックな記事をアップしてある。この記事の末尾に、一部の記事のリンクを並べとこう。

   

   

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ところで、マニアックとは、どうゆう事か? 例えば今回だと、新しく相棒(?)に起用された新木優子が魅力的で、いいね ♡ というような感想はネット上に溢れてて、Yahoo!のアクセス・ランキングの1位にもなってた。もちろん私も、それは思う。下のPR写真は、フジテレビの公式サイトより。

    

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新木の出演を見るのは、『コードブルー』以来だと思うが、あの頃より綺麗になってるし、濃い化粧が似合う。スタイルも良くて、福山雅治と並ぶ美男美女の姿も様(さま)になってた。長い髪は、そのままでもポニーテールでも良し。

   

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あるいは、安部元首相を手作り銃で暗殺した山上徹也容疑者を思い出したというような感想も、あちこちのツイッターで呟かれてる。原作小説は7年前、2015年のものだが、その物語と今年(2022年)の大事件との類似は簡単にわかること。

   

    

      ☆     ☆     ☆

しかし、「消火器」について書いてる人は、ネット上に(ほとんど)誰もいない♪ 「ガリレオ 消火器」でツイッター検索をかけると、何もヒットしないのだ。

     

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上の画像は、ドラマのラスト近く。執行猶予になった受験生、古芝伸吾(村上虹郎)と、女子高生・由里奈(森七菜)が仲良く勉強する姿が映る。ピンク・パープルの可愛いニットでオシャレした由里奈の幸せそうな顔が微笑ましい。

  

この2人の真ん中に、ハッキリと「消火器」のプレートが映されてる♪ 「熱すぎ」て、火を消さないといけないほどだと。これは岡田道尚の脚本には書かれてないはずで、演出の三橋利行かカメラマン、美術スタッフらの遊び心だろう。

   

  

     ☆     ☆     ☆

あるいは、ガリレオ・湯川学(福山雅治)が、後で殺されるフリーライター・長岡(平原テツ)に、「レールガン」の物理学的な説明を行う研究室のシーン。

     

私は、湯川の身体がジャマで、黒板の真ん中が見えないのが気になってた。ようやく見えたと思ったら、そこに「ア・マチャ」と書いてたのだ♪ 下の写真の下側の真ん中。あっ、まちゃ! 福山の愛称は基本的に「マシャ」だが、「まちゃ」と呼ばれることも時々ある。

   

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これは物理学的には、「アーマチャ」(armature:電機子)であって、簡単に言うと、レールガンで弾(たま)を高速で発射する力を生み出すもの。

       

こちらは消火器とは違って、単なる偶然かも知れない。でも、ドラマの黒板には第1シリーズから、「円端具流」(エンタングル)のような完全な語呂合わせ、言葉遊びも書かれてた。私はその辺りまで細かく見て、楽しんでる♪ ウチはそんな感じのマニアック・ブログだ。

   

   

     ☆     ☆     ☆

映像のチェック以上にこだわって来たのが数式の解読で、今回もまず数式の記事だけアップしたかったが、ドラマではお馴染み、書きなぐりシーンの数式がどうしても意味不明。残念ながら、とりあえず、数式だけの記事はパスして、総合的なレビュー(批評)、感想を書くことにした。

   

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上の画像の下半分が、最も強調されてた式で、おそらく上半分にも同じ内容が書かれてる。aをo(オー)と書き間違えてるようだが、多分こう書きたかったのだろうと推測。しかし、意味は「さっぱり分からない」♪

  

 cos(tan⁻¹ v₀² √A/mg)

   

vではなくrかも知れないし、oではなくeかも知れないし、2ではなくz(ゼット)かも知れないが、いずれにせよ意味不明。レールガンやプラズマの学術論文も色々調べてみたが、似た式はまだ発見できてない。ちなみに、福山の手書き文字のvは、rに見える傾向がある。

      

  

     ☆     ☆     ☆ 

上の式について一応、「論理的」に解釈してみよう。終盤で自動車の窓ガラスにマジックで書きなぐる、お約束の爆笑シーン♪

    

古芝が犯行を狙ってるのは、地鎮祭ではなく野球場の始球式だろうという話になった時、湯川は地図を眺めて計算。殺人兵器のレールガン(ダミーではなく本物)がある場所を特定してた。といっても、一度はわざとウソをついてたが。

     

場所を特定する式で、しかもmg(おそらく、質量×重力加速度)と書かれてるのだから、野球場のマウンドの位置から兵器の場所を逆算して求める式のような気がする。

  

しかし、単なる斜方投射なら既に映画『真夏の方程式』でも出てたし、こんな式にはならない。v₀²(?)は初速度の2乗としても、ルートとか係数A(?)は意味不明。

  

ちなみに、『真夏』のロケットの方程式は下の通り。8年半前の数式レビューで解説してある。高校1年か2年の物理の標準~発展レベル。

     

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     ☆     ☆     ☆

そもそも数学的に見た時、「cos(tan⁻¹ ・・・)」という式は、妙な組み合わせだ。

    

そのまま受け取ると、三角関数cos(コサイン)と、tan(タンジェント)の逆関数との合成関数に見えるが、それは数学的に、単なる三角比(長さの比)になってしまって、小難しげな三角関数を2重に書く意味はない。

   

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上図の三角形ABCは、英語版ウィキペディアより。底辺AC、高さBC、斜辺ABの直角三角形。

  

tan⁻¹(BC/AC)=Θ

∴ cos{tan⁻¹(BC/AC)}= cosΘ = AC/AB

    

このように、cos(tan⁻¹ ・・・)という計算は、単なる三角形の辺の比になってしまう。

  

  

     ☆     ☆     ☆

過去、『ガリレオ』で物理的に無意味な式が強調されたことはないと思うが、少なくとも三角関数の合成に関しては、単なる見せかけの式のような気がする。

  

おそらく、このドラマでも、東野圭吾の原作小説でも、古芝がcos2Θ=2cos²Θ-1という加法定理(高校2年の基本、倍角公式)を教えるシーンがあるから、そのコサインを無理やり入れて難しげに見せかけたのだろうと想像。

    

ただ、科学監修の岩尾徹(東京都市大学)は本物の物理学者で、大学の著者略歴には「ドラマ『ガリレオ』では、ひらめきの式を担当」とまで書かれてる。もうちょっと調べて、何か分かれば、新たに数式の解説記事をアップしたい。

  

ちなみに、冒頭の黒体放射(Black body radiation)の「プランクの法則」(Plank's law)は正しかった。帝都大学1年生の古芝が、助手の栗林(渡辺いっけい)の間違いを指摘した「-1」も正しい♪ あの話は、レールガンのプラズマの連続スペクトルと関連するもの。

  

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あと、レールガンを解説する黒板の左側に書かれてた、電流と磁界(磁力)に関する「ビオ・サバールの法則」の積分も、正しかった。

   

無限の長さを持つ直線の電流を想定して、-∞から∞まで積分する広義積分。大学1、2年レベルだが、三角関数を用いた置換積分も含め、 理系の高校3年生ならすぐ理解できるものだ。なお、竜巻の実験の方程式はまだ調べてない。

   

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      ☆     ☆     ☆

話変わって、物語、ストーリーについて。といっても、既に公式サイトその他でネタバレ的なあらすじは拡散してるので、これは普通の話だ。ただ、まとめ方が多少、違うだけ。ここでは、事件のポイントだけに焦点を当てて、時系列に沿って見てみよう。番組や小説の中での登場の順番ではないので、念のため。誤解が少し混ざってるかも知れないので、悪しからず。

     

まず、政治家の大賀仁策(鈴木浩介)が中心になって、茨城県つくば市・・じゃなくて光原市に、スーパー・テクノポリス(先端科学技術都市)を作る計画が進む。もちろん、実在する研究学園都市や原発関連施設を意識したフィクション。

    

その取材を通じて、古芝伸吾の姉・秋穂(朝倉あき)は大賀と男女の関係になる。やがて秋穂は妊娠。運悪く体調が悪化したようで、大賀と密会するはずのホテルで倒れる。大賀はそれを見て、かなり年上の秘書・鵜飼(中村雅俊)に電話。鵜飼の指示に従って、救急車を呼ばず、密かにその場を立ち去る。秋穂はそのまま死亡。病死扱いになった。

   

ところが、伸吾が気づいてしまう。経済的な支援が無くなったこともあって、伸吾は大学を退学。地元の中小企業・クラサカに就職。工場や機械を使用して、大賀を殺すレールガンの製作に打ち込む。それは、高校の先輩である湯川に教えてもらって、部員集めのために公開実験したものだった。

    

そのうち、そこの社長の娘・由里奈と親しくなり、製作現場を見られてしまったこともあって、彼女に殺害計画を話す。彼女はそれを止めたいから、大賀の周辺をさぐる計画反対派のジャーナリスト・長岡に話して、動画ファイルも渡す。

  

