数のクロスワード・パズル「ナンスケ」の解き方、考え方12~難易度3、ニコリ作、朝日新聞be、2024年3月16日

朝日新聞・土曜の別刷(べつずり)beで、3日前(2024年3月16日)にまた、「ナンスケ」というパズルが出ました。制作(せいさく)はニコリです。

   

難易度(なんいど)は3(星3コ)だからフツーのレベルです。でも、苦戦(くせん)してる人がとても多いようで、このサイトに多数のアクセスが入ってました。そこで、1年ぶりの記事で説明してみましょう。

    

ナンスケ(ナンバースケルトン)とは、数を並べて作った骨組(ほねぐ)という意味。クロスワード・パズルの言葉の代わりに、数を入れるのですが、解くためのヒントは、入れる数の候補(こうほ)のみ。最初は、やり方が分からなくて考え込むでしょう。

   

   

   ☆   ☆   ☆

このサイトでは今まで11回、解き方や考え方、コツ、攻略(こうりゃく)方法みたいなものを解説(かいせつ)しています。

   

19年5月11日の問題の記事(難易度2)、6月29日(難易度2)、9月7日(難易度3)、10月26日(難易度4)、20年4月4日(難易度4)、7月18日(難易度3、小学生向けの記事)、11月15日(難易度4)

   

21年5月15日(難易度3)、10月15日(難易度3)、23年2月25日(難易度4)、4月22日(例題をAIに解かせようとした記事)

   

すべて、リンクを付けてるので、クリックとかタップで参考(さんこう)にしてください。

      

  

   ☆    ☆    ☆    

今回は、下図の問題。著作権(ちょさくけん)に配慮(はいりょ)して、私が描(か)き直して、色をつけてます。真ん中のマス目を中心に、180度回転すると元通りになる、キレイな形です。

   

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左下あたりに、二重の枠のマス目が2つあります。それらに入る数の和(足し算)が、懸賞応募(けんしょうおうぼ)用の答。

   

マス目に入れるのは、次の20コの数。小さい順に並(なら)んでて、1、3、5がたくさん入ってることに気付きます。似た数ばかりで、目がチカチカしますね。今回、6ケタの数はありません。

   

(3ケタ)135,333,533,711

(4ケタ)1111,1212,1335,1551,2577,2754,3335,4332,5723,7557

(5ケタ)13545,31143,33543,51543,55143,77741

   

   

    ☆     ☆     ☆

どこから書けばいいのでしょうか。最初のポイントは、5ケタの数すべての共通点を見抜(みぬ)くこと。6個とも、4番目の数が4だから、次のように書き込みます。この時、単なる想像で余計(よけい)なことは書かないように。ハッキリわかることだけ書くのです。

   

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下側の横の4ケタを見ます。4から始まってるので、4332だと分かります。

   

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次に、下の縦(たて)の4ケタを考えます。3番目が2だから、5723のはず。

   

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続(つづ)いて、右下の横の4ケタを考えます。7から始まるのは、7557です。

   

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さらに、その下の横の4ケタ。3から始まるのは、3335です。

   

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   ☆   ☆   ☆

今度は、真ん中の少し下、横の4ケタを見ましょう。5で終わってるので、1335です。

   

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その少し上にある横の4ケタは、4で終わってるので、2754です。

   

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その上に伸(の)びてる縦の4ケタは、2で終わってるので、1212のはず。

   

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すると、上側の横の4ケタも分かります。2から始まってる4ケタは、2577しか残(のこ)ってません。

   

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    ☆   ☆   ☆

これで、右上の縦の5ケタが分かりました。77741ですね。

   

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右上の横の3ケタも分かりました。711です。

   

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とりあえず、ここで止めておきましょう。後はもう、自分で考えてみてください。正解が発表された後、残りを最後まで書きます。ではまた。。☆彡

   

    

     ☆   ☆   ☆

正解が発表されたので、最後までの流れを簡単に書きます。

    

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右側で上から順に、縦の13545、横の135、縦の33543を書けます。

    

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左下は3で始まって3で終わるはずだから、333。すると、その上の横の3ケタは533。さらに、縦の31143も決まります。

   

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左上の横の4ケタは1551のはずだから、その下の横の4ケタは1111。

   

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よって、左上の縦の5ケタは55143。したがって、左下の縦の5ケタは51543。これで完成しました。

   

ちょっと迷うかも知れませんが、一つ一つ確実にうめていけば、正解までたどり着ける問題です。ではまた。。☆彡

    

     (計 1515字)

  (追記263字 ; 合計1778字)

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将棋の天才・藤井聡太八冠が子どもの頃に勉強!、算数(四則 +-×÷)の「賢くなるパズル」の解き方、考え方(『徹子の部屋』)

テレビ朝日の『徹子(てつこ)の部屋』という、50年近くも続いてるテレビ番組に、将棋の藤井聡太・八冠が出ました。その中で、彼が幼稚園(ようちえん)から小学校入学くらいまでやってたらしい、算数のパズルが紹介されました。2024年2月23日のSP(スペシャル)版です。

     

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7×7マスの表に、1~7の数字を入れます。縦・横の列には、同じ数字がだぶらないようにします。つまり、それぞれの列で、1、2、3、4、5、6、7を1回ずつ使うというルール。その点では、人気パズル「数独」を小さくしたような感じですが、いろんな計算があるので、このパズルの方が難しいと思います。

   

合計で49マスですが、太い黒線で小さめのブロックに区切られてます。上の問題では20コのブロックがあって、それぞれのブロックの左上には黒い小さな数字が書かれてます。

  

それぞれのブロックのマス目の数を、足し算・引き算・掛け算・割り算のどれかで計算して、ブロックの左上の数字になるようにします。この4つの計算方法は、まとめて「四則」(4つの規則)と呼びます。

     

2マスのブロックに「3 6」と書かれてる時、6÷3で2だと考えることもできます。2マスのブロックの上に1、下に4がある時なら、4÷1で4だと考えてもよいのです。つまり左右や上下は気にしません。

  

あと、3マスのブロックでは、足し算か掛け算のどちらかを使います。この宮本算数教室のパズルは小学生に人気があるようで、藤井八冠も下のような本で楽しんでたのでしょう。宮本哲也『賢(かしこ)くなるパズル』、学研。amazon(アマゾン)より。

   

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    ☆   ☆   ☆

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では、藤井八冠が解いてた問題を、ゆっくり解いてみましょう。適当に数を入れてみるのではなく、筋道を立てて論理的に解くと、「賢くなる」でしょう♪

    

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パズルだけでなく、何かを考える時には、順番が大切。この問題なら、右上の50と書かれた3マスがすぐ分かります。5×5×2で、2つの5は同じ列に書けないから、上のようになります。

  

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その下側、42と書かれた3マスは、もう2が使えないので、7×6×1しかありません。ただし、7と6と1の書き順は分からないので、とりあえず小さな字で「7×6×1」と書いておきます。

    

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すると、右上の18と書かれたブロックは、「左6×右3」になります。「3 6」だと、右端の縦の列で6が重複(じゅうふく)してしまうからです。重複とは、ダブることです。

  

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これで、右下はもう4しか残ってません。すると、右下の56と書かれた3マスの左側は、「7×2」になります。どちらが左でどちらが右なのかは、まだ分からないから、小文字で書いてます。

  

    

     ☆   ☆   ☆

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そのすぐ左側、4と書かれた2マスのブロックは、もう4とは書けないので、「5-1」のはず。

     

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そのまた左側、2と書かれた2マスは、もう「6÷3」しかありません。

     

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その少し上、13と書かれた縦の2マスは、「7+6」。

  

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だから、左下が6、その右が3と決まります。右が6だと、縦の列で6がだぶってしまうからです。

  

   