長岡はそれを、光原市の反対運動の仲間に話したが、相手はお店の経営難で金に困って、鵜飼に買収されてた。いきなり後ろから長岡を襲って殺害。まもなく、長岡のペン型ボイスレコーダーによる録音を通じて、犯行が発覚。逮捕。

   

しかし、伸吾は会社を辞めて身を隠し、大賀を狙い続ける。由里奈に電話で、地鎮祭での犯行計画を話すが、これは警察をかく乱するためのダミー計画。実際は、地鎮祭の直後、野球場の始球式での狙撃を狙ってた。

  

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最後は、湯川が先輩として、命がけの説得。殺したいのなら、今ここで、自分が手伝おう。でも、天国のお父さんやお姉さんが喜ぶと思うか? 死んだお父さんはノートに、「科学は人を救うためのものである」と書き残してた。お姉さんは、『科学を制する者は世界を制する』という言葉はみんなを幸せにするための呪文だ、と新聞記事に書いてた。

     

伸吾は涙を流して、殺人計画を断念。器物損壊罪で起訴されたが、執行猶予。再び、帝都大学を目指して受験勉強開始。今度は医学部ではなく、理工学部を目指してるようだ。科学を制して、みんなを幸せにするために。。

     

   

      ☆     ☆     ☆

ドラマを見てる途中からもう、伸吾と山上徹也容疑者がかぶって見えた。山上に関する大量の報道が正しいと仮定するなら、いずれも家族に関する強いうらみの増大と暴走。

       

父の死の後、伸吾は、母親代わりの最愛の姉を見殺しにされて、山上は母親を奪い取られて、どちらも人生が大きく暗転。うらみを政治家1人に差し向けてしまう。別に、政治家1人の責任というわけでもないのに。

   

伸吾の場合でも、姉が本気で大賀を愛してたことは理解してたし、基本的に病死だということも理解してたはず。それでも、憎悪と攻撃は1人に向けられてしまう。伸吾も山上も、それしかないと思いこむ。自分でも多少の疑問を抱きつつ。

      

それなりの頭脳と実行力は持ってるから、思索=試作を重ねて、ひそかに武器を製造。多くの人々が見てる中で、暗殺を実行しようとする。伸吾は運良く、湯川に止めてもらった。しかし、山上は、誰にも止めてもらえなかった。警備担当にも。。

   

   

      ☆     ☆     ☆

伸吾と山上に共通するパターンは、精神分析学的には、「エディプス・コンプレックス」とも考えられる。母親的な存在への強い愛着と、父親的な存在への強い憎悪。古代ギリシャのエディプス神話以来の、普遍的な構造だ。

   

伸吾の場合、大賀への憎しみは、父親への憎しみの歪曲でもある。素晴らしい科学者だと尊敬した父は、対人地雷を作ってた。父にも、科学にも、ひどい裏切りを受けたと思ってしまう。その意味では、伸吾にとって、科学も「父」なのだ。

    

科学という父は、母親代わりの姉も奪ってしまった。科学振興の公共事業や、それを推進する政治家の形で。母を取り戻すことはできないけど、父を殺すことなら可能。だから、大賀を殺す。それは、科学という「禁断の魔術」を殺すことでもある。殺人兵器の製造に利用するのだから。

    

山上も、もはや母を取り戻すことはできそうにないし、旧・統一教会の幹部という「父」を殺すことも難しいけど、それと少し関係があるらしい安部元首相を殺すことなら可能かも知れない。しかも、元首相は長く日本のトップにいたから、まさに父親的存在でもある。無意識の内に、恨みや憎悪は、目の前にいる父親である元首相に向けられる。転移していく。。

   

このような状況だと、1人で立ち直るのは困難だから、誰かの支え、サポートが大切になる。カウンセラー、セラピスト、精神科医、心療内科医、先輩、友人、恋人、etc。

  

伸吾の場合、別の父である湯川が助けてくれた。山上の場合、もっと早く、強く、フリー・ジャーナリストに相談してれば・・と思ってしまう。しかし、現実の世界に「たら」「れば」はない。ゲームと違って、やり直しやリセットもない。

 

    

     ☆     ☆     ☆

私はこのドラマ、すごく楽しめたし、キムタク主演の春ドラマ『未来への10カウント』での村上虹郎の役(家庭の影響で屈折した乱暴者)も思い出して興味深かった。でも、見終わった直後、疑問や不満も色々と感じたのだ。

    

例えば、古芝伸吾の最後の扱い。殺人計画は未遂に終わったとはいえ、執行猶予ですぐに大学受験、女子高生と仲良く勉強という展開は、あまりに甘口すぎる。テレビのフィクションとはいえ、現実の山上と比較しなくても、これでいいの?、と思ってしまった。

     

あと、湯川の扱い。殺人未遂とか共謀のようなことをしたのに、何のお咎(とが)めもなく、平然とニューヨークへ。主人公の天才科学者とはいえ、いくら何でも甘すぎる。私はオンエア中、なぜ草薙(北村一輝)はすぐに湯川を撃たないのか、と苛立ったほど。湯川の腕を狙ってもいいし、撃ち殺してもおそらく不起訴だろう。刑事として正しい行動、非常手段として。

   

実は、その辺り、原作小説ではもっと納得しやすい話になってるのだ。伸吾はドラマほど甘い流れにはなってないし、湯川にも当然、取り調べがある。そして、草薙も湯川に対して、疑問を抱いたまま終わってるのだ。もし伸吾が望んでたら、湯川は本当にレールガンを大賀に向けて発射してたのだろうか?

   

私は、発射してると思う。それは「純粋な」湯川のやりそうなこと。伸吾にレールガンを教えて、科学の正しい扱いを教えなかった自分への罰。教え子の代わりに、自分が殺人をおかして、自分自身の人生も終わらせる。草薙の言葉を使えば、責任感。純粋すぎて、いつの間にか人間としてやってはいけない事までやってしまう。高校の恩師が心配してた通りの展開だ。

    

私の判断や価値観だと、本当に殺人犯となった男は別として、罪の重さの順番は、伸吾、湯川、大賀。つまり、倒れた恋人・秋穂を放置しただけの大賀の罪が最も軽い。少なくとも、救急車を呼んでも助からなかったとかいう、鵜飼の説明を信じるなら。

  

ところがドラマでは、まるで大賀が最悪のような結末になってた。この点も、小説はまったく違うのだ。テレビと小説の違いとも言えるが、なぜテレビではこんな扱いになってしまうのか。そこには、全国1000万人レベルの視聴者の問題もあるだろう。その点こそ、マスメディアがあまり厳しく追及できない所なのだ。マスメディアのお客様は、一般大衆だから。。

    

   

      ☆     ☆     ☆

また長くなったから、そろそろ最後の話にしよう。「科学を制するものは世界を制する」。この言葉に、良い意味と悪い意味が重なってるのは、ドラマの途中からすぐ分かってたことだ。そもそも、「制する」という言葉は強すぎて、攻撃的な負のニュアンスがかなり含まれてる。

    

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それよりも興味深かったのは、その言葉が「皆を幸せにする呪文」だと新聞に書いた、秋穂の考え。これは、「科学を制するものは世界を制する」と唱えれば、みんなが幸せになる、という意味ではない。

    

むしろ逆で、「みんなが幸せになる」ように、その呪文を唱えるべきだ、という意味だ。同じ言葉でも、そこに込める思いに応じて、良いものにも悪いものにもなる。それは、向き合い方によって善にも悪にもなる、科学と同様なのだ。

  

こう考えると、なぜドラマであれほどインスタント・コーヒーが強調されてたのか、分かるだろう。インスタント・コーヒーは、呪文や科学と違って、扱い方が簡単なのだ。誰がいれても、どんな器でも、それなりに美味しい。だから、湯川も草薙もくつろげるのだ。

   

   

      ☆     ☆     ☆

なお、原作者の東野圭吾が、映画『沈黙のパレード』に関して、「ガリレオはこれでゴールインなのでしょうか?」という意味深なメッセージを出したらしい。制作サイドの裏事情をふまえたものだろうが、「また映像作品を作ってください」という意味も当然、含むはず。 

   

次は、9年後ではなく、5年以内の新作を期待しよう♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

  

  

  

cf. 真解=深海の光を目指す水ロケット~『ガリレオ 真夏の方程式』(レビュー)

 ガリレオ『真夏の方程式』の数式、水ロケットの飛距離・初速度・発射角

   

    ・・・・・・・・・・

 宗教、科学、自然と人間~『ガリレオ2』第1話・幻惑す

 スイングバイによる軌道修正~『ガリレオ2』最終回・聖女の救済(後編)

 男子の中で泣く女~『ガリレオXX・内海薫』愚弄(もてあそ)ぶ   

   

    ・・・・・・・・・・   

 『ガリレオ2』第1話の数式、誘電体のマイクロ波加熱における電力半減深度

 『ガリレオ2』最終回の数式、浄水器と管内の水の乱流&層流  

  

  ・・・・・・・・・・

  解けない問題、χ(カイ)=愛 ~『ガリレオ 容疑者Xの献身』 (数式込み)

   

  ・・・・・・・・・・・・・

 天才・湯川が示した物理学の解読と検証~『ガリレオ』第1話

 サンタを信じた科学者へのプレゼント~『ガリレオ』最終回

  『ガリレオ』第1話、レーザー光線の計算式

  『ガリレオ』最終回、核爆弾処理シーンの数学的解説

  

   ・・・・・・・・・・

 『ガリレオ』第1話、ドラマと原作の比較

  『ガリレオ』第1話の脚本チェック☆

   

      (計 7340字)

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自然数の素因数(遺伝子)に関する「abc予想」、例外が生じる簡易版と本物の違いの解説~NHK『笑わない数学』第10回

望月新一氏の宇宙際タイヒミューラー理論による証明まで出さなくても、今回のテーマのabc予想は、一般の人にとっては十分難しい。人力で確認するのは面倒だし、いろんな内容が含まれてる。しかも内容の一部は、大学1、2年のレベルだからだ。

   

素数、素因数分解は高校で出るし、この番組でも既に出てる。rad(ラディカル)という関数も説明と具体例があればすぐ分かる。ただ、小さい正の数を表すε(イプシロン)とか、「任意の」~に対して・・・が「存在する」といった論理(述語論理)も、普通は大学で習うものだし、(理系の)大学生でも苦手とする人が少なくない。

   

  

     ☆     ☆     ☆

昔の数学記事でも書いたけど、ここでもまず論理(ロジック)と記号の簡単な練習から入ってみよう。

  

  x,y,x<y (任意のxに対して、あるyが存在して、x<y )

   

「任意の」という言葉は、「あらゆる」とか「すべての」という意味。x,yが実数なら、上の主張(命題)は正しい。いくらxが大きくても、それより大きいyがあるからだ。例えば、x=1000なら、y=2000とすれば、x<yが成り立つ。

   

上で、yはxの値の大きさに応じて決めることになる。例えば、x=30000なら、y=40000と決めるとか。だから、yはxの関数として、f(x)と書くことができる。すると、上の主張は次のように書き直せる。

  

  ∀x,∃f(x),x<f(x) (任意のxに対して、あるf(x)が存在し、x<f(x) )

   

これを難しくした主張が、今回の番組で示されたabc予想の形なのだ。ちなみに、abc予想にはいくつかの書き方、表現の違いがある。このブログでは、10年前にかなり詳しいabc予想の記事を書いてるので、参考までに紹介しとこう。

    

 数学の「ABC予想」、簡単な解説(中学~高校レベル)

   

   

     ☆     ☆     ☆

では、番組の冒頭に出た、abc予想(abc conjecture:abc推測)の主張を見てみよう。

      

220916a

  

尾形の読み上げたセリフは次のようになってた。

  

 「a+b=cの時、任意のイプシロンに対して、ケー・イプシロンが存在して、c小なりケー・イプシロン・ラディカルabcの1+イプシロン乗が成り立つはずだ」

  

正確には、任意の「正の」イプシロンだけど、番組では「正の」という条件を省略してた。要するにイプシロンとは、正の小さな数だから、0.1とかをイメージすればいい。整数でも別に構わないけど、普通は小さな小数を考える。

  

さらに正確に言うなら、本当は先頭の「a+b=c」は消して、2行目の左端あたりに、「a+b=cをみたす任意のa、b、cに対して、c<・・・」とすべき。そう書かないと、実は上の主張は当たり前のことになってしまう(Kをいくらでも適当に大きくできるから)。まあ、テレビのバラエティ番組でその辺りを簡単にするのは仕方ない。

  

上の画像の右下、小さな説明も実は重要。「※ a,b,cは互いに素な自然数」。「互いに素」とは、公約数が1しかないということ。番組の独自の言い回しなら、同じ遺伝子を持たないということ。

     

   

     ☆     ☆     ☆

番組で後に出て来た「簡易版」のabc予想でもやってたように、まず、分かりにくいK(ε)を消してみよう。すると、こうなる。

    

220916b

   

この主張は「ほぼ」正しいけど、少し例外が出てしまう。つまり、下側の不等式が「c≧」となってしまうことがあるのだ。

   

ただし、例外は限られた個数(有限個)しかないから、右側のradに何か大きめの数を掛ければ、「c<」とすることが出来る。そのための大きめの数は、εに応じて決まるから、K(ε)と書く。だから結局、元の形になるのだ。

  

220916c

   

   

     ☆     ☆     ☆

では、番組に即して、話を簡単化しよう。小さい正の数εは0として、K(ε)=1とする(つまりKを消す)。すると、まずこうなる。

   

220916d

    

ところで、rad(ラディカル:根基)とは何なのか? 番組では「遺伝子」という言葉と映像で感覚的に説明するだけだったので、むしろ分かりにくいと思った視聴者は少なくないはず。

     

rad(整数)とは、その整数を素因数分解した時の、異なる素因数の積(掛け算)のこと。

番組で最初に出た126なら、 126=2×3×3×7

だから、rad(126)=2×3×7=42。

   

素因数分解と違って、ラディカルの計算では、3は1回しか掛けない。ということは、ラディカルは元の数「以下」であって、多くの場合には、元の数より小さくなる。

   

   

     ☆     ☆     ☆

もう1つだけ、番組に出た数で計算してみよう。84=2×2×3×7だから、

 rad(84)=2×3×7=42

  

ところで、番組では4×21=84という掛け算が登場した。

 4=2×2だから、rad(4)=2

 21=3×7だから、rad(21)=3×7=21

  

ということは、

 rad(84)=rad(4×21)=rad(4)×rad(21)

  

これは、4と21が互いに素(公約数が1しかない)から起きること。

一般に、mとnが互いに素の自然数の時、

 rad(mn)=rad(m)×rad(n)

   

   

     ☆     ☆     ☆

ところで、abc予想のaとbとcも、互いに素という条件がついてた(最初の画面の右下)。

だから、上の簡易版の式は、下側の不等式の右側をかけ算の形に書き直すことができて、次のようになる。

    

220916e

    

さらに、下の不等式の両辺をrad(c)で割り算すると、番組の中盤の簡易版の式になる。1985年に予想を立てた数学者、エステルレ博士(Oesterle)が黒板に書いた式。ちなみに、radは正の数だから、割り算しても不等号の向きは変わらない。

           

220916f

  

上の画面でも、右下の小さい文字は重要。「※ abc予想"簡易版" ε→0,K(ε)=1として単純化」。「ε→0」という書き方は間違いではないけど、矢印など使わず、「ε=0」とした方が分かりやすい。

   

ちなみに、「ε→0」という書き方は、指数関数の連続性という少し面倒な話を前提にしたもの(高校2年の数学)。rad(abc)の1+ε乗とは、{rad(abc)}の1+ε乗という意味だから、指数関数がポイントになる。1+εという指数の書き方が特殊で、誤解しやすい点なので、念のため。ここでは、聞き流して頂いても構わない。

     

   

     ☆     ☆     ☆

いよいよ、a=2ⁿ、b=3ⁿとする話に入ろう。c=a+b=2ⁿ+3ⁿ

  

すると、簡易版の式はこうなる。とりあえず、cはそのままにしておく。

  

 c/rad(c)< rad(2ⁿ×3ⁿ)

  

右辺のラディカルは、2×3=6だから、

 c/rad(c)< 6

   

ここで、左辺について考えてみる。c/rad(c)について、前に見たc=84=2×2×3×7で計算してみると、rad(84)=2×3×7=42だったから、

 84/rad(84)=84/42=2

   

要するに、c/rad(c)とは、cを素因数分解した時に重複した素因数(c=84なら、2)になる。

 

しかし、cは、a=2ⁿやb=3ⁿと互いに素だから、c/rad(c)が2,3,4(=2×2)になるはずはない。

  

だから、c/rad(c)< 6 より、

 c/rad(c)=1,5

  

1と5しかないのだ。1というのは、cを素因数分解した時、何もダブってないということ。番組の言い方だと、遺伝子に、「長さ1の枝しかない」ということ。

  

5というのは、cを素因数分解した時、5が2つ出て来て、他にはダブってないということ。番組の言い方だと、「5の位置に長さ2の枝 他は長さ1」ということ。

  

220916g

  

こうした理由で、上図のような番組の予想が出来上がる。ただし、左下の小さい文字に注意。「※ abc予想"簡易版"による計算のため一部の例外あり」。

   

   

     ☆     ☆     ☆

では、尾形が計算で確かめた場面を見てみよう。

  

220916h

  

n=2の時、c=13で、遺伝子(素因数)は13のみで、枝は1本だから、予想は正しい。以下、n=6までチェックしてた。

  

220916i

    

しかし、実はこれはあくまで「簡易版」にすぎないから、予想が外れてしまう例外があるのだ。

  