     ☆   ☆   ☆

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さらに、6÷3の右上、15と書かれた2マスは、5×3で決定です。3が左だと、またダブってしまうので。

    

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すると、右下あたりで30と書かれた3マスのブロックは、5×3×2で決まりです。左側や上側の数字を見て、決めます。

    

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そうすると、右下の「2×7」も決まります。そのまた右の4と掛ければ、56になります。

  

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あと、左端の6と書かれた3マスも、3+2+1で決定です。足し算の代わりに掛け算で3×2×1としても、同じく6になります。

  

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その上、28と書かれた2マスは、7×4です。もし7が右だと、その下の「7+6」とだぶってしまうので。

   

   

    ☆   ☆   ☆

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そのまた上、5と書かれた2マスは、4+1。右側や下側の数字を見れば、分かります。

     

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左上の70と書かれた3マスは、5×2×7になります。

  

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すると、一番上の横の列には、もう4と1しか残ってません。21は、4からは作れないので、72と書かれた3マスの上が4。その右が1。それらの下側に小さく、「3×6」、「3×7」と書いておきます。

  

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これで、下側の28と書かれた2マスが、7×4だと分かります。上側の数字を見て、決めるのです。

  

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その2つ上、3と書かれた2マスは、2÷6(左右は気にせずに割り算)。6だけ、先に決まります。その縦の列(右から3番目の列)ではもう、6しか残ってないからです。6を使って3にするには、6÷2しかありません。6-3だと、左側の3とだぶってしまいます。

      

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これで、左側の13と書かれた2マスも分かりました。上が7、下が6です。

   

   

     ☆   ☆   ☆

後はもうカンタンだし、みなさんにおまかせしましょう♪ 最後の答は、最初のテレビの画像に書かれてます。ちょっと読みづらいけど、5歳か6歳の藤井八冠、すばらしく賢いですね。すべて合ってる大正解!

   

なお、今週は計15376字で終了。また来週。。☆彡

    

      (計 2043字)

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整式の除法に関する剰余定理の発展、複素数範囲の因数分解、論理と同値変形~2024年共通テスト・数学ⅡB・第1問〔2〕

共通テストから既に丸1ヶ月も経過してしまったが、数学IAの記事しか書いてなかったので、数学ⅡBの記事も1本だけ簡単にアップしとこう。

  

この問題の内容は、私には数ⅠAのように感じられるけど、ネットで調べると、整式の割り算も複素数も数ⅡBだった。高校に限らず、学校教育の学習指導要領はよく変更されるので、なかなかフォローしきれない。

    

問題はいつものように、河合塾HPを経由して、大学入試センターから借用させて頂いた。

   

    

     ☆   ☆   ☆

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第1問〔2〕(1)解答

 S(x)=x²+4x+7=0の解は、1次の係数が偶数の時の解の公式より、

 x=-2±(√)i ・・・コサシの答

   

 また、与えられた場合の割り算を実行すると、

 2x³+7x²+10x+5=(x²+4x+7)(x-)+12 ・・・スセソタの答

   

  

(感想) このくらいの割り算だと、なるべく暗算で済ませる方が時間と労力の節約になる。商の1次の項が2xなのはすぐ分かるから、次の定数項-1まで書いてみて、かけ算で素早く確認。最後に、等式の左右の定数項に着目すれば、余りも暗算で分かる。

     

   

     ☆   ☆   ☆

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(2)(i)の解答

  

仮定より、 P(x)=S(x)T(x)+k

   

また、S(α)=S(β)=0 だから、

因数定理より、S(x)=(x-α)(x-β)

   

よって、P(x)=(x-α)(x-β)T(x)+k

 ∴ P(α)=k, P(β)=k

 ∴ P(α)=P(β)

   

したがって、チの答は、選択肢3ツの答は、選択肢1

    

  

(感想) このチとツの箇所が、この問題の論理=ロジックのポイントだが、選択肢がやや不適切。それを確認するために、上では選択肢まで再掲しておいた。チの答で、既にP(α)=P(β)と書いてしまってるから、次の「したがって」という接続詞が無駄な遊びゴマになってるのだ。

       

P(α)=P(β)は、次の(ii)で使う重要な式であり、(i)の結論。だから、チではP(α)=k、P(β)=kに留めておいて、次のツで、「したがって」P(α)=P(β)、と結論付けるのが正確な論理展開。残念ながら、そういった細かい事まで配慮した問題・解答・教育は数少ない。

     

ここが少し変な流れになってることも、河合塾の分析の総評に影響したと思われる。「・・・論理的な思考力が試される設問が多かった。出題者の誘導に乗りづらい設問も多く、また、選択肢に紛らわしいものがあった」。

   

  

     ☆   ☆   ☆

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(ii)(解答)

 逆に、P(α)=P(β)が成り立つときを考える。

 P(x)=S(x)T(x)+mx+n ・・・テの答、選択肢1

    

 また、S(α)=0、S(β)=0だから、

 P(α)=mα+n かつ P(β)=mβ+n ・・・トの答、選択肢1

  

 P(α)=P(β)だから、mα+n=mβ+n

 ∴ m(α-β)=0

 α≠βより、 m=0 ・・・ナの答、選択肢3

    

したがって、余りのmx+nは、nのみになる。つまり、定数になることがわかる。

   

   

      ☆   ☆   ☆

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(3)(解答)

S(x)=0の2つの解は、2と-1。

よって、(2)までの考察より、

 S(2)=S(-1)

 ∴ -4p-10=-p+8

 ∴ 3p=-18  ∴ p=-6 ・・・ニヌの答

 

 余りは、S(2)=-4p-10にp=-6を代入して計算すればよい。

 -4×(-6)-10=14 ・・・ネノの答

   

  

(感想) (3)は簡単だが、(2)の論理でつまづいてしまうと、大幅に点数を失ってしまう恐れがある。論理的に考えさせたいという出題者の狙いは良いので、選択肢の細部まで正確な配慮が必要だった。

    

それでは今日はこの辺で。。☆彡

   

  

  

cf. 長距離・マラソン、ベストタイムの統計分析、ベテランと若手の「偏差値」~24年共通テスト・数ⅠA・第2問

    

      (計 1524字)

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数字カードの移動、はじめのゲームの状況と結果の関係~開成中2024年入試、算数・問題2の解き方(AIも正答)

小学6年生にとって最難関の一つ、開成中学の入学試験。今年(2024年)も算数の問題を1問、ブログ記事にしてみます。第2問は、ルールに従って操作を何度か行う問題で、おなじみのパターン。トランプや、最近は小学生もやり始めてる麻雀(マージャン)をイメージした、単純で面白いゲームです。

   

ただ、最も難しい最後の(3)の出題意図や狙いが今一つ分かりませんでした。おそらく、(2)から何か規則や法則性を見出して、それを使って(3)に応用して欲しいのだろうと思います。ただ、今のところ、私には発見できないので、普通に解いてみます。分野としては、高校の数学(算数)の「場合の数」で、ハイレベル。大学の入試問題としても難問です。

    

もし後で、出題者の意図に気付いたら、ここに追記します。たぶん、(2)の終盤と(3)は、高校数学の「連立漸化式」か「三項間漸化式」を応用してるのでしょう。なお、問題は四谷大塚HPから縮小コピペでお借りしました

    

    

      ☆   ☆   ☆

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(1)解答 「はじめのカードの状況」が7463125の場合、

 7→机、4→机、6→箱、3→机、1→机、2→箱、5→箱、というようにカードを動かすことになる。

 よって「結果」は、≪ 7431 ≫ 。 ・・・答

   

   

      ☆   ☆   ☆

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(2)解答

(ア) 最初が2で、後のカード2枚(3、1)の並び方は自由だから、[231]、[213]。 ・・・答

(イ) 最初が2で、後のカード3枚(4、3、1)の並び方は自由。よって、3ケタの数と考えて大きい順に書くと、

   [2431]、[2413]、[2341]、[2314]、[2143]、[2134]。 ・・・答

   