  

     ☆     ☆     ☆

私は表計算アプリ2種類(excel、number)で計算して、n=21が簡易版の例外の1つだと突き止めた。

   

6よりわずかに大きい素因数7が2つダブって、49の倍数になってるcを探したのだ。最後のセル(マス目)の計算式は、49で割った余りを求めるもので、答が0になってる。

     

220916j

  

 (2の21乗)+(3の21乗)

=2097152 + 10460353203

=10462450355

  

確認のため、毎度おなじみ、カシオの計算サイトで、素因数分解もしてみた

    

10462450355=5×7×7×463×92233

   

このcの値は、遺伝子7の位置に長さ2の枝があるから、予想が外れてる

   

  220916l
    

   

     ☆     ☆     ☆

結局、εとK(ε)を省略してしまうと、数学的には正しくないし、それ以外の部分の説明にもかなりの省略がある。テレビ番組の説明は、あくまで分かりやすさや面白さを狙った「簡易版」。学問としての数学とは別物なのだ。

  

なお、宇宙際タイヒミューラー理論の説明も、非常にざっくりしたもので、あれでは別の宇宙や難しい理論を持ち出す必要はない。

   

宇宙Aと宇宙Bの代わりに、普通に集合Aと集合Bを用いて、Aの各要素xに対して、Bの要素x²を対応させるだけ。Aで、7+8=15。それに対して、Bでは、7²+8²=113≠15²で、足し算は「答えが食い違う」のだ。一方、かけ算は「ちゃんと成立する」。Aでは、7×8=56。Bでは、7²×8²=56²。

    

220916k

    

そもそも、宇宙Aと宇宙Bを「全く同じもの」というのも難しい。対応する要素が異なるのだから。「全く同じ」なら、1つの宇宙の中で対応させればいいはず。ともあれ、今日はそろそろこの辺で。。☆彡

    

   

   

cf. デカルトが「虚数(nombre imaginaire)」と名付けたという説明は誤り(or不正確)~『笑わない数学』第6回

 初期値敏感性とカオス(混沌)理論でピザ作り、「パイこね変換」具体例の計算と解説~第8回

 素数の積(11×19)を公開鍵209にしたRSA暗号、作り方と解読方法の具体例の解説~第9回

    

       (計 4063字)

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エリザベス女王「新幹線は時計より正確」、時速209kmで遅れ3分を取り戻した運転の計算と出典(JR広告、書籍)

「新幹線は、時計より正確だときいています」。エリザベス女王の訃報が流れた後、日本ではこの言葉が拡散してるが、正確な出典を調べたものはまだネット上で発見できてない。

   

東海道新幹線の30周年キャンペーンで作られたJR東海の広告(1994年)が、1つの主要なソース(情報源)のようだ。「幸福な仕事。」と題する辞書の説明みたいな広告は、担当した会社2つ(GritzDesign,ロケットジャパン)がそれぞれHPで紹介。

  

下の画像は、Gritzのサイトより縮小引用。該当箇所だけ赤枠で囲んだが、非常に読みにくい。おそらく、当時の広告でそこまで読んだ人もほとんどいないと思うが、28年後には一気にメジャー化。この広告作成も「幸福な仕事。」だろう。97年の「モーニング娘。」より先に、名詞の語尾で「。」を強調してるのも興味深い。

   

220911a

   

   

     ☆     ☆     ☆

その箇所の全文の画像らしき物をキレイに掲載してるtwitterなら、1つあった。そこには、「新聞に掲載された」と書かれてたから、朝日新聞94年10月1日の縮刷版でチェック。全面広告は一応あるが、残念ながら内容は違ってた。

   

ということは、朝日以外の新聞だったのか、あるいは駅や雑誌の広告とか。実は、広告会社2つが一致して掲載してる文章とも少し違ってる(短い)ので、長短2つのバージョンがあったのかも知れない。ツイッター画像では、辞書的な説明の項目名も少なくなってる。

    

以下では、広告会社2つの情報から引用してみよう。読みやすいロケットジャパンの文章を基本にして、Gritzの画像で確認。28年前の広告の一部なので、著作権が問われることはないと判断。改行は原文より少なくしてある。

     

(引用開始)

 とけい[時計] 「新幹線は、時計より正確だときいています」 一九七五年五月一二日、名古屋駅から新幹線に乗り込む直前、イギリスのエリザベス女王からお言葉がありました。しかし実際には、大雨による徐行で名古屋到着は二分の遅れ。さらに、女王陛下の荷物一七二個を積み込むのに時間がかかり、発車は三分の遅れ。そして、浜名湖付近で徐行、遅れは四分にひろがりました。

  

 また、富士川付近では、雲間にのぞく富士山を女王陛下にゆっくりご覧いただくため、スピードダウン。三島を通過する時点で、遅れを一分取り戻すのが精一杯でした。・・(中略)・・東京までの残された一二〇.七キロで三分の遅れを取り戻すことは、不可能と思われました。

   

 新幹線は、最高時速になるとATCが作動し自動的に減速します。当時、新幹線の最高速度は時速二一〇キロ。そこで、ギリギリの時速二〇九キロで走らせる運転士の腕に"時計より正確"な新幹線の威信がかかっていました。・・(中略)・・幹部にも、諦めのムードが漂います。しかしこの時、運転士だけは、定時到着を信じて時速二〇九キロで走り続けていたのです。

  

 「品川、定時通過」 その声に、重苦しい空気だった東京駅がドッとわき、明るさを取り戻しました。そして、一三時五六分定刻。女王陛下の新幹線は、何事もなかったように、ゆうゆうとホームに到着しました。  (引用終了)

   

   

     ☆     ☆     ☆

最後まで諦めずに限界スピードで頑張り続けた運転士と、それを支えた大勢の国鉄マンのおかげで、「幸福な仕事」が成功。特に、日本人にとっては、美しくて感動的な話だろう。

  

ただ、訃報が出るまで、海外では(ほとんど)報道されてないようだ。英語で検索すると、訃報後の日本の報道を英語で簡単に伝えたものばかりがヒットする。

   

日本の文献では、上の広告の他に、信頼できそうな書籍が1つあった。近藤正高『新幹線と日本の半世紀』(交通新聞社、2010年)。

  

220911b

    

エリザベス女王のエピソードの箇所は、Google booksでも、kindle電子書籍の無料サンプルでも、すぐに無料で読める。定時の到着と言っても、実際には30秒遅れだったとの事。それなら、2分半の遅れを取り戻したことになる。

  

この書籍も、さらに他の文献資料を元にしてるようだが、そこまでは無料公開だと読めない。とりあえず、この程度のまとめでも十分だろう。

   

  

     ☆     ☆     ☆

時間も字数も残ってないので、最後に、私が個人的に気になった点について、簡単に書いとこう。

  

時速209kmの運転は、どのくらいのスピード・アップだったのか? どの程度の努力だったのか。もちろん、定速をキープする努力だけでも大変だが、ここでは速度の上昇を計算してみよう。

   

細かい数値データは無いので、時速209kmで走った区間の距離104.5kmだと仮定してみる。すると、かかった時間は30分

  

これで2分30秒縮めたわけだが、大まかに3分、短縮したことにしよう。

 

   

     ☆     ☆     ☆

すると、短縮前なら、かかる時間は33分だったことになる。つまり、1割増

  

ということは、速度は1割減・・・ではない。そう考えてしまうのは、算数・数学でありがちな間違いなので、注意が必要。かかった時間が11/10倍だから、速度は逆に、10/11倍。これは、1割減(=9/10)より少しだけ速い。

  

 時速209km×10/11倍=時速190km

   

これが、スピード・アップしない場合の平均時速ということになる。だから運転士は、

 時速190kmを時速209kmに上げて、所要時間33分を30分に短縮

したのだ。近藤の著作によると、運転士は2人らしい。お見事。

  

       

     ☆     ☆     ☆

最後に検算もしとこう。元の時速190kmで距離104.5kmを走ると、

  

  (元の所要時間)=104.5÷190=209÷380=11/20(時間)=33(分)

    

確かに、もともとは33分かかることになる。検算、成功。

  

ともあれ、国鉄&JRに拍手。女王陛下に合掌。なお、今週は計15870字で終了。ではまた来週。。☆彡

    

      (計 2371字)

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素数の積(11×19)を公開鍵209にしたRSA暗号、作り方と解読方法の具体例の解説~NHK『笑わない数学』第9回

この計算は大変だった。特に、最後の宿題みたいな問題は、終盤に出て来る数が大き過ぎるから、少し工夫しないと専門サイトでも計算できない。桁数が数十~百ケタ以上になるから、普通の電卓でも無理なはず。

     

なるほど、RSA暗号というシステムは良く出来てる。たかが11×19=209を公開鍵にしただけで、これほど大変な計算になるのなら、巨大な素数(300ケタとか)の積を公開鍵にすればほとんど解読不可能だろう。開発中の量子コンピューターはさておき。