(ウ)① 最初(1番目)が2で、後のカード4枚(5、4、3、1)の並び方は自由。まず、2番目が4通り。次に3番目が残った3通り。さらに4番目が残った2通り。最後に5番目は残った数のカード。

よって、4×3×2=24(通り)。 ・・・答

   

  最初は5で決定。後のカード4枚(4、3、2、1)だけからの「結果」が ≪ 21 ≫ になればよいので、(イ)と同様に考えて、6通り。 ・・・答

   

(エ) 最初は5で決定。

    まず、後のカード5枚(6、4、3、2、1)だけからの「結果」が ≪ 21 ≫ になる場合は、(ウ)①と同様に考えて、24通り。

    また、後のカード5枚(6、4、3、2、1)だけからの「結果」が ≪ 621≫ になる場合もある(6は最初の5より大きいから箱に移動)。この場合は、(ウ)②と同様に考えて、6通り。

 以上の2つの場合のみが条件をみたすので、24+6=30(通り)。 ・・・答

   

   

    ☆   ☆   ☆

(3)(問題) 9枚のカード全部を使う場合を考えます。

   結果が ≪ 75421 ≫ になるはじめのカードの状況は何通りありますか。

   

(解答) 最初は7で決定。後のカード8枚(9、8、6、5、4、3、2、1)のうち、5、4、3、2、1の5枚の並び方は、54231か54213の2通りのみ。

 だから、この5枚はまず「?」5つで表しておくことにする。つまり、986?????の8枚の並び方を考える。

 9が何番目かを考えて、8通り。続いて、8が残りの何番目かを考えて、7通り。残った6ヶ所の内、6は、左端以外に並ぶことになるので、5通り。後の5ヶ所の?は、54231か54213の2通り。

 よって、8×7×5×2=560(通り)。 ・・・答

   

    

    ☆   ☆   ☆

最後の(3)は、(2)④のような、より簡単な2つの場合の足し算を積み重ねれば求められるのかも知れません。

  

ただ、例えば、54321の5枚からの結果が ≪ 5421 ≫ となる場合とか、654321の6枚からの結果が ≪ 5421 ≫ となる場合などを考えても、あまり役に立ちませんでした。無理やり使うことなら出来ますが、むしろ面倒になってしまうので役に立たないのです。

  

例えば、答を表す式は、4通りに分けて計算することで、 420+10+60+(60+10)=560 とも書けます。でもこれなら、8×7×5×2の方が、遥かに簡単な数式計算で、考え方もシンプルです。

  

   

    ☆   ☆   ☆

なお、この問題は、話題の対話型生成AI「ChatGPT(model4)」が完全に正答しました。ただ、考え方は人間とは全く違うようです。

   

というか、問題をpython(パイソン)という言語でプログラミングした後、どうやって答にたどり着いたのかは分かりません。単純にすべての場合を試すと大変なので、色々と工夫をしたと言ってました。    

     

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とにかく、今日のところはこの辺で。。☆彡

   

   

(関連する記事)

1~7の数字を並べた整数A、Bの和が9723になるのは何通りか~開成中23年入試、算数・問題5の解き方

1と0のカードゲーム、複雑な連続操作の考察~開成中21年入試、算数・問題3の解き方

小屋の窓から入る太陽光と展開図~開成中2020年入試・算数・問題4の解き方  

5人のカードゲームと背理法~開成2019入試

三角形の相似から四角形の面積比へ~18問題1

三角形の相似と比の応用~17入試・算数・問題3

  

灘中学校2020年入試、算数の図形問題の解き方、考え方

   

連続する3つの整数の関係(三項間漸化式、不定方程式)~桜蔭中22入試

3人のゲームトーナメント、変わった時計~桜蔭中19入試

円と正方形、10個重ねて作る図形の面積~桜蔭18入試

   

       (計 2172字)

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宇宙船に乗った異星人はどこから地球に来たのか?、出身星を見分ける効率的な質問方法~2024年共通テスト・情報関係基礎・第2問

3週間遅れになってしまったが、2024年・共通テストの『情報関係基礎』についても記事を書いとこう。いつものように、国語と数学についてはすぐに記事をアップしてある。

   

公表データによると、受験者数は僅か124人。他にも、英語以外の外国語とか地学とか、奇妙なほど受験者が少ない科目は、問題作成者が気の毒になる。といっても、作成者の報酬や待遇に関しては、他の科目との差は無いだろう(未確認)。

   

来年、鳴り物入りの必修科目『情報 I 』が新たに登場するが、どの程度の受験者数になるのか、まだ予想しにくい。教科書を見る限り、科目内容は興味深くて、現代的かつ実用的だと思うが、大学側の反応はまだあまり好意的ではないように見える。これでは高校の授業でも軽視されてしまうから、先に大学が態度を変えるべきだろう。そうすれば、高校も受験生も変わるはず。

    

   

     ☆   ☆   ☆

では、本題に入ろう。今年は第1問の方が興味深い感もあるが、やはり特殊な問題を出す第2問に注目。要するに、統計学的なデータ分析で、理論的・計算的には簡単だが、変数やパラメーターが多くて文章が長いのがポイント。問題はいつものように、河合塾HPを経由して、大学入試センターから拝借した。

  

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問1 上図の質問方法の場合、トウ星人には1人あたり1回、リク星人には1人あたり回質問する。・・・アの答

「トウ星人ですか?」、「カイ星人ですか?」、「ホク星人ですか?」で3回。すべて「いいえ」がリク星人。

  

宇宙船Aの人にたずねたときは、トウ星人3人に合わせて3回、カイ星人2人に合わせて回質問。・・・イの答

カイ星人1人あたり2回の質問(トウ星人ですか?、カイ星人ですか?)だから。

10人全員だと質問は22回。 1×3+2×2+3×(1+4)=22

   

宇宙船Cの10人への質問回数は、1×1+2×3+3×(2+4)=25回。・・・ウエの答

  

次に、こうした「順次法」の質問の順番を変える。1番目がトウ星人ですか?、2番目がリク星人ですか?、3番目がホク星人ですか?とたずねる場合、最初の順番と比べると、カイ星人1人あたりに質問する回数は1回多い・・・オの答(選択肢4)

最初の順番だと2回、新たな順番だと3回だから。

   

表1の宇宙船Aの10人への合計回数は、 1×3+2×4+3×(2+1)=20回だから、

2回少ない・・・カの答(選択肢1)

   

   

    ☆   ☆   ☆

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問2 グループ法で表1の宇宙船Aの人に尋ねると、1人あたり常に2回だから、合計で20回。・・・キクの答

  

  

    ☆   ☆   ☆

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問2(続き) 順次法で合計回数を最小にするには、出身者が多い星から順にたずねる。

宇宙船Aだと、リク星人ですか?、トウ星人ですか?、とたずねればよいから、

 1×4+2×3+3×(2+1)=19回。・・・ケコの答

   

こうした最小にするたずね方だと、5隻のうち、合計が最小になるのは宇宙船D・・・サの答(選択肢3)

要するに、10人の出身星が最も偏っている宇宙船ということ。 

 1×7+2×3=13回

   

さらに、順次法とグループ法の使い分けを考える。グループ法だと、1人あたり2回。

順次法だと、出身者が最も多い星は1回(つまりマイナス1回)になるが、出身者が3番目に多い星と最も少ない星では3回(つまりプラス1回)になってしまう。

よって、出身者が3番目に多い星の人数と出身者が最も少ない星の人数の合計が、出身者が最も多い星の人数より多い場合は、グループ法の方が効率的。・・・シスセの答(選択肢23(順不同)、選択肢0)

   

    

     ☆   ☆   ☆

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240203i

   

  

問3 上の「二段法」の「前手順」で宇宙船Aを対象としたら、

X星はリク星(最も多い4人)、Y星はトウ星(2番目の3人)となる。・・・ソ、タの答(選択肢3、0)

   

   

    ☆   ☆   ☆

240203j

   

問3(続き) 上の表2において、二段法の前手順で宇宙船Bを対象とした場合、後手順のX星人はカイ星人だから、人数は合計で、2+3+7+6=18人。・・・チツの答

   

前手順で宇宙船B・D・Eを対象とした場合に合計回数が少ないのは、X星がカイ星となった(つまり最も人数の多い星となった)ことによる。・・・テの答(選択肢0)

    

前手順の対象がAの時とCの時を比べると、後手順のX星人は同数だが、合計回数はCの方が遥かに少ない。これは、後手順でY星人が多いから。言い換えると、Cの後手順でその他が少なかったことによる。・・・トの答(選択肢3)

  

Cの後手順でY星人が多いのは、Y星がカイ星となったため。・・・ナの答(選択肢2

    

BよりEの方が合計回数が1だけ少ないのは、Eの方が後手順のX星人が1人だけ多いから。

   

ところで、(Bの後手順のX星人、18人)=(X星人(=カイ星人)全25人)-(Bの前手順のX星人7人

     (Eの後手順のX星人、19人)=(同上、25人)-(Eの前手順のX星人6人

   

だから、言い換えると、Eの方が前手順でX星人が少なかったから。・・・ニの答(選択肢1)

    

    

     ☆   ☆   ☆

最後の設問は、消去法でもただ1つの選択肢に絞れるとはいえ、消去に時間を取られるし、いろんな意味でかなり分かりにくい。問題の文章自体、設問の流れ、解答群にいきなり「前手順」の人数に関する選択肢を並べている点。

    

最後に無理やり、ひねり過ぎた問いを設定して、トップクラスの受験生の差をつけることを狙った感じか。情報関係基礎の最高点が98点なのは、上のニで間違えたのではないかと想像する。

   

とはいえ、第2問の全体を見ると、風変わりな形で基本的な情報処理能力を求める労作ではある。というわけで、今日はそろそろこの辺で。。☆彡

    

     (計 2297字)

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陸上長距離・マラソン、ベストタイムの統計分析、ベテランと若手の「偏差値」~2024年共通テスト・数学ⅠA・第2問〔2〕

今年の数学ⅠAの問題をザッと見渡すと、電柱の影が身近な問題で面白そうに見える。しかし、私は一応、高校の陸上部出身で市民ランナーの端くれなので、とりあえず今日は長距離・マラソンの問題を扱うことにしよう。どうも、本物のデータ(ベースボール・マガジン社、陸上競技ランキング)を使用して問題作成してるらしい。ちなみに、2問とも扱う余裕は無い。

    

いつものように、問題は河合塾から借用した。実際のデータの保存先は、提携先の産経news。今回のネット公開は、21時頃だったと思う。

  

本来なら、問題文はすべて自分で打ち直したいところだけど、あまりに問題が長過ぎる。まあ、短くすると、得点の分布が高い方に偏ってしまうからだと思うけど、国語や英語の問題ではないのだから、もう少し短くするべきだと思う。

     

今現在ならともかく、非常に近い将来(今年の内にとか)、長文の問題だとAIと人間の差が大きく開いてしまうはず。AIは単純な長文の読み書きが非常に速いけど、人間は遥かに遅いから。

   

なお、問題とは直接、関係ないけど、昨日行われた全国都道府県対抗女子駅伝の1区で、石川県代表の五島莉乃選手が1位、区間賞を獲得した。元日から続く地震の被災地を勇気づける走りはお見事。沿道からは、「石川がんばれ!」という温かい声援もあったとの事。ランナーでなくても、いいねボタンを押したくなる話だろう。

  

   

     ☆   ☆   ☆

240115a

   

  

2018年より前にマラソン・ベストタイムを出した男子選手の数値(データA)と、2018年以降にベストを出した選手の数値(データB)を分けて、全員に共通する2時間という部分をカット。残りの部分を「秒」単位に換算する。もし、「分」と「秒」のまま問題にしてれば、平均点は大幅に下がってたと思う。

       

簡単にまとめてしまうと、データAはベテラン(古株)グループ、データBは若手グループみたいな感じ。単なる年齢だけでなく、「現役度」みたいなもの。例えば、大迫傑は32歳だから、わりと年齢は高いけど、データBになる。マラソンのベストは2020年。

    

全体的には若手グループの方が速いけど、各集団内での「偏差値」みたいなものを比較するとどうか?、といった話まで考える専門的な出題。例えば、ベテランの中で非常に偏差値が高いランナーと、若手の中で少し偏差値が高いランナーなら、前者の方が優れてるとか。

  

  

    ☆   ☆   ☆

240115b

  

   

(i) 図1から、Aの最頻値は階級510以上、540未満の階級値。よって、サの答選択肢8

また、図2から、Bの中央値が含まれる階級は450以上、480未満。よって、シの答選択肢6

要するに、ベテラン・グループの方が遅いということ。

    

   

   ☆   ☆   ☆

240115c

  

   

 (ii) 図3の箱ひげ図を見る。Bの速い方から13番目の選手のベスト(下の四角の左端)は、Aの速い方から13番目のベスト(上の四角の左端)より、およそ45秒速い。よって、スの答選択肢4

  

Aの四分位範囲(上の四角の横の長さ)から、Bの四分位範囲(下の四角の横の長さ)を引いた差の絶対値は、ほぼ0。よって、セの答選択肢0

    

   

    ☆   ☆   ☆

240115d

    

このという値は、いわゆる偏差値みたいなもの。zのプラス・マイナスの符号を逆転させて、10倍して50を加えた数が、いわゆる偏差値。

  

   

240115e

    

  

Bの1位の選手のベストに対するzの値は、

 (296-454)/45 = -3.51

  

よって、ソタチの答は、351。ギリギリで割り切れないのに、3ケタも答えさせるとは、ちょっと意地悪かも。最後の小数第2位の数字で間違えた受験生は結構いると思う。35「0」とか。

  

また、ベストはBの1位の選手の方が速い。

さらに、Aの1位の選手のzの値は、

 (376-504)/40 = -3.2

よって、Bの1位の選手の方がzが小さい(優れてる)。

  

したがって、ツの答は、選択肢1

   

     

    ☆   ☆   ☆

240115f

    

240115g

  

   

図4の左下を見ると、マラソンのベストの速い方から3番目までの選手の10000mのベストは、3選手とも1670秒未満。よって、(a)の記述は正しい。

  

また、図4と図5を大まかに見比べると、図5のデータの方が、右上がりの直線に近い分布になってる。つまり、マラソンと10000mの相関は、5000mと10000mの相関より「弱い」。よって、(b)の記述は誤り。

  

したがって、(a)(b)の正誤の組合せとして正しいもの(テの答)は、選択肢1

   

マラソンは42195mだから、10000mの4.2倍もある。それに対して、10000mは5000mの2倍にすぎない。だから、5000mと10000mの相関の方が強いのは自然なこと。競技時間の差を考えても分かりやすい。マラソンは、10000mと比べて、1時間40分くらいも長いのだ。

       

   

     ☆   ☆   ☆

私にはこの問題は、簡単なサービス問題に見えるけど、はたして集計結果はどうなるか? 受験生の性格やパーソナリティーによっては、最後の問題はマジメに全て計算しようとして混乱してしまったかも。

  

統計というものは一般に、最後の結論の所は非常にざっくりしてるのだ。優れてるとか、速いとか、強いとか、上がったとか。それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

      (計 2118字)