   

放送(22年9月7日、23時~23時30分)から19時間ほど経った現在、「笑わない数学 暗号 計算」でGoogle検索をかけると、最後の問題を解いた方の計算式のツイート画像が1つ見つかる。

   

ただ、それは番組とは少し計算の仕方が違うし、番組内容の解説まではしてない。特に、私がテレビを見て引っかかったのは、計算に利用する17と5という数字だった。以下では、番組内容に即して、暗号理論の実際を具体的に解説してみよう。21と39の暗号化と解読方法だ。

      

参考にしたサイトは2つ。英語版ウィキペディアの「RSA (cryptosystem)」と、高校数学の美しい物語(学研グループ)。説明の仕方や記号の使い方が多少、違ってるが、本質的には同じ説明だった。たぶん、世界標準の方法だろう。

  

  

     ☆     ☆     ☆

220908a

  

まず、素数の掛け算(p×q)で、公開鍵Nを作成する。ここでは簡単な素数を使って、11×19=209。これが、N。公開鍵は英語だと public key(パブリック・キー) 。

   

220908b

    

掛け合わせた数209を公開鍵として一般公開する。尾形に情報を送りたい人は、N=209で送ってね。11×19であることは秘密で、誰にも伝えない。

  

それに加えて、番組では「ある決めた回数だけ、掛け合わせ」とだけ説明してたが、17という数字も公開する。この17とは、(p-1)(q-1)=10×18=180と、互いに素な自然数の1つ。別に17である必要はない。

  

「互いに素」とは、お互いの公約数が1だけという意味であって、180自体は素数ではないので念のため。もちろん、209も素数ではない。

      

   

      ☆     ☆     ☆

220908c

  

スタッフが、「21」という元の情報を尾形にメールなどで送りたいとする。建物の階数の指定。209と17を使って、次のように暗号化する。

     

220908d

  

(21の17乗)÷209の余り」を計算。私はいつものように、カシオの計算サイトを利用。確かに、余りは10になった。最初の掛け算は、桁数の設定を多めにしないと失敗する。

 

220908l

   

30041942495081691894741÷209の余りは、10。この数字10が、尾形に伝える暗号になる。パソコンのWindows付属の関数電卓でも計算可能。

    

220908m

  

ただ、番組で使ってた(ように見せてた)電卓は、個人か中小企業が税金の計算に使うもので、10桁しか扱えないから論外。電卓の右上に、10と書いてあった。

     

左上の企業名を消してたが、CASIOのMW-100TCだろう。amazonで902円。演出で身近なコンピューターのイメージとして使っただけで、実際には別の計算機か計算サイト、アプリを使ってる。人力の筆算でも出来なくはない。

  

   

       ☆     ☆     ☆

尾形が暗号を解読する時には、17に加えて、尾形だけが知ってる素数11と19を使って、まず次のようにdを計算する。dは秘密鍵、個人鍵と訳されるもので、元の英語は private key(プライベート・キー)。

  

220908f

  

 d={(p-1)(q-1)×5+1}/17

   

この「もどす方法」の分子に、「5」と「1」という数字がある。1はもう決まった数だが、5は別の数でもよい。dの値が自然数になるような小さい自然数の1つが5ということ。

    

例えば、10×18×1+1では、17で割り切れない。10×18×2+1も17で割り切れない。10×18×3+1も、10×18×4+1も失敗。その次の5で、ようやく成功する。

    

d=(10×18×5+1)/17=53

   

  

     ☆     ☆     ☆

少し突っ込んで考えると、上の式は、分母を払って左右を入れ替えると、53×17=10×18×5+1

     

ということは、53×17を10×18で割った余りは1となる。要するに、「17と掛け合わせると、10×18で割った余りが1になるような自然数の1つ」が、53ということ。その時、10×18で割った「商」が、5。

   

ただし、dを180以下に制限するなら、ただ1つに定まる(ここでは53)。これが、英語版ウィキや学研系サイトの説明になってた。番組では分かりやすく、説明抜きで割り算。

    

とにかく、秘密鍵dの値は、相手が送って来る暗号とは無関係。最初から尾形(=解読する人、受信者)が用意しておけばよい。

  

本質的には、dだけが解読のポイント。しかしdは、pとqと17から計算されるので、pとqも秘密にする必要がある。p×qの値を公開しても、それが非常に巨大な数なら、そこからpとqを求めるのは難しい。

  

番組の209なら、人間でもすぐに11×19と分かってしまうが、一般向けのバラエティ番組の例え話だから構わない。

   

   

     ☆     ☆     ☆

最後に、このd=53と暗号を用いて、次のように計算する。

  

220908h

  

「(10の53乗)÷209」のあまり。これを、カシオのサイトの「余り計算」で行うと、割られる数が大き過ぎてエラーになってしまった。

  

そこで、53乗を、30乗と23乗に分けて計算する。(10の30乗)÷209の余りは、45。また、(10の23乗)÷209の余りは、98。この余り同士を掛け合わせると、45×98=4410。

   

さらに、4410÷209の余りは、21。これが、(10の53乗)÷209の余りになる。数年前まで、高校(数学A)の合同式(mod)の箇所で教えてた基本公式(性質)で、ここでは説明省略。今現在は、高校数学の課程から外されてるらしい。

     

220908p

    

とにかく、暗号化する前の情報が「21」だと分かった。解読成功!

   

   

      ☆     ☆     ☆

一方、番組最後のナゾナゾ問題は計算が大変過ぎて、本当に計算した視聴者は僅かだろう。元の情報を暗号化した数字が、96。

    

220908j

   

ここでも、あえて途中の数字は書かないが、96を53乗すると非常に大きな数になってしまう。そこで私は、10乗と3乗を利用して計算した。10乗を209で割ると、余り1。また、3乗を209で割ると、余り39。

     

∴ {(96の53乗)を209で割った余り)}

 =〔{(1の5乗)×39}を209で割った余り〕

 =39

     

したがって、元の情報は、39。つまり、「サンキュー」。ケタ数の設定に注意して、皆さん、お試しあれ。今回は素直に面白い番組で、情報理論の勉強にもなった。39♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

  

cf. デカルトが「虚数(nombre imaginaire)」と名付けたという説明は誤り(or不正確)~『笑わない数学』第6回

 初期値敏感性とカオス(混沌)理論でピザ作り、「パイこね変換」具体例の計算と解説~第8回

    

       (計 2856字)

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初期値敏感性とカオス(混沌)理論でピザ作り、「パイこね変換」具体例の計算と解説~NHK『笑わない数学』第8回

NHKの数学バラエティ番組、『笑わない数学』第8回(2022年8月31日放送)のテーマは、「カオス理論」。カオスとかファジーという言葉は、最近あまり聞かなくなってるけど、本質的な重要性は変わってない。

   

実際の世界の複雑さ、予測困難性・予測不可能性を強調する言葉が、カオス=混沌。複雑で曖昧なものを上手く処理するのがファジー理論やファジー制御。

  

現実が非常に複雑なのは確かだが、それを予測できないかどうか、扱えないかどうかはまた別の話だ。実際、我々は複雑あいまいな世界で何とか生き続けてるし、天気予報も実用的な確率で当たってる。台風の進路は、1本線では表せないけど、大体こんなエリアを進むということなら示せて、非常によく当たるのだ。

   

ただし、複雑あいまい過ぎると、神頼み、運頼みのような感じになる。例えば、大地震がいつどこで起きるのか、いまだに実用的な予測はできない。数十年以内に数割の確率で発生するとか専門家に言われても、実質的にはあまり(orほとんど)役に立たないのだ。

     

    

      ☆     ☆     ☆

今回の番組でカオスの具体例として登場した、ピザパイをこねる作業も、微妙なものになってる。パイのある特定の「部分」(少し広がりがある)が、10回こねた後にどうなってるのかについて、正確にはほとんど示せない。そもそも、ピザ職人の1回ごとのこね方も、あいまいでファジーなのだ。

  

ただ、数学的に単純化したモデルで、ある特定の「点」が10回後にどこに行くのかなら、正確に予測できる。ある特定の「部分」についても、そこから数十程度の点を取り出して行先を正確に予測すれば、部分の全体がどうなるのかはある程度わかるのだ。

  

もっと簡単に言えば、どこがどうなるかはよく分からないけど、こね続ければ、生地の素材がよく混ざり合うのはほぼ分かる(と考えられる)。それをバラエティ的な極端な言い方にすれば、こんな発言になるわけだ。

  

  

     ☆     ☆     ☆

220903a

    

俺たちは 昔っから カオス理論を利用しておいしいピッツァを作ってたんだぜ」。

     

本当は、カオス理論など知らないだろうし、意識的に「利用」してるわけでもないはず。だから、より正確に言い直すなら、「俺たちが昔っからピッツァを作ってたやり方は、カオス理論と関係あるんだぜ」。

   

ちなみに、日本語の「パイこね変換」に相当する英語版ウィキペディアの項目名は、「Baker's map」(パン屋の写像)。日本語ウィキでは、「Baker's transformation」(パン屋の変換)という英語を優先させてる。これは、天才として名高いフォン・ノイマンによる呼び名らしい。

  

いずれにせよ、ピザではなく、パン。それを日本でピザに変えてるのは多分、薄い形の方が分かりやすいし、パンよりパイの方が面白くて可愛い名前だからだろう。

  

  

      ☆     ☆     ☆

では、具体的な数学的解説に入る前に、番組の映像と説明を見ておく。

   

220903e

  

220903fr

   

こうした のばして畳んでの繰り返しを 数学では 『パイこね変換』と呼びます」。(語り 合原明子)

    

もともと、すぐ近くの点だった赤と青と緑の点が、パイをこねる内にバラバラな動きをして、ハッキリ違う点に到達してる。最初の状態が少し違うだけで、その後が大幅に変わってしまうという性質を、「初期値敏感性」と呼んでた。

   

  

      ☆     ☆     ☆

英語なら、「sensitivity to initial conditions」。初期「値」だと、数値データを思い浮かべてしまうが、もっと広く、初期「条件」敏感性ということ。例えば、数「式」が少し変わるだけでも、敏感な反応というのはあり得る。

   

初期値敏感性というのは、日常的にいくらでも経験してるものだ。例えば、合格最低点が80点の入試の得点で、80点なら合格、79点なら不合格。天国と地獄の差だ。電車に間に合うかどうかも、似たような話。1秒差でハッキリ差がつく。

  

あるいは、器に液体を入れる時、ある量まではこぼれない。ところが、それを少しでも超えると、下にこぼれてしまう。ネットの発言も、最初の言い方が少し違うだけで、炎上したり、しなかったりする。炎上する発言はしばしば、最初の言い方・書き方がキツくて攻撃的、侮蔑的、差別的なのだ。

    

   

      ☆     ☆     ☆

220903b

   

では、私が作った2次元の具体例と図で説明して行く。上図の黒い四角が、パイを真横から見た断面図。右向きにx軸、上向きにy軸を取る。長さ1、高さ0.3のパイ生地において、赤い点に注目する。xy座標は、(0.4,0.15)。

   

220903c

  

上から押しつぶして水平に2倍に伸ばし、半分の厚みにすると、点の座標は(0.8,0.075)となる。

   

220903d

  

さらに、右側の半分を上に折り畳むと、赤点は移動しないから、座標は元のまま。(0.8,0.075)。

   

英語版ウィキペディアの形式的定義に従って、一般的に示すなら、

 { 点(x,y)の変換後の点 }=(2x,y/2)  (ただし、0≦x<1/2

    

220903g

   

  

     ☆     ☆     ☆

220903h

   

続いて、最初の点が少し右側だった場合。xy座標を(0.6,0.15)としておく。

   

220903i

   

上から押しつぶすと、点(1.2,0.075)になる。

   

220903j

  

右半分をパタンと上に折り畳むと、点の座標は(0.8,0.225)になる。前と違って、上半分に移動。

  

一般的には、次のようになる。折り畳む直前、真ん中から右にはみ出た長さは、2x-1。これが、折り畳んだ後の右端からの長さだから、折り畳んだ後の左端からの長さは、1-(2x-1)=2-2x。

 

∴ { 点(x,y)の変換後の点 }=(2-2x,0.3-y/2)  (ただし、1/2≦x<1

     

英語版ウィキでは、最初の厚みは0.3ではなく1としてるので、変換後のy座標は、1-y/2と書かれてる。

     

220903k

   

    

      ☆     ☆     ☆

なお、3回こねた時の動きは、次のようになる。

  

 (0.4,0.15)→(0.8,0.075)→(0.4,0.2625)→(0.8,0.13125)

  

 (0.6,0.15)→(0.8,0.225)→(0.4,0.1875)→(0.8,0.09375)

   

たまたま、2回以降は近い位置になってしまった。これは、2点のx座標が、対称的な0.5-α と0.5+α だから。私の設定が下手だった。

        

違いをハッキリさせるためには、最初の2点は(0.4,0.15)と(0.55,0.15)などとすべきだった。今さら、やり直すのは大変なので、各自お試しあれ。

  

   

      ☆     ☆     ☆

ちなみに英語版ウィキには、多数の点の動きをシミュレーションしたgifアニメがあった。左半分の点を赤色、右半分の点を青色にして、8回こねる内に赤と青が混ざり合っていく様子が分かる。と言っても、これが正しいのかどうか、人間には分かりにくいが。やや重いので、少し圧縮して引用しとこう。

      

Bakers_map_mixing2

    

結局、パイこねのような簡単な操作でも、複雑で初期値敏感性を持ってるから、

カオスはごく限られた場合に起きるものではなく 非常にありふれたものであるということが明らかになった」。

   

とはいえ、これは複雑で分かりにくいだけで、単純計算によって正確に予測可能な変化にすぎない。英語版ウィキでは、「exactly solvable model of deterministic chaos」(決定(論)的カオスの正確に解決可能なモデル)と書かれてた。

   

では、もっと難解なカオスはどうなのか、全体としてカオスとは何なのか。直ちに疑問が生じて来るが、今日はここまでにしとこう。ではまた。。☆彡

  

  

cf. デカルトが「虚数(nombre imaginaire)」と名付けたという説明は誤り(or不正確)~『笑わない数学』第6回

     

      (計 3070字)

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デカルトが「虚数(nombre imaginaire)」と名付けたという説明は誤り(or不正確)~NHK『笑わない数学』第6回

NHK(総合)で放映中の『笑わない数学』は、明らかに情報「バラエティ」的な番組だから、最初は見てなかった。その種のものは、たとえ数学監修として数学者の名前が書かれていても、学問的にかなり不正確なのだ。単純に間違ってることもあって、当サイトでは過去、何度も指摘して来た。

    

ただ、第4回の「P対NP問題」を、NHKプラスの動画で少しだけ見て、かなり工夫した作りになってるのは分かったから、第5回の「ポアンカレ予想」はわりと真面目に視聴(動画)。

   

きゅうすが、トポロジー的に8の字型ドーナツと同型だと示すCGとかは流石だと思った。あれは言葉や静止画では非常に分かりにくいが、CGアニメの連続的変化なら直感的に分かった気になれる。

   

   

     ☆     ☆     ☆

第6回も動画で見ようと思ってたら、22年8月17日の放送中、このブログに検索アクセスが次々と入って来た。直ちにNHKプラスの動画で追いかけ再生してみると、無理数を発見したヒッパソスをピタゴラスが「処刑してしまったと伝えられています」とか、「殺人犯だったかもしれない」などと説明してる。

  

この件については当サイトで8年前、かなり突っ込んで調べた記事を書いておいたから、一昨日、直ちに追記した。既に、どこかのfacebookにリンクが貼られたようだ。

    

 無理数を発見した弟子をピタゴラスが殺した伝説の検証~『ハードナッツ』第3回

  

これはNHKの数学ドラマのレビューで、簡単に結論だけまとめるなら、殺人説はかなり怪しいということ。信頼できる根拠は見当たらないし、根拠であるかのようにネットで語られてる文献を私が実際に調べてみると、殺人説など書かれてないのだ。特に、日本語のウィキペディアの説明は、ありがちな事ながら、ほとんど信頼できない。

    

   

      ☆     ☆     ☆

さて、その『笑わない数学』第6回のテーマは、「虚数」。16世紀の発見のエピソードに続いて、17世紀のフランスの数学者&哲学者、デカルトの話がごく簡単に登場した。

  

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 17世紀、デカルトは、マイナスの数のルートなどありえないという意味を込め、「nombre imaginaire(ノンブル・イマジネール)」、「虚数」と名付けました。

    

デカルトは有名人だが、「虚数」の名づけ親だという話は聞いたことがない。直ちに、英語とフランス語で調べてみると、やはり誤りのようだった。そんな話はどこにも見当たらない。

      

結論的に、そのNHKの説明は間違い。もうすこし穏やかに言うなら、不正確な説明だ。数学監修は、数学者・小山信也。歴史については気にしなかったのか、普通の放送スタッフに任せてしまったのか。

     

ちなみに、「ありえないという意味を込め」という解釈も、私は言い過ぎだと思うが、それは海外でそう説明してる文献があるようだし、聞き流してもいい。

  

ポイントは、2乗してマイナスになる数(方程式の解、根)を「虚数」と名付けたかどうか。そこだけだ。結論的には、デカルトは名付けてないし、代わりに誰が最初に名付けたのかも分からない。

   

   

     ☆     ☆     ☆

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デカルトがその奇妙な数について書いてるのは、『幾何学』(1637年)という書物の終盤。元のフランス語では、『Geometrie』。英訳なら、『Geometry』。これは、非常に有名な『方法序説』に付随するもので、学問の「方法」の具体的な使用例を示そうとするものだ。