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オイラーもガウスも「素数階段」とは言ってない、素数定理の正式な発見者はルジャンドル(原書・AIチェック)~『笑わない数学』素数

一般に、何かが現実にあることの証明ならともかく、何かが現実に無いことの証明は非常に難しい。現実の世界を調べ尽くすことはほとんど不可能だから。

     

ただ、現実にあることの証明が世界で発見できないのなら、あるとは認められない。私は昨夜から、英語・ドイツ語・フランス語・ラテン語(オイラーの使用言語)を使って検索しまくったが、どこにも存在証明は見当たらなかった。だから今現在、こう言っていいと思う。

  

 オイラーもガウスも、「素数階段」とは言ってない。

  

  

    ☆   ☆   ☆

だから、それを前面に押し出したNHK『笑わない数学』素数でも、根拠となりそうな映像が一つも示されなかったのだ。毎度お馴染みの小文字の説明もなかったし、エンドロールにも書かれてない。単に、数学監修・小山信也と書かれてるだけだった。

   

テレビ番組に関する専門家の監修があまり信用できないことについては、今まで多数の指摘を具体的に行って来た。理数系でも同様。まして、理数系ではあまり重視されない歴史的な事実に関してなら。

    

初回放送日が1年9ヶ月も前(公式サイトの日付は2022年3月26日)の情報バラエティに、今さら歴史的な間違いを指摘したところで、それ自体にはあまり意味がない。既に再放送からも1週間が経過したので、検索アクセスも期待できない。

   

ただ、その間違いは、特に日本のネット界で地味に拡散してるようなので、誰かが歯止め役を果たすべきだと思う。微力ながら、マニアック・ブロガーが先陣を切ってみる。

 

    

     ☆   ☆   ☆

まずは、簡単な事実、ファクトの確認。

   

素数の並び方の謎に挑むことにしたオイラーは、まず、素数を自分の手で一つ一つ探すことから始めました。そして頭の中で、いわばこんなものを想像してみたんです。数字が書かれた階段。ただし、段が上がるのは、素数に出会った時だけ。名付けて、素数階段です・・・素数階段をひたすら上り続けたオイラー」。

    

231219a

  

「いわば」というボカシ言葉を最初に入れて、逃げ道を確保してるのは分かる。しかし、少し後で「名付けて」と語ってるし、番組の中盤は、オイラーからガウスまで、天才2人が素数階段を登って行ったという話がメインになってた。

     

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     ☆   ☆   ☆

素数階段とはもちろん、足で登る物質的な階段ではない。その素数が、小さい方からカウントして何番目なのか。あるいは、ある自然数以下の素数が何個あるのか。1つ1つカウントしていく頭と手の作業を、階段のイメージにしたもの。

   

例えば、5という素数は3段目で、3番目の素数。また、8は4段目の自然数で、8以下の素数は4個(2,3,5,7)。

  

数学をある程度、理解してる人なら、素数階段のイメージがカウントに役立ってないのが分かるはず。むしろ、カウントした後に階段はイメージできるのだ。例えば、2、3、5、7に続いて、5番目の素数は11。だから、11から階段の5段目に上がる、とか。

  

そもそも、素数階段に対応するような英語・ドイツ語・フランス語・ラテン語は、学問的にはほとんど使われてない。ということは、素数階段とは、日本の一般人向けの説明で使われる簡単なイメージだろう。オイラーやガウスはもちろん、他の数学者でさえほとんど関係なく。

   

   

    ☆   ☆   ☆

自分でさんざん調べた後、最後に念のために、ChatGPT(model4)にもたずねてみた。本当にオイラーが素数階段などと言ったのか?

  

231219c

   

GPT4 「素数階段」とオイラーに関する情報が見当たらないのは、おそらくそのような概念がオイラーに直接起因するものではないからかもしれません。オイラーは素数に関して多くの重要な貢献をしましたが、具体的に「素数階段」というアイデアについての記録はありません。

 

・・・・・・ですので、素数階段は後の数学者や教育者がオイラーの貢献に触発されて作ったものか、もしくは素数の性質を説明するための現代的な教育ツールの一つである可能性があります

   

    

別に対話型AIを絶対的な「根拠」にしてるわけではないので、念のため。最終確認の段階での、一つの(有力な)情報ということだ。    

    

    

    ☆   ☆   ☆

続いて、ガウスと素数定理について。番組では、オイラーのすぐ後に続いた天才としてガウスを紹介した後、こう説明してた。

   

ガウスが発見したのは、最終的には『素数階段の高さ』と『自然対数表の計算』がピタリと一致するという事実だったのです」。

  

231219d

   

曖昧な表現なので、真面目に番組を見て覚えてる人しか正確な意味が分からない。

   

xを無限に大きくしていく時、

 (その自然数x以下に何個の素数があるのかを表す数)

    = x/logx

   

「素数定理」と呼ばれる式で、普通は π(x)~x/logx などと書かれてる(変数はnとも書く)。xが素数なら、π(x)(パイ・エックス)は何番目の素数なのかを表すことになる。分母のlogxはxより遥かに小さい数だから、両辺ともに大きい数になるが、xよりは小さい。「~」で表される近似が極限limとどう違うのかは、まだ理解してない。

  

   

    ☆   ☆   ☆

この辺りについて、英語、ドイツ語、フランス語のウィキペディアで調べると、ガウスの名前も一応挙げられてるけど、フランスの数学者ルジャンドルの方が扱いが大きい。それは当然で、最初に出版の形で提示した人物だから。

  

一例として、素数カウント関数に関するドイツ語ウィキペディアの一節を見てみよう。歴史の項で大きく扱われてるのは、ルジャンドル。それに対して、ガウスは名前を挙げてるだけのような扱いだ。

  

231219g

   

アイデアを思いついただけなら、まだ15歳か16歳だったとされるガウス少年(1792年か93年)の方が先だったかも知れない。しかし、ガウスは論文や著書にはしてないし、その草稿もない。

  

下は、ガウスが書いた手紙(1849年)の一部。ルジャンドルの著書『数の理論』(初版1797-98、ガウスがここで確認してるのは第2版)で、素数カウントの公式 n/(logn-A) を見たことが書かれてる。変数は、ここではn。インターネット・アーカイヴで公開中。

         

231219f

    

ルジャンドルの『数の理論』は日本語訳もあるが、ここではネットで発見したフランス語の原文を引用。分母には、未知の定数としてA、Bが使われてる。Bの符号は、+でも−でも同じこと。下は初版。

   

1808年の第2版は大幅に内容も書き方も変わってるが、大きな数に対してはほぼA=1、B=-1.08366となって、ガウスが手紙に書いてる内容と実質的に合ってる。どちらもフランス語版ウィキのリンクより

     

231219e

    

   

   ☆   ☆   ☆

というわけで、

 素数定理の正式な発見者は、ルジャンドル。

   

要するに今回の番組は、有名な2人の天才オイラー、ガウスと、一般人がイメージしやすい階段を前面に押し出した、大まかな情報バラエティということになる。

    

とはいえ、それが無ければ私もここまで調べることはなかった。最初の導き役としては、上手くできてる番組だろう。それでは今日はこの辺で。。☆彡

    

    (計 2846字)

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円x²+y²=3上に有理点がない証明、円x²+y²=2と楕円曲線y²=x³+2の有理点の求め方と計算~『笑わない数学2』第8回

NHKのバラエティ的な教養番組、『笑わない数学』第2シリーズの最終回(第8回)は、BSD予想。バーチ・スウィンナートン=ダイナー予想と書くと、2人の名前の切れ目が「=」の所のようにも感じられるけど、「・」の所で切れてる。バーチと、スウィンナートン=ダイナーの2人。

    