   

元のフランス語と英訳の文を、対訳の形でまとめた本が、Internet Archive で公開されてる。「imaginaire」な(想像上の)数について書かれてる箇所を、仏語と英語で引用させて頂こう。

   

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デカルトが本当に書いてるのは、「imaginaire」という形容詞のみ。「nombre imaginaire」という表記は無いし、名付けてもいない。

   

そもそも、奇妙な数として語ってるというより、方程式の解・根の中で「reel」(リアル)でないものについて少しコメントしてるだけなのだ。

    

    

      ☆     ☆     ☆

デカルト他の場所で名付けてるのかも知れない。そう考えるのは自然なことだが、英語版ウィキペディアで複素数の歴史について調べても、上の引用箇所を挙げてるだけ。ちなみに、フランス語のウィキの説明は、英語版より劣ってたので引用しない。よくある事だ。普通の学術論文も見当たらない。

          

220819e

    

   

なお、もし穏やかに言うのなら、次のようになるだろう。

   

 NHKの説明は、簡単にわかりやすく語ったもの。

 より正確には、

 「デカルトは『imaginaire』(想像上の)

 という形容詞で説明。これを受けて後世の学者は、

 『nombre imaginaire』(虚数)と

 呼ぶようになったようだ」

 ということだ。

          

私自身は、誤り、間違いだと指摘する方が良いと考える。NHKやテレビには巨大な影響力があるので。それがネットで拡散するかも知れないし、学校の先生が真に受けて生徒に教えてしまう恐れも十分ある。

  

    

      ☆     ☆     ☆

最後に、番組でデカルトに続いて語られたニュートンの言葉、「虚数の解は不可能と見なされるべきである」は、どうも本物「らしい」。「不可能」という訳語の元の言葉(英語)は、impossible 。インポッシブル。

    

ある英語の数学史の文献によると、講義録のようなものに書かれてる「らしい」が、原文は正確に挙げてなかったから、保留しとこう。

      

ただ、過去の経験上、そこまで書いてる説明は正しいと思う。筆者が本当に元の文献をチェックしてるかどうかはさておき。「また聞き」のような形で書く筆者は、学問の世界でも珍しくない。

    

それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

       (計 2302字)

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昭和レトロの「5玉そろばん」、鉄道員が時間(分)の60進法の計算をする時の玉の動かし方♪

アハハ! 自分で記事タイトルを書きながら笑ってしまった♪ マニアックで、いいね。検索してないけど、こんな細かすぎて伝わらない記事、他に全くないだろうと想像。

  

検索アクセスは1ヶ月に1つくらいか(笑)。少なっ! アクセス数は全く期待できないけど、書いてる私自身が面白いからOK。ちなみに私は、鉄オタではない一般の平成ブロガーなので、誤解のないように♪

     

   

     ☆     ☆     ☆

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今日、22年7月23日・土曜の昼間、Yahoo!をボーッと見てたら、まいどなニュース配信の記事が目に留まった。ここでは、元のサイトの記事にリンクを付けとこう。記事タイトルが長い。

 

 9歳「そろばん練習したい」→ ばーちゃん家から持ち帰ったのが文化財級! 福徳相互銀行百済支店と刻まれ4玉ではなく5玉

    

220723g

  

「なちゅ。」さんの義実家(義理の実家;妻または夫の実家)で見つかったという、そろばん。5玉は見たことあるけど、「百済」(くだら)という地名に驚いた。歴史に出て来る朝鮮半島の百済かと思って調べたら、大阪の地名らしい(笑)

     

関係ないけど、この方、私と同じオムロンの体温計を使ってた(笑)。・・って話はさておき、記事に載ってた次の反応が気になったのだ。

  

   

      ☆     ☆     ☆

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 「鉄道員ですが運転士、車掌は5つ玉ソロバン愛用してます 60進法の計算をするのにもってこいで、1時間32分+2時間44分の計算をするのとしたら、5玉を使わないで60分になったら1玉を下して時間の1玉を上げるという感じで5玉を使わないと60進数の計算できるので便利ですよ

  

220723i

    

誤字か脱字も含めて、いかにもツイッターらしい文章。調べてみると、「義之・バジーナWF6-12-07」さんの返信だった。しばらく考えて、解読に成功したから、記事にしたくなったけど、手書きで図を何枚も書く気がしない。

  

そこでアプリを探すと、普通の4つ玉そろばんなら色々あったから、見た目がハッキリしてる「Abacus Simulator」を利用。少なくとも私のiPad Proだと、最低限の機能しか使えないから、ほぼiPhone専用なのかも。

 

画像処理で下側の玉を1つ増やして、5つ玉そろばんの画像を作ってみた。こんな加工、やったことないけど、意外と上手く出来た♪

     

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      ☆     ☆     ☆

さて、ここからが本題。時間と分の計算をする時、分だけは60進法になる。つまり、60分で1時間になって、繰り上がりになる。それを5つ玉そろばんでどう操作するのか?

  

以下は、私の数学的・論理的な推測♪ 1時間32分+2時間44分=4時間16分の計算の例。

      

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まず、上図のように、1時間32分を表すように玉を動かす。青線の左側、時間のケタの下側の玉を1コ上に上げて、1時間。青線の右側、分の2ケタの下側の玉を3コと2コ、上に上げて、32分。    

   

ここで注意すべきは、分の2ケタの内、十の位の上の玉(5を表す玉、上図の赤い×印)だけは使わないということ。ちなみに、その左右のケタでは、上にある5の玉も使う。

    

   

      ☆     ☆     ☆

続いて、2時間44分を足す操作。まず2時間、次に40分、最後に4分。3つに分けて説明する。

   

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上は、2時間44分の内、2時間だけ足した所。青線の左側で、下の玉を2コ、上に上げると、合計で3コの玉が上に上がってる。この図は、3時間32分を表してる。

   

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最大のポイントが、上図。2時間44分の内、40分を足した所。分の十の位(中央)だけに注目。60分で1時間だから、もともと上にあげてた玉から2コだけ下げて、時間の玉を1つ上げる。20分に40分を足して、1時間にしたということ。

    

220723e

  

上図が最後。2時間44分の内、4分だけ、右端のケタで足した所。これは、普通の4つ玉そろばんと同じで、下側で上にあげてた玉2つの内、1つだけ下げて、上側の5の玉を下す。1+4=5ということ。確かに、4時間16分を表す玉の配置が完成。

   

   

      ☆     ☆     ☆

というわけで、5つ玉が60進法に便利といっても、それは分の十の位だけ。そこだけ、上側の5の玉を使わないから、かなり慣れてないと間違えやすいはず。秒の十の位にも使えるけど、電車の秒単位の計算をそろばんでやるかどうかはビミョー。

   

とにかく、5つ玉、60進法、そろばんアプリ、画像処理、色々とマニアックで面白い週末になった。ヒマ人? 知の世界の旅人と呼んで欲しいね♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

     

       (計 1789字)

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パズル「絵むすび」23、解き方、考え方(難易度3、ニコリ作、朝日be、22年7月16日)

線で、同じ絵を結ぶだけ。子どもから大人まで、楽しみながら頭のトレーニングができるパズル「絵むすび」。「おむすび」に似せた可愛い言葉なので、「絵結び」ではなく「絵むすび」です。「えむすび」だと分かりにくいですね。

     

このブログではこれまで、22本の記事を書きました(本当は他にも少しあります)。どれも朝日新聞に出てた問題で、 今回が23本目の記事です。

  

   

     ☆     ☆     ☆

5本は小学生向けです。新しい順に、絵むすびの解き方16(20年7月4日)。解き方15(20年3月21日)。解き方13(18年5月19日)。解き方12(17年5月2日)。解き方11(16年5月21日)

     

最初からの10本と、7回前の1本は、大人向けです。第1回2回3回4回5回6回7回8回9回10回14回(19年4月21日)

   

そして、第17回(20年12月19日)、18回(21年4月24日)、19回(21年11月6日)、20回(22年1月22日)、21回(22年3月19日)、22回(22年5月21日)は、大人でも子どもでも読みやすいように書いてます。今回も、そんな書き方ですが、漢字のやや大人向けかも。

     

17回と18回は、内容的にはそれほどカンタンではありませんでした。手で線を引かずに、頭の中だけで絵むすびを解く方法の話なので。

   

それではこれから、23本目の記事を書くことにします。考え方、コツ、攻略(こうりゃく)法みたいなもののまとめ。今回は難易度(なんいど)☆☆☆☆(星3つ)となってて、わりと簡単な問題だし、3連休の初日なので、アクセスはやや少なめです。特に夕方からアクセスが減ってるので、自分1人で解けたのかも知れませんね。

   

    

     ☆     ☆     ☆

今は、新聞に載った翌日(2022年7月17日)の0時0分。もう、新聞の販売のジャマにはならないでしょう。

   