名前だけでも分かりにくいし、理論も計算も非常に難しい話だから、30分番組ではこんな感じか。前置きの簡単な高校数学で時間を使って、肝心の高度な話は終盤だけ。ほとんど具体的な説明抜きで、あっという間に終わらせてた。

      

最後に、BSD予想に使われた計算結果の整数(自然数)がズラッと順に映し出されてたけど、その1つ1つがどれも大変な値。各楕円関数(方程式)ごとに、「素数pを法とする解の個数」Npを調べ尽くす必要がある。

    

だからこそ、数学界での研究の進展もゆっくりだったし、彼ら2人も昔の最先端のコンピューター、EDSACⅡを使って延々と調べたらしい。今のスーパーコンピューターとかだと、彼らが使ったデータを出すだけなら速いのかも。

   

     

    ☆   ☆   ☆

Npの式の変形だけなら分かるし、映像に出た部分だけなら論文の内容も理解できるけど、ここでは前置きになってた高校数学の話を補足的に解説してみよう。解説も計算も証明も、かなり省略されてたから、あらかじめ知ってる人や、すぐに自分で計算した人しか分からないと思う。

  

まず、xy平面の円x²+y²=2の上にある有理点。これは、すぐ分かる1つの点(1,1)を通る直線を使って、図形的・イメージ的に大まかに説明されてた。実際に計算してみよう。

   

231207a

   

点(1,1)を通る、傾きa(有理数)の直線の式は、y=a(x-1)+1。これを円の式に代入して、xの2次方程式を求めると、

 x²+{a(x-1)+1}²=2

展開・整理すると、

 (a²+1)x²-(2a²-2a)x+a²-2a-1=0

  

x=1以外の共有点(一致する場合、つまり接点の場合も含む)のx座標をpとすると、2次方程式の解と係数の関係より、2次と1次の係数(正負の符号は逆転)に着目して、

  1+p=(2a²-2a)/(a²+1)

 ∴ p=(a²-2a-1)/(a²+1)

   

   

     ☆   ☆   ☆

よって、このpも有理数になるし、その時のy座標も有理数になるから、もう1つの交点も、有理点

    

例えば、番組で映されたa=2の場合なら、p=-1/5で、交点の座標は(-1/5,-7/5)。a=1/2の場合なら、p=-7/5で、交点は(-7/5,-1/5)。ちなみに、この2点は直線y=xに関して対称の位置。なお、a=-1の時には、ただ1つの接点(1,1)のみになる(元の点のみ)。

     

同じ論法で、元の点が有理点直線の傾きが有理数なら、もう1つの点も有理点になる。

 

x²+y²=2の有理点は、いくつのグループに分けられるのか、その話は番組ではなかったし、私も今現在ハッキリとは分からない。直感的にはただ1つのグループだと思うけど、グループ分けの定義も厳密には明示されてなかった。傾きを表す有理数aの数は無限にあるから、有理点の個数全体が無限なのは明らか。

    

    

      ☆   ☆   ☆

続いて、円x²+y²=3上に有理点がないことの、背理法による証明

  

231207b

   

 1. 有理点があると仮定する。

 2. x=A/C、y=B/Cとおける。ただし、A、B、Cは、同時に同じ数で割り切れない整数(互いに素)。

   ちなみに、この互いに素という条件は、自分で作り出すもの。まず、xを表す分数とyを表す分数を適当に書いて、A、B、Cを同時に割り切れる最大の数(最大公約数)で割ればいい。そうした点は省略されがちな所で、番組でも説明はなかった。

 3. A²+B²=3C²

 4. A²+B²は3の倍数

 5. AもBも3の倍数。

    これは、A=3a+m、B=3b+n(m,n=0,1,2)とおいて計算すれば分かる。

    (3a+m)²+(3b+n)²=3C²

    m²+n²=3(C²-3a²-2am-3b²-2bn)

    よって、m²+n²は3の倍数。  ∴(m,n)=(0,0)

    したがって、A=3a、B=3bで、共に3の倍数。 (5の証明終)

   

 6. A²+B²は9の倍数

 7. 3C²も9の倍数

 8. C²は3の倍数

 9. Cは3の倍数。これは、5と同様の議論で簡単に示せる。

  

 以上より、A、B、Cを同時に割り切れる整数3がある。これは2と矛盾。

 したがって、円x²+y²=3上に有理点があるという仮定は誤り。

 つまり、円x²+y²=3上に有理点は存在しない。 (全体の証明終)

   

   

      ☆   ☆   ☆

そして、いよいよ楕円曲線の上の有理点の求め方。

まず、y²=x³+1について。

  

231207c

   

すぐ分かる自明な有理点は、(-1,0)、(0,1)、(0,-1)。

最初の2つの点を通る直線の式は、y=x+1。これを楕円曲線の式に代入して、xの3次方程式を求めると、

 (x+1)²=x³+1

展開・整理すると、

 x³-x²-2x=0

  

x=-1,0以外の共有点のx座標をpとすると、3次方程式の解と係数の関係より、2次の係数(正負の符号は逆転)に着目して、

 1=-1+0+p   ∴ p=2

よって、もう1つの交点も有理点(2,3)だと分かる。

  

   

     ☆   ☆   ☆

同様の議論で、(-1,0)と(0,-1)を通る直線からは、有理点(-2,-3)が分かる。これで計5個の有理点。

    

最後に、(0,1)と(0,-1)を通る直線を考えると、y軸に平行な直線だから、もう1つの交点はない。ただ、その直線を、傾き∞や-∞と考えれば、無限遠点で交わると考えることも一応、可能。

 

だから、y²=x³+1の有理点の個数は、「答え 5個」と書いた下に小文字で、「無限遠点を含めると6個」と書いてた。

   

   

      ☆   ☆   ☆

そして、この記事の最後は、楕円曲線y²=x³+2の有理点の求め方。

  

231207d

  

すぐ分かる自明な有理点は、(-1,1)と(-1,-1)。この2点を通る直線からも、無限遠点という交点が求められると言うことは可能。ただ、番組ではスルーしてた。というのも、結論がそもそも無限個だから。わざわざ無限遠点という変な点を加えるまでもない。

   

この場合は、自明な有理点からの接線と曲線の交点を求めてた。接線の扱い方は色々あるけど、一番速いのは、

 y²=x³+2の両辺をxで微分すること。すると、合成関数の微分法より、

 2y・dy/dx=3x²  ∴ dy/dx=3x²/2y

  

よって、点(-1,1)における接線の傾きは、3(-1)²/(2・1)=3/2

接線の式は、 y=(3/2)(x+1)+1

  

これを楕円曲線の式に代入して、xの3次方程式を求めると、

{(3/2)(x+1)+1}²=x³+2

展開・整理すると、

 x³-(9/4)x²-(15/2)x-17/4=0

  

交点のx座標をpとすると、3次方程式の解と係数の関係より、2次の係数(正負の符号は逆転)に着目して、

 9/4=-1-1+p (接点のx=-1は重解だから、-1と-1と考える)

  ∴ p=17/4

    

よって、もう1つの交点も有理点(17/4,71/8)だと分かる。y座標の計算式は、直線の式を用いて、 (3/2)(17/4+1)+1=71/8 。

   

同様の方法を使えば、有理点は無限個ありそうな気はするけど、証明は大変そうなので、とりあえず省略。途中で元の点に戻ってしまう循環が生じないこと、接線が点(-1,0)(次の接線を引く時に困る点)を通らないことを示す必要がある。

   

  

      ☆   ☆   ☆

なお、前の楕円曲線y²=x³+1では、接線は役に立たない。というのも、3つの自明な有理点における接線は、どれも軸と並行で、自分自身を除く共有点が無いから。x=0は三重解になる。ただし無理やり考えるなら、x=-1での接線から、無限遠点という特殊な有理点を求めることは可能。

   