ただし、ウチでは、なるべくネタバレを避けるため、ゆっくり少しずつ解説してます。特に、最後の答は、新聞で発表されるまで書きません。元の問題の図も、かなり小さくして1回、引用するだけ。後は、自分で図を作ってます。著作権への配慮、気づかいです。

   

220717a

      

今回の絵は、すべて「そ」で始まる名前のイラストですが、カラフルな麦わら帽子みたいな絵が分かりにくいかも。メキシコの伝統的な帽子、「ソンブレロ」で、以下では「ソン」と書きます。

  

他は、ソーダ水(ソー)そら豆(そら)掃除機(そうじき:掃)ソフトクリーム(ソフ)ソックス(ソッ)

   

       

     ☆     ☆     ☆

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まず、大きく離(はな)れた絵を2組、大まかにつなぎましょう。特に、角や端にあるものがわかりやすいですね。

   

今回は、ソフトクリームとソーダ水だけ見るところから始めてみます。ジャマなものはとりあえず気にしないようにして、ポイントをしぼる。シンプルに、単純に考えるのです。他には、そら豆とソーダ水から始めるのもいいでしょう。

  

ソフトクリームを結ぶ線は、どのあたりを通るでしょうか? まず、ソーダ水の絵2コの間を通る場合を考えてみます。

       

220717c

  

すると、上図のように、ソーダ水の線は左下をグルッと大回りする線になってしまいます。これでは、他の線が結べませんね。だから、ソフトクリームの線は、ソーダ水の絵2コの間は通らないのです。

   

   

      ☆     ☆     ☆

220717d

   

では、上図のように、ソフトクリームの線が、ソーダ水の絵2コのすぐ下あたりを短く通る場合はどうでしょうか? ソーダ水の線は、点線で2本書いてますが、どちらの線でも同じことです。もっと左上を通っても、同じこと。

   

次の更新は、今日(17日・日曜)の夜にします。それでは、また後で。。

   

   

     ☆     ☆     ☆

では、日曜の夜21時になったので、続きを少し書きます。

   

220717e

    

ソフトクリームの線を、普通に下側で短く引くと、左上でソンブレロの線を短く引くことになります。すると、左下の掃除機とソックスの線が引けなくなってしまいます。だから、ソフトクリームの線は、普通に下側で短く引くことはできません。

   

だから、ソフトクリームの線は、下図のように、左下を回ることになるのです。すると、左下のソンブレロと掃除機とソックスの線を少しずつ右の方に伸ばして行けます。するともう、ほとんど答が分かります。

    

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アクセスもかなり減ってるので、次の更新はもう正解発表の後にしましょう。なお、今週は計15390字で終了。ではまた。。☆彡

   

   

     ☆     ☆     ☆

はい。正解が発表されたので、最後まで書きます。

  

220724a

    

上図のように、ソンブレロと掃除機とソックスの線を右の方に伸ばして行きます。もう、☆印のマス目の答は、ソンブレロ(6番)だと分かります。

       

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さらに少し伸ばします。もう、これしかないという引き方になってるので、カンタンです。

     

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さらに伸ばして行くと、完成しました。ではまた。。☆彡

    

       (計 1814字)

  (追記144字 ; 合計1958字)

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パズル「推理」、小学生向け6、表の書き方(難易度4、ニコリ作、朝日be、22年7月2日)

このブログでは今まで、パズル「推理」(すいり)について、11本の記事(きじ)を書(か)いてます。

  

大人(おとな)向(む)け、4本(1本目2本目3本目4本目)。

小学生向け、3本(1本目2本目3本目4本目5本目)。

全員(ぜんいん)向け、1本

アインシュタイン式・論理脳(ろんりのう)ドリル、1本

  

今日(きょう)は小学生向けで、与えられた表(ひょう)を使って解(と)いてみましょう。問題(もんだい)はいつものように、朝日新聞(あさひしんぶん)別刷(べつずり)beのもの(2022年7月2日)。

   

ニコリ作で、難易度(なんいど)は星4つ。算数の計算と理屈が多くて、ちょっと難(むずか)しいかも知(し)れません。

   

論理的な解き方やコツ、攻略法(こうりゃくほう)の解説(かいせつ)で、小学4年生以上なら丈夫だと思います。もちろん、大人(よ)でも読めます。

  

  

   ☆   ☆   ☆

今回は、5人がお箸(はし)で豆(まめ)をつまむ問題。1回目と2回目の個数(こすう)を考えます。2回とも、同じ個数の人はいません。

   

220703c

  

フツーは、2回目の方が慣(な)れて、多(おお)くつまめるような気もしますが、この問題ではあまり増(ふ)えてません。みんな、1回で疲(つか)れたのかも♪

   

5人はこう言ってました。カンタンな言い方に直(なお)します。シミズさんは男にも女にも見えますが、女性として扱(あつか)います。最近の社会(しゃかい)に合(あ)わせて、いつもそうした人を1人だけ入れてるのかも知れません。

     

 ハラダくん  私(わたし)の1回目は12コ

 カジワラさん  私は1回目と2回目の合計(ごうけい)が18コ

 シミズさん  私の2回目は、イシオドリの2回目の3倍(ばい)。  

 ツルタくん  ぼくは1回目より2回目のほうが減(へ)ったけど、2回目は4コでも8コでもない。

 イシオドリさん  私の1回目はツルタの1回目より多かった

  

  

   ☆   ☆   ☆

では、少しずつ表に〇(まる)、×(バツ)をつけて行きましょう。まず、ハラダの話(はなし)から、下のように書けます。〇(マル)だけでなく、×(バツ)も付(つ)けましょう。

          

220703d

   

次(つぎ)に、カジワラの話。合計18コということは、「1回目が6コ、2回目が12コ」か、「1回目が15コ、2回目が3コ」か、どちらかです。

 

ということは、カジワラの1回目は3コや12コや21コではありません。また、カジワラの2回目は、4コや8コや24コではありません。だから、とりあえず下のように書いておきます。

      

220708e_20220703190301
  

  

     ☆     ☆     ☆

次は、シミズの話。2回目について、「イシオドリが4コ、シミズが12コ」か、「イシオドリが8コ、シミズが24コ」か、どちらかです。

  

ということは、シミズの2回目は、3コや4コや8コではありません。また、イシオドリの2回目は、3コや12コや24コではありません。だから、下のように書いておきます。

         

220703f

   

さらに、ツルタの話。1回目より2回目の方が減ったのだから、1回目は3コではないし、2回目は24コではありません。

  

また、2回目は4コや8コでもないので、下のように書けます。

  

220703g

   

   

     ☆     ☆     ☆

最後(さいご)に、イシオドリの1回目はツルタの1回目より多いので、イシオドリの1回目は3コや6コではありません。だから、下のように書けます。

  

220703h

   

はい。これでもう、次に書くことは分かりますよね?♪ あまりネタバレにならないように、今日はここで止めます。また明日(4日・月曜)の夜、少し書きます。

  

なお、今週は計12882字で少なめでした。また来週。。☆彡

  

    

      ☆     ☆     ☆

はい。7月9日(土曜)になりました。正解が発表されたので、この記事も最後まで書きます。

    

220709b

   

まず、シミズの1回目が3コだと分かります。すると、1回目が3コの人は、2回目が3コ・4コ・8コではないと分かるので、上図のように書けます。表の左下あたりも少し分かるのです。

    

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次に、イシオドリの1回目が21コだと分かります。すると、1回目が21コの人は、2回目が3コ・12コ・24コではないと分かるので、上のように書けます。ここでも、表の左下に少し書けるのです。

   

   

     ☆     ☆     ☆

この後が、少し難(むずか)しい所です。

  

220709d

    

もし、ツルタの1回目が6コだったとしたら、どうなるか? マス目に小さい丸をつけて考えてみます。ツルタの2回目は、少なくなってるはずだから、3コのはず。

  

すると、カジワラの1回目は15コになります。ということは、カジワラの2回目は、3コのはず(2回で18コだから)。

  

ところが、2回目で3コなのはツルタになってるので、おかしいですね。上図でもう、進めなくなってしまいます。だから、ツルタの1回目は6コではありません。

    

  

     ☆     ☆     ☆

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だから、ツルタの1回目は15コと決まります。上図ではちゃんと大きな丸を付けてます。カジワラの1回目は6コで、2回目は12コのはず。ということは、ツルタの2回目は3コ。上図のように書けました。

  

もうこれで、応募(おうぼ)の答は分かりました。ツルタの1回目は「15コ」。これで正解。でも、最後まで解きましょう。

      

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シミズの2回目は24コだと分かります。すると、イシオドリの2回目は、その3分の1で、8コになります。これで、ハラダの2回目は、4コだと分かっておしまい。みんな、1回目と2回目の数が分かりました。

   

220709g

   

もう長くなったので、表の左下ははぶきましょう。この問題にかぎらず、そこはあまり使わないのです。ではまた。。☆彡

      

      (計 1490字)

  (追記736字 ; 合計2226字)

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