肝心のBSD予想そのものについては、またいずれ。難し過ぎるから、パスするかも♪ というわけで、やっぱり数式はmacOSよりWindowsの方が入力しやすいな・・とか思いつつ、今日のところはこの辺で。。☆彡

    

     (計 3256字)

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1+2+3+4+・・・=-1/12、オイラーの数式とラマヌジャン総和法による「証明」~NHK『笑わない数学2』第7回

まだ11月22日の『フェルマーの最終定理』(再放送)について考えてる途中だけど、とりあえず昨日(2023年11月29日)の放送について記事をアップしとこう。

       

NHK『笑わない数学』第2シリーズ・第7回、「1+2+3+4+・・・=-1/12」。明らかに「釣り」的なタイトルで、内容も際どかったけど、いろんな意味で面白かった。

    

例えば、情報バラエティとはいえ、国営放送の数学番組で堂々と、こんな怪しげで妖しげな数式を前面に出すところとか。しかも、本当はおかしいという点は、パンサー尾形の絶叫の繰り返しを除くと、学問的に強調されてなかった。右下に小さな文字の注意書きが一瞬、1回ほど出ただけ。

   

   

    ☆   ☆   ☆

おそらく、かなりの視聴者は結局、この式と数学・物理学との関係がよく分からなかったと思う。要するに、現代の普通の数学ではもちろん、間違い、あるいは、正しくない。

    

ただ、拡張された変則的な数学、独自の理論としては、昔から今に至るまである。それが、最先端の物理学のごく一部ともつながってるということ。別に、物理学的に証明された数式ということでもないし、ごく一部の天才数学者だけが理解した真実というわけでもない。

   

そもそも、「超越数」の回で繰り返し使った「背理法」(矛盾法)の論理を使えば、オイラーは微妙としても、ラマヌジャンは正しくないと証明できるのだ。

  

 ラマヌジャンが正しいと仮定する。

 すると、1+2+3+4+・・・=-1/12。

 しかし、これは、左辺がプラス(正)であることと矛盾する。

 よって、ラマヌジャンは正しくない。

          (Q.E.D. 証明終了)

    

ちなみにこれは、もし背理法の論理を使えば、の話に過ぎない。背理法が正しいかどうか、使うべきかどうかは、また別のハイレベルな難問なので、念のため。数学の教科書に書いてあるとか、数学者が使ってるとか認めてるとか、そういった普通のレベルの話には留まらない、高度な次元の議論になる。

       

     

      ☆   ☆   ☆

231130a

    

ここでは、天才数学者オイラーの拡張理論から始めてみよう。上の公式は、高校数学でも「中の上」程度のもので、難関大学の受験生の多くは、「等差×等比」の数列の和だと分かるはず。

  

公差1の等差数列「1,2,3,4,・・・」と、公比xの等比数列「1,x,x^2,x^3,・・・」の対応する項同士を掛け合わせた形。この場合,まず左辺の第n項までの部分和をSnとした後、公比xをかけたxSnを右に1つズラして下に書く。

  

辺々を引き算すると,

(1−x)Sn = 1+x+x^2+・・・+x^(n-1) − nx^n

       =(1−x^n)/(1−x)−nx^n

     

 nが限りなく大きくなる時もし-1<x<1なら、右辺のx^nの項2つはゼロに収束するから(右端の極限は有名問題)、

(1−x)Sn = 1/(1−x)

 ∴  Sn = 1/(1−x)^2  (正確には、n→∞における極限 lim)

   

    

    ☆   ☆   ☆ 

その話を、x=−1の時まで強引に拡張したのが「オイラーの数式」と呼ばれてたもの。

 1−2+3−4+・・・= 1/{1−(−1)}^2

                                 = 1/4

    

この少し前,画面の下側に小さく,「オイラーの考え方は『解析接続』を先取りしたものとされる」という注意書きが出てた。こう書くとまるで、先取りした正しい考えのようにも聞こえてしまう。

   

そうではなく,本質的にはあくまで,条件となる範囲に入ってないxの時まで、無理やり公式を当てはめたということ。あくまで左辺は、発散する無限級数であって、1/4という値に収束するとは言えない。

    

   

     ☆   ☆   ☆

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ただ、そのオイラーの数式が仮に正しいとして、さらに、1+2+3+4+・・・=A(1つの値)と書けるとするなら、A−4Aを計算すると、A=1+2+3+4+・・・= −1/12が導かれる。

  

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ここで一瞬だけ映された右下の小さい注意書きが頭に入った視聴者は、かなり少ないはず。「※ 実際には1+2+3+4+・・・は発散するので 和の存在を前提とする議論は正確ではない」。

    

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      ☆   ☆   ☆

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番組的には,この後で登場したのが,映画『奇蹟がくれた数式』(KADOKAWA)でもお馴染みのインドの天才数学者,ラマヌジャン。上の予告編動画からのキャプチャー画像、右端の若者。このブログでも以前、違う話で触れたことがある。若くして亡くなった上に、差別とも闘ったらしいから、伝記的な物語の主人公には相応しい。

     

ちなみにこの日本語のタイトルは,英語の原題(『The Man Who Knew Infinity』、無限を知っていた男)とは全く違う文芸的な表現で、おそらく、先に大ヒットしてた小川洋子の『博士が愛した数式』を意識してるはず。

    

それはともかく,英語版ウィキペディアを見ると,上の怪しげな引き算は、ラマヌジャンの最初のノートにも書かれてたらしい。ただし、それは単に気づきを与えてくれる発見法的なもの(heuristics)であって、厳密な数学的証明として書いたのではない。

   

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    ☆   ☆   ☆

怪しげな−1/12の式は、ラマヌジャンが英国でお世話になった数学者ハーディへの手紙にも書かれてた。これもあくまで,数学者の気を引くための釣りみたいなネタ。自虐的に、精神病院行きだと思われるとか書いてた。

   

番組では出典を明示してなかったけど、この手紙(の写真?)はハーディがいたケンブリッジ大学が所蔵してるらしい。下は、WIREDの記事より孫引き。左下あたりに、理論抜きで、数式がポツンと挿入されてる。

  

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では、省略された理論とは何だったのか? それは,ラマヌジャン総和法とか訳されてる独自の理論だったらしい。これもまた、別に正しい新発見というわけでもなくて、ハーディも使い方に注意するよう、アドバイスしてたとの事。

   

   

     ☆   ☆   ☆

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上の式は難しそうに見えるけど、ここでの適用だけなら簡単。f(x)=xとすればいいから、f(0)=0。また、2回以上の微分(導関数)はゼロだから、右端のシグマの中身はほとんどゼロで、残るのはk=1の時だけ。Bnはベルヌーイ数で、B2=1/6。

  

式の右端に残るfの1回微分は定数1だから、結局、

 (左辺の無限級数)″ = (−1/2)×0−{(1/6)/2!}×1

           =−1/12

    

ただし、パンサー尾形も叫んでたように、左辺には「引用符」が付けられてる。要するに、「1+2+3+4+・・・と似て非なるもの」独自の微妙な理論に当てはめて計算すると−1/12になるということ。

   

たぶん、このような冷静で厳密な語り口がラマヌジャンの情熱や発想に向けられた時、本人も含めて一部の人間には、差別とかイジメ、偏見みたいに見えたんだろうと想像する。そういった部分もかなりあっただろう、という意味なので、念のため。

    

一般社会は、ひらめき型の天才をイメージ的に好んで絶賛・崇拝したがるけど、厳密な学問というのはひらめきだけでは済まない。「インドの魔術師」という呼び名は、そんな事情も踏まえたものだろう。

    

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入力と準備に大変な時間を取られてしまったので、今日はそろそろこの辺で。。☆彡

   

    (計 2425字)   

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円周率 πと自然対数の底eが代数的数でなく超越数であることの証明(背理法)、円積問題~NHK『笑わない数学2』第5回

難しくて2週間遅れになってしまったけど、『笑わない数学」第2シーズンの第5回、「超越数」について記事を書いとこう。第4回、第6回については既にアップ済み。

 

 結び目理論の指紋、アレクサンダー多項式と交点の数、領域、行列式の計算方法、べきと符号の正規化~『笑わない数学2』第4回

    

 ケプラー予想の前に平面充填問題、どんな四角形でも平面を埋め尽くせることの幾何学的証明~『笑わない数学2』第6回

  

  

今回、時間がかかってしまったのは、自然対数の底(てい)eが超越数であることの証明がなかなか理解できなかったから。西岡久美子『超越数とは何か」(講談社ブルーバックス)のp.62~p.67の説明が、いくつか引っ掛かる所があったから、自分で考え直してたのだ。それについては、また後ほど。下はamazonより。

   

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    ☆   ☆   ☆

さて、番組では、古代ギリシャの哲学者&数学者アナクサゴラスが考えた「円積問題」からスタートしてた。円と同じ面積の正方形を、定規とコンパスのみで書く問題。半径1の円なら面積π(パイ)だから、1辺の長さが√πの正方形を書くことになる。

    

番組の流れ的には、こうなってた。√πとπの違いはとりあえずスルー。円積問題の作図が出来るためには、πを解とする代数方程式が必要。

   

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ところが、πを解とする代数方程式は存在しないこと、つまり、πが「代数的数」でなく「超越数」であることが、数学者リンデマンによって19世紀末に証明された。よって、円積問題は解けないことが示された。

   

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ちなみに、私がここで補うと、√πがもし代数的数だと仮定すると、√π×√πも代数的数だから、πも代数的数になってしまう。しかし、πは代数的数ではないから、矛盾する。よって、√πが代数的数であるという仮定は誤り。したがって、√πは代数的数ではなく、超越数。番組でも用いてた背理法の論理で、証明終了。

  

ただし、代数的数×代数的数が代数的数になるという話は、番組でも画面右下に小さく書いてただけで証明されてない。私もまだその証明までは確認してない。上の西岡の本の第2章に短く書かれてた。

  

なお、英語版ウィキペディアの関連項目をいくつか見た限りでは、円積問題と超越数を結びつける語り口は(ほとんど)見当たらない。アナクサゴラスと円積問題を結びつける説明さえ、ほんの少ししか書かれてなかった。その語り口は、日本の数学界に独特のものかも。下は英語版ウィキ、「Squaring the circle」(円の正方形化)の項目。

      

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    ☆   ☆   ☆

では、πが代数的数ではないこと(=超越数であること)はどう証明してたか? 2つの定理と背理法を組み合わせて、パンサー尾形がホワイトボードに書いてた。

  

ちなみに、よく横にいる女性アシスタントのハマちゃんは、顔とキャラが可愛いけど、うっかり余計な一言を付け加えると、セクハラとかルッキズムだと批判されるので要注意♪ 受信料の金額や徴収にも影響してしまう。とはいえ、番組の演出的には明らかにその辺りを狙ってる。痩せて暑苦しい尾形とのキレイな対比が作られてるのだ。

  

とにかく、下は公式サイトからの引用。メイキング動画の静止画キャプチャー。

    

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πが超越数であることを証明するために、πが超越数でないと仮定する。つまり、πが代数的数だと仮定してみる。

   

すると、虚数i(xの2乗=-1の解だから代数的数)とπを掛けたiπも代数的数。

よって、eのiπ乗は超越数ということになってしまう(エルミート・リンデマンの定理、eの「代数的数」乗=超越数)。

   

ところが実際は、オイラーの公式(定理)より、eのiπ乗は超越数ではない(-1という代数的数)。

   

よって、eのiπ乗について、矛盾が生じる。

したがって、πが超越数でないという仮定は誤り。つまり、πは超越数である。 (証明終) 

   

  

     ☆   ☆   ☆

上のπの証明は、エルミート・リンデマンの定理(1882年)を使ってる。この証明は、先にエルミートによって示されてた、eが超越数であることの証明(1873年)に似たものだったらしい。真似とかパクリというより、応用とか参照。

   

これについては、番組ではπよりも簡単に背理法で済ませてた。遥かに難しいからだろうけど、ポイントはしっかり押さえてる。特殊な数、Jを作って、矛盾に導く。

  

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eが代数的数であると仮定すると、上図の代数方程式が存在する。ただし、係数のn+1個のaは整数。ちなみに本来、代数方程式の係数は有理数だけど、分母を全て払うように最小公倍数の整数を両辺に掛ければ、係数を整数に変換できる。

   

これに対して、

 f(x)=(xのp-1乗)(x-1のp乗)(x-2のp乗)(x-nのp乗)

という多項式を考える。ただし、pは任意の(何でもよい)素数で、最後に非常に大きな素数の場合を考えることになる。

     

ちなみに、西岡の説明では、任意性が明示されてないし、素数という条件をどこに使ってるのかもわからなかった。2以上の自然数でいいような気もする(未確認)。

   

次に、任意の複素数tと多項式f(x)に対して、次のxの定積分を考える。

 I(f;t)=∫t{eのt(1-x)乗}f(tx)dx (0≦x≦1)

 

さらに、次の数Jを考える。番組では全く説明が無かったけど、おそらく同じJだろうと思う。まだ新型iMacで数学の入力をマスターしてない(ネットの説明通りにならない)ので、右下の添字の数字の代わりに半角数字を付けて表す。

  

 J=-a0・I(f;0)-a1・I(f;1)-a2・I(f;2)-・・・-an・I(f;n)

  

   

    ☆   ☆   ☆

このJの絶対値|J|を、仮定を用いて計算していくと、

   (p-1)! ≦  |J|

を示せる。

左辺の階乗は、(p-1)(p-2)(p-3)・・・1だから、pを大きくしていくと急速に大きくなる。その「ものすご~く大きい数」よりも、|J|は「大きい」。正確に言うと、大きいか同じ。

   

一方、、Jの元になってる定積分Iに対して不等式を繰り返し考えていくと、

 |J| ≦ (|a0|+|a1|+・・・+|an|)n(eのn乗){(2nのn+1乗)のp乗}

を示せる。

pを大きくして行く時、この不等式の右端の{(2nのn+1乗)のp乗}は、先ほどの不等式の左辺(p-1)!と比べると、あまり急速に大きくならない。よって、|J|は「かなり小さい数」より「小さい」。正確に言うと、小さいか同じ。

   

 ∴ (ものすご~く大きい数)≦|J|≦(かなり小さい数)

  

これは矛盾(大きくて、小さい)。したがって、最初の仮定「eは代数的数である」は誤りで、eは代数的数でない。つまり、eは超越数である。 (証明終)

   

   

      ☆   ☆   ☆

上の証明の前半、大きい数より大きいという部分の説明は、数列の和の記号Σ(シグマ)や、関数の積の微分に関するライプニッツの公式を用いた複雑なもので、ここに書き写す気にもならない。

  

Σは途中で区間が狭まってるし、多数回の連続微分も登場。そもそも、f、p、I、J、自分では全く思いつかない構想だ。エルミートがどうやって思いついたのか、興味が湧くところか。

  

というわけで、ずいぶん準備に時間がかかってしまったから、そろそろ終わりにしよう。われわれがいつも考えてる数は代数的数ばかりであったが、実は超越数より遥かに少ない(集合の濃度が小さい)という指摘(カントールの無限論)はインパクトがあった。

  

231122e

   

代数的数は 漆黒の空にある星のように光っている

 漆黒の闇は超越数である」 (E・T・ベル)

  

それでは今日はこの辺で。。☆彡

       

     (計 2520字)

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